企業の本来の価値よりも株価が割安だと判断できる銘柄に投資する手法を「バリュー株投資」といいます。

これは投資の神様と呼ばれる「ウォーレン・バフェット」も実践する投資手法で、長期投資にも適した方法です。

この記事では、「バリュー株」「グロース」それぞれの違いやメリット・デメリットを解説します。

ご自身の投資目的に合う銘柄を選定できるよう参考にしてください。

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バリュー株(割安株)とは

バリュー株とは

「バリュー株」とは、企業本来の価値よりも株価が割安な銘柄のことです。

投資する際には、割安かどうか、将来的に本来の企業価値まで株価が戻るかどうかに着目します。

バリュー株への投資は「1万円が入っている財布を5千円で購入する」などと喩えられます。

本来の価値よりも割安な株価の状態で購入し、その後、本来の価値と釣り合う株価に向けて上昇するとリターンを得られます。

利益や企業価値と比較して株価が安い銘柄

バリュー株は割安株とも呼ばれ、企業が生み出している利益や保有している資産に対して、現在の株価が割安な状態にある銘柄を指します。

バリュー株かどうかを判断するためには、その企業が発表している決算書などから業績や財務状況を読み取り、株価と比較しつつ分析します。

PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの企業価値に関わる指標が、競合他社や市場平均、自社の過去平均と比べてどのくらい割安な水準かで判断するのが一般的です。

インカムゲイン(配当益)狙いの投資

株式投資で得られる利益は「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2種類に分けられます。

キャピタルゲインは、株式の値上がりによって得られる売買益のことです。

これに対して、インカムゲインは、株式を保有している間に受け取れる配当や株主優待を指します。

バリュー株投資で期待できるのは、特に後者のインカムゲインです。

バリュー株の多くはすでに成熟した企業であるため、これからさらなる成長を目指すというよりは、配当・株主優待といった株主還元に注力している企業が多いという特徴を持ちます。

そのため、株価の上昇を期待するのではなく、長期で株式を保有して配当や株主優待を貰い続けるという投資スタイルに適しています。

グロース株(成長株)との違い

バリュー株と対比されるのがグロース株です。

グロース株は成長株とも呼ばれ、その名の通り今後も高い成長が見込まれる銘柄のことを指します。

業績が急拡大している企業や、これから世に出る新しい商品やサービスを手掛けている企業がグロース株に当てはまるでしょう。

バリュー株はすでに業績が安定していて堅実に利益が期待できる企業が多く、株価が安定しやすいのに対し、グロース株は成長を先取りする形で株価が上昇する場合が多いです。

金利上昇局面ではグロース株が下落しやすく、相対的にバリュー株が優位になりやすいという特徴もあります。

バリュー株を見つける際のポイント

バリュー株を見つける際のポイント

PER(株価収益率)を確認する

PER(株価収益率)は、企業が生み出す利益に対して、現在の株価が何倍かを表す指標です。

バリュー株は本来の企業価値よりも過小評価されている = 株価が割安であるため、PERが低いほど割安だといえます。

PERは「株価/1株あたり純利益(EPS)」で求められます。

例えば、オリックスの2022年3月期の決算書によると「1株当たり当社株主に帰属する当期純利益(EPS)」は259.37円です。

2022年10月14日時点でのオリックスの終値は2,122円であるため、PERを算出する計算式は次のとおりです。

PER = 株価/EPS = 2,122円/259.37 ≒ 8.18倍

この時点でのオリックスのPERは8.18倍と計算できます。

東証プライム市場に上場する全銘柄の平均PERは14〜15倍程度で推移しており、一般的にはこの水準が割安・割高を判断する指標となります。

ただし、業界によってはPERの平均が上下する場合もあるため注意しましょう。

出典:オリックス株式会社「2022年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)」
出典:株式会社日本取引所グループ「規模別・業種別PER・PBR(連結・単位)一覧」

PBR(株価純資産倍率)を確認する

PBR(株価純資産倍率)は、企業が保有する資産に対して、株価が何倍かを表す指標です。

企業の純資産から見て株価が割高か割安かを判断するために用いられ、「株価/1株あたり純資産」で求められます。

純資産は事業を廃止したときに株主に戻る資金であることから、解散価値とも呼ばれます。

一般的に、PBRが1倍を下回っている場合は、株価が企業の解散価値を下回っている状況だと考えられるため、割安だといえるでしょう。

ROE(自己資本利益率)を確認する

ROE(自己資本利益率)は、その企業が自己資本をどれだけ効率よく使って、利益を稼ぎ出しているかの指標です。

ROEは、「当期純利益/自己資本×100」で計算されます。

ROEが高い会社は、投資家が投資したお金を上手に使っている会社と判断することも可能です。

日本経済新聞によると、東証プライム上場企業の2021年度の自己資本率(ROE)は9.7%となっています。

一般的に、ROEが10以上の企業は資本効率の良い企業だといえるでしょう。

出典:株式会社 日本経済新聞社「上場企業の21年度ROE9.7% 4年ぶり高水準 欧米とは差」

自己資本比率を確認する

自己資本比率とは、企業の総資本に対する自己資本の比率です。

企業の財務の健全性を分析するための指標として用いられることが多く、一般的には自己資本比率が高いほど財務が健全な企業だと考えられます。

貸借対照表の負債の部の合計が他人資本、純資産の部の合計が自己資本で、2つを合計したものが総資本です。

自己資本比率は「自己資本/総資本(他人資本+自己資本)× 100%」と計算できます。

業種にもよりますが、平均的な自己資本比率は30〜50%程度で、50%を超えると高い水準といえそうです。

配当利回りの高さを確認

バリュー株投資では、主に長期保有による配当益を期待して投資します。

そのため、銘柄選びでは配当利回りの高さも重要です。

配当の金額が大きいということは、それだけ株主還元を意識している企業だとも判断できます。

一般的に配当利回りが3〜4%の銘柄は高配当株とも呼ばれ、株式市場でも物色されやすくなります。

ただし、配当利回りだけを見て銘柄を選ぶのは危険なため、上述した指標の数値も確認しながら投資する銘柄を選ぶように心がけましょう。

バリュー株おすすめ銘柄8選

バリュー株のおすすめ銘柄を紹介します。記事内で扱うデータは、閲覧いただいている段階では古い可能性があります。

実際に投資する際は、株価や配当利回り、配当政策など、最新の情報をご確認ください。

オリックス【8591】

オリックス【8591】

オリックスはリース事業や金融事業など、幅広い事業分野を展開する企業です。

ローンの保証会社である「オリックス・クレジット」や保険商品の開発・販売を行う「オリックス生命」のほか、プロ野球球団の「オリックス・バファローズ」を有する企業としても知られています。

現在実施している株主優待制度は2024年3月をもって廃止になることが決定していますが、それでもバリュー株としての魅力は大きい銘柄です。

配当時期 1株あたりの配当 配当利回り
2022/03 85円 3.47%
2021/03 78円 4.18%
2020/03 76円 5.84%

オリックスの配当利回りは3〜5%程度で推移しており、高い水準の配当を維持しています。

事業の多角化によって収益構造も安定化しており、長期投資に適した銘柄だといえるでしょう。

2020年の前半はコロナショックによって株価が大きく落ち込みましたが、2020年の終わりから2021年にかけては勢いを取り戻しています。

2022年に入ってからは少し伸び悩んでいますが、それでもコロナショック以前の株価よりは高い水準です。

三菱UFJフィナンシャル・グループ【8306】

三菱UFJフィナンシャル・グループ【8306】

三菱UFJフィナンシャル・グループは日本を代表する金融グループです。

傘下には「三菱UFJ銀行」や「三菱UFJニコス」などがあります。

こちらも新型コロナウイルスの影響で株価は下落したものの、現在は回復しています。

配当時期 1株あたりの配当 配当利回り
2021/03 25円 4.22%
2020/03 25円 6.20%
2019/03 22円 4.00%

2021年末時点の配当利回りは4.49%です。株価が下落した際でも減配せず、2021年3月期では増配しています。

現在は新型コロナウイルスの影響で売上が減少していますが、収束後には元の水準に戻ることに期待できます。

配当利回りが高い点や、コロナ収束後に株価回復が期待できる点からおすすめの銘柄です。

東京海上ホールディングス【8766】

東京海上ホールディングス【8766】

東京海上ホールディングスは、国内外で保険事業を展開する東京海上日動グループの持株会社です。

「東京海上日動火災保険」を含む損害保険事業や生命保険事業、その他金融事業と幅広く展開しています。

新型コロナウイルスの影響で下落した株価は、2021年末時点では回復しています。

売上高そのものはコロナ前とあまり変わっていないため、今後にも期待が持てます。

配当時期 1株あたりの配当 配当利回り
2021/03 235円 4.46%
2020/03 225円 4.55%
2019/03 250円 4.66%

2021年末時点の配当利回りは3.86%です。2019年から2020年にかけて減配がありましたが、全体で見ると増配傾向にあります。

コロナ禍でも売上を維持していたこと、収束後の株価上昇に期待できる点、高い配当利回りを維持しつつ増配傾向にある銘柄である点からおすすめの銘柄です。

コニカミノルタ【4902】

コニカミノルタ【4902】

コニカミノルタは、デジタル複合機(コピー機)を中心に扱うデジタルワークプレイス事業を国内外に展開しているほか、ヘルスケア事業なども展開している会社です。

株価はもともと下落傾向にあったところに新型コロナウイルスの影響で大きく下げています。

現在は回復してきていますが、コロナ前水準には戻っていないため、捉えようによっては割安であるともいえます。

配当時期 1株あたりの配当 配当利回り
2021/03 25円 4.17%
2020/03 25円 5.69%
2019/03 30円 2.75%

2021年末時点の配当利回りは5.80%です。

2020年3月期は最終利益が赤字で、減配がありました。続く2021年3月期も赤字でしたが、配当は維持され、2022年3月期には1株あたりの配当が30円に増配される見込みです。

今後、純利益が黒字になる見通しであることや、現在の株価が安値であることなどからおすすめの銘柄です。

日本電信電話【9432】

日本電信電話【9432】

日本電信電話(NTT)は、「NTTドコモ」や「NTT東日本」などを傘下に抱える通信事業の持株会社です。

直近の株価は、上場後最高値を記録しています。NTTドコモを完全子会社化したこと、NTTドコモの電子決済サービスが好調なことから、2021年は過去最高の売上でした。

配当時期 1株あたりの配当 配当利回り
2021/03 105円 3.69%
2020/03 95円 3.69%
2019/03 90円 7.65%

2021年末時点の配当利回りは3.51%です。

株価が上昇しているため、配当利回りは低下しています。とはいえ、11期連続で増配しているため、今後も高い配当利回りが期待できます。

現状の株価が割安水準である点や、安定した配当収入が見込める点でおすすめです。

商船三井【9104】 

商船三井【9104】

商船三井を含む大手海運株もバリュー株として知られています。

主力の事業である海運事業は、船でさまざまな荷物を運ぶ事業です。

船に乗せる積荷量や積荷価格は世界の景気動向や需給によって大きく左右されるため、景気によって業績の良し悪しが激しい銘柄でもあります。

数年前までは、市況価格の下落によって海運銘柄全体の経営は非常に厳しい状態でしたが、コロナ禍を経てコンテナ船の需要が高まったことを背景に、一気に業績が回復しました。

配当時期 1株あたりの配当 配当利回り
2022/03 400円 11.7%
2021/03 50円 1.29%
2020/03 22円 1.26%

業績回復に伴い、商船三井は2022年3月期決算において、大幅な増配を実施しました。

さらに2022年7月には、2023年3月期の予想配当も100円引き上げて500円にすると発表しています。

発表通りに増配が実施されれば5期連続の増配となり、配当狙いの株主にとってはかなり魅力的な銘柄となるでしょう。

株主優待として、商船三井客船が運行するにっぽん丸のクルーズ優待券も株式数に応じて付与されるため、船旅が好きな方にもおすすめです。

ENEOSホールディングス【5020】

ENEOSホールディングス【5020】

ENEOSホールディングスは、日本最大手の石油元売り企業で、収益の大部分をエネルギー事業で稼ぎ出しています。

業績は資源価格に影響されやすく、特に原油の需給や価格動向によって売上高が大きく増減します。

直近、原油価格の上昇によるインフレなどの世界経済への影響が懸念されていますが、ENEOSホールディングスを含むエネルギー業界の銘柄にとって、資源価格の上昇はポジティブ材料です。

配当時期 1株あたりの配当 配当利回り
2022/03 22円 4.80%
2021/03 22円 4.39%
2020/03 22円 5.95%

ENEOSホールディングスは、安定して配当利回りが高いという特徴もあります。

2018年頃には900円前後の高値をつけていますが、その後米中貿易摩擦の激化やコロナの感染拡大などによって株価が下落しています。

ここ数年間は、基本的に400円台〜500円台で推移しているため、長期保有狙いの投資家にも保有しやすいでしょう。

武田薬品工業【4502】

武田薬品工業【4502】

武田薬品工業は、国内の医薬品大手です。

医薬品や日用品は、景気が悪くても購入を控える人が少ないため、景気鈍化に強いディフェンシブ銘柄として知られています。

現在は景気の先行き不透明な状態が続いていますが、これらのセクターは景気が低下しても業績が悪化しにくいという点で優位性があるでしょう。

配当時期 1株あたりの配当 配当利回り
2022/03 180円 5.15%
2021/03 180円 4.52%
2020/03 180円 5.44%

武田薬品は、長年にわたって配当180円を維持し続けています。

これまで業績の上下があっても減配を実施していないため、今後の配当にも安定感が期待できます。

4〜5%程度の配当利回りを期待したいという人にはおすすめの銘柄です。

バリュー株投資のメリット

バリュー株投資のメリット

リスクが低い

バリュー株はグロース株と比較して、価格の変動幅を示すボラティリティが低いです。

価格の変動幅が小さい傾向があるため、リスクが低いといえます。

また、バリュー株投資をする際は、割安な銘柄、つまり今でも十分に安い銘柄へ投資していることを踏まえると、株価が下落する際も大きな下落は起こりにくいと考えられます。

安定した配当を受けられる

バリュー株は配当や株主優待を安定して出し続けている企業が多いです。

購入した時点での株価に対して、1年間でどのくらいの配当がもらえるかを示す、配当利回りが高い企業もあります。

株式投資のリターンとして、売却益ではなく、配当や株主優待といったインカムゲインを重視する投資家におすすめです。

バリュー株投資のデメリット

バリュー株投資のデメリット

大きな運用益は期待できない

価格の変動幅が小さいため、バリュー株投資では大きな運用益は期待できません。

株価が何倍にも上昇して大きなリターンを狙いたい方には向いていないといえます。

また、割安な銘柄である、ということは成長性が高くない可能性が考えられます。成長性が高い銘柄は投資家からの人気が集まる傾向にあるため、割安な状態で放置されにくいです。

成長性が高くないならば株価が大きく伸びるとは考えにくいため、この点からもバリュー株投資では大きな運用益が期待しにくいといえます。

割安な理由がマイナスなこともある

バリュー株へ投資する際は、なぜ割安なのかをしっかりと理解しましょう。

PERやPBRだけを見て割安と判断し投資すると、将来的に株価が回復せずにむしろ下落する、というケースも考えられます。

割安な理由にはシンプルに業績が悪かったり、財務体質に問題があるケースもあります。

将来的に株価が上昇するかどうか、しっかりと見極めましょう。

配当金は減配・廃止もあり得る

配当狙いの長期投資先としても安定感のあるバリュー株ですが、配当は必ず支払われ続けると約束されたものではありません。

業績の悪化や経営方針の変更などにより、減配や配当が廃止になる可能性も0ではないという点に注意しましょう。

株式を購入したらそのままにしておくのではなく、少なくとも数ヶ月や半年に一度は投資先の企業の業績や財務状況を確認するのをおすすめします。

まとめ:バリューの特徴を把握しよう

バリュー・グロース株の特徴を把握しよう

バリュー株への投資では、長期的に比較的高い配当が期待でき、価格が安定しやすいといったメリットがあります。

一方で、配当が減配または廃止となるリスクや、グロース株投資に比べて値上がり益が期待しにくいなどのデメリットも存在します。

バリュー株投資を始める際は、今回紹介したポイントを参考に、自分に合った投資手法かどうかをよく見極めた上で挑戦するようにしましょう。

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