SPXLとはどんなETF?構成銘柄や特徴、投資するメリット・デメリットを解説
「SPXL」はレバレッジ型ETFの一つで、S&P500指数の3倍の投資成果を目指すという特徴を持ちます。
短期的に大きなリターンが期待できるため、幅広い投資家に人気のある金融商品です。
運用開始からは大きく価格が上昇していますが、投資する際には気をつけたいこともあります。
この記事では、SPXLに投資する上で知っておきたい特徴やメリット・デメリットなどについて解説します。
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この記事の目次
SPXLとは
S&P500の3倍の値動きをするレバレッジETF
SPXLとはS&P500の3倍の値動きを目指すレバレッジ型ETFで、正式名称を「Direxion Daily S&P 500 Bull 3X Shares」といいます。
そもそもS&P500は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が公表しているアメリカの株価指数です。
ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している企業の中から、市場規模や流動性などを考慮して選出された500社の銘柄で構成されており、アメリカの株式市場の中でも重要な指数となっています。
SPXLはこのS&P500の3倍の値動きをするため、S&P500が上昇すればSPXLはその3倍値上がりし、逆にS&P500が下落すればSPXLはその3倍値下がりします。
SPXLは価格の変動幅が激しいため、ハイリスク・ハイリターンな投資商品です。
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SPXLの構成銘柄
S&P500の3倍の値動きを目指すSPXLですが、単純に3倍の動きをするだけなので構成銘柄はS&P500と同じです。
構成銘柄の上位10銘柄は次の通りです(2022年9月30日時点のデータを元に作成)。
構成銘柄 | 構成比率 |
Apple | 6.96% |
Microsoft | 5.77% |
Amazon.com | 3.33% |
Tesla | 2.35% |
Alphabet – Class A | 1.90% |
Alphabet – Class C | 1.71% |
Berkshire Hathway – Class B | 1.60% |
Unitedhealth | 1.57% |
Johnson & Johnson | 1.43% |
Exxon | 1.21% |
構成企業には、アップルやアマゾン、テスラなど、日本でもよく耳にする企業が名を連ねています。
これらの企業は米国企業を牽引する企業群であり、S&P500およびSPXLに投資するのは、米国経済そのものに投資するようなものだといえるでしょう。
SPXLに投資するメリット
大きなリターンに期待できる
こちらは、SPXLの運用がスタートした2008年の11月以降のチャートです。
運用を開始した時点では3ドル台だった株価は、2022年10月27日時点で67ドルと右肩上がりの価格推移となっています。
2020年はコロナショックで大きく落ち込んだものの、そこから2021年にかけて一気に値上がりしています。
2020年3月には20ドルを割っていましたが、2021年12月には150ドル台に迫るなど、2年足らずで7倍以上に価格が上昇しました。
このように、SPXLはタイミングよく投資ができれば、大きなリターンを得られる可能性もある投資商品です。
短期投資でも利益を狙いやすい
S&P500自体は、大型株に分散して投資をしているため、値動きは比較的緩やかです。
しかし、SPXLはS&P500の3倍の値動きをするため、短期的にも価格の変動幅が大きくなります。
リスクをとって短期的にリターンを狙いという人にも適しているでしょう。
ただし、短期的に大きな利益を出したいという場合は、しっかりと市況の動きを読んで投資する必要があります。
レバレッジ型でありながら積立投資も視野に
SPXLの参照元であるS&P500は、幅広い米国企業への分散投資が可能であり、積立NISAやiDeCoでの投資対象としても人気があります。
S&P500に連動するSPXLはレバレッジがかかっている分値幅は大きいものの、理屈としては積立投資の銘柄として選択肢に入ってくるでしょう。
多少のリスクは許容しつつ、大きなリターンを狙いたいという方は、SPXLへの投資を検討してみても良いかもしれません。
ただし、SPXLは積立NISAの対象商品ではないため、非課税で投資を行いたい場合はNISA口座での投資になることを覚えておきましょう。
SPXLに投資するデメリット
大きな損失を出す可能性がある
SPXLのメリットとして大きなリターンを得られる可能性がある点について触れましたが、大きなリターンを得られる可能性があるということは、相場の状況によっては大きな損失が生じる場合もあります。
レバレッジ銘柄はリスクが非常に大きいため、投資する際はリスク管理を適切に行いましょう。
余裕資金の範囲内で少額から投資を始める、損切りラインを事前に決めておく、といった対策をとると、万が一の際の損失を最小限に抑えられます。
高い経費率
SPXLの経費率は、2022年11月1日時点で0.97%となっており、ETFの中ではやや運用コストが高めに設定されています。
SPXLと同じく米国の株式市場を投資対象とするETFには、VOOやVTIなどがあります。
VOOはS&P500に連動した値動きを目指すETFで、SPXLのレバレッジがないタイプです。
VOOの経費率は0.03%となっており、運用コストの安さからも人気があります。
VTIは米国市場に上場する大型株から小型株まで約4,000銘柄にまんべんなく投資をするETFで、経費率は0.03%です。
これらの経費率が安いETFと比較すると、SPXLはコスト負担が大きくなりやすいという点がデメリットになるでしょう。
出典:Bloomberg「SPXL」
出典:Bloomberg「VTI」
出典:Bloomberg「VOO」
減価リスクに注意が必要
SPXLのようなレバレッジETFは、減価リスクにも注意しましょう。
株価上昇が続く局面では大きな利益を得やすいという利点がある一方、株価が急落すると一気に損失を被る可能性があります。
このようなレバレッジETFは、株価が一定の価格帯の中で推移するレンジ相場に弱いという特徴を持ちます。
例えば、S&P500とSPXLの価格変動を比較しつつシミュレーションしてみましょう。
※例のため変動率を大きくしていますが、実際にここまで大きく変動することはほとんどありません。
日数 | S&P500 | SPXL |
1日目(基準値) | 100 | 100 |
2日目 | 105(+5%) | 115(+15%) |
3日目 | 95(-9.52%) | 82.16(-28.56%) |
4日目 | 100(+5.26%) | 95.12(+15.78%) |
上記のように、同じ100という価格からスタートしても、変動率によって大きく価格が変わってきます。
上記の例では、S&P500は95〜105のレンジで推移しており、4日目にはスタートの価格に戻っています。
これに対してSPXLは、同じ動き方をしているにも関わらず、4日目の価格は元の水準を下回る価格です。
一定の価格帯で長く動き続けているレンジ相場では、レバレッジETFが不利になる場合があることを認識しておきましょう。
SPXLに投資する際の注意点
必ず損切りルールを決めておく
SPXLは値動きが激しいため、株式相場の下落が続くとすぐに大きなマイナスになります。
損失を最低限に抑えるためにも、投資する前に損切りラインを決めておきましょう。
レバレッジETFは1日の変動幅が大きいため、すぐに損切りラインに達してしまう場合もあるかもしれませんが、機械的に損切りできるように準備しておくことが大事です。
逆指値で一定のラインを下回ったら売り注文が出せるように設定しておくと、感情に惑わされずに損切りを徹底できます。
最初は少額から慣れていく
SPXLは値動きが激しい銘柄なので、まとまった金額を一気に投資すると、想定以上の損失を受けてしまう可能性があります。
実際にどの程度の値動きなのか、価格の急変動に耐えられるか、などを実感するためにも、まずは少額の投資資金から始めてみるのをおすすめします。
投資資金が十分にある場合も、一度に投資するのではなくタイミングを分散させて投資を行い、リスクヘッジに努めましょう。
アメリカの経済ニュースをチェックする
SPXLは、アメリカ経済を担う中心的な企業に投資するETFです。
日々のニュース一つで大きく価格が変動するため、アメリカ経済に関するニュースはしっかりとチェックするようにしましょう。
S&P500にはさまざまな業種の銘柄が含まれているため、為替や金利の動向だけでなく金融政策や経済指標などさまざまな要素をウォッチすると、株価の動きを予測しやすくなるでしょう。
まとめ:SPXLは投資する際はレバレッジのリスクを忘れずに
SPXLは、S&P500の3倍の値動きをするレバレッジETFです。
投資するタイミングによっては大きなリターンが期待できますが、予想と異なる方向に相場が動いた場合、大きな損失を受ける可能性もあります。
SPXLに投資をする際は、リスク管理を十分行った上で、少額投資から始めてみるのをおすすめします。
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記事監修者
マネカツ編集部
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