シクリカル銘柄とディフェンシブ銘柄の違いを解説
景気動向に影響を受けやすい銘柄を「シクリカル銘柄」、受けにくい銘柄を「ディフェンシブ銘柄」といいます。
今回の記事では、シクリカル銘柄とディフェンシブ銘柄の違いと、それぞれの特徴について解説します。
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シクリカル銘柄とは
シクリカル(Cyclical)とは、「周期的な」という意味です。
そしてシクリカル銘柄とは、景気の変動によって業績が左右される銘柄であり、「景気循環株」「景気敏感株」とも呼ばれます。
シクリカル銘柄は、景気との連動性が高い傾向にあります。景気には、以下の4つのサイクルがあります。
回復→拡大→後退→悪化
シクリカル銘柄は、景気動向に大きな影響を受けます。そして、日本を代表する株価指数である「日経平均株価」と連動性が高いのも特徴です。
シクリカル銘柄は、景気拡大局面で大きな利益を狙えます。ただし、景気後退局面や景気悪化場面で株価は大きく下がるので、ハイリスク・ハイリターンの投資になります。
シクリカル銘柄の例
東京証券取引所では、東証1部銘柄を33業種に分類しています。そしてシクリカル銘柄には、以下のような業種が当てはまります。
電気機器
日立(6501)、パナソニック(6752)、ソニー(6758)
輸送用機器
デンソー(6902)、トヨタ自動車(7203)、スズキ(7269)
鉄鋼
神戸製鋼所(5406)、JFEホールディングス(5411)
化学
クラレ(3405)、住友化学(4005)、三井化学(4183)
非鉄金属
三井金属(5706)、三菱マテリアル(5711)、住友鉱山(5713)
シクリカル銘柄の特徴
シクリカル銘柄は、好景気で株価が大きく上昇します。景気回復期では、業績が悪くても今後の景気回復を見越して株価は上昇し、業績が改善したときには株価が2~3倍になっていることも珍しくありません。
シクリカル銘柄は個別銘柄の分析も大切ですが、景気判断も重要です。景気を判断する指標として、「GDP」があります。
GDPは”Gross Domestic Product”の略で、日本語では「国内総生産」といいます。GDPは国内で生産されたモノやサービスの総額で、経済の規模を表すモノサシなのです。
GDPは1年ごとの数値のほかに、3カ月(四半期)ごとの速報値があります。多くの経済予測期間からの予測値も発表され、国の経済の見通しを測る目安として利用されているのです。
GDPは、内閣府のサイトで確認できます。
2020年2月に内閣府が発表した2019年10~12月のGDP速報値は、物価の影響を考慮した季節調整済みの実質GDPで6.3%のマイナスというショッキングな内容になりました。
これは消費税増税の影響です。前回、2014年4月の増税の際にも、年率換算で7.4%のマイナスに転じています。
さらに、2020年1~3月期のGDPも、コロナショックによりマイナス成長の可能性が高いでしょう。
2四半期連続のマイナス成長となれば、国際的には「テクニカル・リセッション(技術的な景気後退)」と定義されます。
シクリカル銘柄は、景気が悪化すると大きく売られる傾向があります。実際、景気悪化が顕著になっているので、日本の株価も2~3月にかけて大きく下落しました。
とくに、景気動向に敏感なシクリカル銘柄は下げが目立ちます。今後のシクリカル銘柄の株価動向は、4月以降のGDPが回復するかどうかにかかっています。
ディフェンシブ銘柄とは
ディフェンシブ(Defensive)とは「守備的な」「守りに強い」といった意味があります。
つまり、ディフェンシブ銘柄とは、景気が悪いときでも業績が安定しており、守りに強い銘柄という意味があるのです。
食料品や公共インフラ、医薬品や通信といった生活必需品が代表的です。
ディフェンシブ銘柄の特徴
配当利回りが高い
ディフェンシブ銘柄は、配当利回りの高い銘柄が多いという特徴があります。
なぜなら、成熟した大企業が多いからです。成熟期に入った企業は、ベンチャー企業のような高い成長率を期待できないため、株主還元策として利益の一部を株主に配当する傾向があります。
2020年3月時点の東証1部の平均配当利回りは2.41%で、ディフェンシブ銘柄の配当利回りは高水準であるといえるでしょう。
また、ディフェンシブ銘柄は生活必需品を提供している企業が多いので、業績は安定しています。
しかし、短期間で株価が急騰する可能性は低いので、株の値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う投資手法には適していません。
下落相場に強い
食料品や医療、ガス・電気など生活必需品が多いので、景気が悪くなっても業績はあまり悪化しません。
ですから下落相場になっても、シクリカル銘柄のように株価の大きな下げは起こりにくいという特徴があります。
景気後退から悪化局面では、業績が安定しているディフェンシブ銘柄のパフォーマンスが、シクリカル銘柄を上回る傾向にあるのです。
しかし、ディフェンシブ銘柄でも株価が下落することもあります。複数の銘柄に分散するなどして、リスクを軽減させるようにしましょう。
シクリカル銘柄とディフェンシブ銘柄をベータ値で判断する
シクリカル銘柄は景気動向の影響が大きく、日経平均株価との連動性が高いという特徴があります。
日経平均株価との連動性を測る指標として、「ベータ値」があります。
ベータ値が1に近い、もしくは超えている銘柄はシクリカル銘柄。
ベータ値が低い、もしくはマイナスの銘柄は、ディフェンシブ銘柄と判断できるのです。
ベータ値が1だと、日経平均株価とまったく同じ動きをします。
つまり、日経平均株価が1%下落すると、その銘柄も1%下落するのです。
ベータ値が0.5の銘柄を保有していれば、日経平均株価が1%下落しても0.5%しか下落しないため、ディフェンシブ力が高い銘柄と判断できます。
また、ベータ値がマイナスの銘柄もあります。日経平均株価が1%下落すると、ベータ値がマイナス1の銘柄は1%上昇するのです。
ベータ値がマイナスを保有しておけば、日経平均株価が下落する局面でも利益が出る可能性があります。
ベータ値は「「MSNマネー」」で確認できます。
ソニーの例
たとえばソニー(6758)のベータ値は1.12なので、日経平均株価が1%上昇すると1.12%上昇します。
ベータ値が1を超えているので、シクリカル銘柄と判断できます。
ただし、ベータ値は過去の値動きから算出される指数なので、今後も同じ値が保証されるわけではありません。
また、2008年のリーマンショックや、2020年のコロナショックのような暴落相場では、ベータ値がマイナスや低い銘柄でも株価が大きく下落するときがあるので注意してください。
まとめ
景気の影響で業績が大きく動くのがシクリカル銘柄、影響を受けにくいのがディフェンシブ銘柄です。
シクリカル銘柄は、景気動向で株価が大きく動くので、GDPなどの経済統計で景気判断することが大切。
短期間で大きく稼げる可能性もありますが、その分リスクも高いので注意してください。
一方のディフェンシブ銘柄は業績が安定していて、景気動向に影響を受けにくい銘柄です。
そして、成熟産業の大企業が多く、配当利回りが高いという特徴があります。
配当をもらいながら、長期保有するのに向いています。
ただし、ディフェンシブ銘柄でも株価が下落する可能性はあります。
1つの銘柄に集中投資するのではなく、複数の銘柄に分散するなどしてリスクを軽減させるようにしましょう。
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記事監修者
マネカツ編集部
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