「新築祝い」は、新築物件の購入・引っ越しの際に贈るお祝いの品を指します。

長く続く風習として当たり前のように行われていますが、初めての方にとっては、「相場はいくらなのか」「マナーやタブーはあるのか」など、疑問点が多々あるでしょう。

この記事では、新築祝いの相場や注意点、贈る際のポイントを解説しています。

おすすめの贈り物も紹介しているので、新築祝いを贈る際は参考にしください。

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新築祝いとは

新築祝いとは

「新築祝い」とは新築物件を建てたり、新築物件に引っ越した家族や知り合いに贈るお祝いのことです。

戸建てやマンションなどの住宅区分にかかわらず、新しく物件を建てた場合は新築祝いにあたるほか、企業がオフィスや店舗を新築した場合も同様です。

新築祝いの起源は古く、日本では数百年前からこの風習が存在していたようです。

実際に、江戸時代から明治時代にかけて作られた「家見舞(いえみまい)」という古典落語のなかで、新築祝いとして水瓶をプレゼントする場面が登場しています。

昔からの風習として存在している新築祝いですが、正しい知識を身に付けておかないとかえって相手に失礼となってしまう場合があるため、贈る際のポイントを押さえておきましょう。

新築祝いを贈る際のポイント

新築祝いを贈る際のポイント

新築祝いを贈る際のポイントは以下の通りです。

  • 入居後1~2ヶ月してから贈る
  • 新築マンションへ引っ越した場合も贈る
  • 現金で渡す場合はご祝儀袋を使う
  • 贈る相手との関係性によって金額感が異なる

それぞれのポイントを詳しく解説します。

入居後1〜2ヶ月してから贈る

新築祝いを贈るタイミングは、入居後1~2ヶ月後が目安となります。

入居後1〜2ヶ月経つと引っ越し後の各種手続きや片付けなどがおおよそ終わり、落ち着き始めている頃だからです。

ただし、新築のお披露目会として住居に招かれている場合は、そのタイミングで新築祝いを渡しても良いでしょう。

お披露目会に贈り物が間に合わないようなら当日に菓子折りを渡し、後日あらためて正式な新築祝いを渡すのが適切です。

新築マンションへ引っ越した場合も贈る

「新築祝い」は、戸建てだけではなく新築マンションに引っ越した場合も対象となります。

一方、中古の戸建てやマンションを購入した方には、「引っ越し祝い」を贈ります。

他にもリフォーム・改築を行った方に贈る「改築祝い」「増築祝い」や、企業がオフィスや事務所を移る際に用いられる「移転祝い」など、新築祝いと意味が混同しやすい言葉もあります。

「新築祝い」は、戸建てやマンション、オフィスなどを新築した場合か、新築型の住居に引っ越す場合が対象になる点を覚えておきましょう。

現金で渡す場合はご祝儀袋を使う

新築祝いを現金で渡す場合は、「ご祝儀袋」を使うのがマナーです。

ご祝儀袋には、「水引(みずひき)」と「印刷タイプ」の2種類があります。

1万円以上の現金を贈る場合は水引を、1万円未満なら印刷タイプを使うのが一般的です。

水引のご祝儀袋は、お祝い事に使用される紅白の「蝶結び」タイプを選びましょう。

何度でも結び直せる蝶結びには、何度あっても嬉しいお祝い事という意味があるからです。

ご祝儀袋の書き方

ご祝儀袋の表書きには、「新築御祝」「祝御新築」「御新築祝」「御祝」のいずれかを記入し、水引の下側に自分の名前を書きます。

新築物件ではなく賃貸物件に引っ越した方には、「御餞別」を用いるのが一般的です。

文字の色が薄いと弔事として捉えられてしまうため、できるだけ墨の濃い筆や筆ペンで記入しましょう。

現金ではなく贈り物を渡す場合

現金以外の贈り物を渡す場合は、その品物を「熨斗(のし)」で包みます。

熨斗の種類や記載方法は現金の場合と同様で、紅白の蝶結びの水引が付いたものを選び、墨の濃い筆や筆ペンで表書きや名前を記入します。

贈り物を配送してもらう場合、熨斗に汚れや傷が付かないよう、熨斗をかけた上から包装してもらう内熨斗(うちのし)を利用すると良いでしょう。

手渡しするなら、外側から表書きを確認できる外熨斗(そとのし)がおすすめです。

贈る相手との関係性によって異なる

新築祝いの金額は、相手との関係性によって変化します。

以下の表のように、相手との関係性が近くなるほど相場が上昇しやすくなります。

贈る相手新築祝いの相場
両親50,000 ~ 100,000円
兄弟・親戚10,000~30,000円
息子・娘50,000~100,000円
10,000~100,000円
甥・姪30,000~50,000円
友人5,000~10,000円
職場の方5,000~10,000円

上記の金額は、あくまで一般的な相場です。

血のつながっていない相手だとしても、家族ぐるみの付き合いがあるような親しい関係の方には、相場よりも高い新築祝いを贈ることもあります。

新築祝いの相場

新築祝いの相場

両親や兄弟、子どもなど、贈る相手との関係別に新築祝いの相場を紹介します。

また、贈る相手によって異なるマナーやおすすめの贈り物についてもあわせて解説します。

新築祝いを贈る際の目安にしてください。

親への新築祝い相場

自分の両親に新築祝いを贈る場合、一般的な相場は5~10万円です。

親や子の年齢、家庭の状況によっても金額は大きく異なります。

たとえば、経済的に余裕がない場合は1~2万円程度でも十分に気持ちは伝わるはずですし、贈る側に兄弟がいればそれぞれがお金を出し合って1人あたりの負担を抑えるのも良いでしょう。

親に現金以外の贈り物を渡す場合は、体験型のギフトを贈ると喜ばれるかもしれません。

温泉旅行のギフト券や国内のクルージングチケット、お食事券などを贈ることで、両親だけではなく家族で思い出を作ることができます。

兄弟や親戚への新築祝い相場

兄弟や親戚への新築祝いの相場は1~3万円です。

兄弟で年上から年下に贈る場合は、気持ち多めの金額にしても良いでしょう。

身内の間柄で、相手も欲しいものを伝えやすいことが多いため、お金ではなく直接欲しいものをヒアリングしてからプレゼントするのもおすすめです。

親戚の場合、距離感や関係性によって金額や贈り物を変えます。

たとえば、昔からお世話になっている親戚へは予算を高めにして、年に1回顔を合わせる程度であれば、金額を抑えるのもひとつです。

あまりにも高額な品を贈ってしまうと相手が気を遣ってしまうこともあるため、関係性によって金額を調整するのもマナーだといえるでしょう。

子ども(息子・娘)への新築祝い相場

親から子へ新築祝いを贈る場合は、5~10万円が相場です。

子どもへの新築祝いとしては、現金以外にさまざまな選択肢があります。

たとえば結婚を機に新築物件を購入した場合は、新たな家族との生活がより豊かになるように家電や家具を贈るケースも珍しくありません。

そのほか、新築物件の建築費や引っ越し費用として祝い金を贈ることもあります。

直接血がつながった相手だからこそ、金額にこだわらず相手にとって必要なものを選ぶと良いでしょう。

孫への新築祝い相場

祖父母から孫へ新築祝いを贈る際の相場は、1~10万円と幅が広めです。

孫の喜ぶ顔が見たいと思い、つい多めに贈ってしまう方も多いでしょう。

親が子に新築祝いを贈るときと同様、新生活に役立つ家電や家具を贈ったり、物件の購入費や引っ越し費用の一部を肩代わりするパターンが多いようです。

甥や姪への新築祝い相場

甥や姪への新築祝いの相場は3~5万円です。

お祝い事では、目下の相手に多めに包むのが通例となっているため、そのほかの親戚よりも高額な金額になりやすいといえます。

現金以外で贈り物選びに迷った際は、甥や姪の親(自分の兄弟)に必要なものや欲しいものを尋ねるのもひとつの方法です。

関係性にもよりますが、自分の親や子と違って相手に気を遣わせてしまう可能性もあるため、あまりにも高額すぎる贈り物を選ばないようにするのが無難です。

友人への新築祝い相場

友人や知人など、親しい間柄にある方に新築祝いを贈る場合は、5,000~1万円が相場です。

友人・知人の場合は一般的に、新居に呼ばれた際のおもてなしが返礼代わりとなります。

相手の好みや趣味を把握している場合は、それに応じた贈り物がおすすめです。

ほかにも地酒やワイン、食器類、スイーツ、インテリア雑貨もおすすめですが、相手に気を遣わせないよう1万円以内の予算におさめると良いでしょう。

職場の方への新築祝い相場

職場の方に贈る場合も、友人や知人と同じく5,000~1万円程度が相場です。

個人で渡すだけでなく部署内で贈り物をひとつにまとめる場合もあるため、この場合は1人あたりの負担が1,000~2,000円程になることもあります。

また目上の方に現金を贈るのは、失礼にあたるという認識が一般的です。

そのため、目上の方に新築祝いを贈る場合はスイーツや酒類のほか、相手の好みで選べるカタログギフトを選択することをおすすめします。

新築祝いの注意点・タブー

新築祝いの注意点・タブー

新築祝いを贈る際の注意点やタブーを紹介します。

「火」を連想させるものや日本茶は避ける

新築祝いで注意すべきなのは、贈り物の種類です。

たとえば、「火」(火事)を連想させるものは縁起が悪く、弔事の定番である日本茶も新築祝いには避けるべきでしょう。

一般的に新築祝い時にタブーとなる品は以下の通りです。

タブーとなる品理由
火を連想させる品ライター、たばこ、コンロ、キャンドルなど。
赤い花や赤い品なども火を連想させてしまうため、新築祝いではタブーとされる。
日本茶・海苔弔事の定番品なので、基本的に祝い事には用いない。
包丁・刃物類「切れる・絶える」といった言葉を連想させるため、新築祝いにはふさわしくない。
ハンカチ相手に別れをイメージさせてしまう。
壁にかけるもの新築したばかりの家の壁に穴を開けることになるため。
靴・スリッパ・マット何かを踏み付ける行為を連想させることから、特に目上の方への贈り物には避けるほうが無難。
バッグ・腕時計「しっかりと働くように」という意味に読み取られることもあるので、仕事に関係する品は上司に贈るのはタブーだとされている。

現金を贈る場合は奇数が無難

一般的な日本の風習では、お祝い事は1・3・5の奇数、反対に弔事は4・9という数字が用いられます。

新築祝いで現金を贈るときは、金額を5,000円・1万円・3万円といった奇数にそろえるようにしましょう。

お祝い事に偶数が合わないのは、数字を割り切れることが「割れる・別れ」を連想させてしまうためと言われています。

現金は新札を準備する

新築祝いは、「新札」を包むのがマナーとされています。

新札の場合、手元にあるお金を急遽包んだのではなく、早い段階からお祝いの準備をして心待ちにしていたという気持ちが伝わりやすいからです。

新札を用意する際は、銀行や郵便局の窓口で対応してもらえます。

また、金融機関によっては新札に両替できるATMを提供していることもあるので、上手く活用しましょう。

目上の相手への現金は控える

目上の方に現金や商品券渡すのは失礼にあたる可能性があるため、注意が必要です。

このような考え方になっている理由は、「買うものを自由に選びなさい」という上から目線の印象を与えてしまうことや、「お金に困っている」という意味で捉えられる点など諸説あります。

いずれにせよ、現金や商品券を贈るのは立場が上から下の者へ、収入が多い人から少ない人へという考え方が多いようです。

親しい友人や部下へ現金を贈る分には問題ありませんが、上司や目上の知人に対しては、品物やカタログギフトを選ぶのが無難でしょう。

新築祝いにおすすめのギフト

新築祝いにおすすめのギフト

新築祝いとして現金以外の贈り物を選ぶ際は、使い道や置き場所に困らないシンプルな品やお菓子、お花などがおすすめです。

親しい方であれば、事前に好みや欲しいものを聞いておくのも良いでしょう。

ここでは、新築祝いにおすすめのギフトを4種類紹介します。

タオル

糸を紡ぎ合わせて作るタオルは、人と人との関係をつなぎ合わせるという意味があり、縁起の良いプレゼントだと言われています。

タオルは実用性が高いからこそ数が多くても邪魔にはなりません。

新居への引っ越しの際にタオルを処分した方にとっては、有り難い新築祝いになることでしょう。

カタログギフト

どのような品を贈ろうか迷ったときは、カタログギフトがおすすめです。

相手はカタログを見ながら自分の好みの商品を発注できるため、贈り先の趣味や嗜好を把握する必要がありません。

カタログギフトには、幅広い商品が掲載されている総合カタログと、特定ジャンルの商品を集めた目的別カタログの2種類があります。

ある程度相手の好みを把握している場合は目的別カタログを、欲しいものに目星が付けられないときは総合カタログを選ぶと良いでしょう。

観葉植物・花

その場に根付くという意味があることから、観葉植物や花も縁起の良い贈り物です。

観葉植物や花を贈る際に気を付けたいのが、商品のサイズです。

あまりにも大きな観葉植物や花は、置き場所に困る場合が多く、育てるのにも手間がかかるため、一般的には机や棚のうえに飾れるサイズがおすすめです。

お酒・お菓子

お酒やお菓子も、新築祝いの定番の贈り物です。

消費すると手元に残らず、保管・管理する手間がかからないメリットがあります。

また、新築のお披露目会として自宅に招かれた際に、友人や知人と一緒に楽しめるのもポイントです。

ボックスやラッピングなどを行い、贈り物としての印象にもこだわると良いでしょう。

まとめ:新築祝いの相場とマナーを理解して贈りましょう

新築祝いの相場とマナーを理解して贈りましょう

新築祝いといっても、贈る金額や品物の内容は相手によって大きく異なります。

両親や子、孫のような関係が近い人ほど高額に、上司や同僚、知人など、関係性が離れるほど相場が低くなるのが一般的です。

贈る相手のことをよく考えたうえで、適切な金額や贈り物を選択しましょう。

どのような人に贈るにせよ、入居後1~2ヶ月経過してから渡す、タブーとなる贈り物は選ばないといったマナーを守ることが大切です。

新築祝いの相場やマナーを理解しておくと、その贈り物によって相手との関係がより良好なものになるでしょう。

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