家族の生活を考える際は、家族それぞれの収入の合計である世帯年収がポイントになります。

日々の生活だけではなく、子どもの教育費や老後資金などのライフプランに必要な資金を計画する上でも世帯年収を把握することは重要です。

自身の世帯収入が平均と比較して多いのか・少ないのか疑問に思う方もいるかもしれません。

この記事では、日本の世帯年収の平均について共働きや年代別などさまざまな角度から解説します。

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世帯年収とは

世帯年収とは

世帯年収とは、同一の生計で暮らす家族それぞれの年収を合計した額です。

たとえ別居していても、生活費や学費、療養費などを常に送金しているケースでは、同一の生計で暮らしている扱いになります。

例えば、大学生の子どもが1人暮らしをしていても、実家に仕送りをしている場合、子どもの収入は世帯年収の加算対象です。

世帯年収600万円の家族では、以下のようなパターンが考えられます。

  世帯主の年収 配偶者の年収 子どもの年収
世帯主のみ収入がある場合 600万円 0円 0円
世帯主と配偶者の共働きの場合 300万円 300万円 0円
世帯全員に収入がある場合 400万円 150万円 50万円

上記のように、家族の誰がいくら稼いでいるかに関わらず、同一の生計で暮らす家族の年収の合計が世帯年収となります。

世帯年収は税金や社会保険料が差し引かれる前の額面の金額で、月収だけではなくボーナスも含まれます。

参考:国税庁「生計を一にする」

日本全体の世帯年収平均と中央値

日本の世帯年収平均と中央値

世帯年収の「平均値」と「中央値」を紹介します。

「平均値」は全てのデータを合計し、そのデータの数で割った数値です。

例えば、300万円、500万円、1,000万円の3人の平均年収は600万円となり、以下の計算式で求められます。

  • (300万 + 500万 + 10,00万)/ 3 = 600万円

「中央値」はデータを小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中にある数字を指します。

上記3人の年収の例で言えば、500万円が中央値になります。

極端に大きい数字や小さい数字が含まれた際は、平均値と中央値の差が大きくなりやすいです。

世帯年収の平均は564.3万円

厚生労働省の「2021年国民生活基礎調査」によると、2020年の1世帯あたり平均所得金額は564.3万円でした。

この平均所得金額564.3万円は、雇用形態や年代など全てを含めた平均値です。

平均値は、極端に高い数字の影響を受けると底上げされてしまう性質があるため、564.3万円という数字が高いと思う方もいるかもしれません。

日本は長らく年功序列の人事制度が採用されているため、20代と50代の年収を比較すると、50代の方が年収が高い傾向にあります。

そのため、高年収世帯が影響し平均値が押し上げられていることが考えられます。

年代別の世帯年収の平均も後述するので確認してください。

出典:厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況 」

世帯年収の中央値は440万円

厚生労働省の同調査によると、世帯年収の中央値は440万円でした。

平均の564.3万円とは約124万円の差があり、世帯年収の平均は高年収世帯に引き上げられているといえるでしょう。

年代別の世帯年収平均

年代別の世帯年収平均

年代別の世帯年収の平均を紹介します。

雇用形態や勤め先の業界などによって収入に差はあるものの、年代別の平均であるためより具体的な数値になっています。

世帯主の年齢 平均世帯年収
29歳以下 433.1万円
30〜39歳 636.3万円
40〜49歳 721.2万円
50〜59歳 782.7万円
60〜69歳 578.8万円
70歳以上 418.8万円

世帯主の年齢別の平均世帯年収を見ると、20代から50代までは世帯年収が緩やかに上昇していることがわかります。

60代以降は徐々に退職する人が増えていき、主な収入源が公的年金となるため、世帯年収が減少していると考えられます。

出典:厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」

20代の平均世帯年収

20代の平均世帯年収は433.1万円です。

データが「29歳以下」となっているため、世帯主の年齢が10代の世帯も含まれています。

他の年代と比較して世帯年収の平均が最も低い理由として、20代は就職したばかりということが考えられます。

国税庁の民間給与実態統計調査によると、20〜24歳の平均給与は269万円、25〜29歳の平均給与は371万円となっており、20代の中でも平均給与に100万円以上の差があるようです。

就職したばかりの20代前半は、平均世帯年収が低い傾向にあるでしょう。

出典:国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」

30代の平均世帯年収

30代の平均世帯年収は636.3万円で、20代と比較すると約200万円の増加です。

30代になると勤続年数が増え、実績を積んで昇給・昇進したり、転職して給与が上がったりする人が増える傾向にあります。

世帯年収は各世帯の働いている人数によっても変動するため、30代で結婚し、共働きにより平均世帯年収が一気に高くなっていると考えられます。

一方で、収入が増えるものの、結婚や子育て、住宅購入など、お金がかかるライフイベントが重なる時期でもあるため、資産管理には注意が必要です。

40代の平均世帯年収

40代の平均世帯年収は721.2万円です。

30代よりも世帯収入は増えていますが、子どもが成長して教育費がかかったり、住宅ローンの返済中であったりと支出が増える時期でもあります。

加えて、老後資金の準備も考え始めたい時期です。

30代から40代になって、収入の増加よりも支出の増加が気になる方もいるでしょう。

支出の増加による家計の負担が大きい場合、無駄な支出がないかを調べて、支出を減らす工夫が必要になってきます。

支出を可視化するために家計簿アプリを駆使すると、収入と支出を簡単に可視化できるためおすすめです。

50代の平均世帯年収

50代の平均世帯収入は782. 7万円です。

会社員の中には役職に就く方も増え、世帯年収が高くなる年代だといえるでしょう。

子どもが独立すると、支出が減って家計に余裕が生まれます。

住宅ローンの繰り上げ返済や老後資金の形成、もしくは趣味や旅行など、夫婦のために使えるお金が増えます。

来たる60代以降の退職後は主な収入が公的年金となり、収入が大幅に減少してしまう可能性があるため、50代から老後生活を見据えたお金の使い方を考えていきましょう。

共働き世帯の平均年収

共働き世帯の平均年収

厚生労働省がまとめた2021年の調査によると、共働き世帯の平均世帯年収は820.2万円でした。

世帯年収の平均564.3万円と比較すると、共働き夫婦の平均世帯年収の方が高いことがわかります。

共働き世帯の場合、世帯収入が増えて経済的に余裕は生まれます。

どちらかが失業し、収入がなくなった場合のリスク分散ができる点もメリットといえるでしょう。

共働き世帯は年々増えており、令和3年時点で1,177世帯となっています。

これは、男性雇用者と専業主婦からなる世帯458組と比較すると、2.5倍以上になります。

出典:政府統計の総合窓口「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 年次 2021年」
出典:内閣府男女共同参画局「令和4年版男女共同参画白書」

子育て世帯の平均年収

子育て世帯の平均年収

子育て世帯の世帯年収の平均は813.5万円でした。

平均世帯年収の564.3万円と比較すると約250万円多いですが、子どもの養育費がかかるため、余裕のある生活を送れるとはいえないかもしれません。

同調査にて「生活意識の状況」の調査結果を見ると、子育て世帯の59.2%が「苦しい」と回答しています。

生活意識において「ゆとりがある」と回答している割合が4.2%であることからも、子育て世帯が余裕がある生活を送れているとは言い難い状況が伺えます。

出典:厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況 1 年次別の所得の状況」

高齢者世帯の平均年収

高齢者世帯の平均年収

高齢者世帯の平均世帯年収は332.9万円です。

高齢者世帯とは、65歳以上のみで構成されている世帯や65歳以上の人と18未満の未婚の人が加わった世帯を指します。

高齢者世帯の主な収入源は公的年金となります。

「令和3年度 国民年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢厚生年金の受給額の月額平均は約14.4万円、老齢基礎年金の月額平均は約5.6万円でした。

この金額は平均であり、世帯によっては公的年金だけでは生活が厳しい可能性が十分に考えられます。

30代、40代のうちから老後資金を意識して準備することで、老後までの時間を味方につけた準備ができます。

老後資金の不安が少しでもある場合は、少しでも早くから準備を始めていくとよいでしょう。

参考:厚生労働省「用語の説明
参考:厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

世帯年収を上げる方法

世帯年収を上げる方法

働く人数を増やす

世帯年収は家族の収入を合計した額となるため、世帯で働く人数を増やすことができると世帯年収が上がります。

国税庁の民間給与実態統計調査によると、20〜24歳の平均給与は男性が287万円、女性が249万円でした。

仮に、20代前半の共働き世帯でそれぞれ平均額程度まで年収があれば、世帯年収は536万円となり、29歳以下の平均世帯年収の433.1万円を上回ります。

配偶者がパートやアルバイト、在宅ワークなどで月数万円の収入を作ることで世帯年収は底上げされるので、可能であれば世帯内で働く人数を増やしてみましょう。

ただし、時短勤務で働く場合は配偶者控除の範囲を超えないように注意が必要です。

参考:国税庁「民間給与実態統計調査」

昇給・昇格を目指す

現在の職場で昇給・昇格して収入が上がると、世帯年収を上げることになります。

昇給・昇格の条件は勤務先によって異なるため、まずは評価項目を確認しましょう。

評価項目がわかれば今の自分に足りないものがわかり、これからすべきことが明確になっていきます。

勤務先に資格手当がある場合は、該当する資格の取得を目指してもいいかもしれません。

副業する

本業とは別に副業を始めて収入源を増やすことで世帯年収が上がります。

副業のメリットは、本業に活かせるスキルや経験を得られる点や、本業の収入が減ったときのリスクヘッジとなり得る点です。

ただし、就業規則で副業を禁止している会社もあるため、始める前に会社の規定をしっかりと確認しましょう。

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転職をする

世帯年収を上げるために、転職して収入を上げる手段もあります。

収入は本人の能力や実績だけではなく、勤務先によっても変わります。

自身のスキルや実績を高く評価してくれる会社への転職は世帯年収を上げるポイントです。

スキルや実績を活かして、転職も視野に入れてみてください。

資産運用をする

資産運用をしてお金にも働いてもらうことで、世帯年収を増やせるかもしれません。

現在の日本は低金利なため、銀行への貯金だけでお金を増やすのは難しいです。

資産運用を始めるためには、必ずしも大金が必要ではありません。

投資にはリターンが不確実というリスクがあり、必ずしも利益になるとは限りません。

多くのお金を運用すると大きなリターンが期待できますが、同時にお金を大きく減らしてしまうリスクも抱えてしまいます。

資産運用を始める際は、国が用意している制度を利用し、まずは少額から資産運用を始めてみてください。

積立NISA

積立NISAは、運用期間中に発生した利益に対して税金がかからない制度です。

運用期間は最大20年間で、年間の非課税枠は40万円(毎月一定額を積み立てる場合は33,333円)となっています。

積立NISAで投資可能な金融商品は、長期・積立・分散投資に適していると金融庁(国)が判断した銘柄になるため、初心者でも利用しやすい仕組みになっています。

一度積立設定すると毎月自動で積立されるため、投資に時間を使えない人でも続けやすい点もメリットです。

iDeCo(イデコ)

老後資金を準備したいと考えている人にはiDeCoがおすすめです。

iDeCoは個人で運用する年金制度で、「個人型確定拠出年金」と呼ばれています。

毎月5,000円から、1,000円単位で金額を指定でき、会社員であれば最大で毎月23,000円まで積み立てられます。

iDeCoのメリットは毎月の掛金が全額所得控除されることや、利益に対して税金がかからないこと、また受取時にも控除が受けられる点です。

デメリットは、iDeCoで運用している資金は原則60歳まで引き出せない点です。

運用している資金は、老後にしか使えないため注意しましょう。

まとめ:世帯年収は年代・構成により異なる

世帯年収は年代・構成により異なる

日本の世帯年収の平均値は564.3万円ですが、家族構成や夫婦の働き方、年代などによって大きく異なります。

年代別の傾向を見ると、世帯年収は50代までは緩やかに上昇しています。

勤務先や働き方にもよりますが、年功序列の人事制度であれば徐々に年収が増えていくでしょう。

世帯年収を増やしたい場合は、転職したり、副業や資産運用を始めたりすることも視野に入れることがおすすめです。

今の生活に無理のない範囲で、できることから挑戦してみてください。

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