NFTの税金対策法は?確定申告の必要性や税金の計算方法を紹介!
近年、「NFT」と呼ばれる技術が注目を集めています。
このNFTの購入や売却などの取引によって利益が発生した場合は、税金を納める必要があります。
実際にどのような税金がかかるのかや、いつ支払う必要があるのかを理解してからNFT取引を始めることが重要です。
この記事では、NFTの所得区分や税金の計算方法、課税されるタイミングなどについて解説します。
NFTの取引で発生した利益に対する税金で気を付けるべきポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
NFTで儲けたら確定申告が必要
NFTとは「Non-Fungible-Token」の略で、日本語では「非代替性トークン」と呼ばれる技術です。
これにより、デジタルデータ(コンテンツ)が他と代替できない唯一無二(非代替性)のものであると証明できるため、デジタル資産の価値を証明するのに役立ちます。
NFTコンテンツの取引によって利益が発生した場合、その利益額に応じて確定申告が必要になります。
NFTで利益を得た場合確定申告を忘れずに行いましょう。
また、NFT取引について税務上の判断に迷った場合は専門家に相談するこをおすすめします。
会社員でも確定申告は必要?自分でするやり方やどのような人が必要か解説
NFTの所得区分
NFTでコンテンツを製作・販売して得た利益は一般的に営利目的であると見なされ、所得税法上の「事業所得」または「雑所得」のいずれかに該当します。それぞれ確定申告をする際の税金の計算方法が異なるため、どちらに該当するか判断しなければなりません。
事業所得と雑所得のどちらに該当するか判定する際は、事業規模や収入額がポイントとなります。
たとえば、副業で収入が300万円以下かつ帳簿の記入などをしていない場合は雑所得に該当するでしょう。
一方、メインの事業として継続的にNFT取引をしている場合は、事業所得に該当する可能性が高いです。
なお、自身の取引がどの所得区分に該当するか不明な場合は、国税庁に問い合わせることをおすすめします。
参考:国税庁「No.1525-2 NFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係」
NFTにかかる税金の計算方法
前述の通り、NFTを営利目的で販売した場合に発生する利益は「事業所得」または「雑所得」に該当する可能性が高いです。
ここでは、事業所得と雑所得の計算方法について解説します。
事業所得
事業所得は以下のように計算します。
- 総収入金額 – 必要経費
たとえば、NFT取引で得た総収入が400万円で必要経費が100万円の場合は、事業所得は300万円になります。
事業所得の所得税を計算する際は、上記の計算式で算出された事業所得から所得控除を差し引くことが可能です。
複式簿記で帳簿を作成し、青色申告で確定申告を行うと「青色申告特別控除」が利用でき、最大65万円の所得控除が適用されます。
この控除を活用することで、所得を抑えることができ、税負担も軽減される特徴があります。
雑所得
雑所得は以下のように計算します。
- 総収入金額 – 必要経費
基本的な計算方法は事業所得と変わりません。
ただし、雑所得では青色申告特別控除が利用できないため、基本的には事業所得のように税負担を抑える仕組みが使えません。
そのため、同じ程度の収入の場合は、事業所得よりも雑所得の方が税金の負担が大きくなります。
NFTで税金が課されるタイミング
NFTの取引をする際は、どういったタイミングで課税されるのかを把握しておくことが重要です。
ここでは、NFT取引における税金が発生するタイミングについて解説します。
NFTアートを作成して仮想通貨(暗号資産)を得る時
NFTアートなどのコンテンツを作成し、販売した場合は課税対象となります。
前述の通り、製作・販売の状況によって所得区分が異なるため注意が必要です。
メインの収入でなく、副業(300万円以下の収入)としてNFTアートを作成したり、趣味の範囲で製作・販売をしたりしている場合は雑所得となります。
一方で、事業的な規模で継続的にNFTアートを製作・販売している場合は、事業所得として課税対象となります。
NFTを仮想通貨(暗号資産)で購入するとき
NFTを購入する際、多くの場合、仮想通貨を使って支払います。
支払いの際、仮想通貨の価格が取得時よりも値上がりしていると、NFTの取引で利益が発生することになり課税の対象になります。
仮想通貨の値上がりによる利益額は以下のように計算します。
- 利益額:NFT購入時の仮想通貨の価額 – 仮想通貨取得時の価額
たとえば、1ETHを20万円で取得して持っているとします。
その後NFTを購入する際に、1ETHが25万円まで値上がりしていたとすると、その差額の5万円分が利益となり課税対象になります。
普段の買い物で現金決済する場合と仕組みが違うためイメージしにくいですが、仮想通貨でNFTの取引をする際にはこの点に留意する必要があります。
NFTを売却して仮想通貨(暗号資産)を受け取るとき
所有しているNFTを売却して仮想通貨を受け取る際、購入時よりも値上がりしている場合はその差額が利益として課税対象となります。
利益の額は以下のように計算します。
- 利益額:売却時のNFT価格 – 購入時のNFT価格
たとえば、NFTアートを「1ETH = 20万円」で購入したとします。
半年後に「1ETH = 25万円」まで値上がりした場合、このタイミングで売却すると、利益額は差額の5万円となります。
営利目的で繰り返し取引をしている場合は雑所得や事業所得として課税される可能性が高いです。
また、持っているNFTを一度取引した時に利益が出た場合は譲渡所得に該当する場合があります。
所得区分が不明な場合は、国税庁などに問い合わせて確認しておくことをおすすめします。
参考:国税庁「No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係」
ブロックチェーンゲーム
ブロックチェーンゲームとは、仮想通貨に用いられる「分散管理台帳」を応用したゲームのことです。
ゲームで遊びながらお金を稼げる仕組み(Play to Earn)となっているため、所得が発生すると課税対象となります。
ゲーム内でNFTのキャラクターやアイテムを購入したり、取得したNFTを売却したりする場合に課税対象になります。
また、仮想通貨を無償取得するケースなどでも課税対象になることがあるため注意が必要です。
その他NFT関連の取引
NFT関連銘柄を取引する際も課税対象となります。
エンジンコイン(ENG)やAxie Infinity(AXS)など、すでに取引所に上場しているNFT関連銘柄を取引すると、仮想通貨の税制に基づいて税金がかかる仕組みです。
仮想通貨の取引で得た利益(所得)は「雑所得」として扱われ、総合課税制度が適用されます。
総合課税制度とは、雑所得や給与所得などの総合課税制度の対象となる所得を合算して課税する制度です。
仮想通貨による利益が増えると、給与所得と合算した際の課税所得が増加し、税負担が大きくなる可能性があることを理解しておきましょう。
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NFT取引における税金で気を付けるべき4つのポイント
NFT取引における税金については、以下の4点に注意が必要です。
- NFT取引の日時や金額を記録する
- 美術品は非課税になることがある
- NFTアートの製作費は経費にならない
- NFT取引には消費税がかかる
1. NFT取引の日時や金額を記録する
前述の通り、NFT取引で利益が発生した場合は確定申告が必要になります。
しかし、NFT取引では株式投資や仮想通貨取引のように明細が発行されないため、自分で取引記録を残しておかなければなりません。
売買した日時や取引したNFTの内容、取引時の価格・手数料(ガス代)などを記録しておく必要があります。
確定申告の際にこれらの情報を整理するのは手間がかかるため、取引の度に記録しておくのがおすすめです。
2. 美術品は非課税になることがある
一般的な美術品などを売却する場合、1つあたりの価額が30万円以下の場合は「生活に必要な動産」とみなされて、譲渡による利益は非課税となります。
NFTアートを売却し、雑所得や事業所得には該当せずに譲渡所得に区分される場合、上記に沿って非課税になる可能性があります。
ただし非課税が適用されるのは「生活に通常必要な動産」であるため、デジタルアート作品をNFT化したNFTアート(デジタル資産)が「生活に必要な動産」に該当しない場合はこのルールが適用されない可能性もあります。
自分が取引したNFTアートの課税について不明点がある場合は、国税庁に確認しておくと間違いを防げるでしょう。
参考:国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」
3. NFTアートの製作費は経費にならない
前述の通り、NFT取引による所得の金額は「総収入金額 – 必要経費」で計算されます。
必要経費が増えると税金の負担も減る仕組みです。
しかし国税庁が発表した「NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)令和5年1月」によると、必要経費として認められるのは、NFTを組成するために要した費用の額であり、デジタルアートの制作費は含まれないとされています(2023年1月時点)。
取引にかかる手数料(ガス代)は経費として計上できても、制作時に購入したソフトウェア代等が認められない可能性が高いため注意が必要です。
4. NFT取引には消費税がかかる
NFTの有償の取引(販売)には、消費税が課されます。消費税が非課税となる仮想通貨の取引とは異なる点であるため注意が必要です。
仮想通貨の消費税が非課税となるのは、決済手段に分類されるものには税金がかからない仕組みとなっているためです。
しかし、NFTは資産としての側面が強く、決済手段としての使用が主な目的ではないため消費税が課されます。
NFT取引をする際は、仮想通貨の取引とは違う点を認識しておきましょう。
参考:国税庁「NFTに関する税務上の取扱いについて(情報)」令和5年1月13日
NFTの利益を申告しなかったときのペナルティ
NFT取引で利益を得たにもかかわらず、その利益を申告せずに納税しなかった場合、あとからペナルティが課される可能性があります。
ペナルティを課されると、本来支払うべき税金よりも多くの金額を支払うことになるため注意が必要です。
ここでは、得た利益を申告しなかった場合のペナルティについて解説します。
延滞税
延滞税とは、税金の支払い期限が過ぎてから税金を納めた場合に発生する税金のことです。
申告が遅れてしまった場合だけでなく、本来の税額よりも少なく申告していた場合も支払わなければなりません。
延滞税は以下のように計算します。
- 遅延税:本来納付すべき税金 × 延滞税率 × 延滞日数 / 365
遅延税額は、遅延日数に比例して1日ごとに増加していきます。
納付の期限から2ヶ月が経過すると延滞税率が高くなり、さらに負担が増すため、申告を忘れた場合は早急に納付手続きを進めることが大切です。
過少申告課税
過少申告加算税とは、確定申告で申告・納税した額が本来納付すべき額よりも少ない時に課される税金です。
税額の計算を間違えてしまったり、経費についての見解が違っていたなどにより、本来支払うべき金額よりも過少な申告をした場合に適用されます。
過少申告加算税は「増差額 × 10%」で計算されます。
ただし、新たに納める税額が「元々申告した税金」と「50万円」のいずれか多い金額を超えている場合は、増差分については15%の税率となります。
税務調査を受ける前に自主的に修正すると過少申告加算税は発生しないため、気付いた段階で早めに修正しましょう。
無申告加算税
申告期限までに確定申告を行わなかった場合、延滞税とは別に無申告加算税がかかります。
この税金は、本来納付すべき税額に対して適用され、50万円までは15%、50万円を超える部分については20%の税率で計算された金額が課される仕組みです。
なお、税務調査の前に自主的に期限後に申告した場合、無申告加算税の税率は5%まで軽減されます。
ペナルティによる負担を軽減させるためにも、申告をしていないことに気付いた段階で速やかに手続きを進めましょう。
まとめ:税金について理解した上でNFT取引を始めましょう
NFT取引では、NFTアートを制作・販売したり、所有しているNFTを売却したりするタイミングで税金が発生します。
取引の状況や規模によって所得区分が異なる場合があるため、不明な場合は国税庁などに確認することが大切です。
また、確定申告の期限までに申告をしていなかったり、申告額が本来よりも少なかったりすると延滞税などのペナルティが課されます。
時間が経過するごとにペナルティが重くなってしまうため、気付いた段階で早めに申告手続きをすることが大切です。
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