セブン銀行株の将来性は?株価下落の理由と今後の事業について解説
街でよく見るセブン銀行のATM。
全国展開しているコンビニにあるATMは24時間365日使えてとても便利です。
そんなセブン銀行ですが、これからの時代、キャッシュレス化が進むとATMでの入出金の機会が減り手数料による収益が減ることが予想できます。
この記事では、そんなセブン銀行の投資先としての将来性についてみていきます。
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この記事の目次
セブン銀行の株価の見通し
株価を中心にセブン銀行についてみていきます。株価は投資をする上で大切な指標です。
過去5年の株価の推移と財務データから投資先としてのセブン銀行について考えていきます。
長期的には過去5年間右肩下がりの傾向
こちらはセブン銀行の株価の動きを表した画像です。
過去5年で見ると、株価は徐々に下落していることがわかります。
ATM設置台数の増加数が年々減っていること、キャッシュレス化に伴うATMの利用回数の減少が想定されることなどが、投資家達にセブン銀行の将来性を不安に感じさせているのかもしれません。
キャッシュレス化の波は止まらないため、ATMによる手数料事業は今後厳しいことが想像できます。
株価は下落傾向だが倒産の危険性は低い
セブン銀行の財務データについてみていきます。
財務データは様々な数字を基に判断しますが、今回は一部を用いて解説します。参考にするデータは2021年3月期のものです。
総資産利益率(ROA)は2.2%
会社全体の経営効率を測る指標です。
高ければ高いほど、効率よく利益を出している企業と言われています。
銀行業の平均は-0.42%ですので、セブン銀行は効率よく利益を出している企業と判断します。
自己資本比率は19.4%
企業の財務の安全性を分析するための指標です。
自己資本比率の高い企業ほど、倒産しにくい企業と言えます。セブン銀行は国際業務を行う銀行であるため、8%以上が基準となります。
19.4%と基準を超えているため、セブン銀行は倒産しにくい企業だと判断します。
株価は下落傾向なものの、利益を出す力はあり、倒産の危険性も低い企業であると言えそうです。
参考:株式会社 セブン銀行「2021年3月期第2四半期 決算説明資料」
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セブン銀行の事業内容とは
セブン銀行と聞くと、セブンイレブンやイトーヨーカドーなどにあるセブン銀行ATMのイメージが強いです。
そんなセブン銀行のATM以外の事業内容や投資する上で大切な配当金や利益についてみていきます。
ATM事業と決済口座事業
セブン銀行の事業内容は大きく分けて2つ。ATM事業と決済口座事業です。
ATM事業はセブン銀行の収益の中心です。
全国のセブンイレブンやイトーヨーカドーなどのセブン&アイ・ホールディングスの傘下の店舗にセブン銀行ATMを設置。
また、空港や駅、金融機関店舗等にもATMを設置しています。ATM設置台数は25,000台を突破しており、大手銀行を合わせたATM設置台数よりも多いです。
ATMシェア率の高さというセブン銀行の強みを生かした事業です。
また、ATM事業は連結子会社を通じて海外にも進出しており、米国、インドネシアでATMが設置されています。
決済口座事業は、セブン銀行の口座を持っている方を対象に普通預金や定期預金、ローン、海外送金、デビットなどを扱っています。
また、連結子会社であるバンク・ビジネスファクトリーが他の金融機関からの業務受託事業を展開しています。
セブン銀行の配当利回りと配当金の推移
セブン銀行は平均よりも高い配当を出している
配当利回りとは、購入した株価に対して1年間でどの程度配当を受けることができるかを表した指標です。
高配当株と呼ばれる株は配当利回りが高いです。
セブン銀行の直近の一株当たりの配当は11円。
5月20日の始値の235円を株価として配当利回りを計算します。
配当利回りは4.68%
東証一部上場企業の平均は2%ほど。そのためセブン銀行の配当利回りは平均より高いと言えます。
次に配当性向をみていきます。
配当性向とは、当期純利益からどの程度配当金として株主に還元したかを示す指標です。
配当性向が高い企業ほど利益を株主に配当金として還元している、ということになります。
利益を新規事業へ投資するために配当金を少なくし、配当性向が低い企業もあります。
配当性向は49.9%
配当性向の平均は30〜40%と言われており、セブン銀行は利益を株主に還元している企業と判断できます。
配当利回りや配当性向から配当金に着目して考えると、平均よりも高い配当を出していて利益を株主に還元している企業だと言えます。
過去10年分の配当金は年々増加
セブン銀行では、3月と9月の年2回配当金を出します。
一株当たりの配当金を10年分まとめた表です。
決算期 | 中間 | 期末 | 年間配当額 |
2012年3月 | 2.60 | 3.60* | 6.20 |
2013年3月 | 3.25 | 3.5 | 6.75 |
2014年3月 | 3.5 | 4.0 | 7.50 |
2015年3月 | 3.75 | 4.25 | 8.00 |
2016年3月 | 4.00 | 4.50 | 8.50 |
2017年3月 | 4.25 | 4.75 | 9.00 |
2018年3月 | 4.75 | 5.25 | 10.00 |
2019年3月 | 5.00 | 6.00 | 11.00 |
2020年3月 | 5.50 | 5.50 | 11.00 |
2021年3月 | 5.50 | 5.50 | 11.00 |
配当金は年々増加していき、ここ数年は11円となっております。
株価は右肩下がりで動いているため、配当利回りは上がっています。今後も配当金を維持できるかに注目です。
セブン銀行の株価指標と業績推移
セブン銀行の株価はやや割高傾向にある(2021年5月時点)
セブン銀行の割安性を考えるためにPBRとPERを見ていきます。
5月19日のデータを基にしています。
PBRは1.18倍
PBRとは株価純資産倍率と呼ばれるもので、株価が1株当たりの純資産の何倍であるかを示す指標です。
PBRは1倍が目安と言われています。
PBRが1倍であると、株価と企業の資産価値が同じ、ということになります。1倍を下回ると株価が企業の資産価値よりも安くなっていると考えられるため割安です。
逆にPBRが1倍よりも高い場合は株価が企業の資産価値よりも高いため割高です。
セブン銀行のPBRは1.18倍と1倍を超えているため、割高と判断されます。
PERは14.02倍
PERとは株価収益率と呼ばれるもので、株価が1株当たりの利益の何倍であるかを示す指標です。
会社の利益水準からみてPERが低いほど株価が割安と判断しますが、同業他社や業界平均と比較することが大切です。
東証一部上場企業の内、銀行業の平均PERは9.65倍。セブン銀行は業界平均と比較して割高であると言えます。
過去5年分の経常利益は減少傾向にある
セブン銀行の過去5年分の経常利益の動きをみていきます。
単位:百万円
決算期 | 経常利益 |
2017年3月 | 36,710 |
2018年3月 | 38,305 |
2019年3月 | 40,714 |
2020年3月 | 39,836 |
2021年3月 | 35,640 |
ここ数年は利益が減少傾向にあります。
キャッシュレス化が進んだ影響や新型コロナウイルス流行による外出自粛の影響などが要因として考えられます。
キャッシュレス化はこれからもどんどん進んでいくことが想定されるため、利益の確保が厳しくなることが想定されます。
このまま利益の減少が続くと、株価の右肩下がりが今後も続くと考えられます。
セブン銀行株に将来性はあるか
キャッシュレス化が進むにつれて、収益源であるATM手数料が減っていくことが予想できます。
そのため、セブン銀行の将来性を考える上ではキャッシュレス化にどう対応していくか、事業の多角化などがポイントになります。
中期経営計画を参考にみていきます。
中期経営計画には2025年の経常利益の目標が350億円とあり、2020年の経常利益約360億円よりも少ないことから今後の見通しが厳しいと判断できそうです。
ATM事業以外の多角化がポイント
セブン銀行では成長戦略として、ATMの社会的価値拡大へ向けた取り組みと強みを生かした事業の多角化を挙げています。
既存の現金をメインに扱うATMではなく、ATMに行政サービスや医療サービス、認証、チャージなどのサービスを取り入れる動きが進んでいます。
実際にマイナポイントの申し込みやQR決済のチャージなどが可能です。ATMを利用した新たな事業展開のために「セブン銀行 アクセラレーター」というプログラムを実施しています。
スタートアップ企業等と共同でATMを利用した新しいサービスの創造が目的のプログラムです。
ATM以外の分野について法人向けと個人向けと分けて見てみます。
法人向けの事業では、業務の合理化・効率化を進める金融機関との受託ビジネスや顧客企業に合わせた金融機能の提供などを進めています。
個人向けの事業では、居住外国人向けの金融サービスの提供を進めています。
これら既存のATM事業以外の事業がどこまで利益を出すかに注目です。
参考:セブン銀行【PDF】「セブン銀行 アクセラレーター 2021」開始!」
まとめ:セブン銀行の将来性はキャッシュレス化への対応に決まる
セブン銀行の収益の中心はATMの手数料です。
しかし、キャッシュレス化が進むにつれてATMを利用する回数の減少が予想されるためか株価は下落傾向にあります。
セブン銀行の投資先としての将来性を考える上では、キャッシュレス化にどう対応していくのか、ATM事業以外での収益確保がポイントになっていきそうです。
セブン銀行ではATMの更なる社会的価値を高めること、事業の多角化などに取り組んでいます。
現状では、キャッシュレス化の影響で今後も株価の下落が想定されるので投資先として不安はあります。
全国展開するATMというセブン銀行ならではの強みもあるので今後の動きに注目です。
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記事監修者
マネカツ編集部
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