賃貸不動産管理士の資格を知っていますか。不動産に関わる資格ということは、名前を見ればわかるでしょう。では、どのような専門知識があって、具体的にどんな仕事ができるのでしょうか。今回は、「賃貸不動産経営管理士」について、キホンを整理し、資格を取得するメリットをご紹介します。

賃貸不動産経営管理士の役割と活躍の場について

賃貸不動産経営管理士とは、賃貸住宅を管理する専門家です。建物の維持や管理について、知識や技能、倫理観をもち、住んでいる方に気持ちよく生活してもらうことを目的としています。

専門業務

賃貸不動産経営管理士には、主な業務が2つあります。

・賃貸の貸主と管理士が契約するときには、賃貸住宅管理に関わる重要事項の説明、書面への記名・押印を行う。

・貸主との契約が成立したときには、賃貸住宅の管理受託契約書を作成し、記名・押印を行う。

必置義務

賃貸不動産経営管理者の役割には、必置義務というものがあります。必置義務とは、不動産を扱う登録事業者は、事務所ごとに、1名以上の賃貸不動産経営管理等を配置しなくてはいけないという義務になります。

賃貸不動産管理業務の専門家として活躍できる

登録事業者の事務所ごとに賃貸不動産経営管理を設置しなくてはいけないことだけでも、1つ活躍できる場があるわけですが、不動産管理の専門家として活躍できる場は、他にも以下のようなものがあります。

不動産業者で活かす

賃貸住宅やマンション・アパートを扱っているのは、不動産会社です。特に、賃貸の管理を行っている管理業に関わる会社であれば、専門知識を持つ賃貸不動産管理士の必要性が求められています。

その他、不動産に関連する部門で活かす

不動産業者以外にも、管理士の資格を活かすことができます。例えば、金融機関や個人での不動産への投資について、市場の流れや管理体制、今後の動きについて、アドバイスすることもできますし、ご自身が賃貸住宅などを所有しているのであれば、ご自身で賃貸経営していく知識を学べたり、管理体制を整えることで資産としての価値を上げることにもつながります。

賃貸住宅管理業者登録制度について

賃貸住宅管理業者登録制度とは、国土交通省が2011年に創設した制度で、賃貸住宅管理業務に関して、一定のルールを作ることで、借主と貸主、双方の利益を守り、登録事業者を公表することで、消費者が不動産会社や物件を選ぶときの判断材料となることを目的としています。

先ほど専門業務と必置義務で紹介したルール3点については、より適切な管理業務を促進するために、2016年9月の賃貸住宅管理業者登録制度の改正により、賃貸不動産経営管理士に付与された重要な役割です。

出典:賃貸住宅管理業者登録制度|国土交通省http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/tintai/

賃貸不動産管理業務ってどんな仕事をするの?

それでは、賃貸不動産管理者がどんな仕事をするのか、簡単にまとめてみましょう。

市場調査から管理業務受託契約の締結まで

賃貸不動産管理者の業務は、まず、家主(オーナー)から賃貸物件の管理業務を受託することから始まります。現在の賃貸物件に求められるニーズ調査し、賃貸物件がオーナーや借りる側にとって希望とマッチするように企画提案や実際に管理業務を行う上での報酬の設定を行います。そして、双方に合意がなされれば、管理業務委託契約がなされます。

入居者の募集や契約に関わる業務

管理業務と聞くと、建物の清掃や修繕などを思い浮かべる方も多いかもしれません。確かにそれも大切な業務の1つなのですが、その前に、そもそも建物に入居者を入れないことには、ただの空き家になってしまい収入も見込めません。管理業務には、入居者の募集や入居審査・賃貸借契約の締結も含まれています。

契約中の管理業務

入居者が決まれば、物件を維持し、快適な生活が送れるように、建物管理・修繕、清掃はもちろん、入居者からのクレームの対応も行います。その他にも、契約の更新や賃料の改定なども業務に含まれます。

契約終了時の退去等に関わる管理業務

賃貸物件は、契約の更新がなされなければ契約終了となり、退去となります。引っ越しされた経験がある方ですと、原状回復や敷金の精算といった手続きがあったことを覚えているかもしれません。退去の立ち合いから敷金の精算など、今まで借りていた人の後始末が終われば、今度は次の入居者を入れるために空室を維持したり、入居者を探すことになります。

管理業務報告等の支援業務

上記の内容は、管理受託契約・入居者の確保・物件の維持・退去の手続き・次の入居者の確保といった一連の流れの業務となっています。こうした流れ以外にも、支援業務という仕事があります。支援業務は、家主(オーナー)への支援を目的とした業務です。

いくつも賃貸物件を所有しているオーナーなら経験によるノウハウも持っていますが、賃貸経営に不安を持たれているオーナーもいます。管理している物件の状況報告や、経営に関する節税・相続の相談、その他協力業務も管理者の業務範囲となります。

出典:賃貸不動産管理士とは|賃貸不動産経営管理士協議会http://www.chintaikanrishi.jp/about/

賃貸不動産経営管理士の資格を取得するには

賃貸不動産経営管理士の資格を取りたい、取らなくてはいけないときにまず知っておくべきことを紹介します。

資格取得までのスケジュールの確認

まず、4月になると今年の受験スケジュールを確認することができるようになります。賃貸不動産経営管理士のホームページ、スケジュールを確認しましょう。

出典:資格を取得する|賃貸不動産経営管理士協議会http://www.chintaikanrishi.jp/exam/

受験要件

だれでも受験することができます。

受験料

受験料は、12,960円(税込)です。

試験日程

毎年11月に試験が実施されます。

2018年は、11月18日(日)13:00~14:30となっています。

試験会場

試験会場は、札幌、仙台、東京、横浜、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、沖縄の全国11会場となっています。

試験の出題形式

出題形式は40問、四肢選択形式です。

試験出題範囲

賃貸管理に関する実用的な知識を持っているかを判定するために、以下の事項が試験に出題されます。

・賃貸管理の意義・役割をめぐる社会状況に関する事項

・賃貸不動産経営管理士のあり方に関する事項

・賃貸住宅管理業者登録制度に関する事項

・管理業務の受託に関する事項

・借主の募集に関する事項

・賃貸借契約に関する事項

・管理実務に関する事項

・建物・設備の知識に関する事項

・賃貸業への支援業務に関する事項(企画提案、不動産証券化、税金、保険等)

出典:平成30年試験実施要項|賃貸不動産経営管理士協議会http://www.chintaikanrishi.jp/exam/summary/

試験勉強の方法

試験勉強の方法は大きく分けて2つあります。1つは、テキストを用いた自主学習です。管理業務全般を学習できる公式テキストがありますので、そちらを基に自主学習することができます。もう1つは、講習会で学習する方法です。講習会は公式テキストを使って、2日間行われます。

誰でも受講することができ、受講料は17,820円(税込)になります。講習会のメリットは、短期間で専門知識の習得と実務能力を鍛えることができる他に、全国統一試験を受けたときに、出題40問のうち、4問が免除される特典があります。

出典:平成30年度 賃貸不動産経営管理士講習のご案内|賃貸不動産経営管理士協議会

http://www.chintaikanrishi.jp/measure/course/

賃貸不動産経営管理士の登録について

試験に合格し、登録要件を満たすと、以下のメリットが得られます。

登録するメリットとは

・登録証と賃貸不動産管理士が在籍していることを示せるステッカーを受け取ることができます。

・有資格者専用コンテンツが利用でき、「賃貸不動産管理士」を探している方が検索できるサイトに、あなたの名前が掲載されます。

有資格者コンテンツでは、賃貸不動産経営管理士通信を読むことや名刺に表記できる称号や業務に必要な手引きのダウンロードが可能です。

・実務セミナーやスキルアップ資格、実用書籍の案内などのフォローアップを受けられます。

登録要件

登録を行うには、試験合格以外に以下の登録要件を満たす必要があります。

・宅地建物取引士である者(※1)、又は協議会が認める賃貸不動産関連業務(※2)に2年以上従事している又は従事していた者。

(※1)登録手続き時において、有効な宅地建物取引士証の交付を受けている者。

(※2)協議会が認める賃貸不動産関連業務とは、宅地建物取引業、不動産管理業、不動産賃貸業(家主業)及び協議会構成団体(※3)の会員とその従業者のほか協議会が認める者。

(※3)協議会構成団体は、(公財)日本賃貸住宅管理協会、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会、(公社)全日本不動産協会の3団体

登録申請の仕方

試験に合格すると、登録手続き案内が届きます。登録料を払い込み、申請書を郵送しましょう。1ヶ月程度で、管理士証書と管理士証が送られてきます。

登録料

資格登録をする際には、登録料として6,480 円(税込)が必要です。

有効期限があるので注意

賃貸不動産経営管理士の有効期限は5年間になっています。更新手続きについては、資格の有効期限の約4ヶ月前に案内が届きますので、忘れず更新手続きをしましょう。更新には、更新料として8,000円が必要です。

出典:賃貸不動産管理士の登録|賃貸不動産経営管理士協議会http://www.chintaikanrishi.jp/exam/register/

まとめ

「賃貸不動産経営管理士ってどんな資格?取得するメリットとは」いかがだったでしょうか。管理士の資格は、もちろん不動産業を仕事としているにはキャリアアップやオーナーと入居者との信頼関係を作ることのできる資格です。そして、不動産業者でなくても、資格を取得することで物件管理や賃貸経営の基礎知識を学ぶことができます。

賃貸物件を所有している方や不動産投資を検討されている方などにもおすすめの資格です。賃貸不動産経営管理士は、だれでも挑戦することができるので、ご自身のライフスタイルに必要であるのなら、一度挑戦してみてはいかがでしょうか。