「株式市場は弱気相場になった」「強気相場が続いています」といった解説をニュースなどでよく目にしますが、どういった意味なのでしょうか。

投資するときは、現在の相場環境が弱気なのか、強気なのかを見極める必要があります

今回は、強気相場と弱気相場の定義と、2020年のコロナショックの相場下落について解説します。

 

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弱気相場とは

弱気相場とは、投資家のほとんどが相場の先行きを悲観することです。直近1年間の高値から10%以上下落すると「調整局面入り」したとみなします。

そして、20%以上の下落になると「弱気相場入り」したとされ、株価がもとの水準に戻りにくくなります。

損失を抱えた投資家がリスクを取れなくなり、相場が上向かなくなるからです。弱気相場は「ベアマーケット」とも呼ばれています。

通常、日経平均株価やNYダウなどの株価指数が直近1年間の高値から20%以上下落すると「株式市場は弱気相場になった」と判断するのです。

2020年のコロナショック

2020年のコロナショックにより、日経平均株価やNYダウは「弱気相場(ベアマーケット)」入りしています。

日経平均株価は、2020年1月17日に高値24,115.95円をつけていましたが、3月19日に16,358.19円まで下落。下落率は32.2%にもなりました。

下落率が20%を超えているので、「弱気相場入り」と判断します。

またNYダウも、2020年2月12日に高値29,568.57ドルをつけましたが、3月23日に18,213.65ドルまで下落。

下落率は38.5%と日経平均株価の下落率を超えています。NYダウも「弱気相場入り」したと判断します。

弱気相場は投資につきものですが、10年以上強気相場が続いていたので、この事実を忘れがちです。

弱気相場ではパニックにならないことが大切です。株価が20%下落したとしても、全財産が失われるわけではありません

2020年のコロナショックのように1ヶ月で30~40%下落したとしても、今後、すべての資産を失うわけでもありません

なぜなら、株価は上下するものだからです。今回のような大きなパニックが起こると、いつまでもその状態が続くと思い込みがちですが、そんなことはありません。

強気相場の後には弱気相場が来ますし、弱気相場の後には強気相場が来るからです。

強気相場とは

強気相場とは、弱気相場入りすることなく株価が上昇することです。歴史的に見ても弱気相場が続くのは、通常、2年未満です。

一方、強気相場はそれよりもずっと長く続きます。「市場が暴落して弱気相場になったら、その後に訪れる強気相場のチャンス」と考えられるのです。

たとえばNYダウは、2009年3月から2020年2月まで約11年間上昇。6,547ドルから29,568ドルまで約4.5倍になっています。

マーケットを長期で見ると、強気相場は弱気相場の損失を補って上昇するのです。

しかし、弱気相場は通常2年以内で終わりますが、1929年の世界大恐慌では株価が9割下げ、戻るのに25年もかかりました。

高値で一括投資していると、損益がプラスになるまで25年もかかったのです。

しかしイボットソン・アソシエイツ・ジャパンによると、配当を再投資した場合、損益は15年程度で回復しました。配当の再投資は、長期投資における「複利効果」が期待できるからです。

複利効果とは、運用で得た利益を再び投資することで、利息が利息を生んで膨らんでいく効果のことです。複利効果は、長期になるほど効果が高いことがわかっています

また、一括投資ではなく積立投資をおこなうことで、ドルコスト平均法を利用できます。

ドルコスト平均法とは、価格が変動する金融商品を一度に購入するのではなく、一定額ずつ分けて購入することで平均買付単価を抑える方法です。

たとえば投資信託を利用した場合、毎月一定額を積み立てると、基準価額が高いときには少なく、安いときには多く買い付けるため、毎月一定量(口数)を買う方法よりも買付単価を平準化できます。

金融商品は価格が変動するので、価格が高いときに一括購入すると高値づかみをしてしまう可能性があります

しかし積立投資なら、時間分散によるリスク軽減効果が期待できるのです

ジョン・テンプルトンの相場格言

「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」という相場格言があります。

アメリカの著名投資家ジョン・テンプルトンの言葉です。マーケットが総悲観になった局面が強気相場の出発点になりやすく、先行きに警戒や懐疑が残る間は上昇を続けます。

そして、警戒感が薄れ楽観的になったときには相場の天井圏が近く、市場が総強気や幸福感に浸っているときに上昇相場が終わることが多いという意味です。

2020年の3月は、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中の株式市場は総悲観の状況になりました。日経平均株価は3月19日に16,358円まで下落。NYダウも3月23日に18,213.65ドルまで下落しました。

しかし、そこから反発しており、総悲観の中で買いが入っていることがわかります。

株価が大きく下がり、経済状況が悪くなると、各国の中央銀行は金融緩和政策をおこないます。

2008年のリーマンショックのときもおこなわれましたが、2020年のコロナショックでは、リーマンショック時よりも大胆な金融緩和をおこなっています。

金融緩和がおこなわれると、株式市場は「金融相場」になります。金融相場とは、金融緩和によるカネ余りを背景に上昇する相場のこと

ダブついた資金が株式市場に流れ込み、不景気の株高現象が生じます。

3月の後半から、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため、欧米各国で「ロックダウン(都市封鎖)」がおこなわれました。

日本でも4月7日に東京や大阪など、7都道府県を対象にして緊急事態宣言を発令。16日には対象を全国に拡大しました。

ロックダウンや緊急事態宣言は、経済に大きな負担を与えます。しかし、株価は戻り基調になり、日経平均株価は5月になるとコロナショックによる下落の半値戻し(20,237円)を達成NYダウも4月9日に半値戻し(23,891ドル)を達成しています。

各種経済指標では、戦後最悪水準になっているものがほとんどですが、株価は戻しているのです。これは「懐疑の中で」株価の戻り基調が継続しているといえます。

ただ、株式市場は4~6月までの経済悪化懸念を織り込み、7~9月期には回復するとの期待感から上昇しています。足元の経済指標や企業の決算は材料視されていないのです。

ただし、あまり楽観的な見方は期待を裏切られたときに大きなショックを受けます。

日経平均株価が2万円、NYダウが25,000ドルを大きく超えていくためには、足元の景気が回復していることを確認することが必要でしょう

弱気相場の雰囲気に流されない

米国には、ジョン・テンプルトンと似たような相場格言がいくつかあります。「街中に血が溢れるような総悲観こそ買い」、「相場は心配の壁をよじ登る」などです。株価が急落する場面では、「怖くてとても買えない」と考えるのが普通です。

しかし、このような相場格言は「ピンチはチャンス」と感じた方が多かったことを表しています。ショックの中にこそ、次のチャンスが隠れているのです。

信用取引などで過度なリスクを取らないことは大切ですが、下がり続ける相場はありません

現在の相場が「弱気相場」なのか「強気相場」なのかを判断し、市場心理がどちらかに傾きすぎていないかを判断することが大切なのです。

まとめ

弱気相場とは、過去1年間の高値から20%超下落した相場のことです。2020年のコロナショックにより、日経平均株価やNYダウなど主要株価指数は弱気相場入りしました。

しかし、いつまでも弱気相場が続くことはなく、いずれは強気相場になります。ただ、弱気相場の期間がどの程度続くかが問題なのです。

過去の例では、2年程度で弱気相場は終了していますが、それ以上続く可能性もあります。

ですから、積立投資などによってリスクを分散しながら、長期での利益を狙うようにしましょう

記事 山下 耕太郎

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