【投資コラム】つみてたNISAでリバランスをする方法~仕組みを徹底解説!~

複数の資産を組み合わせて長期間運用する「長期分散投資」は、リスクを抑えながら堅実なリターンを目指す投資手法です。
つみたてNISAは「長期分散投資」のための非課税制度ですが、資金を投じたまま放っておくとリスク軽減効果が薄くなるので、定期的なメンテナンスが必要になります。
それが「リバランス(資産配分の再調整)」です。ただし、通常のリバランスでは投資信託の売却が必要になるため戸惑う方もいるでしょう。この記事では、つみたてNISAに適したリバランス方法について解説します。
目次
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つみたてNISAとは
つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。主に次のメリットがあります。
運用益や分配金が非課税
通常、投資信託の利益(運用益・分配金)には、20.315%の税金(所得税+住民税+復興特別税)がかかりますが、つみたてNISAを利用すれば税金がゼロになります。
新規投資金額は年間40万円
年間の新規投資金額は40万円が上限。投資できる期間は20年なので、最大800万円が累計非課税投資上限額になります。
出典:金融庁
金融庁が厳選した投資信託
つみたてNISAでは、以下のような条件を満たした投資信託が、金融庁によって選ばれています。
①販売手数料がかからない(ノーロード)
②信託報酬(投資信託の保有コスト)が低い
③頻繁に分配金が支払われない
このような特徴がある「つみたてNISA」ですが、投資信託を長期で積み立てて運用する場合、組み入れている投資信託の基準価額(投資信託の価値)の上下によって、株式や債券などの比率が変わってきます。通常、比率が変わった時は「リバランス(資産配分の再調整)」が必要になります。
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リバランス(資産配分の再調整)とは
リバランスとは、投資信託の比率を調整することです。つみたてNISAのように最長20年と長い時間をかけて資産運用をする場合、投資信託の基準価額は毎日変動するので、定期的に組入比率の確認をしてリバランスする必要があります。具体例を見てみましょう。
たとえば、以下のような比率で投資信託を購入したとします。
国内債券型 35%
国内株式型 25%
外国債券型 15%
外国株式型 25%
この比率が、運用期間中に以下のように変わったとします。
国内債券型 25%
国内株式型 30%
外国債券型 10%
外国株式型 35%
株式市場の値上がりにより、国内株式・外国株式の比率が上昇し、国内債券・外国債券の比率が低下しました。
このような場合、値上がりした国内株式と外国株式を売却し、国内債券と外国債券を買い増しして元の比率に戻します。これが「リバランス」です。
リバランスの方法
リバランスの方法は以下の2つです。
手持ちの投資信託を売買する
通常のリバランス方法。さきほどの例のように値上がりして比率が上がった資産を売却して、比率が低下した資産を購入します。
減っている資産の買い増し(ノーセルリバランス)
しかし、通常のリバランスでは、つみたてNISAの枠(年間40万円)を使わないといけません。
そこで、つみたてNISAでは「ノーセルリバランス」を行います。ノーセルリバランスとは、減少している資産クラスの投資信託を買い増しすることです。
さきほどのリバランスでは、国内株式と外国株式を売却して、国内債券と外国債券を購入しました。しかし、ノーセルリバランスでは、株式型の投資信託はそのままで、国内債券と外国債券の投資信託を買い増しします。そして、元のポートフォリオ(資産配分)に戻ったところで買い増しを終了させるのです。
ノーセルリバランスなら、追加のつみたてNISA枠を使うことなく、効果的なリバランスが可能になります。
リバランスのタイミング
それでは、リバランスはいつ行うべきでしょうか。リバランスには、次の2つのタイミングがあります。
一定割合以上に資産配分が変わった場合
たとえば、株式が大きく値下がりして、最初の資産配分から-5%下がったら株式型投資信託を買ってリバランスすることです。ただし、暴落の時など大きく相場が動いてる時に買うのは勇気がいりますし、常に相場をチェックする必要があります。日中忙しい方は、そんな手間をかけることは難しいでしょう。
年1回など定期的にリバランスを行う
そこで、つみたてNISAのリバランスは、年1回など定期的なリバランスがオススメです。年末や誕生日など一定の日を決め、恒例行事として習慣づけ、日々のマーケットの値動きは気にしないようにします。
初心者にはバランスファンドがオススメ
ポートフォリオを組むには、自分で債券や株式の比率を決める必要があります。さらに効率的な資産運用をするには、最低年1回のりバランスをしないといけません。初心者には難しいと感じる方もいるでしょう。
そこでオススメなのが「バランスファンド」です。バランスファンドとは、株式だけあるいは債券だけといった一つだけの資産ではなく、株式と債券、株式と債券・REIT(不動産投資信託)など複数の資産を組み合わせて運用する投資信託です。
バランスファンド一つに投資しておけば、ポートフォリオを決めてくれるだけでなく、リバランスも自動で行なってくれるので、運用の手間を省くことができます。
つみたてNISAで人気が高いバランスファンドとして、「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」があります。ファンドの内容は以下の通りです(2019年5月31日時点)。
- 運用会社 三菱UFJ国際投信
- 基準価額 10,591円
- 純資産総額 08億円
- 信託報酬 年率1512%(税込)
購入時の手数料がなし(ノーロード)で、信託報酬も年率0.1512%と非常に低コストのバランスファンドです。信託報酬とは、投資信託を管理・運用してもらうためのコストで、保有している間ずっとかかる費用です。
ポートフォリオは、国内外の株式や債券・REITなど12.5%ずつ均等配分。リバランスも自動で行なってくれるので、投資家は一度購入すれば何もする必要はありません。
ただ、バランスファンドは安定した長期の資産形成が期待できるというメリットがあるものの、幅広い資産に分散投資しているため、株式メインで運用しているファンドのような高いリターンは望めません。
最初はバランスファンドをメインにしながら、投資に慣れてきたら株式をメインとした投資信託を買うなど、株式の比率を上げてリスクを取るようにしても良いでしょう。ただし、運用に手間をかけたくない方やリスクを抑えながら着実に資産を積み上げていきたいという方は、バランスファンド一本がオススメです。
つみたてNISAはネット証券で始める
つみたてNISAは、原則一人一口座しか開設できません。また、投資期間が20年と長いため、長期的な付き合いとなります。ですから、金融機関選びは非常に大切です。
つみたてNISAはSBI証券や楽天証券など大手のネット証券がオススメ。それは以下のような理由からです。
品揃えが豊富
SBI証券や楽天証券などは、つみたてNISA用の投資信託として150本前後そろえています。商品が豊富な証券会社を選べば選択肢も広がり、商品選びで困ることも少なくなります。
最低購入金額が100円
最低購入金額は1,000円からとなっている金融機関が多い中、SBI証券や楽天証券なら100円から始められます。また、積立頻度も毎日・毎週・毎月など定期的な積立が可能です。
2019年6月時点で毎日や毎週積立投資ができるのは 、SBI 証券と楽天証券だけです。
まとめ
この記事では、つみたてNISAのリバランスについて解説しました。つみたてNISAのリバランスは、減少している資産クラスの投資信託を買い増しする「ノーセルリバランス」がオススメです。
リバランスの頻度は、年1回など定期的に決めて行うようにしましょう。しかし、中にはリバランスは面倒だと感じる方もいるでしょう。
そのような方は、バランスファンドがオススメです。
つみたてNISAは長期で資産運用するものです。長い運用期間の中には、リーマンショックのように大きく値段が動く場面もあります。そのような時でも、なるべくストレスを感じないよう、長期で続けられる運用手法を確立するようにしましょう。
記事 山下 耕太郎
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記事監修者
マネカツ編集部
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