分散投資は投資や資産運用における「価格変動リスク」を抑える手法として、富裕層の間で古くから行われてきました。そして現代、富裕層だけではなく、多くの日本人が分散投資で資産形成する必要があります初心者が分散投資をする方法として、どのようなものがあるのでしょうか。

この記事では分散投資のメリットやデメリット、そして方法についての解説と、積立NISAで可能な分散投資の方法について解説します。

分散投資とは

分散投資とは資金を複数に分散して投資することで、何かしらの原因で特定の資産の相場が悪化しても、投資を分散することでマイナス分をカバーすることができる考え方です。

投資対象を複数に分散させる手法

投資対象を複数に分散させるとは、投資先を「一つの資産集中させる」のではなく「複数の投資先に分けること」です。値下がりによる資産価値の減少リスクが軽減される効果を期待しています。

また分散投資の古くからある考え方として「資産三分法」と呼ばれるものがあります。これは資産運用では現金と株式、そして不動産の3つに分けて保有することを勧めているのです。この手法はそれぞれの資産が持つ弱点を補い合う手法として、現代でも取り入れている投資家が多くいます。

リスクヘッジになる

投資対象を複数に分散させる事によってリスクを低減させ、安定的に利益を得る可能性を高められます。

分散投資の性質を理解したところで、分散投資の具体的なリスクヘッジの方法について紹介したいと思います。

分散投資の種類とは

分散投資で考える4つの軸について解説します。資産運用で分散をするとき、様々な視点をバランス良く考えることをおすすめします。なぜなら資産運用では4つの軸がそのままリスクになるからです。つまり4つの軸をふまえて分散投資することはリスクをコントロールすることになるのです。

金融商品を分散する

はじめに解説する軸は金融商品の分散です。資産運用では数多くの種類の金融商品があります。これら金融商品の特徴をふまえて分散投資することは、安定した投資への第一歩です。では、分散投資の対象となる金融商品にはどのような特徴やリスクがあるのでしょうか。

株式:長期的なリターンを目指せるが株価低迷のリスク

株式は資産運用の対象としてもっとも知られたものです。株式は企業の所有権として株主となり、企業価値の向上による株価や配当の上昇を目指します。一般的に株式の価値向上は経済成長にしたがって高まるというメリットがあるのです。

一方で株式は景気の変動によって株価が乱高下するリスクがあり、不況期で現金に換えようとすれば低迷した株価で売却せざるを得ません。また企業によってはビジネス自体が衰退し、企業価値が低下するリスクもあるのです。したがって分散投資では幅広い株式に投資することで、リスクを抑えた運用をするのが一般的です。

債券:株式よりも安定しているが金利変動の影響を受ける

次にポピュラーな資産として債券があります。債券とは政府や地方公共団体、そして企業が投資家からお金を借りるために発行する証券です。債券を発行するに当たってあらかじめ満期日と利息が決められます。そして債券を買った投資家は満期日までの間、利息を手に入れられるのです。そして満期日が来れば買った金額がそのまま戻ってきます。

このように債券は定期預金に近い、安定した運用ができることがメリットです。しかしデメリットとして、満期前に換金しようとすると元本以下で売却せざるを得ない可能性があります。また債券の発行元が経営(財政)破綻すると元本が返却されない可能性も考慮する必要があります。

不動産:活用しやすいが保有コストが必要

不動産とは土地と土地に付随する建物を指します。また近年では土地の権利を証券化したREITと呼ばれるものに投資することができるのです。不動産は実物がある資産のため、企業の倒産や政府の財政破綻といった投資先の消失リスクがありません。また不動産は他人に貸して収入を得るだけでは無く、自らが住居として活用することができます。(例:自分の土地にマンションを建てて、一室を自らの住居にする)

一方で不動産は他の資産とは違ったデメリットがあります。それは活用していなくても、保有コスト(固定資産税など)が必要なことです。つまり不動産として収入が無い状態でもコストが発生します。また不動産は場所によっては分割が難しいため、切り売りや相続で問題が発生しやすい点も見逃せません。

その他:資産は管理コストが必要

資産運用で用いられる資産には他にも原油や穀物といった「コモディティ」と呼ばれるものや、宝飾品や美術品があげられます。また近年では仮想通貨の普及が顕著です。しかしこれら資産を初心者が無理に手を出す必要はありません。なぜなら以下のような理由があるからです。

【各種資産での運用をおすすめしない理由】

  • コモディティ:本来は実際に商品を取り扱う人たちが利用するもの
  • 宝飾品・美術品:資産として扱うには維持管理にコストが必要
  • 仮想通貨:制度が未熟でリスク管理が難しい

分散投資の例:「株式×債券」

したがって資産の分散投資では株式と債券に分けて運用することが基本です。なぜなら株式と債券の間には「株価が割高になると債券が割安になる」といった関係が成り立つからです。一般的に景気が良くなると株価は高くなります。そのため株価は割高となり、同じ投資金額でも買える株式の量が減るのです。一方景気が良くなると金利は上昇します。そして債券も金利が上昇するため同じ投資金額でも得られる利息が増えるのです。

逆に景気が悪くなると株価は下がり、金利は引き下げられます。よって同じ投資金額でも株式を多く買うことができ、債券で得られる利息は減ってしまうのです。

このように株式と債券の関係を利用すれば、どのような経済状況に合っても最適なリターンを得られる分散投資ができるのです。

地域を分散する

次に分散投資で考える軸は、地域の分散です。株式と債券の分散投資ができても、同じ地域だけの投資では不十分な分散投資になります。なぜなら地域によって経済リスクが異なるからです。では地域によってどのような違いがあるのでしょうか。

先進国はローリスク・ローリターン

先進国とは、日本をはじめ北アメリカやヨーロッパ諸国のことを指します。これらの国は経済的な発展が進んでおり、政治面でも比較的安定した国です。そのため低いリスクで投資することができます。一方で人口の増加が緩やかな国が多いため、経済成長も緩やかです。そのためリターンは低くなるデメリットがあります。

新興国(発展途上国)はハイリスク・ハイリターン

新興国とは先進国と比べて経済的に遅れている国を指します。これらの国は経済成長率が高いため、リターンが高くなるのです。特に東南から西アジア、そして中南米諸国が注目されています。

一方でこれらの国は政治や社会システムに未熟な点が多く見られます。そのため経済状況への影響が大きく、リターンが大きく変動するリスクがあるのです。

分散投資の例:「日本×外国」

地域の分散投資では日本、先進国と新興国の3つに分けて投資するという形が一般的です。日本への投資は成長性に劣りますが、後述する為替変動のリスクを軽減することができます。

通貨を分散する

金利と円高・円安リスクをコントロールする

世界では国や地域ごとに独自の通貨が用いられています。そのため様々な通貨で資産運用することは、分散投資の手段として考えるべきです。今世界的には日本円の価値は高いと言われています。しかし諸国の経済成長によっては日本円の価値が低減する可能性があるのです。

為替変動のリスク軽減

例えば日本企業・アメリカ企業、それぞれの株式に分散投資していたとします。そして通貨が円安ドル高になったとき、アメリカ企業の株式は株価が同じでも価値が高くなるのです。一方で円高になってしまうと、アメリカ企業の株式は価値が落ちてしまうリスクがあります。

利回りの高い通貨・低い通貨

新興国など経済成長の著しい国の通貨は、定期預金や債券の金利が高くなる傾向があります。そのため外国においても株式と債券の分散投資をすることで、より高いリターンを得ることができるのです。ただし新興国の場合、国家の財政が不安定なことがあり、定期預金や債券の価値が下がってしまうリスクが高いことも知っておきましょう。

基本的な分散は「日本円×米ドル」

したがって通貨の分散では地域の分散に近い運用が一般的です。リターンの高い新興国通貨にも分散しつつも、自国通貨である日本円と基軸通貨であるアメリカドルを中心とした運用をおすすめします。 

時間を分散する

最後に解説する分散の軸は「時間の分散」です。はじめて聞く人にとって時間を分散するという考え方に慣れないかも知れません。しかしこれまで解説した3つの分散投資を行っても、時間の分散が不十分だと投資の効果が減ってしまうのです。

価値の変動リスクを利用する

ここまで解説した分散投資では、投資対象それぞれにリスクがあることが分かります。しかしそのリスクはいつ発生するかが分かりにくいのです。この「いつ発生するか?」というリスクを分散するのが時間の分散が持つ役割になります。

好不況に関係なく投資を続ける

実際に投資をはじめると以下のような疑問にぶつかります。それは今景気が良いのか悪いのかはっきりしないことです。また仮に経済状況が分かったとしても、それがいつまで続くのかは分かりません。であれば、一度に全額を投資に充てるのでは無く、時間を開けながら一定の金額を投資していくことで、どのような経済状況になっても一定のリターンを得ることができるのです。

ドルコスト平均法は典型的な時間分散投資

このように時間の分散を使った投資法の1つに「ドルコスト平均法」と呼ばれるものがあります。これは定額購入法とも呼ばれ、積立貯金のように一定額を決めて、その範囲内で買える資産に投資していくのです。

ドルコスト平均法が持つメリットは投資額を一定にしながら安定した分散投資ができることです。例えば、毎月1万円をドルコスト平均法で株式投資するとします。仮に開始当初の株価が5,000円だと2株しか買えません。ところが株価が下落し1,000円になると10株買うことができるのです。

分散投資のメリットとは

安定した資産運用ができる

分散投資はこれまでに述べたとおり、安定した運用ができることが最大のメリットです。例えば退職金や相続などでまとまった現金を手に入れたとき、分散投資で安定した運用をしながら生活資金として切り崩していく方法があります。

どの資産が価値を高めても恩恵を受けられる

分散投資では1つの資産に集めることをしません。

そのため将来どの資産の価値が上がってもリターンを得ることができます。

資産の大幅な減少を防ぐことができる

分散投資は守りの投資です。そのため資産の減少を食い止める効果が期待できます。

例えば株価は時に大幅な下落を起こすことがあります。しかし株価が下落しても他の資産に値動きの影響がなければ、被害を最小限に抑えることができます。

分散投資のデメリットとは

短期的に大きなリターンが得にくい

一方で分散投資はリスクを抑えるため、大きなリターンを得ることは難しくなります。分散投資をすればするほど運用成績は平均的になっていくのです。

したがって少ない資金から大きな財産を築きたいと考える人には分散投資をおすすめできません。

投資先の管理が大変になる

過度に分散投資を行うと、管理すべき資産の種類が多くなります。そのため各資産の状況を十分に把握できなくなり、かえって危険な資産運用になるのです。

また資産が少額のうちは、過度に分散投資をすると管理するコストが割高になる可能性があります。

売りたい時に売れない

資産の内容によっては取引が活発ではないものがあります。このような資産を運用に組入れると、買ってくれる相手が少ないため、売りたいときに売れない可能性があるのです。

例えば安いからといって不人気の不動産を手に入れても、借り手や買い手が出てこないケースがあります。

投資初心者でも安心な分散投資におすすめの商品

近年の日本では分散投資を効率的に行える制度ができあがっています。それは「積立NISA」と呼ばれる制度です。積立NISAは積立投資で時間の分散をしながら、資産と地域、そして通貨の分散ができる投資信託が多数設定されています。

eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)

「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」とは国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内不動産投資信託証券および先進国不動産投資信託証券の8つの資産に均等に投資する商品性の投資信託です。

たわらノーロードバランス(8資産均等型)

「たわらノーロードバランス(8資産均等型)」とは国内外の株式、債権および不動産投資信託証券に投資する商品性の投資信託です。

Smart-i 8資産バランス安定型

「Smart-i 8資産バランス安定型」とは国内、先進国、新興国の債券・株式ならびに国内および不動産投資信託証券等に投資する商品性の投資信託です。

このように積立NISAで分散投資ができる投資信託は数多くあります。そして投資信託によって分散比率に違いがあるのです。そのため皆さんの生活環境や考え方によって好みの投資信託を選ぶことができます。

まとめ:分散投資でリスクを軽減しましょう

多くの人は将来の不測の事態を考えて貯金をし、保険などに加入します。そして資産形成においても同じことがいえるのです。短期的にせよ長期的にせよ、将来を正確に予測することは困難です。であれば、分散投資をすることでどのような未来にも適応できる資産形成をされてみてはいかがでしょうか。

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