先日、セブン銀行のATM利用件数が初めて前年度割れの見通しとなる、というニュースが流れました。実はこのニュース、セブン銀行にとって由々しき事態なのです。

ところでセブン銀行と同じような銀行として、イオン銀行があります。どちらも大手小売チェーンが展開する銀行という点では同じです。ところが、それぞれのビジネスの実態は全く違うものになります。

そこで今回の記事は、セブン銀行とイオン銀行、それぞれのビジネスモデルについて解説します。そしてこの度のニュースを踏まえた、両銀行の将来性について解説します。

最後までお読みいただければ、セブン銀行とイオン銀行について理解が深まります。さらに両銀行、もしくは親会社であるセブン&アイホールディングスとイオンへの投資に向けての参考となります。ぜひ最後までご覧ください。

 

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セブン銀行はセブン&アイグループの子会社

はじめに、セブン銀行についておさらいしましょう。セブン銀行は、2001年「株式会社アイワイバンク銀行」という名称で設立されました。

当時から小売り大手であったイトーヨーカドーやセブンイレブンの系列会社として、ATMサービスやインターネットバンキングを中心に、ビジネスを展開したのです。

セブン銀行はコンビニの普及に合わせてATMを設置

当時、小売業はコンビニエンスストアが全国津々浦々に店舗を広げていました。その流れに合わせて2005年、社名を現在の「セブン銀行」に変更したのです。

さらに海外のカードへの対応や、同社系列の電子マネーとの連携を進めました。その結果、セブン銀行は全国47都道府県にATMを設置することができたのです。

ATMを全国展開できたという点は、銀行業界にとって非常に意味のあることでした。なぜなら、大手メガバンクと呼ばれる三行(三菱UFJ・みずほ・三井住友)やゆうちょ銀行に匹敵するレベルだからです。

さらにセブン銀行は事業拡大に合わせて、株式上場も展開しました。2008年、ジャスダックにて株式を上場、そして2011年には東京証券取引所第1部への上場を果たしたのです。

便利なATMがゆえに他の金融機関から手数料を取ることができた

セブン銀行がこのような急成長ができた理由は、コンビニの店舗拡大の流れに乗ることができただけではありません。

セブン銀行はコンビニの利便性を活かし、利益率の高いビジネスをすることができたからなのです。それはセブン銀行の決算書を見ても明らかです。

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このように、セブン銀行は「ATM手数料」という形での収益が多くを占めていますこれは各地にATMを展開できない多くの金融機関に対して、セブン銀行のATM利用料を徴収していることを表しています

これはコンビニとATMという「短時間で済ませたい顧客」に合わせたビジネスとして、強みを発揮した結果なのです。

米国や東南アジアで同じような展開を図る

また、セブン銀行は同様のビジネスで海外進出を目指しました。2012年、米国の金融機関を買収し、初めての海外進出を図ったのです。そして2014年には、インドネシアへサービスを展開することになりました。

イオン銀行はイオン系列の金融機関

次に、イオン銀行について見直してみましょう。イオン銀行は、2006年小売り大手イオンの子会社として設立されました。

そして2007年に名称がイオン銀行となり、店舗やATMのサービスを開始したのです。さらに投資信託や医療保険、そして住宅ローンなど金融事業を幅広く展開しました。

その後2013年には、イオン系列でクレジットサービスをしていたイオンクレジットサービスと経営統合しました。そしてイオン銀行は、イオンフィナンシャルサービス株式会社のグループ企業となったのです。

イオン銀行は中国や東南アジアへ積極的に展開

系列会社であったイオンクレジットサービスは、1990年代からアジアへの進出を積極的に行っていました。1990年の香港現地法人設立を皮切りに、中国・台湾、そして東南アジア各国に事業を拡大したのです。

さらに2011年からは、インドへの進出を開始しています。またこの業績を示すかのように、イオンフィナンシャルサービスは東京だけでなく、香港、タイ、そしてマレーシアの株式市場に上場しています。

イオン銀行(イオンフィナンシャルサービス)は金融業らしい利益

では、イオン銀行(以下イオンフィナンシャルサービス)の利益の内訳を決算書で見てみましょう。イオンフィナンシャルサービスでもイオン銀行と同様、ATM利用手数料による収益があります

しかしセブン銀行と違い手数料収入の比率は低く、利息による収益、運用収益も同程度得ているのです

さらにイオンフィナンシャルサービスでは、系列のクレジットカードによる手数料や利息による収益もあります。このようにイオンフィナンシャルサービスは、金融機関として得られる様々な収入を均等に得ているのです。

日本の銀行は利益確保に苦戦している

ここからはセブン銀行とイオンフィナンシャルサービスの違いをふまえて、両社の将来性について解説します。これまで全国の金融機関は単独でATMを設置するよりも、コンビニやスーパーマーケットが代わりにATMを設置してくれることでメリットを得ていました

ところが現在、地方銀行をはじめ日本の金融機関は、利益確保に苦慮しているのが現状です。そのため、金融機関は両社に支払う手数料を抑えざるを得なくなっています。

このような流れが続けば、両社にとって収益の逓減をもたらします。そしてセブン銀行はATM手数料が主たる収益なので、その影響は大きくなるのです。

中国や東南アジアはキャッシュレス化に積極的

では両社が進出し、経済成長が期待できる中国や東南アジアの現状はどうなっているのでしょうか。まずこれらの国々の消費活動の現状として「日本以上にキャッシュレス化が進んでいる」ということが言えます。

これには様々な要因がありますが、計算のしやすさやニセ札防止のメリットが注目され、政府が主体となってキャッシュレス化を進めているのです。

キャッシュレスではイオンフィナンシャルサービスの方が合っている

したがって、かねてよりクレジットカードや各種ローンに取り組んできたイオンフィナンシャルサービスは、中国や東南アジアでも順調な業績を続けています

そして2019年3月期末決算では、国内と国外の収益比率が逆転し、国外の収益が上回ったのです。

東南アジアではセブン銀行のビジネスが成立しない

一方でセブン銀行はセブンペイの失敗など、キャッシュレス化では後手に回っています。実際2014年から進出したインドネシアでは、利益の確保が困難になっているのです。

また米国での事業も順調ではなく、2019年3月期中間決算において145億円を超える損失を計上しました。そして後日の決算説明会において、インドネシアへの進出をいったん撤退することが発表されたのです。

成長力はイオンフィナンシャルサービスだがセブン銀行は健全性がある

このように今成長著しい東南アジアでは、イオンフィナンシャルサービスが強みを発揮しています。一方で、セブン銀行は世界経済の流れに合わせられなくなって来ていると言えるのです。

ただし大きな不景気になったとき、ローンや融資に積極的なイオンフィナンシャルサービスは危機に立たされるかもしれません。一方でセブン銀行は元々固い財務基盤を持っており、キャッシュレス化への対応を早めることで、危機を回避することができると言えます。

まとめ

今回は多くの方に身近になっているセブン銀行とイオン銀行について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。この記事のポイントは、以下の通りです。

  • セブン銀行はコンビニの利便性を活かしたATM手数料で稼いでいる
  • イオン銀行は系列の各種カードの利用で利益を生み出している
  • 日本の銀行はATM手数料を払う余裕が無くなりつつある
  • 世界はキャッシュレス化が進んでいるためセブン銀行は苦戦している

それぞれの特徴はありますが、セブン銀行もイオン銀行もこれまでの金融業界に新しい風を吹き込んだ点では同じだと言えます。

これからも、普通の銀行では真似できない新しい銀行の形を作り上げて欲しいと願っております。

記事 湯川 国俊

 

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