株式投資を始める際は、どのような銘柄に投資してどのような利益を狙うのかを考える必要があります。

売却する際に大きなリターンを狙うのか、長期保有で配当金をもらい続けるのか、投資戦略は人それぞれです。

この記事では売却時に大きなリターンが狙える「グロース株」について特徴や探し方、配当金がめいんとなる「バリュー株」との違いを解説します。

おすすめのグロース株も紹介していますので、投資する際の参考にしてください。

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グロース株(成長株)とは

グロース株とは

「グロース株」とは、Growth(成長)を意味する英単語から分かるように、業績が成長している企業を表すことが多いです。

投資する際には過去から現在までの業績成長度合いや、これから先も成長し続けるかどうかなどに着目します。

今後の成長に期待できる銘柄

グロース株とは、今後の成長に期待できる株のことを指します。

「成長株」と呼ばれることもあり、投資家からは「これから株価・業績が大きく伸びていくのではないか」と期待されています。

グロース株は将来性を見込んで株を購入する投資家が多く、現在の業績から考えると株価が割高になりやすいことが特徴です。

しかし、見込んだ通りに企業が成長すれば、株価が2倍・3倍となり、場合によっては10倍以上になったりすることもあります。

革新的なサービスや流行分野の企業が多い

グロース株として爆発的な成長をしてきた過去の企業を見ると、今までになかった新しい技術やその時代の流行に乗ったサービス・商品を提供している企業が多くあります。

例えば米国企業の「Apple」は、MacBookやiPhone、iPadやApple Watchなどの商品が世界中でヒットし、業績・株価がともに大きく成長した企業のひとつです。

フリマアプリを提供する「メルカリ」は、手軽に取引できることから日本で流行し、急速に業績と株価を伸ばしました。

このように革新的なサービスを提供したり、流行に乗っている企業が爆発的に成長するグロース株となっています。

キャピタルゲイン(売却益)狙いの投資

株式投資で得られる利益には、大きく分けて「キャピタルゲイン(売却益)」と「インカムゲイン(運用益)」の2種類があります。

キャピタルゲインとは、購入時よりも株価が高くなったタイミングで売却すると得られる利益のことです。

一方のインカムゲインとは、株を保有している間に得られる配当金などのことを指します。

グロース株は将来的な株価の上昇に期待して投資するため、配当ではなく売却益を狙った投資手法です。

バリュー株(割安株)との違い

バリュー株とは、本来の企業価値よりも株価が割安に放置されている株のことです。

さまざまな分析方法で企業価値を算出し、株価の水準が低いと判断された場合はバリュー株になります。

グロース株とバリュー株の違いは「投資家が何に注目しているか」という点です。

グロース株は「将来の成長性」を期待し、バリュー株は「現在の株価が割安かどうか」に注目します。

つまり、投資家が注目する時期がグロース株とバリュー株で異なっているということになります。

勢いのある企業が多いグロース株に対して、バリュー株は安定した業績を残している企業が多いことも特徴です。

グロース株を見つける際のポイント

グロース株を見つける際のポイント

ROEを確認する

ROE(Return On Equity)とは「自己資本利益率」のことで、自己資本に対してどれだけの利益を生み出せたかを示す指標です。

「当期純利益/自己資本」で計算され、数値が大きいほど効率的に利益を生み出せている企業ということになります。

一般的には10%を超えると売上高が高い企業と言われ、成長性が期待できるグロース株の可能性があります。

例えば、ホットペッパーやゼクシィ、リクナビなどライフスタイルに関わる様々なサービスを提供している「リクルート」の2023年3月期決算におけるROEは18.04であり、成長性の高いグロース株に分類できます。

一方で、医薬品の開発や生産をしている「武田薬品工業」の2023年3月期のROEは5.27%であるため、バリュー株といえるでしょう。

出典:株式会社日本経済新聞社「リクルートホールディングス」
出典:株式会社日本経済新聞社「武田薬品工業」

売上高成長率を確認する

売上高成長率とは、企業の売上高の伸び率のことです。

前年よりも売上高が伸びているほど、売上高成長率が高くなります。

グロース株は、継続的に高い売上高成長率を出している傾向にあります。

そのため1年間だけの売上高成長率を見るのではなく、過去3〜5年間の数値を決算資料でチェックすることが大切です。

市場予想を上回る決算を出し続けている企業は、今後も業績や株価が成長していく可能性が高いため、確認しておきましょう。

中・小型株に注目する

大企業の株よりも、中・小型の株の方が今後の伸びしろが大きいです。

例えば、トヨタが今から業績を10倍に伸ばすのは難しいですが、ベンチャー企業であれば10倍・100倍に成長する可能性があります。

グロース株を探している方は中・小型株に注目しましょう。

大型株と中・小型株の一般的な定義は以下の通りです。

  • 大型株:時価総額上位100銘柄
  • 中型株:時価総額上位101〜500位の銘柄
  • 小型株:大型株・中型株よりも時価総額が小さい銘柄

現時点で時価総額が小さい銘柄を中心に探すことをおすすめします。

PERで株価が割高か確認する

PER(Price Earnings Ratio)とは、1株あたりの利益に対して株価が割高か割安かを示す指標です。

グロース株は現在の企業価値ではなく、将来の成長性に期待して投資されるため、割高になりやすいことが特徴です。

日本の上場企業では、PERの平均が15倍程度と言われています。

そのためPERが20倍以上だとグロース株、10〜15倍くらいだとバリュー株として判断できます。

配当を出していないか確認する

成長企業の多くは、利益を配当ではなく成長(株価上昇)で株主に還元するという考え方を持っています。

配当を出さない分、人材や設備投資にお金を使うことでさらなる成長を目指す企業が多いです。

配当を出さずに成長率が高い企業はグロース株と判断できます。

成長率の確認に加えて、企業の成長に向けた投資をしているかどうかをチェックしましょう。

グロース株のおすすめ銘柄8選

グロース株のおすすめ銘柄8選

グロース株のおすすめ銘柄を紹介します。

下記のおすすめ銘柄への投資を検討する際は、今後も成長を続けるかどうか、株価が上昇するかどうかなどを自身でしっかりと見定めましょう。

※記事をご覧いただくタイミングによっては、記事内で扱っているデータが古い可能性があります。
必ず最新情報を確認した上で投資判断されるようお願いいたします。

メルカリ【4385】

メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」を運営している会社です。

中古品売買の「メルカリ」のみならず、スマホ決済サービス「メルペイ」やクレジットカード「メルカード」など幅広く事業展開を行っており、成長を続けている企業です。

2018年6月に東証マザーズ(現東証グロース市場)に上場し、4年後の2022年6月には東証プライム市場に市場替えを行いました。

決算時期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 純利益(百万円)
2023/06(会社予想) 170,000 13,500 8,300
2022/06 147,069 -3,715 -7,569
2021/06 106,115 5,184 5,720
2020/06 76,275 -19,308 -22,772
2019/06 51,683 -12,149 -13,764

2022年度の純利益は赤字でしたが、2023年度は黒字転換の予想となっています。

直近発表された2023年度の通期業績予想については、創業以来の最高業績の見通しとなり、これを受けて発表直後の5月1日の株価も大きく上昇しました。

このまま業績の拡大を続けられるか、国内外の事業がどのように成果を出すか、などに注目です。

マネーフォワード【3994】

マネーフォワードは、個人向けの家計簿アプリ「マネーフォワードME」や「マネーフォワードクラウド会計」などを提供している会社です。

マネーフォワードは純利益が上場以来ずっと赤字ですが、毎年の売上高は右肩上がりで成長しています。

決算時期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 純利益(百万円)
2023/11(会社予想) 29,209
2022/11 21,477 -8,469 -9,449
2021/11 15,632 -1,062 -1,482
2020/11 11,318 -2,804 -2,423
2019/11 7,156 -2,446 -2,572
2018/11 4,594 -796 -815

直近では、23年4月に発表された第一四半期決算の内容が良好な内容であったため、株価が急伸しました。

もともと業績への期待先行で買われている銘柄なので、今後黒字転換が予想される場面でも、一気に注目が集まりそうです。

ラクス【3923】

ラクスは「メールディーラー」や「楽楽清算」などのクラウド事業を展開する会社です。

ラクスは業績黒字が継続しており、売上高も右肩上がりに伸びている点が魅力です。

売上を支えているのは、顧客が月額料金を支払って利用する「サブスクリプション」型のサービスです。

そのため、解約されない限りは顧客の増加に応じて安定的に収益アップが期待できます。

決算時期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 純利益(百万円)
2023/03 27,399 1,656 1,274
2022/03 20,629 1,578 1,078
2021/03 15,387 3,898 2,936
2020/03 11,608 1,174 799
2019/03 8,743 1,468 1,018

2023年に入ってから、株価は右肩上がりに推移しています。

サブスクリプションサービスはすでに軌道に乗っているため、今後も売り上げの上昇とともに株価の上昇も期待できそうです。

ファーストリテイリング【9983】

ファーストリテイリングは「ユニクロ」や「GU(ジーユー)」などのアパレルブランドを展開する会社です。

ここ数年の売上高は堅調に増加しているものの、2023年8月期の純利益については昨年をやや下回る水準となりそうです。

決算時期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 純利益(百万円)
2023/08(会社予想) 2,730,000 370,000 260,000
2022/08 2,301,122 297,325 273,335
2021/08 2,132,992 249,011 169,847
2020/08 2,008,846 149,347 90,357
2019/08 2,290,548 257,636 162,578

2021年の年初から2022年前半までは下落基調にあった株価ですが、2022年後半以降は右肩上がりに回復し、ほぼ下落前の水準へと戻っています。

コロナが落ち着きを見せたことで、衣料品の需要は今後高まっていくと考えられるため、業績アップも期待できるでしょう。

ウェルスナビ【7342】

ウェルスナビは、ロボアドバイザーによる資産運用サービスを提供するフィンテック企業です。

パソコンやスマートフォンがあれば、資産運用の知識がなくても全自動で「長期・積立・分散」の資産運用を全自動で行えるサービスとして注目を集めています。

決算時期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 純利益(百万円)
2023/12(会社予想) 7,717 216
2022/12 6,573 209 289
2021/12 4,647 -432 -495

2021年度は赤字着地でしたが、2022年度は黒字に転換し、2023年度も営業利益は黒字の予測となっています。

2022年6月30日時点での運用者数は34万人となっており、その94%が20〜64歳の働く世代です。

資産運用の初心者や、日々忙しい方を運用面でサポートするサービスは今後も利用者が増えていきそうです。

出典:ウェルスナビ株式会社「サービス公開6周年記念 お客様と振り返るウェルスナビ」

レーザーテック【6920】

レーザーテックは、半導体の検査装置を提供している企業です。

独自の検査技術を確立したことで堅実にシェアを伸ばしており、急激に需要が伸びている半導体業界で業績を伸ばしています。

決算時期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 純利益(百万円)
2023/06(会社予想) 140,000 42,000 33,000
2022/06 90,378 32,492 24,850
2021/06 70,248 26,074 19,250
2020/06 42,572 15,062 10,823
2019/06 28,769 7,941 5,933

半導体市場は需給の動きが激しいという特徴がありますが、その中でもレーザーテックは毎年売上高および利益を着実に拡大させています。

検査装置でシェアを獲得しているレーザーテックは、業績や株価の上昇に今後も期待が持てる銘柄です。

東京エレクトロン【8035】

東京エレクトロンは、半導体製造装置を提供している企業です。

世界トップクラスのシェアを誇る企業であり、近年の半導体需要で注目を集めています。

決算時期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 純利益(百万円)
2023/03 2,209,025 617,723 471,584
2022/03 2,003,805 599,271 437,076
2021/03 1,399,102 320,685 242,941
2020/03 1,127,286 237,292 185,206
2019/03 1,278,240 310,571 248,228

東京エレクトロンは、半導体製造における「前工程」と呼ばれる工程のすべてで製造装置を作っている世界唯一の企業です。

そのため、今後も高いシェアを継続していく可能性が高く、企業の成長にも期待できます。

エムスリー【2413】

エムスリーは、医師が登録する医療情報プラットフォーム「m3.com」を提供している企業です。

国内30万人以上、世界では600万人以上の医師がエムスリーのプラットフォームに登録しており、順調に業績を伸ばしています。

決算時期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 純利益(百万円)
2024/03(会社予想) 250,000 75,000 50,000
2023/03 230,818 71,983 49,028
2022/03 208,159 95,141 63,845
2021/03 169,198 57,972 37,822
2020/03 130,973 34,337 21,635
2019/03 113,059 30,800 19,577

国内の9割以上の医師が「m3.com」に登録しており、医療現場ではインフラとも言える存在となっています。

また、登録している医師たちのネットワークを活用して、医療従事者向けの人材サービスや製薬会社のマーケティング支援なども行っています。

他社が参入しにくいビジネスモデルを活用し、今後も成長していくことが期待できる企業です。

グロース株投資のメリット

グロース株投資のメリット

大きなリターンが狙える

企業が成長すると、株価は数倍〜数十倍へと成長し、大きなリターンを得られる可能性があります。

例えばiPhoneやMacBookなどでお馴染みのAppleの株価を例に見ていきます。

初代iPhoneの発表イベントが行われた2007年1月9日にAppleの成長を見込んで投資したとします。

2014年に1株を7株に、2020年に1株を4株に株式分割している関係で、修正株価になりますが、2007年1月9日の終値は3.31ドルでした。

2023年7月21日の終値が191.94ドルなので、16年で約58倍にも株価が成長しています。

このように、グロース株への投資は大きなリターンを狙うことができます。

企業研究する楽しさがある

個別株に投資する際は企業研究が必須です。グロース株投資では、今後も成長を続けるかどうかが大切な要素となります。

そのため、投資を検討している銘柄のビジネスモデルや成長性など、企業の競争力や効率的に利益を生み出しているかどうかを見るROE(株主資本利益率)の数値や数年単位での持続性などを調べます。

今後株価が何倍にも伸びて大きなリターンを狙える企業を探す行為なため、人によってグロース株に投資するための企業研究は、お宝探しのような楽しさがあるかもしれません。

企業研究の末、将来株価が何倍にも伸びる企業に株価が安い段階で投資できると大きなリターンを得られます。

グロース株投資のデメリット

グロース株投資のデメリット

株価の値動きが激しい

グロース株は大きな運用益を狙える反面、値動きが激しくなりがちな特徴があります。今後の成長を見込んで購入している方もいるため、PERやPBRなどの株価指標で考えると割高な銘柄も多いです。

そのため、企業の成績が期待に届かなかったり、市場の期待を裏切るような決算が出ると、株価が一気に下落する傾向があります。

株価が一気に下落するリスクを考えると、購入後も企業の動向をしっかりと確認し続ける必要があります。定期的な決算発表を見てビジネスの成長が止まっていないかを確認し、状況に応じて撤退(損切り)する選択肢を取れるようにしておきましょう。

撤退すべきタイミングを逃すと、株価が大きく下落した後でマイナスになる可能性も考えられます。

購入タイミングに気をつける必要がある

グロース株に類する銘柄を購入する際は、購入タイミングも重要になります。基本的に高値圏にいることが多いため、購入タイミングを間違えると高値掴みになる可能性が高いからです。

適切なタイミングで購入するためには企業研究が欠かせません。今後も成長を続けるかどうか、すでに株価が上昇している企業であれば今がピークではないか、きちんと見極めた上で購入する必要があります。

直前の決算や今後の株価上昇材料を確認するなど、企業研究が欠かせない点はデメリットといえるかもしれません。

まとめ:グロース株の特徴を理解して投資しよう

グロース株の特徴を理解して投資しよう

グロース株は、今後の業績や株価の成長に期待できる銘柄をいいます。

革新的なサービスや流行分野の企業が多く、株価が何倍にも上昇する可能性を持っています。

紹介したグロース株を見つける際のポイントを参考に、グロース株への投資を始めてみましょう。

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