資産運用する際は、目的やスタイルに合わせて適切な「金融資産」に投資することが大切です。

金融資産には貯金だけでなく、不動産や保険などさまざまなものが含まれます。

この記事では、金融資産の種類や実物資産との違い、両者を組み合わせて運用するメリットや方法をわかりやすく解説します。

金融資産とは何か

金融資産とは何か

金融資産とは、現金(お金)、または実態を持たないが資産として評価額を換算でき、現金化できる可能性の高い資産全般のことをさします。

商品の性質によっては、現金化するタイミングにより資産価値が大きく変動することがあります。

例えば、株式は日々価格が変動しており、株価が高い時と株価が安い時があるため、現金化するタイミングで資産価値が変動する金融資産です。

価格変動リスクは商品によって異なるため、安定性の高い資産構築を目指すなら保有する金融資産の種類やバランス配分を考える必要があります。

一方で、資産拡大を優先させたい場合は、価格変動リスクが高い金融資産を多めに保有する必要があるでしょう。

金融資産の種類

金融資産の種類

資産運用の目的は「安定性の高さ」や「資産を効率的に増やしたい」など人によって異なります。

それぞれの目的を達成するためには、各金融資産の特徴を把握することが大切です。

ここでは金融資産の種類について解説します。

現金・預貯金

手元にある現金と、銀行や信用金庫にある預貯金が該当します。

現金・預貯金は円だけではなく、ドルやユーロなどの外貨も含まれます。

外貨も現金・預貯金に分類されますが、円に換算した時の価値が日々変動しているため、保有する際には為替変動リスクに注意が必要です。

現金・預貯金は、他の金融資産と比較すると価値が大きく減少するリスクが少ない代わりに、大きく価値が増加する可能性も少ない点が特徴です。

そのため、ローリスク・ローリターンの金融資産といえるでしょう。

株式

株式は、企業が事業に必要な資金を調達するために発行するもので、売却益や配当金を得ることで資産を増やせる商品です。

日本株だけでなく、外国株も金融資産に含まれます。

比較的ハイリスク・ハイリターンな金融商品に分類され、大きく資産を増やす可能性がある反面、企業が倒産すると株価がゼロになる可能性もある点が特徴です。

債券

債券は投資家から資金を借り入れるために発行される金融資産です。

債券には発行体別に種類があり、国が発行する債券は「国債」、地方公共団体が発行する債券は「地方債」、企業が発行する債券は「社債」と呼ばれます。

日本の債券だけでなく、外国債券も金融資産に含まれます。

一般的に債券は株式よりもリスクが低く、現金・預貯金よりもリスクが高いとされている金融資産です。

リスクを抑えた資産運用をしたい方から人気を集めています。

投資信託

投資信託は、投資家から集めたお金を投資会社が運用する仕組みの金融資産です。

株式や債券と異なり自分で運用しませんが、金融資産に含まれます。

投資対象は株式や債券、不動産などがあり、リスクは投資対象によって異なります。

株式と同様、元本が保証されるものではないため、価格変動リスクを考慮する必要があるでしょう。

生命保険

貯蓄性のある生命保険は、金融資産に含まれます。

例えば、解約時に解約返戻金がある保険や、満期を迎えると満期保険金がある保険が金融資産にあたります。

一方で、保険料が掛け捨ての生命保険には貯蓄性がないため、金融資産には含まれません。

商品券・小切手

商品券や小切手も現金化できることから金融資産に含まれます。

ただし、ローンやクレジットカードの申請時など、金融機関に金融資産の保有額を申請する際は金融資産としてカウントされないケースもあります。

30代の種類別金融資産保有額

30代の種類別金融資産保有額

ここでは、30代の種類別の金融資産の保有額のデータを紹介します。

数字は金融広報中央委員会の調査データを引用しています(カッコ内の数字は割合を表しています)。

資産単身世帯2人以上世帯
総額327万円591万円
預貯金167万円
(51%)
261万円
(44%)
株式79万円
(24%)
69万円
(12%)
債券9万円
(3%)
5万円
(0.5%)
投資信託22万円
(7%)
23万円
(4%)
生命保険20万円
(6%)
131万円
(22%)
年金保険10万円
(3%)
40万円
(7%)

出典:知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和2年調査結果」
出典:知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年調査結果」

単身世帯の特徴

単身世帯では、株式の割合が預貯金の次に高くなっています。

もしもの時にお金を遺す必要性が低いため、資産拡大を優先して株式を保有している方が多いと考えられます。

債券と投資信託の保有割合も2人以上世帯より高いことから、単身世帯は積極的に資産拡大を目指しているといえそうです。

2人以上世帯の特徴単身世帯の特徴

2人以上世帯では、預貯金の次に生命保険の割合が高いです。

配偶者や子どもがいるため、もしもの時に十分なお金を遺せるように加入している方が多いと考えられます。

生命保険に回すお金が多い分、株式や債券、投資信託に回せるお金は少なくなっているようです。

金融資産の割合からは、もしもの時に備えつつ資産拡大も目指していることがうかがえます。

金融資産と実物資産の違い

金融資産と実物資産の違い

実態として価値をもつのが実物資産

実物資産とは形があり、それ自体に価値を持つものをいいます。

金融資産の対となる資産で、例えば不動産や金が該当します。

紙幣や株式などは、それ自体には価値がなく発行体の破綻や倒産によって無価値になる可能性もあります。

実物資産はインフレによる価値下落のリスクが低く、インフレに強い点がメリットです。

一方で金融資産と比較すると現金化しにくい点や、自然災害による損失や盗難のリスクがある点がデメリットといえます。

代表的な実物資産

代表的な実物資産について紹介します。

不動産

不動産は、主に下記のようなものが該当します。

  • 土地
  • マンション
  • 一戸建て
  • アパート
  • 太陽光発電機 など

不動産の特徴は、活用方法によってプラスアルファの利益を生み出せる点です。

例えば、マンションで空いている部屋を貸し出すと家賃収入を得られますし、コインパーキングやコインランドリーを運営すると利用料が得られるなど、資産を活用することでさらなる利益を狙えます。

貴金属

貴金属とは、一般的に高価な金属を指します。

貴金属は、主に下記のようなものがあります。

  • プラチナ
  • パラジウム
  • ロジウム

金の価格がイメージしやすいかと思いますが、貴金属は相場商品です。

価格の変動により、売却時に購入価格を上回る or 下回る可能性があります。

美術品

美術品には、絵画や工芸品などが該当します。

すでに市場で価値があるもの、あるいは時が経つと価値がつくと思うものを購入し、タイミングをみて売却することで値上がり益を狙います。

価値が急激に下がりにくいことや、長期的にリターンを狙いやすいことなどがメリットです。

その他

上記以外にも、形があって価値があるものは実物資産になります。

例えば、銅やアルミニウムのような非鉄金属や穀物、原油などです。

その他にも、高級時計や高級車、お酒、スニーカーなど、趣味で集めていたものの価格が上昇する、あるいはプレミア価格がつくものもあります。

金融資産のメリット・デメリット

金融資産のメリット・デメリット

金融資産のメリット・デメリットについて、実物資産と比較しながら解説します。

金融資産は換金性が高い

金融資産は流動性があるため、すぐに換金できる商品が多いです。

実物資産は、希望価格で購入してくれる買い手を見つける必要があることや、売買を成立させるまでの手間が多いことなど、金融資産と比較すると換金性は低くなります。

また、金融資産は流動性が高いため取引を行いやすい点もメリットです。

「購入したい!」と思った時に購入できる可能性が高いため、売買時のストレスはほとんどないといえるでしょう。

金融資産は分散投資がしやすい

金融資産は株式や債券、投資信託など、さまざまな商品に少額から分散投資できる点がメリットです。

分散投資をすると、1つの資産価値が大幅に下落した際に資産全体のダメージを抑える効果が期待できます。

一方で実物資産の場合、1つ1つの値段が金融資産と比較すると高額になることが多いため、資金力がないと分散投資が厳しい傾向にあります。

実物資産に比べて価値の変動が大きい

金融資産は実物資産と比較すると価格の変動幅が大きいことが多く、これはメリットにもデメリットにもなります。

価格変動が大きいため、資産を大きく増やすことがあれば、大きく減らすこともあるからです。

金融資産には株式や株式投資信託など、景気の影響により評価額が大きく変動しやすいものが含まれます。

金融資産と実物資産の運用方法

金融資産と実物資産の運用方法

資産三分法を採用する

資産三分法は、資産を「現金」「土地(不動産)」「株式」の3つに分けて所有するポートフォリオ理論です。

現金には、預金や金などの資産、株式には債券や投資信託などを含めて考えます。

資産三分法を活用するメリットは、価格変動リスクを緩和できる点です。

値動きの違う複数の資産を組み合わせることによって、価格変動リスクを緩和でき、安定性のある資産形成を目指せます。

それぞれの資産を同じ割合になるようにポートフォリオを組むほか、高いリターンを狙いたい場合は株式の比率を上げる、リスクを抑えてより安定性を高くするために現金・土地(不動産)の比率を上げる、といった方法もできます。

組み合わせることでリスクを低減できる

金融資産のメリットである「価格変動が大きい点」と、実物資産のメリットである「価格変動のリスクが少ない点」を組み合わせることにより、リスク低減できる効果が期待できます。

例えば、「有事の金」と呼ばれているように、資産形成のリスクヘッジとして金を購入するケースがあります。

戦争や紛争が起きた際や急激な景気後退があった時などに、金が人気を集めるため価格が上昇しやすいです。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で株価が暴落した際は、一時的に金の価格も下落しましたが、短期間で回復しその後はコロナ前の価格を超えていました。

金の価格の回復スピードは株価よりも早く、コロナショックにおいてはリスクヘッジとして機能していたといえそうです。

ただし、リスクを低減した分期待できるリターンが小さくなる点にもご注意ください。

まとめ:金融資産と実物資産を組み合わせる運用を検討しよう

金融資産とは、現金及び、現金化できる可能性の高い実態を持たない資産を指します。

株式や債券、投資信託などが該当します。

価格変動リスクが高く、大きく価値を上げることがあれば、大きく価値を下げることもある点が特徴です。

実物資産は、形があり、それ自体に価値がある資産を指します。

不動産や貴金属などが該当します。

金融資産と比較すると価格変動リスクが低く、消失しない限りは資産価値がなくならない点が特徴です。

資産運用をする際は、金融資産と実物資産を組み合わせることで、価格変動リスクを緩和し、安定性のある資産を形成しやすくなります。

資産運用に安定性を求める方は、株式や債券といった金融資産とは別に、実物資産をポートフォリオに組み込んでみてはいかがでしょうか。

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