ショートスクイーズの意味とは?AMCやゲームストップなどの事例を解説
近年、日本の個人投資家の中でも米国株投資が人気を集めています。
2021年、この米国株式市場で「ショートスクイーズ」という言葉が話題になりました。
ショートスクイーズとは、株式市場にて株価が急騰する現象の一つです。
この記事では、ショートスクイーズが起こる仕組みや理由、過去にショートスクイーズが発生した銘柄について解説していきます。
米国株投資や小型株投資に興味のある方は参考にしてください。
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この記事の目次
ショートスクイーズ(踏み上げ)の意味とは
ショートスクイーズとは、株式市場にて株価が急騰する現象のことをいいます。
日本語では「踏み上げ」や「空売り解消による買い上げ」とも呼ばれます。
銘柄の業績や相場環境などの理由で株価が上がるのではなく、マーケット参加者によって意図的に押し上げられる場合がほとんどです。
また、株式市場だけでなく外国為替市場(FX)や商品先物市場でも時折見られる動きです。
ショート(空売り)カバーする時に発生する現象
ショートスクイーズは、大量にショート(空売り)された銘柄の株価が上昇し始めた時に発生します。
ショートポジションを持つ人たちは、対象銘柄の株価が下落することを期待して対象銘柄を空売りしますが、予想に反して株価が上昇し始めると損失拡大を防ぐために対象銘柄のショートカバー(買い戻し)を行います。
この買い戻しがさらに株価を押し上げることになり、「買いが買いを呼ぶ」形になって株価が急騰するということです。
空売りにヘッジファンド・機関投資家(プロの投資家)が参入すると、それだけ多額の資金が動くこととなり、買い戻しが株価に与えるインパクトも大きくなります。
ミーム株によるショートスクイーズが話題に
最近ショートスクイーズが話題になった銘柄として、ゲームストップ(GME)やAMCエンターテイメント(AMC)などがあります。
これらの銘柄は「ミーム株」と呼ばれ、企業の決算と関係なくSNS等で注目が集まった結果、短期的に株価が急上昇した銘柄です。
個人投資家によるショートスクイーズで株価が暴騰したことが話題となり、投資の世界に大きなインパクトを与えました。
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ショートスクイーズが発生する仕組み
1. 対象となるのはショート比率が高い銘柄
ショートスクイーズは株式のショート比率が高い銘柄で発生しやすいです。
ショート(空売り)比率とは、発行済み株式数に対する空売りされている株数の比率のことです。ショート比率が高いということは、対象銘柄の株価下落に期待している投資家が多いということです。
ショートスクイーズの対象となりやすい銘柄として、ショート比率が高い銘柄以外にも「時価総額の小さい小型の銘柄」、「株式持ち合いなどの割合が高いために浮動株が少ない銘柄」などの特徴があります。
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2. 対象の銘柄の株価が上昇する
何かのきっかけで対象銘柄の株価が上昇し始めると、ショートスクイーズが発生する可能性が出てきます。
ショート比率(売りポジション)が高かった銘柄は、値動きを抑えるためにさらなるショートで価格を下げることがあります。
ショート比率が高い銘柄は、それだけ投資家が値上がり期待をもっていない銘柄ということになるため、多少の値上がりはさらなるショートのタイミングだと捉えられるためです。
しかし、そこに大量の買い注文が入ることで株価が上昇すると、損失の拡大を避けたい一部の投資家は損切りを覚悟で買い戻しを始めます。
買い戻しが入ることで、さらに対象銘柄の株価が上昇し始めます。
3. 損切りのために買い戻しすることで株価が暴騰する
株価が上昇傾向を続けると、これまでショートポジションをもっていた投資家は損失の拡大に耐えられなくなってきます。
一部の投資家が買い戻しを始め、株価がさらに上がることで多額の資金を動かす機関投資家もより高い値段で買い戻しを行います。
このような資金力のあるプロの投資家がショートの損切りを行うと、一気にショートスクイーズが発生する可能性が高くなります。損切りが損切りを生み、株価が暴騰する仕組みです。
ショートスクイーズはギャンブルのようなもの
ショートスクイーズによる株価高騰は、投資家にとって魅力的に思えるかもしれません。
しかし、多くの場合ショートスクイーズは突発的に起こり、長くは続かないことがほとんどです。
勢いはすぐに弱まり、上昇分をかき消すほどの下落に襲われることも多々あります。
ショートスクイーズが起こりそうな銘柄に長期保有目的で投資を行う場合は注意が必要です。
ショートスクイーズが発生した主な銘柄
ショートスクイーズは2021年の1月、米国株式マーケットで大きく話題になりました。
「Reddit(レディット)」という巨大掲示板と、手軽に株取引ができる「ロビンフッド」というアプリがきっかけとなり、個人投資家によりショートスクイーズが引き起こされたのです。
コロナ禍によりステイホームが余儀なくされる中で、給付金を得た若者がゲーム感覚で取引にのめり込んでいったことが背景にあるとされています。
あえてファンダメンタルの弱い企業を狙い、ヘッジファンドに喧嘩を売る形で引き起こされた異常な相場ともいえます。
ここではショートスクイーズの標的となった銘柄を3つ紹介します。
ゲームストップ(GME)
ゲームストップ(GME)は、コンピュータゲームの小売店で、2021年1月にショートスクイーズが仕掛けられた銘柄です。
インターネットの普及でゲームのオンライン化が進み、店舗型のゲームショップの業績は伸び悩んでいました。
企業業績等から主にヘッジファンドから大量に空売りがされており、株価は低迷していました。
2021年1月、個人投資家による株の買い占めでショートスクイーズ
2021年の1月、個人投資家がオンライン掲示板「Reddit」を通じてゲームストップの株価つり上げを互いに呼びかけたことにより、大量の株が買い占められることとなりました。
2021年の年明けには18ドル程度だった株価が、1月29日には340ドルにまで達し、米国の主要航空会社「デルタ航空」を上回る2兆7000億円もの時価総額をつけるにまで上昇しました。
これにより、ゲームストップ株の空売りをおこなっていたメルヴィン・キャピタルというヘッジファンドは、大量の買い戻しを行うこととなり、大損害を被りました。
取引停止による株価急落
個人投資家がヘッジファンドに勝利したような構図に見えましたが、ゲームストップ騒動はこれで終わりませんでした。
株取引アプリの「ロビンフッド」が、ゲームストップを含む一部の銘柄について買い注文の受付を停止すると、それをきっかけにゲームストップの株価は急落しました。
その後も株価は急騰・急落を繰り返し、2021年10月の株価は170ドル前後で推移しています。
AMCエンターテイメント(AMC)
映画館大手のAMCエンターテイメント・ホールディングス(AMC)もゲームストップ同様、オンライン掲示板の書き込みに個人投資家が呼応する形で株価が急進した銘柄です。
コロナによる経営危機からのショートスクイーズ
2020年頃から、AMCは新型コロナウイルス感染拡大のために全米の映画館が閉鎖された影響で経営破綻の瀬戸際にありました。
時価総額は2020年4月時点で約2億ドルでしたが、2021年6月の急騰時には瞬間的に330億ドルを超える場面もありました。
ガンマスクイーズによる株価上昇
AMCの株価上昇は、「ガンマスクイーズ」が要因であるとも言われています。
ガンマスクイーズとは、個別株のオプション取引が増加することによるもので、主権会社などのマーケットメーカーがリスクヘッジ目的で株式を買い集める動きのことを指します。
平時のマーケットでは「オプションの売り」が多いところ、コールオプションや現物株が大量に買い上げられると、コールオプションの売りをしている投資家は大損となります。
損を避けるために投資家はコールオプションを買い戻したり現物株を買い集めたりしますが、これにより株価が急激に上昇する動きをガンマスクイーズと呼びます。
単純な空売りであるショートスクイーズの動きに加え、コールオプションの売り手がリスクヘッジのためにAMC株を購入せざるを得なくなり、株価上昇に拍車がかかったとされています。
ベッドバス&ビヨンド(BBBY)
ゲームストップ、AMCと合わせて「ショートスクイーズ3銘柄」と呼ばれたのが、家庭用品チェーンのベッドバス&ビヨンドです。
二度の株価の急上昇
他の2つの銘柄と同様に1月下旬に個人投資家のショートスクイーズにより大きく株価が上がりました。
この銘柄もゲームストップやAMCと同じく業績は芳しくありませんでした。
2020年夏には今後2年で店舗全体の20%に相当する200店舗を閉鎖する見通しを発表するなど、業績低迷の長期化が嫌気されて売りが多く入っていました。
ベッドバス&ビヨンドは、ゲームストップ等と同じ1月下旬のタイミングで急騰したのち、6月にも再度株価が急上昇しています。6月2日の上昇率は1日で62%強にも達するほどでした。
上昇前の株価を下回る急落
その後株価は急落し、勢いを失った株は年初の株価を下回りました。
直近の2021年度第2四半期決算では売上高は減少し、収益は前年同期とほぼ同水準になるとの予想でした。
しかし、店舗数の減少と運賃の高騰により売上高は目標を達成できず、利益も予想を大きく下回る結果となりました。
売上高予想引き下げに伴い、米株式市場でベッドバス&ビヨンドは急落し、一時前日終値比で30%近く株価を下げました。
ニッケル(コモディティ)
ニッケルはステンレスの材料や電気自動車の電池材料として利用される金属です。
2022年3月上旬、この「ニッケル」の価格が急上昇し、取引所自体が停止するという騒動に発展しました。
ウクライナ情勢の緊迫化に伴う価格上昇
2022年3月7日、ロンドン金属取引所(LME)においてニッケル相場は突如急伸し、過去最高値を付けました。
背景にあったのは、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化です。
アメリカがロシア産原油の輸出禁止を検討しているというニュースを受け、他のロシア産の資源についても規制が入ることを予想したトレーダーによって、ニッケルが大きく買われることとなりました。
翌日の3月8日もニッケル先物価格は上昇を続け、一時は1トン=10万ドルを突破しました。
世界最大のニッケル生産会社である中国の青山控股集団をはじめとする先物の売り手は大規模な買い戻しを余儀なくされ、一気に価格が上昇するショートスクイーズに発展しました。
ロンドン金属取引所(LME)の取引停止措置
ニッケルの急激な価格高騰を受け、ロンドン金属取引所(LME)は3月8日にニッケルの取引を停止し、同日中の取引を取り消すことを発表しました。
取引所が取引をなかったことにするという異例の事態に、市場からは批判の声も多く上がりました。
その後LMEは取引を再開したものの、現在も不安定な動きが続いています。
出典:Bloomberg「LMEがニッケル取引停止 ー 2営業日で一時250%上昇、相場混乱」
まとめ:ショートスクイーズを狙った投資はおすすめしません
一般的に、大量に空売りされている銘柄には売られるだけの理由があります。
ショートスクイーズでの利益を期待してこのような銘柄を買う場合は、会社の業績や売られている理由をしっかりと確認することが必要です。
また、これらの銘柄は少しのインパクトで株価の値動きが激しいため、長期保有を目的とした投資には向いていません。
急騰直後に暴落する可能性も十分あるため、「投資」というよりは「投機」の側面が強いことを理解した上で判断することが重要です。
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