世界的に有名な投資家ウォーレン・バフェット氏(以下バフェット氏)が、日本の総合商社に投資しているニュースが話題になりました。

しかしその一方で、総合商社はどのようなビジネスをしているのか一般的にあまり知られていません。また総合商社の業績や将来性についても気になるところです。

そこで今回の記事では、バフェット氏が投資したとされている総合商社5社について、その特徴と業績を解説します。そして、総合商社への投資について解説します。

※記事上の各種データは、各総合商社のホームページ資料/有価証券報告書より引用しています

 

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バフェット氏は運営する会社を通じて日本の総合商社に投資

2020年8月30日、バフェット氏は自らが率いる会社(バークシャーハサウェイ)が、日本の総合商社5社に対して投資していることを発表しました。その5社とは三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、そして丸紅です。

バフェット氏によると、1年前から株式の買い付けを始めており、今後も保有株式数を増やす予定があるとしています。

バフェット氏は世界屈指の投資家

ここでバフェット氏について解説します。バフェット氏は1930年、アメリカ合衆国ネブラスカ州にあるオマハという町で生まれました。幼いころからビジネスや投資に強い関心を持ち、小学生のとき株式投資を始めたのです。

大人になってからもビジネススクールで勉強し、株式投資のビジネスマンとして活躍します。そして当時綿紡績業をしていたバークシャーハサウェイを自ら買収し、社長に就任したのです。

そしてバークシャーハサウェイを投資会社に転身させ、現在の富を築きました。フォーブス誌が発表する世界長者番付にて、バフェット氏は長年にわたり上位を保っています。

バフェット氏の投資方針は「優良企業の長期投資」

株式投資で大成功したバフェット氏の投資方針には、一定のものがあります。それは優良な業績を出す企業を、適切な株価で投資するというものです。優良な企業は多くの利益を残し、さらに成長することができます。

つまり優良な企業に投資すれば、後は何もしなくても企業は成長し、株価も上がるということです。さらに優良企業を割安な株価で投資できれば、損することもありません。

総合商社とは何でも扱う「ビジネスブローカー」

次に商社が行うビジネスについておさらいしてみましょう。商社では主に、トレーディング事業投資の2種類のビジネスが行われています。

トレーディングとは生産地から製品や原材料を仕入れて需要のあるところに売る、いわゆる卸売業の根幹をなすものです。

そして事業投資とは自社が関連する事業に対して、直接投資して利益を得ます。場合によっては社員を派遣して、経営に関与させることもあるのです。

専門商社との違いは取り扱う事業領域の範囲

総合商社と対になる言葉として「専門商社」というものがあります。両社とも、先に述べた商社のビジネスをしている点では同じです。

しかし専門商社の場合、自社の得意な領域でビジネスを行っているのに対して、総合商社はあらゆる分野に進出しビジネスを行っています。

総合商社は身近な企業にも投資している

そのため総合商社は表向きでは消費者とつながっていないように思えますが、身近にある様々な企業に大株主として出資しているのです。

例えばコンビニエンスストア大手のローソンは三菱商事、そしてファミリーマートは伊藤忠商事が筆頭株主になっています。なお、総合商社が大株主として出資している上場企業は国内だけでも200以上あります。

総合商社5社の得意分野には違いがある

ここからは総合商社各社の概要と事業領域について解説します。バフェット氏が投資した総合商社は5社ですが、それぞれに得意とする事業領域に違いがあるのです。これは各社が創業時から行っていた、事業の違いにも関係しています。

※各社セグメント別比率は2019年3月期末時点のデータを引用しています

三菱商事:石油化学を中心に資源/素材が主力

三菱商事は1947年に設立されました。ただしこの設立は太平洋戦争後の財閥解体によるもので、企業としての前身は1918年の創業です。

現在でも、三菱グループの中核をなす企業として影響力を持っています。なお2020年3月期末時点にて三菱商事は、1,700社以上の関連会社を有しています。

こちらは三菱商事の収益分布図です。これを見ると、素材や資源関連の領域が半数を占めているのが分かります。

しかし三菱商事は経営戦略として、事業ポートフォリオの再構築をあげているのです。今後はコンシューマー(消費財/流通)や食品領域の拡大が見込まれます。

三井物産:工業製品の原材料が主力

三井物産は、1947年第一物産という商号で設立されました。現在の社名は、1959年に変更されたものです。

三井物産の設立も戦後の財閥解体によるもので、源流は1876年に設立された(旧)三井物産になります。2020年3月期時点で、三井物産は506社の関連会社を有しています。

三井物産は金属資源、エネルギー、機械/インフラ、そして化学品を中核分野とし、収益の多くを占めています。一方で生活産業(食品/ヘルスケア)は成長分野として注力していく方向です。

伊藤忠商事:食料/エネルギーの比重が高い

伊藤忠商事は1949年に設立されました。伊藤忠商事の設立も戦後の経済再編の影響によるもので、源流は江戸時代に伊藤忠兵衛が始めた繊維の卸売業にあるとしています。

伊藤忠グループでは、事業を8つのカテゴリーに分けてビジネスポートフォリオを形成しています。

繊維商社で始まった伊藤忠商事ですが、現在の収益はエネルギー/化学品と食料分野が多くを占めています。図表の「第8」と書かれている分野は、コンビニエンスストア大手のファミリーマートのことで、新たなビジネスを開発する起点にするとしています。

住友商事:資源/金属の取引が主力

住友商事の始まりは、1919年の不動産会社にさかのぼります。現在の商社事業に進出したのは戦後になってからです。住友商事は他社と比べて、早くからコンピューター部門への進出を図っていました。

なお2020年3月期末時点で、住友商事は連結対象になる子会社を957社有しています。

住友商事の事業セグメントも金属や資源の比率が多くなっています。住友商事はメディア/デジタル分野に、一定の領域を有していることが特徴です。

メディア/デジタル分野は今後の経営戦略でも、第4次産業革命に関連する事業として成長が期待されます。

丸紅:食料/農業事業への比率が高い

丸紅は1949年、大阪にて設立されました。丸紅も戦後の財閥解体の中で生まれたもので、前身となる会社は1858年の創業です。2020年3月期末時点で、丸紅は453社の関連会社を有しています。

丸紅は食料やアグリ(農業)関連への比重を高くしています。これは2012年に買収した、穀物メジャーガビロン社の影響です。丸紅は世界の穀物流通を扱う商社として、さらなる成長を図るものとみられます。

総合商社の業績比較

次は総合商社の業績について見てみましょう。総合商社はビジネスの範囲が広いため、業績予測が難しい業界です。しかし総合商社は、利益の変動を伴いながらも着実に資産を積み上げています。

売上(収益)は着実な増加

売上(収益)では近年、三菱商事と伊藤忠商事の成長が顕著です。一方で丸紅は穀物メジャーを買収した後は低迷しており、今後の巻き返しが期待されます。また総合商社の収益は、いずれも数兆円を超えるレベルです。

利益の変動は比較的大きい

総合商社の利益変動は比較的大きいとされています。なぜなら大規模な事業投資が失敗したときに損失が大きくなることと、資源や食料は価格変動が大きいため損失が出るリスクがあるからです。

伊藤忠商事以外の4社は過去10年間で損失、もしくは大幅な減益を出しています。

効率性(ROE)は良い水準をキープ

総合商社は、様々な事業を統括する難しいビジネスです。しかし各社ともに、比較的効率的な経営が行われています。

利益変動があることを許容できるのであれば、投資先としては魅力的です。経営戦略でROE10%以上を目標としている会社もあります。

成長性(純資産)は着実に見られる

大きな損失や減益があるものの、総合商社は自社の価値を高め続けています。バフェット氏も総合商社は長期的には株主へのリターンがあると考えたと推測できます。

安全性(自己資本比率・CF)

総合商社の自己資本比率は比較的低い水準です。ただし総合商社は、リースや事業投資など金融業的側面を有しています。金融業という見方をすれば、総合商社の自己資本比率は十分です。

経営の安全性をキャッシュフローという側面で見れば、総合商社は比較的安全な経営を行っています。先ほどの赤字や大幅な減益の年でも、本業の収入は途絶えていないのです。

これは事業投資の失敗や価格変動は企業の資産を減らすことがあっても、額面上の損失だけで現金の収入は無くならないからだと推測できます。

総合商社は今後も成長できるポテンシャルはある

このように総合商社は利益の変動はあるものの、効率的に企業価値を高めていることが分かります。様々なビジネスをしているため、全てのビジネスが上手くいくとは限りません。

しかし裏を返せば1つのセグメントが低迷しても、他のセグメントで補うことができるのです。そしてその柔軟に対応できるビジネスモデルが、総合商社の強みになります。

総合商社の割安姓

バフェット氏が総合商社に投資した背景には、総合商社のビジネスモデルだけではありません。投資金額(株価)も割安だと判断したはずです。では個人投資家にとって、総合商社の株価は割安だといえるのでしょうか。

配当金は各社増配意欲あり

個人投資家にとって配当金は、投資を続ける上でのモチベーションになります。総合商社の配当金は、各社とも年々上昇しているのです。特に三菱商事では利益成長に合わせて増配することを宣言しており、近年の増配率が顕著になっています。

株価の指標も低評価

一方で、総合商社の株価は比較的低い水準で評価されています。PBRにおいても伊藤忠商事を除けば、1倍以下の水準で取引されているのです。

これは総合商社のビジネスが多種多様のため業績の予測が難しく、株式市場では「リスクが高い」と判断されていると推測できます。

総合商社への投資は長期的視点が必要

このように総合商社の株価は一般的な水準では割安です。しかしこれまでに述べたようなビジネスリスクや、近年でも赤字や大幅な減益になった年があったことをふまえる必要があります。

したがって総合商社に投資する場合は、日本経済を支える大企業であることを信頼して長期的に見守るように投資されることをおすすめします。

総合商社は世界の経済成長を日本にもたらす企業

今回は、バフェット氏が投資したとされる日本の総合商社について解説しました。総合商社は明治維新以降、日本経済を支える企業の1つとして独自のビジネスモデルを築き上げてきたのです。

そしてこれからも世界経済と日本をつなぐパイプ役として、大きな役割を果たしくれることでしょう。

もし長期的に運用したいお金があれば、バフェット氏のように総合商社に投資してみることも検討されてみてはいかがでしょうか。

※投資はあくまでも自己責任となります。利益を保証するものではありませんので、ご注意ください。

記事 湯川 国俊

 

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