給与明細はいつまで保管するべき?保管すべき期間や理由、方法を解説
会社員は、毎月会社から「給与明細」が発行されます。
給与明細は雇用保険の受給時や未払い賃金の請求時などに必要となるため、しっかりと保管しておくことが大切です。
しかし、毎月発行される給与明細が溜まっていき、保管に困るケースも少なくありません。
この記事では、給与明細の役割やいつまで保管するべきか、保管すべき理由を解説します。
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この記事の目次
給与明細の役割
給与の計算根拠を記載した書類
「給与明細」とは、給与の支給額や控除額などの計算根拠が記載された書類のことです。
毎月の給与支給のたびに発行され、収入を証明する書類として用いられます。
給与明細には、支払われる給与や手当のほかに、健康保険料や所得税などの控除額、勤務時間や出勤日数、残業時間などの勤怠情報も記載されています。
会社から給与明細を受け取ったら、残業時間や手当部分などに間違いがないかを確認し、間違っている点があれば速やかに担当部署に申し出ましょう。
給与明細の発行は法令上の義務
給与明細については、所得税法第231条で以下のように明記されています。
- 居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。
つまり、会社は従業員に対して給与明細を発行しなければならないということです。
また、給与明細は正社員だけでなく、パート・アルバイトにも区別なく交付されます。
給与明細の保管期間
「給与明細」は保管義務があるものではなく、保管期限に決まりも設けられていません。
収入を証明する書類については、給与明細以外に源泉徴収票や住民税額決定通知書などがあるため、必ずしも保管する必要はありません。
しかし、いくつかの理由から給与明細を一定期間保管しておくことをおすすめします。
5年間の保管が理想
給与明細を保管する場合、できれば5年間保管しておくのが理想です。
5年間保管しておきたい理由は、以下の2点です。
- 未払いの賃金は過去5年にさかのぼって請求できるため
- 所得税・住民税の控除や還付を受ける場合の時効が5年であるため
未払いの賃金を請求する権利の消滅時効はもともと2年でしたが、2020年4月1日の法改正によって5年に延長されました。
当面の間は3年とされていますが、いずれ5年まで延長される予定であるため、5年は保管しておきましょう。
また、ふるさと納税や高額医療費控除などで控除・還付を受ける場合、確定申告が必要となります。
還付・控除の時効が5年であるため、あとから還付や控除を申請できるように5年間は保存しておくのが理想です。
参考:厚生労働省「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」
参考:国税庁「No.2030 還付申告」
最低でも2年間の保管を推奨
雇用保険の被保険者であった方が退職した場合、一定の条件を満たすと2年間の時効の範囲内で給付金を申請することができます。
その際に、毎月の給与支払額の証明書類として給与証明が必要となります。
退職して収入がなくなった場合や働くことが困難となった場合、雇用保険の「失業等給付」の支給を受けることで生活が支えられます。
将来の転職や退職を考えている場合は、過去2年分の給与明細を保管しておくと安心です。
参考:東京ハローワーク「雇用保険の給付金は、2年の時効の期間内であれば、支給申請が可能です」
給与明細を保管する理由
給与明細は、保管しておかないとさまざまな申告をする際に困ることがあります。
ここでは、給与明細を保管しておくべき理由について解説します。
収入の証明になる
ローンや賃貸を契約する場合、収入を証明する書類の提出を求められるケースがあります。
このようなケースでは、給与明細で毎月の給与収入を証明することが可能です。
収入の証明は源泉徴収票で行うことが多いですが、直近の収入を証明するために給与明細の提出を求められることもあります。
また、給与未払いで支払われるべき給与等が支払われていない場合にも、本来の給与を証明する書類として用いることができます。
思いがけないトラブルの際に必要になる可能性もあるため、給与明細は大切に保管しておきましょう。
確定申告時に必要になる
確定申告をする際には「給与所得」の記入が必要となるため、正確な給与所得額を把握するために、給与明細があると便利です。
一般的に確定申告は自営業者やフリーランスが行うものですが、会社員でも副業や仮想通貨などで給与以外の収入がある場合は確定申告をします。
また、ふるさと納税や高額医療費控除など、控除や還付を受ける場合にも確定申告が必要です。
確定申告をする必要があるケースに該当する場合は、給与明細をしっかりと保管しておきましょう。
会社員でも確定申告は必要?自分でするやり方やどのような人が必要か解説
雇用保険申請時に必要
何かしらの理由で失業をした場合、雇用保険に加入していれば給付金の申請ができます。
給付金は退職前の賃金をもとに計算するため、給与明細が必要です。
失業手当の申請時には、会社から渡される離職票が必要となります。
離職票と給与明細を照らし合わせて、雇用保険の給付金に間違いがないか確認しておきましょう。
厚生年金の確認時に必要
給与明細は、厚生年金保険料支払いの証明にもなります。
これまでの厚生年金保険料について確認したい場合に、給与明細を利用することが可能です。
例えば、厚生年金の加入期間や未納期間の確認が必要になったときにも給与明細は役に立ちます。
過去の厚生年金保険料支払いについて確認できるように、給与明細をしっかりと保管しておきましょう。
再発行までに時間がかかる場合がある
給与明細を無くしてしまった場合、会社に再発行を依頼することができます。
労働基準法では賃金台帳の作成と、その5年間の保管が義務付けられているため、5年以内であれば再発行が可能です。
ただし、再発行は法的に義務付けられておらず、あくまでも会社の任意となります。
再発行までに時間がかかるケースもあり、給与明細を必要とする書類の申請期限に間に合わなくなる恐れもあるため注意が必要です。
思うように再発行ができない可能性があることを踏まえ、自身できちんと給与明細を保管しておきましょう。
給与明細の保管方法
ファイルで保管
給与明細は、ファイリング方法を工夫して時系列ごとに保管するのがおすすめです。
時系列で保管すると、あとから必要な期間の給与明細を見つけやすくなります。
例えば、100均でクリアファイルを購入して年度別に分けたり、2穴ファイルやバインダーで時系列にファイリングしたりすると、必要なときに探しやすくなります。
また、ファイルに年代を書いておくと取り出しやすくなるため便利です。
どこに保管したか分かるように本棚や戸棚に専用の保管場所を作っておくことをおすすめします。
スキャンアプリでPDF化して保管
紙の給与明細のままで保管するのに不安があったり、過去のものをすべて保管しておきたい場合、スキャンアプリでPDF化して保存することをおすすめします。
時系列でフォルダーを作って保管しておくと、いざというときに探しやすいでしょう。
データで保管することで場所を取らずに管理しやすい反面、データが消失してしまうリスクもあります。
PDFで保存する場合は、万が一のためにバックアップを取っておくと安心です。
まとめ:給与明細はしっかりと保管・管理しておきましょう
給与明細には、給与の支給額や控除額、勤怠情報などが記載されており、未払い賃金の請求時や雇用保険の基本手当受給時などに必要となります。
ファイル・バインダーやPDF化したデータなどで大切に保管し、必要なときにすぐに取り出せるようにしておきましょう。
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