個人年金保険料控除で控除できる金額は?税金対策メリットや適用条件を解説
「個人年金保険」は、老後に向けた資産形成に用いられる貯蓄型の保険商品です。
公的年金にプラスして老後資金を準備できるというメリットのほかに、支払った保険料が「個人年金保険料控除」の対象となる点もメリットとして挙げられます。
これにより、所得税・住民税の負担を軽減できる仕組みとなっているため、効果的に活用しましょう。
この記事では、個人年金保険料控除の基本的な仕組みや税金対策できる金額、利用するメリットについて解説します。
個人年金保険料控除の適用条件も紹介していくので、参考にしてください。
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この記事の目次
個人年金保険料控除とは?
個人年金保険料控除とは、個人年金保険で支払う保険料総額に応じて所得控除が受けられる制度のことです。
「生命保険料控除」の一種で、一定の条件を満たした個人年金保険の保険料支払いによって、所得税・住民税の負担を軽減できる仕組みとなっています。
具体的には、会社員や公務員などの給与所得者の場合は年末調整、自営業者やフリーランスなどの給与所得者以外の場合は確定申告によって控除を申告します。
老後に向けた資産形成を進めつつ、税金の負担を軽減できることが個人年金保険料控除の特徴です。
詳細な条件や申請方法について理解を深め、効果的に活用しましょう。
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個人年金保険料控除の節税額は?
個人年金保険料控除による税金対策の効果は、年間の保険料総額や本人の所得によって変化します。
ここでは、所得控除を受けられる金額と税金対策できる金額について紹介していきます。
所得控除を受けられる金額
2012年1月1日以降に締結した保険契約の場合、個人年金保険料控除の金額は以下の表の通りになります。
所得税 | 住民税 | ||
年間払込保険料額 | 控除額 | 年間払込保険料額 | 控除額 |
20,000円以下 | 払込保険料全額 | 12,000円以下 | 払込保険料全額 |
20,000円超40,000円以下 | (払込保険料×1/2)+10,000円 | 12,000円超32,000円以下 | (払込保険料×1/2)+6,000円 |
40,000円超80,000円以下 | (払込保険料×1/4)+20,000円 | 32,000円超56,000円以下 | (払込保険料×1/4)+14,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 | 56,000円超 | 一律28,000円 |
例えば保険料を毎月3,000円、年間で36,000円支払っている場合、所得税は「(36,000円×1/2) + 10,000円 = 28,000円」が控除され、住民税は「(36,000円 × 1/4)+ 14,000円 = 23,000円」が控除されます。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険料控除制度とは?」
税金対策できる金額
上記の表で解説した金額は実際に税金対策できる金額ではなく、所得から控除できる金額となっています。
実際には、所得から控除額を差し引いた上で税率をかけることで、最終的な減税額が計算されます。
所得税では、課税所得によって段階的に異なる税率が適用されます。
一方、住民税の税率は基本的には約10%ですが、地域によっては若干の差異があります。
以下の表は所得税額の速算表です。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
例えば、課税所得が400万円で個人年金保険に支払っている保険料が年間で80,000円超の場合は、「40,000円 × 20% = 8,000円」の所得税を減らすことができます。
住民税は所得にかかわらず税率10%となるため「28,000円 × 10% = 2,800円」が減らせる税額です。
つまり、課税所得が400万円で年間80,000円以上の保険料を払っている場合は、合計10,800円分の税負担を軽減できる計算になります。
個人年金保険料控除を利用するメリットは?
個人年金保険料控除を利用するメリットは、税負担の軽減だけではありません。
他の生命保険や医療保険などと別枠で控除を適用できる点もメリットです。
前述の通り、個人年金保険料控除は「生命保険料控除」の一種であり、ほかに「一般生命保険料控除」と「介護医療保険料控除」も含まれます。
一般生命保険料控除は、死亡保険や養老保険などに支払う保険料に適用され、介護医療保険料控除は医療保険、がん保険、介護保険に支払う保険料に適用されます。
個人年金保険料控除は、これらの控除とは別枠で適用されるため、すでに死亡保険や医療保険で控除を受けている場合でも利用可能です。
各種の保険商品を効果的に活用しながら税金の負担を軽減させましょう。
個人年金保険料控除の適用条件
個人年金保険料控除を適用するには、以下の条件をすべて満たして「個人年金保険料税制適格特約」を付加する必要があります。
- 契約者またはその配偶者のいずれかが年金受取人
- 年金受取人は被保険者と同一人
- 保険料の払込期間が10年以上
- 年金の受取開始年齢が60歳以降・受取期間が10年以上
それぞれの適用条件について解説していきます。
契約者またはその配偶者のいずれかが年金受取人
個人年金保険は、支払った保険料を積み立てて老後に年金として受け取る仕組みの保険商品です。
年金受取人を指定できますが、個人年金保険料控除を受けるためには受取人を契約者本人またはその配偶者に指定する必要があります。
年金受取人は被保険者と同一人
年金受取人は、個人年金保険における被保険者と同一である必要があります。
つまり、受取人と被保険者は契約者本人またはその配偶者でなければなりません。
保険料の払込期間を10年以上
個人年金保険料控除の対象となるためには、保険料の払込期間が10年以上である必要があります。
一時払いなどでまとめて保険料を納めるケースの場合は対象とならないため注意が必要です。
また、10年以上にわたって保険料を支払い続けられるかどうかも考慮する必要があります。
税金対策の効果を高めようとして高額な保険料を設定してしまうと、かえって生活に負担がかかる恐れがあるため慎重に検討しましょう。
年金の受取開始年齢が60歳以降・受取期間が10年以上
個人年金保険では、保険金の給付期間を自分で設定できます。
しかし60歳以前から受け取りを始めたり、受取期間を10年未満に設定したりすると、控除の対象とならないため注意が必要です。
受取開始年齢を60歳以降に設定し、10年以上の期間にわたって受け取るようにしましょう。
まとめ:個人年金保険で効果的な税金対策を実践しましょう
個人年金保険は、老後に向けた資産形成だけでなく、支払った保険料が控除されることで所得税・住民税の負担を軽減できます。
また、ほかに死亡保険や医療保険などに加入していても別枠で控除を利用できるため、控除額を確認した上で効果的に税金対策を行いましょう。
さらに、個人年金保険料控除にはいくつかの適用条件があるため、保険に加入する前によく確認しておくことが大切です。
適用条件を満たしていることを確認してから、個人年金保険で資産形成と税金対策を両立させましょう。
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