株式投資といえば、株を安く購入して高く売却することで利益を出すイメージをお持ちの方が多いかもしれません。「株の空売り」はその逆で、高く売却した株式を安く買い戻すことで利益を狙います。

市場が下落相場のときでも利益を狙いにいけるというメリットはありますが、値動きの流れを読む経験が必要であったり損失が大きくなりやすいリスクも併せ持っています。

この記事では、株の空売りの仕組みやメリット・リスクなどを解説します。株の空売りについて理解して、株式投資の幅を広げましょう。

株の空売りとは

「空」という漢字に「何もない・からっぽ」という意味があるように、株の空売りは株を持っていない状態から株を売る行為のことを指します。

株価の下落時でも利益を得られる投資手法

通常の株式投資では、購入した株式を株価が上昇した際に売却することで利益を得ます。例えば、A社の株を100円のときに購入し、株価が150円に上昇したタイミングで売却すると利益は50円(150円 − 100円)です。

株の空売りの場合、先に株式を売却(空売り)して、株価が下がったタイミングで買い戻すことで差額が利益になります。例えば、A社の株を株価が150円のときに売却(空売り)し、株価が100円に下落したタイミングで買い戻すと利益は50円(150円 − 100円)です。

株の空売りは、株式を高く売って安く買い戻すことで利益を得る投資手法のため、株価の下落局面でも利益を得ることができます。

信用取引/信用売りとも呼ばれる

株の空売りは、信用取引のうちの「信用売り」に該当します。信用取引とは、証券会社に保証金を預けて、保証金を担保に取引を行うことです。

空売りをするためには、通常の証券口座とは別に信用取引用の口座を作成する必要があります。

株の空売りで利益を得る仕組み

株の空売りで利益が出る一般的な流れは以下の通りです。

  1. 証券会社から株式を借りて売る
  2. 株価が下落する
  3. 返済期限までに株式を買い戻し、証券会社に返却する
  4. 株式を借りた際のコストを証券会社に支払う

1. 証券会社から株式を借りて売る

株の空売りをする際は、一般的には売却する株式を保有していない状態から始まります。そのため、証券会社に現金や株式などの担保(委託保証金)を預け、保証金を担保に株式を借りることになります。

株式を借りたら、その時点で株式を一度売却します。ここから空売りでの取引が始まります。

2. 株価が下落する

株の空売りで利益を出すことができるのは、株価が下落しているタイミングです。株価が上昇しているときに買い戻すと、それは実質的な「損切り」となり損失になってしまいます

一方、売却時に株価が下がれば下がるほど、最初に空売りをして手に入れた金額よりも安く株式を買い戻せるため利益が大きくなります。このように、下落局面をチャンスに変えることができるのが、空売りの特徴です。

3. 返済期限までに株式を買い戻し、証券会社に返却する

借りた株式には返済期限が設けられています。返済期限を迎えるまでは投資家の好きなタイミングで株式の買い戻しができますが、返済期限を過ぎると強制決済となります。

仮に他の投資家と買い戻しのタイミングが重なると、株価が上昇して利益が少なくなることが予想されます。返済期限が近くなった際の買い戻しタイミングには注意しましょう。

4. 株を借りた際のコスト・利息等を証券会社に支払う

株の空売りには貸株料(金利)や手数料などのコストが発生します。通常の取引で発生する売買手数料に加えて、信用取引で発生する利息等を証券会社に支払う必要イメージです。

空売りで出た利益からコスト差し引いた額が利益となります。空売りが成功して得た差額がそのまま貰えるわけではないため、注意してください。

空売り規制(価格規制)とは

「空売り規制(価格規制)」とは、株価を意図的に下落させる目的で空売りを乱用することを防ぐための法律です。

通常、前日の終値が当日の基準価格となり、基準価格より10%下落した銘柄の51単元(1単元100株として5100株)以上の新規空売りが禁止されます。個人の50単元以下の注文は適用外です。

空売り規制の対象となった銘柄には、翌営業日が終了するまで効果が適用されます。翌営業日が終了するまでに株価が回復した場合でも規制は解除されません。

51単元以上の新規空売りを行う際は、事前に証券会社のホームページから空売り規制に関する情報を確認しましょう。また、規制がかかっている銘柄を時間を変えての新規空売り注文や複数の証券会社の口座から注文するなど、意図的に合計51単元以上の注文を行うと法律により罰せられる可能性がありますのでご注意ください。

空売りを行うメリット

空売りのメリットは株価の下落相場でも利益が狙える点ですが、他にもメリットがあります。メリットを理解し、株式投資の手法に取り入れて資産運用の選択肢を増やしましょう。

相場が下落しても利益が狙える

株式投資では株価が上昇した際に売却して利益を狙うため、株価の上昇局面でしか利益を狙えません。しかし、株の空売りでは売却したときの価格より買い戻したときの価格が下がっていれば利益になるため、株価の下落局面でも利益を狙えます。

リーマンショックの時を例にあげます。長い間株価の下落局面が続いたため、通常の株式投資では中々利益を上げるのが難しい時間が続きました。このような時に空売りを活用できれば、値上がりを待つ以外にも利益を上げることが可能です。

株価の値上がりを狙う従来の株式投資と、下落時に利益を狙う空売りを組み合わせることで、利益を狙える機会を増やせます。

レバレッジをかければ大きな利益が狙える

株の空売りでは、担保にした委託保証金よりも大きな金額で取引を行うことが可能です。これを「レバレッジ」といいます。実際にどの程度の倍率までレバレッジをかけられるかは証券会社によって異なります。

楽天証券やSBI証券などでは、約3.3倍のレバレッジをかけて取引を行うことができます。仮に自己資金が30万円の場合、約100万円までの取引が可能なイメージです。

株式投資では、資金が大きくなるとその分狙える利益も大きくなります。株の空売りでは、レバレッジをかけて通常よりも大きな利益を狙うことができます。ただし、大きな利益を狙える反面、リスクも大きくなるため使用する際は十分に注意してください。

株式のリスクヘッジとしても利用できる

保有している株式が今後下落すると予想した場合、空売りを行うことでリスクヘッジが可能です。

A社の株価が100円で、100株保有していて現在5,000円の利益が出ていると仮定します。このタイミングでA社の株式が下落すると予想して100株空売りします。

その後A社の株価が80円に下落した場合、通常であれば利益が2,000円(20円 × 100株)減少しますが、空売りをしていると2,000円の利益が出るためマイナスが相殺されます。

株価が下落した際には空売りの利益が増えるため、株式優待の取得目的など、手放したくない株式の株価下落局面時のリスクヘッジとして利用できます。

空売りを行うリスク

株の空売りには特有のリスクがあります。株の空売りは、「信用取引」という上級者向けの投資方法なので、事前にリスクを把握しておきましょう。

価格上昇による損失がある

株価の下落を予想して空売りをした株式の株価が、予想に反して上昇した場合は損失になります。株式投資では株価が一番下がっても0円までで、マイナスになることはありません。

しかし空売りの場合は株価の値上がりには上限がないため、理論上損失は無制限です。空売りを仕掛けた後に上昇相場に転じてしまった場合、元本以上の損失になってしまう可能性もあります。レバレッジをかけて取引した場合は更に大きな損失になる可能性がありますので、利用する場合はリスクを十分に理解した上で行うようにしてください。

コストが発生する

空売りは証券会社から株式を借りて行うため、通常の売買手数料に加えて金利コスト(貸株料)が発生します。利率は証券会社によって異なります。

また、多くの投資家から特定銘柄への空売り注文があると、市場にある株式が不足するケースが発生します。このような場合は証券会社が株式を調達するのですが、その費用は投資家の負担となります。この費用のことを品貸料(逆日歩)といいます。

品貸料は1日・1株あたり◯銭・△円と設定されているため、空売りの取引期間が長くなるほど品貸料が増え、コストが高くなる可能性もあります。

株の空売りをする際の注意点

ここでは株の空売りをする際の注意点を解説します。

投資経験が必要

株の空売りで利益を出すためには、株価の動きを読む必要があります。株価の動きを読むことはプロの投資家でも難しく、投資経験が少ない方にとってはより困難なものです。

そのため、空売りはある程度の投資経験を積んでから始めるのがよいでしょう。

損切りのルールを決める

株の空売りは損失に上限がないため、通常の株式投資以上に損切りのルールを決めることが大切です。損切りとは、損失の拡大を防ぐために損失を抱えている株式の利益を確定させることです。

空売りをする前に「受け入れられる損失はいくらまでか」「株価がいくらになったら損失を確定させるか」など、自分の損切りルールを決めることがおすすめです。

ルールを決めたら逆指値注文を利用して、設定した株価に値上がりしたタイミングで自動的に株式を買い戻すという機械的な運用をすることで、ルールを厳守することができます。

まとめ:株の空売りは仕組みを理解して少額から始めよう

株の空売りは、株式を高く売却し安く買い戻すことで売買差額の利益を狙う投資手法です。そのため、株価の下落局面でも利益を狙うことができます。

また、空売りは信用取引の一種であるため、レバレッジをかけて大きな利益を狙うことや株式投資のリスクヘッジとしても活用できます。

空売りにはもちろんリスクもあります。売却した株の株価が、売却時より上昇すると損失になります。株価の値上がりに上限はないため損失にも上限がありません。損切りのルールをしっかり決めて、無理のない運用を心がけましょう。

これから株の空売りを始める方は、特徴やメリット、リスクをしっかりと理解した上でまずは少額から挑戦して徐々に慣れていくのがおすすめです。

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