皆さんのなかで多くの方が納税しているのが所得税です。

ただし、その所得税の仕組みや節税につながる所得控除などに関して、しっかりと把握できているでしょうか。これらのことを知っていれば支払う税金も抑えられる場合があります。

そこで今回は所得税の基本的な仕組みや所得控除などについて分かりやすく解説していきます。

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所得税の税率

まずは日本の税率がどういった仕組みなのか解説していきます。

日本は超過累進課税方式

日本では「超過累進税率」といって、所得が多い方ほど課せられる所得税率が段階的に高くなるという、納税者の支払い能力によって公平な税負担となる仕組みをとっています。相続税などもこの方式をとっています。

一方で、株式や投資信託の譲渡益などには一律20.315%の税が課せられたり(分離課税方式)、市町村民税、いわゆる住民税は超過累進税率が廃止され、一律10%の固定税率となっていたりします。このように税金の種類によって課税される方式が異なってきます。

税率は課税所得額によって5%~45%

そして所得税の税率は、課税所得金額によって以下のように5%から45%の7段階に区分されています。

課税される所得金額別の税率

  • 195万円以下が所得税5%
  • 195万円を超え330万円以下が所得税10%
  • 330万円を超え695万円以下が所得税20%
  • 695万円を超え900万円以下が所得税23%
  • 900万円を超え1,800万円以下が所得税33%
  • 1,800万円を超え4,000万円以下が所得税40%
  • 4,000万円超が所得税45%となっています。

出典:No.2260 所得税の税率|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

このように、日本では所得税に関しては、所得が高くなるとそれに応じて段階的に所得税率が高くなる超過累進税率方式を採用し、税負担の公平性を高めています。

税率をかけるのは所得控除を差し引いた後

所得税額を求める際には、所得金額から所得控除を差し引いた課税所得金額に所得税率をかけます。この所得控除は、納税者の支払い能力を考慮して、納税者間の公平性を高める仕組みとなっています。 

例えば、病気やケガにより医療費を多く支払った場合、病気にかかっていない方より税の支払い能力が低下するため、納税者の支払い能力を考慮したうえで、医療費控除というものが設けられています。

それから、納税者本人が障害を抱えていたり、控除対象となる扶養親族がいたりする場合、それぞれ障害者控除や扶養控除といった所得控除も受けられます。所得控除に関しては後ほど詳しく解説します。

所得税の計算方法

ここからは具体的な所得税の計算方法を解説していきます。

所得税の計算式

所得税の計算式は下記の通りです。

収入金額-収入から差し引かれる金額(必要経費や給与所得控除など)=所得金額

所得金額-所得控除額=課税所得金額

課税所得金額×所得税の税率=所得税額

所得税額-所得税額から差し引かれる金額(配当控除など)=基準所得税額

基準所得税額×2.1%=復興特別所得税

基準所得税額×2.1%-復興特別所得税額-所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の所得税額+復興特別所得税額-源泉徴収税額など=所得税及び復興特別所得税の申告納税額

このように、皆さんが受取る収入から配偶者控除、基礎控除、生命保険料控除などを順々に引き、所得税率をかけることによって所得税を計算することができます。なお、所得税の計算をご自身で手書きにより行うのは煩雑な作業だと思われます。

そこで、確定申告の際は国税庁ホームページにある、確定申告書等作成コーナーで作成するのがおすすめです。インターネットにつながる環境があれば、わざわざ外出せず自宅で確定申告ができますので、時間効率もよいかと思います。また必要項目に入力すると、税金額を自動的に計算してくれるため、計算の手間が省け、ミスの削減につながります。

出典:所得税のしくみ|国税庁
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_1.htm

年収と所得の違い

普段から何気なく使っている年収と所得という言葉。実はこの2つは厳密には異なるものなのです。年収とは源泉徴収前の給与や賞与のことで、所得はそこから給与所得控除を差し引いた金額となります。

そして所得税額は、この所得から所得控除を差し引いた金額に、所得に応じた所得税率をかけることにより計算されます。そのため節税対策としては、収入の段階では税率を引き下げる工夫を、そして所得の段階では所得控除や税額控除などを活用することが大切となります。

所得控除の種類

所得控除には、以下の通り14種類あります。

雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄付金控除、障害者控除、寡婦(夫)控除、勤労学生控除、扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除、基礎控除となっています。

出典:「所得から差し引かれる金額」(所得控除)|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_04.htm

次の項目で詳しく解説します。

所得税に使える控除の種類

ここからは所得税を求める際に差し引くことのできる控除について解説していきます。

所得控除の種類

まずは、14種類ある所得控除がそれぞれどのようなものかお伝えします。それぞれの控除をしっかり把握することで、ご自身のケースが該当するか検討し、節税につなげていきましょう。

1つ目は雑損控除です。こちらは、災害や盗難、もしくは横領によって資産に損害を被った時に受けられる所得控除です。

2つ目の医療費控除は、医療費が保険金などで補填される金額を除き、年間10万円を超えた方が対象です。医療費控除の対象となるのは、納税者本人と生計を一にする配偶者やその他親族も含まれます。ただし、美容や健康診断などの病気に関する支出でない場合は、この医療費控除の対象とはなりません。

なおその年に支払った医療費が10万円以下の場合でも、平成29年1月から「セルフメディケーション税制」が導入され、一定の健康診断や予防接種などを行っているときには、その年中の指定医薬品などの購入費用が、1万2千円を超える部分の金額(8万8千円を限度)を控除額とすることができます。ご自身のケースがどちらかに該当するか否か確認してみてください。

3つ目の社会保険料控除は、健康保険や国民健康保険、介護保険、雇用保険などで、会社員の方は毎月の給与などから天引きされています。自営業は年末調整がありませんので、ご自身が支払った国民健康保険などを社会保険料控除として所得から差し引くことができます。

4つ目の小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済等の掛金を支払った方が対象です。掛金は全額控除できます。特に、2017年から原則60歳未満のすべての方が加入できるようになった確定拠出年金(iDeCo)を活用して拠出している場合、この小規模企業共済等掛金控除の対象となりますのでしっかりと控除申請をしましょう。

5つ目は皆さんにとっても比較的馴染みのある生命保険料控除です。注意すべき点は、契約を締結したのが平成24年1月以降(新契約)か、もしくは平成23年12月31日以前(旧契約)かによって、生命保険料控除の計算が変わってきます。

そして新契約の生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除それぞれ4万円、旧契約の生命保険料控除と個人年金保険料控除がそれぞれ5万円となり、新旧の契約を合わせ適用限度額は12万円となりますので、こちらもご自身の契約締結日などをしっかり確認しましょう。

6つ目の地震保険料控除に関しては、その名の通り地震にかかる保険料を支払った場合に、一定の所得控除を受けることができます。年間の支払い保険料が5万円以下の控除額は支払金額全額、5万円以上の場合は控除額5万円となります。また、税制改正により平成19年分から損害保険料控除が廃止されましたのでご注意ください。

7つ目の寄付金控除もその名の通り、国や地方公共団体などに寄付をした場合に受けられる所得控除です。ふるさと納税が該当します。

8つ目の障害者控除は、本人に加え同一生計配偶者や扶養親族が障害者に該当した場合、所得控除を受けることができます。

9つ目の寡婦(夫)控除は、納税者本人が寡婦であるときに、受けられる所得控除です。

そして10個目が勤労学生控除です。こちらは一定の所得制限の範囲内で、働きながら学校へ通う方が対象です。

11個目の扶養控除は納税者本人に控除対象となる扶養親族がいる場合に、所得控除を受けられます。

12個目の配偶者控除は、年間所得金額が38万円以下の配偶者がいる場合に受けられる控除です。

また、70歳以上の高齢者を扶養している場合には、平成30年以後、納税者本人の所得金額や控除対象配偶者の年齢により、居住者の所得金額が900万円以下のときは、控除額が48万円(一般の配偶者控除は38万円)、900万円超950万円以下の場合は32万円(一般の控除額は26万円)、950万円超1,000万円以下の場合は16万円(一般の控除額は13万円)と控除額が増額となる特例が設けられています。

13個目の配偶者特別控除は、年間所得金額が38万円を超え76万円未満の配偶者がいる方の場合に受けられる控除です。

最後の14個目の基礎控除は、所得のある人はすべて対象となり、控除額は一律38万円となります。なお、日本国内に住所などがない場合、いわゆる非居住者扱いとなり、その際は雑損控除と寄付金控除、基礎控除の3つが対象となります。

皆さんも所得税の計算をする際は、ご自身がこれら14種類の所得控除のいずれかに該当する場合、節税につなげることができますので、確定申告等の時期はしっかり確認しましょう。

所得控除と税額控除の違い

所得税額を求める際に控除できるものは所得控除だけでなく税額控除もあります。まず、所得から所得控除を差し引き算出された課税所得金額に所得税率をかけて所得税を出します。そして、その税額から税額控除がある場合、さらに差し引くことができます。

つまり、所得控除は節税にはなりますが、そのまま税金額が減少するわけではないのに対し、税額控除は税金額がそのまま減少するため節税の効果も大きいといえます。

この税額控除には住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン控除)や住宅耐震改修特別控除、配当控除、政党等寄付金特別控除、公益社団法人等寄付金特別控除などが挙げられます。

復興特別所得税率

平成25年から平成49年までの間は、「復興特別所得税(2.1%)」が所得税と併せて徴収されています。

これは、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために、必要財源を確保する目的で設けられた税徴収となります。

所得税で損をしないボーダーラインは?

ここからは、少しでも所得税を抑え節税するためのポイントをご紹介します。

所得額が控除金額の範囲内なら所得税はかからない

所得が控除の範囲内であれば所得税はかかりません。例えば配偶者のパート収入が103万円以下であれば所得税は課せられません。

これは給与所得控除の最低額65万円と基礎控除38万円を足すと103万円となり、パート収入以外に所得がなければ、所得税はかからないことになります。

そのため、この103万円を超えない程度にパート収入を得れば、所得税を課せられずに家計を助けられることにつながります。

1万円違うだけで税率が倍になる場合がある

日本の所得税の税率は超過累進税率を採用しているとお伝えしました。

そこで所得税の税率をみると、課税される所得金額が195万円以下で所得税5%であるのに対し、195万円を超え330万円以下の場合、所得税はその倍の10%となります。

つまり所得が1万円違うと税率が倍になってしまいます。これはその次の330万円を超え695万円以下の場合も同様で、所得税がさらに倍の20%です。

つまり、所得税率が変わるボーダー付近の課税所得金額の人は、たとえ1万円でも所得がボーダーを超えると、超えた分の所得については高い税率での計算となるため、高い税金を納めることにつながります。ご自身がどのあたりの所得水準であるか一度確認してみてください。

賢く節税対策をして税率を下げよう

これまでお伝えした所得控除や税額控除でしっかりと節税対策をすることに加え、ご自身の所得水準をチェックし、うまく税率を引き下げることにより、さらに納める税金を抑えていきましょう。

まとめ

最後となりますが、今回は皆さんが納めるべき所得税の税率や、課税される額を求める際に差し引くことができる所得控除などに関して解説してきました。

所得税の仕組みや、そこから控除されるものなどをしっかり把握することにより、皆さんの節税に活用していきましょう。

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