FIRE(早期リタイア)とは?メリット・デメリットやサイドFIREについて解説

働き方や生き方が多様化する現代において、「FIRE」という言葉が注目を集めています。
FIREとは、「経済的に自立して自由な生活を送ろう」という考え方です。
これまで早期に仕事をリタイアするには多額の貯蓄が必要とされていました。
しかし、資産運用の仕組みを活用することで現実的に「FIRE」を目指せるということで、30代、40代を中心に人気が過熱しています。
この記事では、FIREの意味やメリット・デメリット、実現するための方法を解説します。
FIREに類似する生き方である「サイドFIRE」についても紹介していますので、参考にしてください。
目次
- 1 FIREとは
- 2 FIRE達成に必要な資産(投資元本)
- 3 FIREを実現するメリット
- 4 FIREを実現するデメリット
- 5 FIREを達成するための4つのポイント
- 6 サイドFIRE(セミリタイア)とは
- 7 まとめ:FIREを実現して自由なライフスタイルを送ろう
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FIREとは
直訳すると「経済的自立と早期リタイア」
FIREとは「Financial Independence Retire Early」の、それぞれの頭文字を取った言葉です。直訳すると「経済的自立と早期リタイア」になります。
FIREがどのようなライフスタイルであるかは、「経済的自立」と「早期リタイア」を分けて考えるとわかりやすいです。
FIREにおける「経済的自立」とは、資産運用によって得られる収入が生活費を上回る状態を指します。
例えば、年間の生活費が300万円の場合、資産運用による収入が300万円以上あると、経済的自立といえます。
「生活費のために働く必要がない状態」ともいえるでしょう。
早期リタイアは、定年を迎える前に仕事を辞めて引退することです。仕事を引退した後は、自分の時間を自由に使うことができます。
まとめると、FIREとは、資産運用による収入が生活費を上回った状態で、仕事を早期に引退して人生を謳歌するライフスタイルをいます。
「FIRE」と「早期リタイア」の違い
FIREと同様に、定年を迎える前に仕事を引退する「早期リタイア」という言葉もあります。
両者の違いは「引退後の生活資金」です。
早期リタイアの場合は、それまでの貯蓄や退職金・年金などが引退後の生活資金になります。
仕事を辞めた後は、引退前までに準備した資産を切り崩しながら生活します。
FIREの場合は、資産運用の運用益・配当金が引退後の生活資金となります。
運用益の範囲内の生活を送るため、理論上は資産を切り崩す必要がありません。
FIRE達成に必要な資産(投資元本)
FIREの目安は年間支出金額の25倍
FIREを達成するための資産の目安は、「年間にかかる生活費の25倍」といわれています。
2020年に行われた総務省の調査によると、1世帯あたりの消費支出の平均は1ヵ月約24万円、1年間で288万円でした。
この数字を元にFIRE達成に必要な資産を試算すると「288万円 × 25」で約7,200万円が一つの目安といえそうです。
もちろん、年間の支出が減れば必要な資産は減りますし、支出の多い豪華な生活を送りたい方はその分必要な資金も多くなります。
FIREは1億円あれば達成可能?
FIREは投資元本を1億円貯めれば可能といわれていますが、先程も述べたようにFIRE達成に必要な金額は個人によって異なります。あくまで目安としていわれることの多い金額が1億円です。
例えば住まいを地方に移して家賃を減らし、月々の支出が小さくなればFIREに必要な金額は低くなります。
逆に子供の数が多く教育費がかかったり、都心部の広い部屋に住み続けながらFIREを達成したいといった場合は結果的に1億円、もしくはそれ以上の金額が必要になる場合もあります。
「4%ルール」で運用する
「4%ルール」とは、貯めた資産を4%で運用すると運用益だけで生活費が賄える、という理論です。
「4%」という数字の根拠は、米国株式の指数である「S&P500」の成長率7%から、米国のインフレ率3%を差し引いた数字が4%であることから算出されました。
先ほどの例で考えてみると、年間の生活費は288万円で、FIREに必要な資産額は7,200万円でした。
「4%ルール」に当てはめて7,200万円を4%で運用すると、運用益は288万円となります。
生活費と運用益が同額なため、経済的自立が達成できています。
FIREを実現するメリット
「働く」ことの選択肢が増える
FIREを実現すると、「働く」ことの選択肢に「働かない」と「好きな仕事をする」が追加されます。
「働かない」という選択肢は、資産収入で生活費を賄えるからこそ成立します。
「好きな仕事をする」という選択肢は、FIRE実現後の時間の使い方のひとつです。
生活費を稼ぐ必要がないので生活のために仕事をする必要がなく、自分の好きなこと、やってみたいことに挑戦できます。
どんな仕事をするにしても資産収入によって生活が成立するため、仕事による収入を気にせず好きなことをする権利が与えられるようなイメージです。
場所や時間にとらわれない生活ができる
働いている人であれば、決まった時間に会社に行き、仕事が終わると帰宅します。
リモートワークが普及し始めていますが、急な出社要請を考えると仕事のために住む場所が制限されている現状はあまり変わりません。
FIREを実現すると無理に働く必要がないため、仕事のために場所や時間を犠牲にする必要がなくなります。
住む場所と時間に制限がないため、自由な生活を送れる点が魅力です。
ただし、住む場所によって生活費が変わる点には注意しましょう。
例えば家賃が高くなったり、持っていなかった車が必要になってくると、生活費を増やすことになり、FIREを達成するための資産額が増えてしまいます。
お金の使い方を見極めることができる
FIREに必要な資産は、少なくても数千万円、多い人であれば1億円以上必要です。
大きな資産を効率的に築くためには、お金の知識や使い方が重要になってきます。
FIREを実現するためには、必要なものにお金を使い、不要なものにお金を使わない、というお金の使い方が求められます。
無駄な支出を減らし、資産運用に使えるお金を増やすことで効率的な資産拡大につながります。
FIREを目指す過程で効率良く資産を増やせるように試行錯誤すると、結果的にお金の使い方や節約術、資産運用に関する知識が身につきます。
FIREを実現するデメリット
達成するまでの道のりは険しい
FIREを実現するためには、とても大きな資産が必要です。
当然ですが、大きな資産を築き上げることは簡単ではありません。
年間の生活費を少なく見積もると、FIREに必要な資産額も少なく済みます。
しかし、FIREを実現するために生活費を抑えた生活が、自身の望む生活であるかは別の話です。
最初はFIREをあまり意識せず、資産額を増やすことを目標にするといいでしょう。
100%安定した収入とはいえない
FIRE実現後の収入には、株式からの配当、投資用不動産からの家賃収入などがメインになります。
これらは必ず決まった金額が得られ続けるとは限りません。
株式であれば企業の業績が悪いと配当の減額、最悪の場合は配当がストップされる可能性があります。
不動産の場合、空室時には家賃収入は得られません。自然災害のリスクもあるため、常に一定額の収入を得られるとはいえません。
このように、資産からの収入が100%安定しているわけではないという点が、FIRE後の生活の不安点ではあります。
再就職は難しくなる可能性がある
FIRE実現後、「働かない」選択をすると職歴に空白期間ができます。
資産収入が安定し、働かない生活を継続できれば問題ありません。
しかし、資産収入のみの生活が何かしらの原因によって破綻した場合、再就職する必要性が出てくるでしょう。
この際、空白期間がマイナスに働くため、FIRE後の再就職が難しくなる可能性があります。
一般的に、再就職は年齢が上がるほど難しくなります。
FIRE生活が破綻するリスクは常に考えておく必要があるため、少しでも仕事をしたり、新しいスキルを身につけることは怠らないほうがいいでしょう。
FIREを達成するための4つのポイント
FIREを達成するためのポイントは、以下の4つです。
- 目標額を明確にする
- 無駄な支出を減らす
- 収入を増やす
- 投資で資産を増やす
無駄な支出を減らし、収入を増やすことで、投資元本を増やし、資産を効率的に拡大させ目標額を目指します。
FIRE後の生活費から必要貯金額を定める
まずはFIRE後の生活費を想定します。その際、今どのくらい生活費を使っているかを把握することが大切です。
今の生活費から無駄な支出を減らすと、貯蓄率が上がることに加えて、FIRE後の生活費も低く見積もれます。
また、FIRE後にどのような生活を過ごしたいか、という点もFIRE後の生活費を想定する上で大切なポイントになります。
年間の生活費を想定できたら、FIREを実現するための必要な資産額を計算しましょう。
4%ルールで運用する場合は、年間の生活費の25倍が目標額です。
インフレ率を加味した想定利回りを変更する際は、「年間の生活費 ÷ 想定利回り(4%)」で目標額を算出できます。
固定費の見直しや余計な支出を減らす
投資元本を増やすために、今の生活費から無駄な支出を減らします。
具体的には固定費の見直しと余計な支出を減らすことです。
今の生活費を見返した際に、外食や趣味などに使うお金が多いと感じた方は減らす意識を持ちましょう。
また、毎月発生する固定費を減額できると年間数万、数十万円の節約になることも珍しくありません。
以下、固定費の見直しの例を挙げます。
- 格安SIMへの切り替え
- 電力、ガス会社の切り替え
- 保険の見直し
生活費を抑えることは投資に使えるお金が増える他にも、FIREを目指す過程で節約志向が身につくメリットがあります。
FIRE後の生活に慣れるという意味でも、生活から無駄な支出を減らすことは有用です。
副業 or 転職で収入を増やす
投資に使えるお金を増やすために、収入を増やしましょう。
具体的な手段としては副業、あるいは転職が挙げられます。
もちろん、今の就職先で昇進して収入を増やす方法でも問題ありません。
収入を増やす手段として副業を選択する際は、YouTubeやブログなどのストック型の副業を検討してみてください。
すぐに稼ぐことは難しいですが、ストック型の収入は不労所得になり得るからです。
資産収入の他に不労所得があると、FIRE後の生活の安定性が増します。
投資で資産を増やす
支出を抑えて収入を増やした後は、投資で資産を増やします。
FIRE後の生活は投資による収入がメインとなるため、避けては通れません。
投資をする上でのポイントは「複利効果」を活用することです。
運用益を投資元本に加えて再投資するため、お金が増えるスピードを加速できます。
サイドFIRE(セミリタイア)とは
FIREの考え方のひとつに「サイドFIRE(セミリタイア)」があります。
簡単にいうと「資産収入と労働収入の2つの収入で生活する」というものです。
働かない選択肢はありませんが、サイドFIREにもメリットがあります。
FIRE後も何かしらの仕事をしようと考えている方は、サイドFIREの考え方を知っておいて損はないでしょう。
生活費の不足分を好きな仕事で補う
資産額が一定額に達すると、資産収入で「生活費の一部」を賄えるようになります。
サイドFIREは、資産収入だけでは賄いきれない生活費を労働収入で補う、という考え方です。
労働収入で稼ぐべき金額が減るため、収入を減らしてでも好きな仕事をする選択肢が増えます。
生活のためにやりたくない、好きでもない仕事をするのではなく、好きな仕事をしながら暮らしていくことができるため、生活の質が向上します。
FIREの半分程度から始められる
サイドFIREでは自身の労働収入も含めて生活するため、必要な資産額が抑えられます。
仮に資産収入と労働収入を 1:1の割合でサイドFIREするのであれば、資産額はFIREの半分程度で済みます。
FIRE後も働きながら暮らしたい方は、サイドFIREを経由してからFIREを目指してもいいかもしれません。
生活費を超える収入を引き続き投資に回すことで、いずれはFIREを実現できるでしょう。
まとめ:FIREを実現して自由なライフスタイルを送ろう
FIREとは資産収入が生活費を上回る状態となり、経済的に自立し、早期リタイアすることで自由な生き方をするライフスタイルです。
仕事を辞めて資産収入の範囲内で好きに過ごしたり、やってみたいこと、好きなことに挑戦したりするなど、自由なライフスタイルを送れます。
一方で、FIREのデメリットは「資産収入は必ずしも安定しない」「再就職が困難」といった点です。
FIRE後も働き続けようと考えている方は、サイドFIREから目指すのがいいでしょう。
労働収入で稼ぐ必要のある金額が減少するため、ある程度好きな仕事をしながら生活できる可能性が広がります。
FIREを実現することは大変ですが、自由な生き方はとても魅力的です。
目指す過程でも、貯蓄・節約・資産運用が習慣化するため、上手なお金の使い方が身に付きます。
資産運用の過程の中で、FIREについて考えてみましょう。
\ 人気FP講師による『無料』の資産運用セミナー /

記事筆者
マネカツ編集部 Manekatsu Henshubu
"将来への漠然としたお⾦への不安はあるけど、何から始めていいのかわからない…"
そんな方に向けて「資産運用」や「節税」など、お金に関する情報を発信しています。

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