不動産投資用の物件は税金対策になる?その仕組みと注意点を解説
手取り収入を増やすためには、所得税や住民税などの負担を減らす「税金対策」がポイントになります。
さまざまな税金対策の方法がありますが、その中でも、不動産投資は効果的な税金対策のひとつです。
この記事では、不動産投資による税金対策の方法や仕組み、注意点などについて解説します。
不動産投資による税金対策のシミュレーションについても記載しているので参考にしてください。
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この記事の目次
不動産投資で税金対策が可能な3つの税金
不動産投資による税金対策が期待できる税金は、主に以下の3種類です。
- 所得税・住民税
- 贈与税
- 相続税
それぞれの税金について解説していきます。
1. 所得税・住民税
所得税とは、1年間の収入から経費や所得控除を差し引いた「課税所得金額」に対してかかる税金のことです。
給与所得や不動産所得、利子所得などが所得税の対象となっています。
住民税も所得税と同様、所得金額に対して課される税金のことです。
所得税が国に対して納める「国税」であるのに対し、住民税は居住している市町村や都道府県に納める「地方税」となっています。
所得税・住民税の負担を軽減することで、手取り収入を増やすことができます。
不動産投資は、この所得税・住民税の税金対策ができるので、上手く活用して税負担を軽減させましょう。
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2. 贈与税
贈与税とは、他人から無償で財産を受け取った場合にかかる税金です。
税金は受け取った側が支払い、対象となる財産は現金や株、不動産などが含まれます。
贈与税には年間110万円の基礎控除が設けられているため、課税されるのは110万円以上の贈与を受けた場合になります。
年間で合計110万円以下の贈与であれば、贈与税を支払う必要はありません。
なお、贈与税は以下の速算表で計算できます。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | – |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
不動産投資では贈与税の負担も軽減させることが可能です。
出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
3. 相続税
相続税は、亡くなった人から財産を相続した場合にかかる税金です。
相続税の基礎控除は「3,000万円 +(600万円×法定相続人の人数)」で計算されます。
この基礎控除額を超える財産を相続した場合に、「相続人」に対して税金が課されます。
残された家族が相続税の負担を軽減するためには、生前から税金対策を考えておくことが大切です。
不動産投資を通しても相続税の対策ができるため、早い段階で取り組みを検討することをおすすめします。
不動産投資で税金対策ができる仕組み
税金対策に失敗しないためには、不動産投資による税金の仕組みを理解することが大切です。
不動産投資によって、所得税や住民税、贈与税、相続税の負担を軽減することが可能ですが、その仕組みを理解していないと効果的な対策を取るのが難しくなります。
次に、不動産投資によって税金対策がどのように行われるのか、仕組みついて具体的に解説します。
所得税・住民税の税金対策ができる仕組み
不動産投資によって赤字が発生した場合、給与所得や事業所得から赤字分を差し引いて所得の計算を行います。
これを、「損益通算」といいます。
所得から赤字分を差し引くことで課税対象となる所得を減らせるため、結果として所得税・住民税の負担が軽減される仕組みです。
例えば給与所得が500万円の場合、通常は500万円に対して所得税・住民税が課されます。
しかし不動産投資で100万円の赤字が発生した場合、給与所得からこの赤字を差し引いた400万円が課税対象となります。
また、不動産の取得費用は「減価償却」という仕組みによって、法定の耐用年数分に分割して経費に算入可能です。
不動産取得にかかった費用を数年にわたって経費に計上していくことで、耐用年数が経過するまでの間は課税対象となる所得を抑えたり、赤字となった分を給与所得と相殺させたりすることができます。
損益通算や減価償却を活用することで課税所得が減り、所得税・住民税の負担が軽減されるのが不動産投資による税金対策の基本的な仕組みです。
法人化することで所得税・住民税を節約できる可能性も
不動産投資による収益が増えてきた場合は、法人化によって税金対策ができる場合があります。
なぜなら一定以上の所得になると、法人税の税率が個人で支払う所得税の税率よりも低くなるためです。
法人税の最大税率は23.4%ですが、個人の所得税の税率は最大で45%です。
課税所得が900万円を超えると、所得税の税率が法人税の税率を上回るため、課税所得(収益)が900万円以上になった場合は法人化した方が税金対策となるでしょう。
不動産投資によるリターンが大きくなってきた場合は、法人化による税金対策も視野に入れることがおすすめです。
贈与税と相続税で税金対策できる仕組み
贈与税や相続税が税金対策になる理由は、贈与や相続する不動産の「評価額」が同じ価値の現金と異なるためです。
現金よりも不動産で贈与・相続した方が税金の負担を軽減できる可能性が高まります。
相続税・贈与税は、基本的に「時価」ではなく国税庁が定めた「相続税評価額」により計算される仕組みです。
相続税評価額によって算出される不動産の評価額は、一般的に時価(実際の売買価格)よりも20〜30%ほど低い価格となります。
不動産の評価額が低いと、贈与税・相続税の課税額も低くなるため、効果的な税金対策となります。
配偶者や子どもに財産を残していく際の税金対策として、不動産投資を視野に入れておくと良いでしょう。
節税効果のシミュレーション
不動産投資による税金対策の有効性を判断するには、事前に税金対策効果をシミュレーションすることが重要です。
ここでは、以下の条件の会社員がどれくらい所得税・住民税の負担を軽減できるのかをシミュレーションします。
- 給与収入:年収600万円
- 東京都に居住
- 所得税の基礎控除:48万円
- 住民税の基礎控除
- 給与所得控除:164万円
- 社会保険料:90万円
- 不動産投資による赤字:50万円
所得税の税金対策効果
年収の600万円から控除額や社会保険料を差し引くと、所得税や住民税の対象となる「所得金額」が算出されます。
課税される所得金額は以下のように算出できます。
- 所得金額:600万円 -(48万円 + 164万円 + 90万円) = 298万円
課税所得が298万円の場合、所得税の税率が10%、控除額が97,500円となります。
税金対策をしない場合、所得税は課税所得に10%の税率を適用して算出します。
- 所得税額:298万円 × 10% – 97,500円 = 20万500円
不動産投資で税金対策をする場合、上述した条件の通り50万円の赤字が出ているため、課税される所得金額から赤字分を差し引きます(損益通算)。
- 課税所得:298万円 – 50万円 = 248万円
課税される所得金額をもとに、所得税を求めます。
- 所得税額:248万円 × 10% – 97,500円 = 15万500円
不動産投資で税金対策をすることで、元々20万500円だった所得税額が15万500円に減少し、5万円の税金対策効果が得られました。
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住民税の税金対策効果
年収600万円から住民税の基礎控除や給与所得控除、社会保険料を差し引いて、課税対象の所得額を算出します。
- 課税される所得金額:600万円 -(43万円 + 164万円 + 90万円)= 303万円
住民税は10%の所得割と5,000円(東京都の場合)の均等割が発生するため、以下の計算で住民税を算出します。
- 住民税:303万円 × 10% + 5,000円 = 30万8,000円
不動産投資で50万円の赤字が出た場合、
- 課税所得:303万円 – 50万円 = 253万円
- 住民税額:253万円 × 10% + 5,000円 = 25万8,000円
となります。
不動産投資の税金対策によって得られた税金対策効果は以下です。
- 30万8,000円 – 25万8,000円 = 5万円
こちらのシミュレーションでは所得税・住民税ともに5万円の税金対策効果が得られ、合計で10万円の税金負担が軽減できる計算になります。
なお、実際は収入や家族構成、不動産投資の赤字額などの条件によって結果が異なるため注意してください。
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不動産投資で税金対策をする際の注意点
最後に、不動産投資で税金対策をする際の注意点を紹介します。
これから不動産投資を始めようと考えている方は、トラブルを避けるためにも注意点を確認しておきましょう。
長期間保有すると税金対策効果は低くなる
不動産投資では、法定の耐用年数に応じて「減価償却」を行うことが可能です。
この減価償却期間中は、不動産の取得費用を経費に計上できるため、利益を減らすことができ結果として税金対策効果が狙えます。
しかし減価償却期間が終了しても不動産投資を継続する場合は、収入から減価償却費用を差し引けなくなり、税金対策としての効果は低下します。
さらに物件によっては、古くなると売却が難しくなったり、希望する価格で売れなかったりするリスクが発生する可能性もあるので、長期保有を想定する場合は物件選定も重要になります。
また、税金対策を主な目的として不動産投資を行う場合は、耐用年数を考慮することも重要です。
売却を急ぎすぎるとリスクが高い
不動産を売却して得た利益には「譲渡所得税」がかかります。
しかし、物件を所有していた期間が短い場合、譲渡所得税の税率が高くなることに留意する必要があります。
具体的には、不動産を所有してから5年以内に売却すると、譲渡所得税の税率は39.63%となります。
これを「短期譲渡所得」と呼びます。
一方、所有期間が5年以上経過してから売却すると、税率は20.315%となり、「長期譲渡所得」となります。
所有期間が5年以内の物件を売却すると税率が約2倍になるため、売却のタイミングを慎重に考えることが重要です。
収支が変動しやすい
不動産投資では、必ずしも毎月の収支が安定するわけではありません。
借り手がつかずに空室が続いたり、物件が劣化して修繕費がかかったりと、さまざまなリスクが想定されます。
不動産投資を始めても、必ず税金対策になったり収益が増えたりするわけではありません。
想定通りの収入や税金対策効果が得られない場合がある点にも留意した上で不動産投資を行いましょう。
税金対策だけにとらわれない
税金対策だけを目的とした不動産投資は避けることも重要です。
基本的には収益を増やしたり、資産形成を主な目的として不動産投資を行い、税金対策効果は副次的なものと考えておきましょう。
税金対策のためだけに高額な不動産を購入すると、かえってローンの返済などが負担になるリスクもあります。
税金対策が、経済的な負担になってしまうと本末転倒です。
税金対策のみにフォーカスした不動産投資は避け、収支などを含めた長期的なシミュレーションして計画的に取り組むことをおすすめします。
その他の税金対策方法も視野に入れる
個人でできる税金対策は不動産投資だけに限りません。
ほかにもさまざまな方法があるため、自分に合った方法を検討しましょう。
例えば、iDeCo(イデコ)やふるさと納税は税金対策として効果的な制度です。
不動産投資に比べるとリスクも低く、比較的始めやすい税金対策の方法になっています。
自分に合った税金対策方法を検討し、最適な取り組みを実施しましょう。
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税制についての理解を深める
税金対策を検討する際は、税制についてしっかりと理解することが大切です。
税制を理解せずに税金対策をすると、意図せず「脱税」になってしまうことがあるかもしれません。
特に、税金対策に関連する税制は定期的に改正されており、以前まで有効だった方法が無効になっていることもあります。
常に最新の情報をチェックし、正しい知識を持つことが大切です。
まとめ:不動産投資で効果的に税金負担を抑えましょう
不動産投資は、所得税や住民税、贈与税、相続税などの税金負担を減らすための手段のひとつです。
不動産投資を税金対策として検討する場合、税制に関する正しい知識を身に付けることが重要です。
税金についての知識を深めながら賢く税負担を軽減させていきましょう。
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