確定申告は、毎年1年間の所得を計算して、国(税務署)に納めるべき所得税の額を申告することです。

確定申告は自営業やフリーランスの人がするもので、会社員には関係ないというイメージを持っている方も多いかもしれません。

しかし働き方やライフスタイルが多様化している近年では、会社員でも副業を始めたために確定申告をしなくてはいけないケースが増えています。

この記事では、確定申告のやり方や会社員でも確定申告が必要なケース、年末調整との違いについて解説します。

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確定申告とは

確定申告とは

確定申告は、一般的には1年間の所得額と所得税額を確定する手続きです。

申告義務がある狭い意味での確定申告と、申告義務のない所得税を戻してもらうための申告(還付申告)に分けられます。

  • 確定申告(狭義):申告義務がある
  • 還付申告:申告義務はないが申告することで払いすぎた税金が戻ってくる

上記の2つをあわせて「確定申告」ということが一般的です。

所得税を納めるための申告手続き

基本的に確定申告の対象となる方は個人事業主や会社役員など、主に会社員以外の方です。

確定申告では、まず1月から12月までの1年間の収入から、給与所得控除や生命保険料控除などを引いた課税所得を出します。

そして、次の式のように課税所得に5%〜45%の税率をかけた金額が、税務署に申告する所得税額です。

  • 所得税額 = (収入 – 控除額) × 税率

申告する時期は、申告対象年の翌年の2月中旬から3月中旬までの確定申告期間です。

なお、住宅ローン控除や医療費控除によって納めすぎた税金を戻してもらう還付申告は、1月1日以降からでも行えます。

参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」

会社員は基本的に確定申告不要

確定申告はすべての方が申告する義務はありません。

会社から給与をもらっている会社員は、勤務先の会社が本人に代わって税金の申告・納税をしてくれるからです。

会社員が支払う所得税や住民税は、毎月の給与や賞与から社会保険料と一緒に天引きされて国やお住いの自治体に支払われています。

確定申告の代わりになるものが、勤務先の会社が年末に行う「年末調整」です。

納税も含めて勤務先の会社が対応してくれるため、会社員は基本的には自分で確定申告をする必要はありません。

年末調整との違い

「年末調整」は確定申告と同じように所得税額を確定する手続きです。

年末に1年間の社会保険料や、個人で支払った生命保険料・地震保険料などを一括で控除して、正しい所得税額を再計算します。

つまり、給与や賞与などから源泉徴収した所得税の「過不足」を調整する手続きとなります。

もし1年間で源泉徴収した所得税の合計が、年末調整により確定した所得税額よりも多ければ差額が戻り、少なければ追加で徴収されます。

年末調整があるため、基本的に会社員は確定申告を行う必要はありません。

ただし、副業で20万円以上の利益が出ていたり、投資で損益通算や繰越控除を受けたい場合など、状況によっては年末調整と確定申告の両方が必要になるケースもあります。

会社員で確定申告が必要な場合

会社員で確定申告が必要な場合

確定申告をする義務のある方がしないで所得税を納めないと、「無申告加算税」「延滞税」を支払うことになります。

確定申告をする義務のある方は忘れずに申告しましょう。

参考:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」

副業所得が20万円を超える場合

確定申告が必要な場合の一つ目は、副業による年間所得が20万円を超える場合です。

会社員は副業による所得を雑所得として確定申告する必要があります。

雑所得とは、1年間の副業による収入から経費を引いた額です。

副業による収入が年間20万円を超える場合であっても、雑所得が年間20万円以下であれば申告は必要ありません。

年収が2,000万円を超える場合

確定申告が必要な場合の二つ目は、会社員で1年間の給与が2,000万円を超える場合です。

1年間の給与が2,000万を超える方は会社で年末調整をしてもらえず、自分自身で確定申告をしなければいけません。

年末調整がないと社会保険料控除や配偶者控除などがされないため、自分で確定申告をして所得から控除をする必要があります。

2ヶ所以上から給与を得ている人

確定申告が必要な場合の三つ目は、2ヶ所以上から給与を受け取っている場合です。

2ヶ所以上から給与を受け取っている方は、基本的には給与が多い方の会社でしか年末調整ができません。

そのため、年末調整されていない給与とそれ以外の収入が20万円を超えている場合は確定申告が必要です。

この場合の確定申告の方法は、まず勤務先のすべての会社の源泉徴収票に記載されている給与を合計します。

次に、給与の合計額から給与所得者控除や生命保険料控除などを差し引き、給与所得を計算しなおして自分で確定申告をします。

なお、メインで働いている会社の給与以外と退職金以外の所得が、20万円以下であれば確定申告は必要ありません。

不動産を売却して利益が出た場合

譲渡所得がある場合は確定申告が必要です。

「譲渡所得」とは土地や建物、ゴルフ会員権などの資産の売却によって出た利益を意味します。

譲渡所得の金額の計算は次のとおりです。

  • 譲渡所得 = 譲渡収入金額 – 特別控除額 – (取得費 + 譲渡費用)

資産の売却によって利益が出た場合や、土地や建物の売却した場合に特別控除の適用を受ける場合は確定申告が必要です。

ただ、売却して譲渡損失が発生した場合は、基本的には確定申告をする必要はありません。

参考:国税庁「​No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)​」

各種控除を申請する場合

ここまで解説した確定申告が必要な場合のほかに、下記のような控除がある場合は「還付申告」と呼ばれる確定申告をすることで税金が戻ってきます。

  • 医療費控除
  • 住宅ローン控除
  • 寄附金控除

詳しくは次章の「会社員で確定申告が必要になる代表的なケース」で解説します。

会社員で確定申告が必要になる代表的なケース

会社員で確定申告が必要になる代表的なケース

確定申告をする義務のない方も、給与から源泉徴収された所得税額が実際に納付する所得税額よりも多いときは、還付申告と呼ばれる確定申告をすることで税金が戻ってきます。

参考:国税庁「No.2030 還付申告」

6自治体以上にふるさと納税した場合

6ヶ所以上の自治体へふるさと納税をした場合は、寄付金控除をするための確定申告が必要です。

ふるさと納税の納税先が5ヶ所以内であれば、納税先の自治体に申請して申告不要になるワンストップ特例制度が使えます。

しかし、6ヶ所以上の自治体に納税した場合は、ワンストップ特例制度が使えないため自分自身で確定申告が必要になります。

なお、「6ヶ所以上」とはふるさと納税の回数ではなく、自治体の数であることがポイントです。

年間の医療費が10万円を超える場合

1年間の医療費が10万円を超える場合は、医療費控除の対象となるため確定申告によって税金が戻ってきます。

年末調整では医療費控除の手続きができないため、確定申告をしないと所得税が戻ってきません。

医療費控除の金額は、1年間に自己負担した医療費から10万円を引いた額か、年間所得金額が200万円未満の方は所得金額の5%の額です。

自分の分だけでなく、家族の医療費もすべて合計して申告できます。

医療費のほかに病院への交通費や処方された薬の代金も含まれるため、1年分の領収証は捨てずに保管しておきましょう。

参考:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

住宅ローンで不動産を購入した場合

住宅ローンを利用して住宅の新築や取得、増改築などをした場合は、住宅借入金等特別控除の対象です。

例えば、2021年1月1日から2022年12月31日までに住宅を購入し住み始めた場合は、控除期間が13年間で10年目までの控除額計算式は次のとおりです。

  • 住宅借入金等特別控除 = ローン年末残高 × 1%

1〜10年目と11〜13年目までの控除額の計算式が異なるため注意してください。

また、住宅借入金等特別控除は、控除額が課税所得ではなく直接所得税から控除されます。

会社員の場合は、住宅ローンを利用した最初の年に確定申告をすれば、翌年からは勤務先の会社の年末調整で引き続き控除が受けられます。

参考:国税庁「No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」

株式やFXで損失が出た場合

株式やFXで損失が出た場合は、確定申告によってそれぞれ3年間にわたって損失の「繰越控除」と「損益通算」ができます。

繰越控除 損失が出たときに、その損失を3年間繰り越せる制度。
例えば100万円の損失が出た場合、3年間は100万円の利益が出るまで課税されないというものです。
損益通算 その年1年間の損益を他の所得と相殺できる制度。
例えば2つの株式口座を持っていて、1つ目が+60万円、2つ目が-40万円の場合、合計して20万円の収益として課税金額が算出されます。

なお、NISA口座は繰越控除や損益通算の対象ではないため注意してください。

参考:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」

年末調整で控除申告をしなかった場合

年末調整で生命保険料や地震保険料などの控除をしなかった場合は、確定申告をすると税金が戻ってきます。

控除されるものは上記のほかに「個人年金保険」や「iDeCoの掛け金」などです。

控除証明書の紛失による再発行遅れや、うっかりミスなどで年末調整をしなかった場合は、確定申告を忘れずに行いましょう。

自然災害や盗難によって損害を受けた場合

災害や盗難などで生活に必要な資産が損害を受けた場合は、雑損控除の対象であるため確定申告をしましょう。

災害には地震や台風など自然災害のほかに、火災や害虫による災害も含まれます。

確定申告をすることで、所得から生活に必要な資産で損害を受けた分が、所得税額から控除されます。

参考:国税庁「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」

確定申告のやり方

確定申告のやり方

確定申告の流れは、確定申告書を作成し必要な添付書類を添えて管轄の税務署に提出します。

確定申告書の作成方法は下記の3つです。

  • 手書き
  • オンライン作成
  • 税理士に依頼

必要書類を集める

まず、確定申告書を作成するために必要な書類を集めます。

主な必要書類は次のようなものです。

  • 口座情報(預金通帳・キャッシュカード)
  • マイナンバーカード(ない場合は、通知カードと公的身分証明書)
  • ID・パスワード(e-Taxの場合)
  • 収支がわかるもの(帳簿、領収書・レシート)
  • 医療費の領収書
  • 寄附金受領証明書
  • 保険料控除証明書
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 など

口座情報やマイナンバーカードは、確定申告の内容を問わず必要な書類です。

確定申告の内容によって必要になる書類が異なります。

参考:国税庁「確定申告の際にご持参いただくもの」

確定申告書を作成する

書類がそろったら書類を見ながら確定申告書を作成します。

郵送や持参する手間が省けるため、ネット上で申告書作成から提出までできる「e-Tax」の活用がおすすめです。

初めて確定申告する場合や複雑な申請が必要な場合は、税務署に行って職員と相談しながら申告書を作成しましょう。

税務署に提出する

確定申告書が作成できたら管轄の税務署に提出します。

確定申告書の提出期限は原則3月15日です。

もし、期限日を過ぎてしまうと延滞税や無申告加算税などのペナルティがついてしまうため、提出義務のある方は期限内に必ず提出しましょう。

提出方法として次の方法があります。

  • 税務署の窓口に直接持参する
  • 税務署に郵送する
  • 税務署の時間外収集箱へ投函する
  • e-Taxで提出(オンラインで作成した場合のみ)

簡単な申請の場合は、自宅から好きな時間に申請できるe-Taxの利用がおすすめです。

e-Tax以外で提出する場合確定申告書の写しを持参し収受印を押してもらいましょう。

収受印が押された確定申告書の写しが、確定申告をした証拠になります。

納税する(還付される)

確定申告書を提出後に追加納付する税金があれば、納期限までに金融機関や所轄税務署に行って自身で納付します。

キャッシュレス納付やQRコードを利用したコンビニ納付も可能です。

また、確定申告の内容によっては還付金として税金が戻ってくる場合もあります。

参考:​令和3年分 確定申告特集​「税金の納税や還付手続について」

確定申告したら副業が会社にばれる?

確定申告したら副業が会社にばれる?

確定申告をすることによって、住民税の額が原因で副業が会社にばれることがあります。

原則、確定申告をすることで副業による所得分の住民税額もあわせて会社に通知されます。

副業の住民税額を会社に通知されることを防ぐためには、確定申告書第二票の「住民税に関する事項」の「自分で納付」に丸印をつけてください。

丸印をつけることで給与・雑所得以外の所得の住民税は会社に通知されません。

副業分の住民税の請求書は自宅に届くため、住民税が原因で副業がばれる可能性は低くなるでしょう。

まとめ:会社員でも確定申告が必要な場合がある

会社員でも確定申告が必要な場合がある

会社員にとって確定申告は決して無関係ではありません。

不動産の売却や副業をしていない会社員でも、確定申告をすることで税金が戻ってくるケースがあります。

最近ではe-Taxの普及によってスマホやPCから簡単に確定申告ができるため、該当する方は申告をして払いすぎた税金を取り戻しましょう。

自分に合ったやり方で確定申告して、ペナルティや損が発生しないように注意してください。

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