サイドFIREとは?実現にはいくら必要かシミュレーションとポイントも紹介
FIREは、経済的自立(Financial Independence)と早期退職(Retire Early)という、2つの言葉の頭文字から作られた言葉です。
若いうちに資産を築いて経済的に自立することで、お金のための仕事をやめて、自由な生活を送ろうという考えが、FIREの中心的なコンセプトとなっています。
しかし、FIREには多くの資金が必要なため、実現が難しい場合があります。
この記事では、FIREに代わるより現実的な選択肢「サイドFIRE」について紹介します。
サイドFIREであれば、資金が比較的少ない人でも実現できる可能性があります。
必要な資金額をシミュレーションする方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
サイドFIRE(セミFIRE / セミリタイア)の特徴とは
サイドFIREは、通常のFIREと比べて次の3つの特徴があります。
- 資産収入と労働収入の2つで生活する
- 自分のやりたいことを仕事にしやすい
- FIREと比べて必要な資金が少ない
サイドFIREのポイントは、完全な経済的自立を目指すわけではないということです。
サイドFIREでは、ある程度の資産を形成したら、残りの人生は自分のペースで働くことを目指します。
完全に働くのをやめるわけではないので、資金が少なくても実現可能です。
まずは、サイドFIREの特徴について詳しく見ていきましょう。
資産収入と労働収入の2つで生活すること
サイドFIREは、主に2つの収入源で生活していきます。
- 資産収入(不労所得)
- 労働収入
資産収入とは、株式投資や不動産投資など、投資による収入のことです。
通常のFIREでは、資産収入のみで生活することを目指します。
労働収入とは、働いて稼ぐ収入のことです。
サイドFIREでは、資産収入に加えて労働収入も得ながら生活することを目指します。
サイドFIREの場合、資産収入があるため労働収入を主として働く必要はありません。
反対に、労働収入があるため何億もの資産を用意する必要もないです。
午前中だけ働いて、午後からはのんびり過ごすといった具合に、マイペースに働きながら暮らすのが、サイドFIREのイメージになります。
自分のやりたいことを仕事にしやすい
資産収入をある程度得られるサイドFIREでは、生活費すべてを労働収入でまかなう必要がありません。
そのため、たとえ収入は少なくても自分のやりたいことを仕事にできます。
例えば絵を描くことや文章を書くこと、ハンドメイドの小物を作って売ることなど、自分が楽しんでできる仕事です。
また、小さいころからの夢だったことや未経験の仕事など、新しいことに挑戦することもできるでしょう。
サイドFIREにおける労働は、フルタイムでバリバリ働くといった労働とは違います。
最低限の収入を得るために、やりたい仕事をマイペースに楽しみながら働けるのがサイドFIREの大きな魅力です。
FIREと比べて必要な資金が少ない
労働収入を得ながら生活するサイドFIREでは、FIREと比べて資産収入のために必要な資金が少なく済みます。
具体的な数字を挙げて、サイドFIREとFIREで必要な資金額をそれぞれ見積もってみます。
1年分の生活費を300万円と考えましょう。
FIREでは、300万円すべてを投資で得ることになります。
年利4%で見積もると、毎年300万円を得るには7,500万円必要です。
一方のサイドFIREでは、300万円のうちいくらかを投資で得れば済みます。
例えば半分の150万円を年利4%で得ようとすると、必要な資金額は3,750万円です。
サイドFIREで労働と投資の両方から収入を得るなら、投資に必要な資金額をかなり減らせます。
その分、退職を早めたり、現役時代に余裕をもって資金を貯めたりできるでしょう。
注:税金や手数料は考慮していません
サイドFIREにはいくら必要かシミュレーション
サイドFIREを達成するには、具体的にどれくらいの投資資金が必要かシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションをする理由は、サイドFIRE達成のために今の自分がやるべきことを明確にするためです。
はっきりとした目標を定めることで、モチベーションを高めることができます。
将来どういった暮らしをしたいのか、イメージしながら自分でもシミュレーションしてみてください。
サイドFIREには明確に決められた金額はない
はじめに押さえておきたいのは、サイドFIREに必要な金額は明確には決まっていないということです。
通常のFIREではおおよその資金額の目安として、生活費の25倍程度が必要だと言われています。
これは資産収入を年利4%で想定しているからです。
しかし、25倍という数字はあくまでも目安です。
特にサイドFIREでは労働収入も得るため、必ずしも多くの資金が必要ではありません。
ポイントは、「自分がどのような暮らしを送りたいか」というイメージをはっきりさせることです。
それによって必要な資金額も変わります。
たとえ資金額が少なくても、投資収入と労働収入で生活が成り立っているのなら、それはサイドFIREが達成しているといえます。
どのくらい働きながら、どのように暮らしていきたいかを明確にしたうえでシミュレーションしましょう。
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生活費を明確にする
次に押さえておきたいのは、自身の生活費を明確にすることです。
家計簿アプリを活用して月の支出を計算し、将来の生活費を見積もりましょう。
将来の生活費を見積もる際のポイントは、少し余裕をもって計算することです。
例えば、毎月15万円で暮らしているのなら、2~3万円ほど上乗せして想定するといった具合です。
また、いわゆる生活費だけでなく、税金や社会保険料に関しても想定しておくことが大切です。
参考として、2021年度の家計調査より、単身世帯における1ヶ月の支出額を紹介します。
消費支出 | 138,444円 |
非消費支出 | 62,045円 |
支出合計 | 200,489円 |
消費支出は食費や日用品費などのいわゆる生活費のこと、非消費支出は税や社会保険料などにかかる費用です。
2つの合計が1ヶ月でおよそ20万円、1年でおよそ240万円が平均的には必要だという計算になります。
今回のシミュレーションでは多めに見積もり、年間300万円が必要だという想定で計算してみましょう。
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資産1,000万円の人がサイドFIREを目指す場合
それでは、サイドFIREに必要な労働収入を詳しく見ていきましょう。
資産が1,000万円・2,000万円・3,000万円の場合でそれぞれシミュレーションします。
前述したように、年間の生活費は300万円かかるという想定で計算すると、必要な労働収入はそれぞれ下記のとおりです。
資産1,000万円 | 資産2,000万円 | 資産3,000万円 | |
年間の資産収入(年利4%と仮定) | 40万円 | 80万円 | 120万円 |
年間の生活費 | 300万円 | 300万円 | 300万円 |
必要な労働収入(生活費-資産収入) | 260万円 | 220万円 | 180万円 |
詳細について、それぞれ確認していきます。
まず、資産1,000万円の人が年利4%で運用した場合、資産から得られる収入は1,000万円 ×4% = 40万円です。
年間の生活費から資産収入金額を引くと、300万円 – 40万円 = 260万円となります。
つまり、資産収入で足りない260万円は労働収入で得る必要があります。
1ヶ月あたり額面でおよそ21.7万円を働いて稼ぐ必要があるため、ある程度普通に働く必要がありそうです。
資産2,000万円の人がサイドFIREを目指す場合
続いて、資産2,000万円の人がサイドFIREを目指す場合を考えてみましょう。
資産収入は2,000万円 × 4% = 80万円と計算できます。
年間生活費300万円から資産収入80万円を引くと、必要な労働収入は220万円です。
1ヶ月あたり額面でおよそ18.3万円となり、アルバイトや短時間の勤務でも稼ぎやすい金額といえるでしょう。
2,000万円の資産があれば、比較的少ない労働収入でサイドFIREを達成できそうです。
資産3,000万円の人がサイドFIREを目指す場合
最後に、資産3,000万円の人がサイドFIREを目指す場合、資産から得られる資産収入は3,000万円 × 4% = 120万円です。
年間生活費300万円から資産収入120万円を引くと、残りの生活費として必要な金額は180万円です。
つまり、年間で180万円、1ヶ月あたり額面でおよそ15万円の労働収入が必要となります。
1ヶ月15万円の金額は、ある程度好きな仕事だけでも十分稼げる可能性のある金額です。
サイドFIREを達成するためには、資産3,000万円という金額が一つの目安となるでしょう。
サイドFIREを実現するメリット
資産収入と労働収入という2つの収入源を持つサイドFIREには、次のようなメリットがあります。
- 「働く」ことの選択肢が増える
- FIREほどの大きな資金が必要ない
- 再就職する際のリスクが少ない
これらについて、詳しく解説していきます。
「働く」ことの選択肢が増える
サイドFIREを実現すると、「働く」ことの選択肢が増えます。
それは生活費のすべてを労働収入でまかなう必要がないからです。
収入は低いけれどもやりたかった仕事や、まったく経験のない仕事などは、生活費が確保できていないと挑戦しにくいでしょう。
サイドFIREを実現すれば、資産収入によって生活費の心配が軽減されます。
それによって、収入にかかわらず自分の好きなことを自由にチャレンジする余裕が生まれます。
好きなことに集中して取り組むことで、人生の充実度を高めることができるでしょう。
FIREほどの大きな資金が必要ない
既にお伝えしてきた通り、サイドFIREは通常のFIREほど大きな資金が必要ありません。
FIREで300万円稼ぐとなると、7,500万円もの資金が必要です。
一方、サイドFIREでは半分の3,750万円で、残りの150万円を資産収入で目指せば十分です。
現時点での収入がそれほど高くない場合でも、コツコツ積み立てることでサイドFIREは比較的早期に実現できます。
1億円近い資金を貯めるのは厳しいと感じる人は、働きながら自分らしく暮らすサイドFIREを検討してみましょう。
再就職する際のリスクが少ない
働き続けることを前提とするサイドFIREは、再就職する際にも有利です。
資産の減少やライフスタイルの変化によって、サイドFIRE後に再就職する可能性はゼロではありません。
再就職せざるを得ない場合でも、サイドFIREであれば働き続けている(キャリアに空白がない)のでハードルは低いでしょう。
通常のFIREで完全に労働をやめてしまうと、社会的にも心理的にも再就職が厳しくなります。
働く習慣を失わずにセミリタイアするサイドFIREであれば、万が一再就職することになっても抵抗感は少なく済みます。
サイドFIREのデメリット
ここまでサイドFIREの良い点を見てきましたが、デメリットもあります。
サイドFIREのデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- FIREほどの自由はない
- 資産収入は100%安定した収入にはならない
これらについて、詳しく見ていきましょう。
FIREほどの自由はない
サイドFIREでは、完全に労働から離れることはできません。
その分、通常のFIREに比べると自由度は低いです。
通常のFIREであれば労働する必要がないのはもちろん、やりたければ自分のペースで自由に働くこともできます。
サイドFIREの労働も自分のペースで楽しく続けるものですが、資産収入だけでは生活費が足りないため、ある程度の「義務感」はどうしてもつきまといます。
通常よりは自由であるものの、完全に自由ではないという点がサイドFIREの惜しい点だといえるでしょう。
資産収入は100%安定した収入にはならない
資産収入が安定しないのも、サイドFIREのデメリットです。
通常のFIREやサイドFIREでは、資産収入をおおむね年利4%と見積もっています。
しかし、これは絶対に得られるとは限りません。
不動産であれば空室リスクがありますし、株式であれば配当金が減配されたりなくなる可能性もあります。
サイドFIREの場合、働くことである程度リスクを軽減できます。
とはいえ、資産収入が安定しないのは生活にかかわる大きなデメリットといえるでしょう。
投資とは?行う目的や種類、リスクについてわかりやすく解説
サイドFIREを達成するための4つのポイント
サイドFIREを達成するには、以下4つのポイントを押さえましょう。
- 資産収入と労働収入のバランスを無理なく設定する
- 無駄な支出を減らす
- 資産を貯める段階では積極的に投資する
- 副業を始める
資産収入と労働収入のバランスを無理なく設定する
サイドFIREを実現するには、資産収入と労働収入のバランスを適切に取ることが大切です。
特に問題となるのは、資産収入が少なすぎる場合でしょう。
資産収入があまりにも少ないと、労働収入で生活費をまかなわなくてはなりません。
労働収入の割合が多くなればなるほど「稼ぐ」ための仕事につかざるを得ず、働く自由度は失われてしまいます。
こうなるとサイドFIREではなく、通常の生活に投資をしていることと変わりません。
サイドFIREの大きなメリットは、自分のペースで働きながら充実した暮らしを送れることです。
理想の生活を実現するためにも、まずは投資資金をしっかり貯めて資産収入を増やすことに注力しましょう。
無駄な支出を減らす
サイドFIREを達成するためには、無駄な支出を減らすことも必要不可欠です。
支出の無駄を省けば、その分のお金を投資資金に回せます。
無駄な支出を減らすには、家計簿アプリを活用するのがおすすめです。
支出を見える化することで、意識的に無駄を省けます。
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資産を貯める段階では積極的に投資する
サイドFIREだとしても、達成するにはある程度の資産が必要です。
資産を貯めるフェーズでは、積極的に投資しましょう。
投資で資産を貯めるには、NISAやつみたてNISAを活用するのがおすすめです。
NISAやつみたてNISAを利用すれば、投資から得た利益が非課税になります。
効率よく資産形成ができるでしょう。
資産を貯めれば貯めるほど労働収入の割合が減り、生活の自由度が高まります。
積極的な投資で資産の増加速度を加速させましょう。
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副業を始める
サイドFIREを少しでも早く達成したいなら、副業を始めることも選択肢の一つに入るでしょう。
副業で収入を増やすことで、投資に回すお金を増やせるため、結果的に資産の増加スピードを早められます。
毎月3万円の副業収入でも、1年続ければ36万円、10年続ければ360万円になります。
アルバイトやフリーランスなど働き方はさまざまですが、会社の就業規則を確認した上で、自分に合った副業を探してみましょう。
副業で一定の収入を安定して得ることができれば、サイドFIREを達成した後の労働収入源としても活用できるでしょう。
サイドFIREに失敗しないための4つのポイント
サイドFIREに失敗しないためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
無理なく始めて、望んだ生活を送れるように、あらかじめ確認しておきましょう。
安定した労働収入源を確保しておく
サイドFIREを達成した後も、労働収入源を確保しておくことが大切です。
資産収入だけで足りない分は、労働で収入を得る必要があります。
稼ぐ手段はアルバイトやパートなどさまざまな方法がありますが、できるだけ何歳になってもできる仕事を見つけ、スキルや知識を蓄えていける仕事を選びましょう。
動画編集やプログラミングなど時代に合った需要の高いスキルを身につけておくと、安定した収益を得やすくなります。
加えて専門的なスキルがあれば、仮に資産収入が大幅に減少してフルタイムで働かざるを得なくなったとしても、安定した職に就きやすくなるでしょう。
想定外の支出に備える
サイドFIREを達成しても、人生ではいつ何が起きるかは誰にも予測できません。
突然の介護や事故、冠婚葬祭など予測できない事態に備えて、ある程度の貯蓄は確保しておきましょう。
緊急時の生活費として備えておくべき「生活防衛資金」は、一般的に生活費の3ヶ月〜半年分が目安だと言われています。
総務省が発表している「家計調査報告(2022年平均結果の概要)」によると、2022年の各世帯の消費支出の平均は、二人以上世帯では290,865円、単身世帯においては161,753円でした。
この平均値から計算すると、二人以上世帯での生活防衛資金は約87万円〜約175万円、単身世帯では約49万円〜約97万円が目安の金額になります。
備えるべきリスクや生活費は世帯ごとに異なるため、具体的な必要額は自分でシミュレーションしてみましょう。
出典:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」
【2024】生活防衛資金の目安はいくら?一人暮らしに必要な金額や貯金との違い
分散投資でリスクを回避する
サイドFIREにおいては、資産を適切に分散しておくことも大切です。
一つの投資先に偏ってしまうと、市場の急落によって資産が減少したり、収入が激減したりする可能性があります。
例えば、高い配当を出す企業にだけ集中投資をしていたとします。
配当は企業の業績や経営方針によって減配となったり、停止したりすることが珍しくありません。
これを避けるためには、高配当株に投資する場合でも複数銘柄に分散して投資するか、株式だけではなく債券や不動産など異なる複数のの資産に投資するように心がけましょう。
バランスの良いポートフォリオを組むことで、リスクを分散し、安定した利益が期待できます。
分散投資とは?種類やポートフォリオの例もあわせてわかりやすく解説
専門家に相談する
サイドFIREを成功させるためには、資産運用やライフプランの作成、適切な家計の管理など考えるべきことが多くあります。
またサイドFIREを達成した後も、結婚や出産、住宅購入などさまざまなライフイベントに応じて、資金計画や運用ポートフォリオを見直す必要があるでしょう。
一人で適切に資金計画を立てるのが難しいと感じる方は、お金の専門家に相談するのも一つの手です。
ファイナンシャルプランナーに相談することで、専門的な知識をもとにサイドFIREのプランを立てることができ、成功に近づきやすくなります。
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まとめ:サイドFIREを実現して人生を充実させよう
サイドFIREは、「資産収入」と「労働収入」という2つの収入源から生活費を得る暮らし方です。
FIREとは違って働くことを前提としているため、少ない投資資金で済みます。
サイドFIREを実現するには、必要な生活費を明確にした上で、どれくらいの資産が必要かを把握することが大切です。
目標金額が決まったら、節約や投資で積極的に資産を形成しましょう。
サイドFIREが実現できれば、自分のペースで自由に働き、充実した暮らしを送れます。
自分らしい生き方を目指す人にとって、サイドFIREは実現可能かつ現実的な選択肢となるでしょう。
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記事監修者
マネカツ編集部
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