BNPL(後払い決済)とは?クレジットカードとの違いや仕組み、日本で普及するかを解説
クレジットカードに代わる新しい決済の仕組みとして、後払いサービス「BNPL」が世界的な広がりを見せています。
クレジットカード特有の問題としては以下のようなものがあります。
- 不正利用や盗難などセキュリティ面が不安
- 決済時にカード情報を入力するのが面倒
- つい使いすぎてしまい支払いが厳しくなる
BNPLは上記の課題を解決し、クレジットカード離れが進む若者を中心に利用者が増加しています。
この記事では今世界で話題のBNPLについて仕組みや特徴、クレジットカードとの違いについて解説します。
日本でも徐々に広がりつつある決済方法なので、仕組みを理解して決済方法の一つとして選択していきましょう。
この記事の目次
BNPL(後払い決済)とは
BNPLとは「Buy Now Pay Later」の頭文字を取った略語で、日本語では「今買って後で払う」という意味になります。
BNPLの先駆けといわれるスウェーデンの金融会社Klarna(クラーナ)が市場に参入し、IKEAやH&Mが導入したことで広がりをみせました。
現在同社は、欧米のECサイトを中心に加盟店を増やし続けています。
これに追随する形で、様々な国で同様の決済サービスが提供され始めています。
有名なものだと以下のものがあります。
- アメリカのAffirm(アファーム)
- オーストラリアのAfterPay(アフターペイ)
- 日本のPaidy(ペイディ)
Paidyは日本国内でAmazonやビックカメラ.comなど、大手ショッピングサイトにBNPLの決済サービスを提供しています。
BNPLの特徴!クレジットカードとの違い
「後払い決済サービス」と聞くと、クレジットカードの分割払いやリボ払いと変わらないのでは?と思いがちです。
日本ではクレジットカードが現金に次ぐ第2位の決済手段で、多くの人になじみがあります。
大手カード会社が調査した結果によると、日本のクレジットカード保有率は約87%で、年代が高くなるほど保有率も高い傾向にあるようです。
便利で手軽なクレジットカードとBNPLの違いについて見ていきます。
分割手数料が無料
クレジットカードによる分割払いは2回まで無料ですが、3回以上の分割払いには手数料が発生します。
各カードで異なる年率が設定されていますが、分割払いの手数料は一般的に12~15%です。
この手数料がカード会社の利益にもなっています。
しかし、BNPLのサービスでは分割手数料は発生せず無料です。
支払期日までであれば、分割払いであっても商品代金のみの支払いで済みます。
分割払い手数料が気になって一括払いを選択していたクレジットカードユーザーにとっては、嬉しいポイントです。
与信審査が簡易的
クレジットカードは、申込時にこれまでの金融情報や現在の勤務先、年収などを申告します。
これはクレジットカード会社が申込者に支払い能力があるのか、事前に審査するためです。
金融会社によって審査基準は異なりますが、場合によっては信用リスクが高いとみなされ、審査に通らずカードを発行できないこともあります。
BNPLはここが簡便化され、電話番号やメールアドレスといった情報を入力するだけで利用可能です。
カードや銀行口座の情報は、必要ありません。
この手軽さがBNPLの大きな特徴といえ、信用スコアが低くクレジットカードの審査を通過しづらい若年層から支持を集めています。
最初は利用限度額が低い
BNPLを利用する場合、事前の審査なく気軽に使える分、返済の信用情報がありません。
そのため、最初はクレジットカードと比べて利用限度枠が低めに設定されている場合が、多いようです。
BNPLサービスを利用し続け、返済実績を重ねていくことで利用限度枠が大きくなっていくという仕組みになっています。
貸倒れ率の低下を実現することが、今後の市場拡大と健全性に繋がると期待されています。
店舗側の利用手数料は高い
BNPLもクレジットカードも、導入している店舗が手数料を支払う仕組みは同じですが、BNPLの方が手数料が高い傾向にあります。
それでも加盟店サイドは、手数料以上の売上が期待できると考えるところが多いようです。
これは事前審査なしで分割払いができることで、「一括払いをするほどの余裕はない」と買い物を躊躇していた人たちの消費活動が活発になると予測できるためです。
実際に導入店舗が増えているという数字から見ても、加入点側のメリットも大きいといえます。
BNPLの仕組み
BNPLの基本的な仕組みはクレジットカードと同じで、加盟店側が手数料を負担する形でシステムを導入します。
消費者がBNPLを利用して商品を購入する場合は、最初にBNPL事業者が商品代を建て替えて支払い、後日BNPL事業者に対して商品を分割返済していくことになります。
実際にBNPLを利用した商品購入の流れは以下です。
- 消費者が商品を購入する際に「BNPL」で支払いを選択
- BNPL事業者が加盟店に決済手数料を差し引いて立替払い
- 決済確認後に加盟店が消費者に商品を提供
- 定められた方法で消費者がBNPL事業者に代金を支払う
消費者は支払いの際にBNPLを選択し、商品が届いてから支払期日までにコンビニや口座振替などで支払うという手軽さです。
BNPLは日本で広まるか?
米国のEC決済市場におけるBNPLのシェアは、2024年には4%まで拡大すると予測されています。
一方、日本は新しいものを取り入れることに消極的で、スピード感が遅いといわれています。
現在、日本では7割を超える人がBNPLを知らず、知名度もまだ高くない状況です。
未利用者からは、「借金しているみたいで落ち着かない」「後から支払いをすること自体が不安に感じる」など、ネガティブな意見が多いBNPLですが、今後日本で広まる可能性があるでしょうか。
出典:株式会社 PR TIMES(日本トレンドリサーチ)「72.2%が、後払い決済サービス(BNPL)を「知らない」」
AmazonやZOZOタウンなどで既に利用されている
国内ECサイト大手のAmazonが利用するPaidyは日本で躍進を遂げ、すでに600万アカウントを突破しています。
他にもZOZOタウンのツケ払いは、CMで消費者への後払い決済の認知度を上げ、サービス開始10カ月程で利用者が100万人を超えました。
商品が実際に届いたことを確認してから支払える点が安心感を生み、顧客の満足度にも繋がっているようです。
後払い決済はECサイト内では常識となりつつあり、日本でも少しずつ利用され始めています。
今後多くの参入が予想できる
例えばキャッシュレスサービスで勢いのあるスマホ決済サービス◯◯Pay系のサービスは、今後BNPL領域に参入する可能性が高いでしょう。
直近では、米国のPayPal Holdings(ペイパル・ホールディングス)が、日本でのビジネスを強化するためにPaidyを買収することを発表しました。
クレジットカードに代わる決済サービスの提供という点において、シェア拡大を目指す決済事業者にとってBNPL事業は避けては通れない道といえます。
既にAmazonが後払い決済を導入していることもあり、今後多くのECサイトが追随する必要性に迫られる可能性が高いです。
数年後は、日本でもカードを利用しない後払いが当たり前になっているかもしれません。
料金未納に対する課題が多いのも事実
ZOZOのツケ払いは、サービス開始直後「お金を払っている意識なく何でも買えてしまうのは、いかがなものか」との批判がありました。
これは、利用者に未成年者が多かったことで支払い延滞が多発したためです。
「ツケ払い」という言葉が軽い印象を与え、実際にお金を使っている感覚が薄れてしまう人がいるのも頷けます。
BNPLの利点である「クレジットカードを持たない人でも、無金利の分割払いが選択できるようになる」ことは一見便利なサービスですが、裏を返せば「審査も通らないような人でさえ利用可能」とも解釈でき一長一短です。
利便性の高いBNPLサービスが広く拡大していくためには、料金未納への対策や後払い(分割払い)に関するリスク普及などの問題を解決していく必要がありそうです。
まとめ:BNPLは今後日本でも普及していく新しい決済手段
金利負担なく分割払いできるBNPLを利用することで、買い物の幅が広がります。
今後スタンダードな支払方法となることが予測されますが、注意すべき点も多々あるのが現状です。
サービス内容や今後の動向をよく見た上で、自身の性格やお金に対する価値観に合った支払い方法を選択していくことが、賢い消費の形といえるかもしれません。
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記事監修者
マネカツ編集部
"将来への漠然としたお⾦への不安はあるけど、何から始めていいのかわからない…"
そんな方に向けて「資産運用」や「税金対策」など、お金に関する情報を発信しています。
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