VIX指数(恐怖指数)は、株式市場の先行きに対する投資家の警戒度を反映する指数です。

VIX指数を参考に投資をすることで、市場の動きを先読みできる場合があります。

この記事では、VIX指数の基本的な内容や特徴などを解説します。

指数の目安やVIX指数に連動したETFも紹介していますので、投資にご活用ください。

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VIX指数とは

VIX指数とは

VIX指数は、アメリカのシカゴ・オプション取引所(CBOE)によって算出・発表されている株価指数のことです。

アメリカの「S&P500」指数のオプション取引の値動きをもとにして計算されています。

ここでは、VIX指数の基本的な情報を確認していきましょう。

株価の変動率の大きさを示した指数

VIX指数とは、株式市場への投資家の心理状態を数値化した指数で「Volatility Index(ボラティリティ・インデックス)」の略です。

S&P500先物オプションの数値をもとに、「株式市場が今後30日でどのように変動すると見込んでいるか」を算出し発表されます。

そもそもボラティリティとは、価格変動の大きさを示す言葉です。

ボラティリティが大きいと、その対象となるものの価格変動が大きい状態だとわかります。

VIX指数は株式市場のボラティリティを予想して動くため、これから株式相場が大きく下落しそうだと市場が判断している場合に数値が高くなり、しばらく安定しそうだと考える投資家が多い場合は数値が低くなります。

日本では「恐怖指数」と呼ばれている

VIX指数は、日本では「恐怖指数」とも呼ばれています。

日本の株式相場を表した指数ではありませんが、米国の株式市場は日本の株式市場にも影響を与えるため、投資する上で重要な判断材料となります。

日本版のVIX指数に当てはまるものは「日経平均VI」です。

本家のVIX指数が参照するのはS&P500ですが、日経平均VIは日経平均株価を参照して、将来1ヶ月間の変動の大きさを表します。

日経平均VIは、日経平均株価が大きく下落するタイミングで上昇しやすく、日経平均株価とは逆の動きをする傾向があります。

出典:株式会社日本取引所グループ「日経平均VI先物」

「Fear & Greed Index」にも注目

投資家の心理を示す指標には「Fear & Greed Index」というものもあります。

直訳すれば恐怖(Fear)と強欲さ(Greed)の指標となり、現在の市場がどちらの心理状態に近いかを数値化した指数です。

Fear & Greed Indexは、株価モメンタムや取引量、高値・安値にタッチした数などの項目がどれだけ平均値から乖離しているかを0〜100で算出します。

「数値が低い=恐怖が勝っている」という状態は、投資家の投げ売りが進んで相場が大きく下落していることを表しています。

一方、「数値が高い=強欲が勝っている」場合は、投資家が利益を求めて買い進むことによって市場に過熱感が生まれている状況です。

多くの投資家はVIX指数だけでなく、Fear & Greed Indexも参考にしつつ、客観的な相場の把握に努めています。

出典:CNN「Fear & Greed Index」

VIX指数の特徴

VIX指数の特徴

世界の経済や情勢と連動する

VIX指数は株式市場の将来に対する投資家心理を反映するため、世界の経済や情勢と連動しやすいという特徴があります。

世界的な経済危機や不況、戦争などでVIX指数は急激に上昇することが多く、その後株式市場は不安定な相場となります。

例えばリーマンショックや新型コロナウイルスの世界的流行、最近ではロシアによるウクライナ侵攻などが、投資家の心理に大きな影響を与えます。

ニュースをチェックしつつVIX指数も合わせて確認すると、「どのようなニュースで相場が動きやすいのか」ということの理解にも繋がるでしょう。

VIX指数が大きく上昇した過去の事例

VIX指数が大きく上昇した過去の事例

2020年のコロナショックでは、VIX指数は80を超えるまで急上昇しました。

過去にVIX指数が大きく変動した代表的なものには以下のようなものがあります。

月日VIX指数過去の事例
2001年9月49.35
アメリカ同時多発テロ
2002年7月48.46
エンロン不正会計事件
2003年3月34.40
イラク戦争勃発
2008年9月42.16
リーマンブラザーズ破綻
2008年10月89.53
リーマンショック
(1993年以降の最高値)
2010年5月48.20
ギリシャを筆頭とする
PIIGSの国債懸念
2011年8月47.56
S&Pが米国債を格下げ
2011年10月46.88
ギリシャ国債のデフォルト危機
2015年8月53.29
中国経済失速懸念
2020年3月85.47
コロナショック

2008年のリーマンショック時にはVIX指数が大きく跳ね上がっていることが分かります。

その後、新型コロナウイルスの世界的流行が始まった2020年3月にも急上昇しています。

このように、世界的な経済危機や事件が起こった際にVIX指数が大きく上昇する傾向にあるということを把握しておきましょう。

VIX指数の目安

VIX指数の目安

VIX指数は常に変動しており、その数値によって市場の状況を判断する大切な指標となります。

「数値がどれくらいになったら警戒すべきか」という目安を把握しておくことで、VIX指数をより上手く活用できます。

ここではVIX指数によって市場を判断する際の目安となる値を紹介します。

〜20までは安定した相場

VIX指数が20を超えていない時は、比較的安定した値動きをします。

急激に株式市場が動く可能性は低く、緩やかな値動きの正常な取引が期待できる相場です。

ただし、個別銘柄がなにかの事象で大きく値動きする可能性は十分にあります。

企業の決算発表の数字が悪かったり悪いニュースが出た際は、市場全体には影響を与えないものの個別銘柄だけ急激に下落するケースは少なくありません。

VIX指数はあくまでも株式市場全体のリスクを示しているということを把握しておきましょう。

30前後は市場の動きに警戒が必要

VIX指数が30前後まで上昇してくると、株式市場の動きに警戒する必要が出てきます。

例えば、2022年3月1日時点でVIX指数は30前後となっており、アメリカを始めとした世界の株式市場は不安定な相場となりました。

過去には「リーマンショック」や「コロナショック」の前後もVIX指数が30を超えており、株式市場は大幅に下落しました。

もし20前後で推移していたVIX指数が上昇して30付近になったら、無理に売買するのは控えた方が賢明かもしれません。

40が近くなるとパニック相場

VIX指数が40を超える場合は市場がパニックになっており、下落した株が投げ売りされているような状況です。

非常に先が見通しづらい相場となるので、短期的な利益を狙いに行くのは避けることをおすすめします。

例えばリーマンショックではVIX指数が90を超え、コロナショックのピーク時にも80を超えました。

アメリカのS&P500指数を見ると、どちらも1ヶ月で最大30%ほどの下落幅となっており、多くの投資家が株式市場から資金を引き上げる事態となりました。

ただ、いずれの場合も中長期的にはVIX指数20前後に戻り、安定した相場になっています。

短期的なパニック相場に慌てるのではなく、冷静に状況を見て中長期目線の投資を心掛けると良いでしょう。

VIX指数に投資するメリット

VIX指数に投資するメリット

金融商品の中には、VIX指数に連動して価格が動くETFや投資信託も存在します。

これらの商品に投資するメリットを確認していきましょう。

下落相場で利益を得られる

VIX指数に連動したETFや投資信託に投資をすると、VIXの値動きに応じてリターンを得ることが可能です。

VIX指数は、市場が不安定になるほど数値が大きくなっていきます。

そのため、相場の下落が続いているタイミングや、今後下落が予想されるタイミングでVIX指数に投資をすれば、株式市場全体が下落している中でも利益を上げられます。

株式の値下がりを利用するという点では空売りに近いイメージですが、空売りと異なるのは対象が市場全体という点です。

経済ニュースやマクロ経済の動向をしっかりチェックしておけば、ある程度相場の大きな流れを掴みやすくなるでしょう。

資産のリスクヘッジに繋がる

VIX指数への投資は、相場の下落時に利益を得られるという特徴があります。

自分のポートフォリオにVIX指数に連動する商品を組み込んでおくと、相場が急落した際のリスクヘッジになります。

他の保有銘柄が下落したとしても、VIX指数に連動する商品がプラスとなれば、損益を相殺できるためです。

悪い経済指標が発表されそうな場面や、中央銀行のメンバーから株式市場にネガティブな影響を与えそうな意見が出たときのためにポートフォリオの一部に組み入れておけば、資産全体の損失を和らげられるでしょう。

VIX指数に投資するデメリット

VIX指数に投資するデメリット

上昇局面では損失になる

VIX指数は、相場が堅調に推移している場面や懸念材料がない場面だと数値が下落します。

そのため株式市場全体が上昇している局面では、VIX指数に連動する金融商品は損失が出やすくなります。

通常の株式のように長期保有するのではなく、市場がこれから下落しそうなタイミングや不安定なタイミングで、スポット的に購入すると良いでしょう。

上級者向けのベア型商品

投資信託やETFなどの指数を参照する金融商品には、ブル型とベア型のものがあります。

ブル型は指数(株価)が上昇しているとき、ベア型は指数(株価)が下落しているときに利益を得られるように設計された商品です。

ブル(Bull)は、雄牛が角を突き上げる仕草から強気相場を表し、ベア(Bear)は熊が手を振り下ろす様子から弱気相場を表しています。

VIX指数に連動する金融商品は、相場の下落に連動して価格が上がるベア型の商品です。

ベア型の商品は、投資タイミングを間違えるとあっという間に大きな損失が生じてしまうため、市場の動きをある程度予測できる上級者向けの金融商品だといえます。

中でもVIX指数は、投資家の心理状態に合わせて敏感に上下する指数であるため、投資経験が浅いうちはあまりおすすめできません。

VIX指数に連動したETF・ETN

VIX指数に連動したETF・ETN

代表的なVIX指数に連動した投資商品には、「投資信託」と「ETF・ETN」があります。

リアルタイムで売買できるという点で考えると、ETF・ETNに興味ある方が多いのではないでしょうか。

ここでVIX指数に連動したおすすめのETF・ETN3商品について紹介します。

  • iPath Series B S&P 500 VIX Short(VXX)
  • 国際のETF VIX短期先物指数(1552)
  • NEXT NOTES 日経平均VI先物指数 ETN(2035)

実際に投資する際の参考にしてください。

iPath Series B S&P 500 VIX Short(VXX)

「iPath Series B S&P500 VIX Short(VXX)」は、イギリスの金融機関バークレイズが発行するETN(指数連動証券)です。

ETNは、ETFと同じように特定の指数に連動する商品ですが、裏付けとなる資産がないことが特徴となっています。

例えば、ETFの場合は対象となる資産を買い付けて運用するのに対して、ETNは対象資産の値動きに連動した証券を発行するだけです。

ETNを発行している金融機関が倒産した場合は、商品の価値がなくなる可能性もある点がETFと違う点です。

VXXで投資をする場合は、発行体の信用リスクにも注意しておきましょう。

iPath Series B S&P 500 VIX Shortの詳細

国際のETF VIX短期先物指数(1552)

「国際のETF VIX短期先物指数(1552)」は、三菱UFJ国際投信株式会社が運用するETFです。

円に換算したS&P500 VIX短期先物指数に連動するような運用を目指しています。

ただし、2024年2月に上場廃止・信託終了が決定していることに注意が必要です。

国際のETF VIX短期先物指数の詳細

NEXT NOTES 日経平均VI先物指数 ETN(2035)

「NEXT NOTES 日経平均VI先物指数ETN(2035)」は、ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンス・エヌ・ブイが発行するETNです。

上記2つとは違い、日経平均ボラティリティー・インデックス指数に連動する商品となっています。

VXXと同じくETNであるため、発行体の信用リスクがある点には注意が必要です。

NEXT NOTES 日経平均VI先物指数 ETNの詳細

まとめ:VIX指数を参考に市場の動きを予測しよう

VIX指数を参考に市場の動きを予測しよう

今回はVIX指数(恐怖指数)について解説しました。

VIX指数は、投資家の株式相場への不安を反映した指数であるため、上手く活用することで今後の市場の動きを先読みすることも可能です。

日頃からニュースとVIX指数をチェックして、市場の予測をしながら投資をしていきましょう。

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