こんにちは、公認会計士・税理士・1級FP技能士の安田亮です。税理士としてお客様の税金の相談に乗ることはもちろん、自らの資産運用の経験も活かし、貯蓄や投資についてのアドバイスも行なっています。

前回は、【税理士コラム】会社員でも節税の余地はまだある?会社員の手軽な節税方法をご紹介!にて、会社員の方でもできる節税方法を解説いたしました。今回は家計簿管理の目的と、その始め方についてご紹介します。

 皆さんは家計簿をつけていますか?国立社会保障・人口問題研究所が2012年度に行なった「生活と支え合いに関する調査(第1回)」の調査結果では、約4人に1人の割合で家計簿をつけているということになりますが、裏を返せば4人中3人は家計簿をつけていないこということになります。

 家計簿をつけることで自らの資産や支出の状況をきちんと把握し、今後の資産運用の方針を決めたり、無駄な支出を抑えたりすることができます。そこで今回は、まだ家計簿をつけていない方のために、簡単に始められる家計簿管理の方法をご紹介します。

【参考】生活と支え合いに関する調査(第1回)国立社会保障・人口問題研究所:http://www.ipss.go.jp/ss-seikatsu/j/2012/seikatsu2012.asp

家計簿管理の必要性

まずは家計簿管理の必要性について簡単にご説明していきます。

「家計」とは個人や家族が生活していく際の収入と支出の状況のことを言い、一家のお金のやりくりの全てを総称するものとなっています。そして家計簿管理とは、一家のお金の出入りの状況を、帳簿を付けて管理することを言います。帳簿と聞くと紙の書類を思い浮かべるかもしれませんが、パソコン上で管理するデータも帳簿の一種です。

家計簿管理によって我が家の財政状況の「見える化」

家計簿管理をすることで、自らの財政状態を把握することができると同時に、自分の収入がいくらあるのかとか、支出の実態を「見える化」することができます。つまり、今の自分の資産や負債はいくらあるのか、自分は毎月どんな出費をどれくらいしているのかということを把握することができるようになります。

「見える化」による驚きの効果

 この「見える化」による効果はとても大きいです。今まで何気なくコンビニでお菓子やジュース、お酒を買っていたとすると、それをきちんと集計した場合、「毎月10万円程度コンビニで使っていたが判明した」というようなお客様がいらっしゃいました。

その結果を、ご本人に示すと驚かれたことがあります。その方自身、コンビニは全体的に割高だと知りつつも、どこにでもあるという利便性から、ついついコンビニを利用していたようですが、「まさか10万円も使っていたとは…」と驚くと同時に、これから買い物をする際には、意識的に安いスーパーを利用されるようになりました。

投資やお金の殖やし方が学べるマネカツセミナー
↓ 詳しくは画像をクリック ↓

家計簿管理は、企業の経営活動管理と同じ

この家計簿管理は何かに似ていると思いませんか?そうです、やっていることは企業の経営管理活動と全く同じです。

企業は、売上高などの収益項目から、売上原価・経費などの費用項目を差し引いて儲けを計算する損益計算書という書類を作ります。これを作ることによって1年間の儲けが分かり、業績が良かったのか悪かったのか、また、経営活動の中で良かった点、悪かった点はどこなのかという分析を行ない、将来の経営に役立てようとします。

また企業は、損益計算書とは別に、年度末時点で貸借対照表という書類も作成します。この貸借対照表では、現金や在庫などの資産と、借入金などの負債の金額を記録し、資産から負債を差し引いて純資産というものを計算します。この純資産は、その名の通り、純粋なその会社の資産の金額を表していると考えていただければ良いです。

家計においても、これと同じようなやり方で管理するというのが家計簿管理です。家計簿をきちんとつけていれば、毎月・毎年の家計の動きが分かり、これまでの反省や将来の見通し、今後の目標などが立てやすくなります。

何を管理するか?

まず、家計簿で管理する項目の説明から始めさせていただきます。

家計は「ストック項目」と「フロー項目」に分けられる

家計の中には、大きく分けて2つの項目があります。

1つ目は「ストック項目」と呼ばれるものです。具体的には預金や投資信託、保有株式などの資産残高や、住宅ローンなどの負債残高です。企業経営でいうと、貸借対照表に載る項目です。

2つ目は「フロー項目」と呼ばれるものです。これは毎月の給料、副業による収入や、食費、水道光熱費、ガソリン代、交際費などの支出のことです。企業経営でいうと、損益計算書に載る項目です。

「ストック項目」は一定時点の残高を表し、「フロー項目」は常に発生しているお金の動きを表しています。

まずはストック項目の管理から

現在何も家計簿管理をされていない方は、まず「ストック項目」の管理から始めてみてください。住宅ローンなどの負債が無く、資産運用もされていない方のケースだと、毎月末の預金残高を記録し、月々の増減を確認するだけで良いです。

前月よりも預金が増えていればその月は黒字だ、減っていれば赤字だと認識するだけで十分です。現在の生活習慣で、お金がどれくらい増えていっているのか、もしくは減っていっているのかを実感できるようになります。

とりあえずこのストック項目の管理を半年間やってみましょう。そして毎月、目標貯蓄額以上に預金残高が増えていっていれば、現在の収入と支出のバランスに大きな問題は無いと言えます。逆に、目標貯蓄額に足りていないとか、むしろ預金残高が減っていっているという方は早めに次のステップに進むことをお勧めします。

ストック項目が把握できたら次はフロー項目

次のステップとしては、「ストック項目」に加えて「フロー項目」の管理をすることです。毎月、食費でいくら、水道光熱費でいくらなど、費目ごとに集計して、毎月の支出額を計算するという管理です。自分が何にいくら使っているかを把握することで、普段の生活習慣を見直すきっかけとすることができます。

後述しますが、この際に管理費目の単位を細かくし過ぎないことがポイントです。

どうやって管理するか?

 年末年始には、新年の家計簿がたくさん書店に並びます。手書きで記入していく形式で、電卓で日毎の支出の合計値を計算して、週単位でも合計値を計算して、月単位でも合計値を計算して、、、と気の遠くなるような作業が必要になります。

一度、紙で家計簿を付けようと思った方でも、この膨大な作業量に疲れ果て、途中で諦めてしまったという方も多いのではないかと思います。

 何が言いたいかというと、家計簿管理を続けるためには、あまり手間の掛からない方法で、かつ厳密にやり過ぎないようにすることが大事ということです。家計簿をつけることを大きな負担と感じるようであれば、絶対に長続きしません。

家計簿管理はExcelがおすすめ

 では具体的にはどのように管理するのが良いかと言いますと、Excelを使って管理する方法をお勧めします。

Excelには便利な関数がたくさんありますので、支出の合計値の計算はSUM関数(※1)、費目ごとの合計値はSUMIF関数(※2)を使えば、一発で合計値を計算できます。また、グラフも簡単に作成できますので、自分の消費活動や家計の採算を視覚的に見ることができます。

(※1)合計値を求める関数

(※2)指定した条件を満たす範囲内の値の合計値を求める関数

管理項目は大きく分ける

また、管理する単位ですが、最初は「どこのお店で買ったか」程度の記録でも十分だと思います。

たとえば、スーパーで買い物をして、野菜、洗剤、お酒を買ったとします。この時、レシートの中身を細かい費目に分けて「食費」、「日用品費」、「お酒代」と分けるとなると、かなり大変です。

まずは大雑把に「スーパー」や「コンビニ」、「外食」、「美容関連」程度の分け方から始めることで十分です。続かないと意味がありませんし、まずは自分がどこでいくら使っているかを「見える化」することが重要です。

そして「何に使っているか」は、それから意識し始めれば良いのです。たとえば、コンビニでの支出が多ければ、普段自分がコンビニで何を買っているのかを考え、無駄なものを買っていないか、もっと安いスーパーは無いかなどを振り返ってみてはいかがでしょうか。

まとめ

家計簿をつける必要性や、何の項目を管理するか、どうやって管理するかについて述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。

まずは大雑把でも良いので、家計簿をつけ始めることが最初の第一歩です。そして家計を「見える化」し、自分の普段の生活を見直すきっかけにすれば、最初の一歩としては大成功です。

記事 安田 亮(公認会計士/税理士)

【過去記事はこちらから】

【税理士コラム】会社員でも節税の余地はまだある?会社員の手軽な節税方法をご紹介!