長期化する新型コロナウイルスの支援策として、政府は「住民税非課税世帯」に対し、臨時の特別給付金の支給を決定しました。

ほかにも、教育費免除や国民健康保険料・介護保険料の軽減のように、住民税非課税世帯が活用できる優遇措置は多く存在しています。

ご自身が住民税非課税世帯に該当する場合は、優遇措置への理解を深めておくことで制度を有効活用できます。

この記事では、住民税非課税世帯の基本的な内容や、非課税世帯に該当する対象者、優遇措置についてわかりやすく解説します。

住民税に対する理解を深め、制度を有効活用しましょう。

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住民税非課税世帯とは

住民税非課税世帯とは

住民税が課税されない世帯のこと

「住民税非課税世帯」とは、文字通り住民税が課税されない世帯のことを指します。

本来、住民税は所得に応じて課される税金ですが、一定の所得を下回る場合は住民税が課税されません。

同じ世帯に属する全員が住民税非課税の条件に該当していて、住民税を課税される者が一人もいない世帯のことを「住民税非課税世帯」と呼びます。

一方で、同一の世帯で誰か1人でも住民税を課されている場合には、「住民税非課税世帯」には該当しません。

また、住民税は「所得割」と「均等割」の2種類で構成されます。

住民税非課税世帯では、「所得割」のみが非課税になるケースと「所得割」「均等割」ともに非課税となるケースがあります。

世帯とは

世帯とは、「生計を共にしている人たち = 家族」のことです。

基本的には住居をともにしている家族のことを指しますが、単身赴任中の方や親元を離れて一人暮らしをしている学生も同じ世帯としてカウントします。

また、父・母とその子どもの夫婦が同居している場合、家計が完全に分かれていれば別の世帯としてみなされます。

手続きは必要ない

住民税非課税世帯となるために、特別な手続きをする必要はありません。

会社の年末調整や確定申告をした結果、世帯全員が住民税を課税されない所得であれば住民税非課税世帯となります。

ただし、住民税非課税世帯が受けられる優遇措置については、申請を必要とするものが多くあります。

活用できる優遇措置について内容を把握し、住民税非課税世帯に該当する場合は忘れずに申請しましょう。

住民税の仕組み

住民税の仕組み

住民税とは、1月1日に住所がある都道府県・市町村に納める税金のことを指します。

前年中に所得があった人に課され、納める住民税は「均等割」「所得割」の2つの合計金額になります。

均等割と所得割を合計すると、課税所得のおおよそ10%が住民税になると考えると計算しやすいでしょう。

「均等割」と「所得割」のそれぞれの内容を確認していきましょう。

均等割とは

「均等割」は、自治体に居住する一定以上の収入がある人全員が負担する定額の税金です。

所得の差は関係なく、納税者全員が同じ額を納めます。

各自治体によって税額が異なりますが、標準的な金額は市町村民税(3,500円前後)、都道府県民税(1,500円前後)を合わせて約5,000円です。

例えば、東京都渋谷区の均等割額は特別区民税3,500円、都民税1,500円となっています。

出典:​​​​渋谷区公式サイト「課税」

所得割とは

「所得割」は、個人の前年の所得に応じて納税額が変わる税金です。

前年の収入から控除等を差し引いた「課税所得」に税率を掛けて算出されるため、収入が多い人ほど納税額も高くなる仕組みになっています。

税額は自治体によって異なりますが、都道府県民税4.0%、市町村民税6.0%の自治体が多いです。

課税所得の約10%が所得割となり、約5,000円の均等割と合わせて納税します。

住民税非課税世帯はどんな人が対象になるか

住民税非課税世帯はどんな人が対象になるか

住民税は、一定の条件に該当する場合に非課税となります。

どのような世帯が「住民税非課税世帯」となるのかを把握しておきましょう。

生活保護を受けている人

生活保護法による生活扶助を受けている場合、住民税は非課税となります。

生活保護受給世帯は、均等割・所得割のどちらも課税されません。

出典:​​東京都主税局「個人住民税」

障害者、未成年、寡婦(夫)またはひとり親で、所得135万円以下の人

障害者、未成年者、配偶者と死別した寡婦(夫)、ひとり親の方で、前年の所得が135万円(給与所得者の年収で204万4,000円)を下回る場合、住民税は非課税となります。

生活保護受給世帯と同様に、均等割・所得割のどちらも課税されません。

例えば、シングルマザーの方が前年1月〜12月までの合計所得金額が135万円(給料のみで年収約204万円)以下の場合は、住民税が0円(非課税)となります。

出典:​​​​渋谷区公式サイト「課税」

前年の合計所得金額が各自治体の定める額以下の人

前年の合計所得金額が住んでいる自治体の定める額を下回る場合は、均等割・所得割ともに非課税となります。

住んでいる市町村等によって基準額が異なることに注意が必要です。

例えば、東京都渋谷区の場合で計算してみます。

扶養家族がいる場合は、前年中の合計所得金額が「35万円 ×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+ 31万円」を下回ると非課税となります。

扶養親族がいない単身者の場合は、前年中の合計所得金額が「45万円」以下の人が住民税非課税です。

上記は渋谷区の場合の例であるため、お住まいの地域の基準額と異なる場合があります。

実際の基準額は居住している自治体にお問い合わせください。

出典:​​​​渋谷区公式サイト「課税」

均等割のみ課税されるケース

所得割が非課税でも、均等割のみが課税されるケースがあります。

扶養親族がいる場合は、前年中の総所得金額等が「35万円 ×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+ 42万円」を下回ると、均等割のみが課税されます。

扶養親族がいない単身者の場合は、前年中の総所得金額等が「45万円」以下の人が住民税非課税です。

こちらも渋谷区の場合で計算しているため、お住まいの地域の基準額とは異なる場合があります。

実際の基準額は居住している自治体にお問い合わせください。

出典:​​​​渋谷区公式サイト「課税」

非課税になる年収の目安は100万円

住民税非課税の計算は家族構成や自治体によって異なるため、「年収〇〇万円以下は住民税が非課税になる」と断定することはできません。

控除が何もない単身者の場合、上述した渋谷区のケースでは前年の合計所得金額が45万円以下だと住民税が非課税となります。

つまり、給与収入から給与所得控除を差し引いた残額が45万円であれば非課税ということです。

給与収入162万5,000円以下の給与所得控除が55万円であるため、「55万円+45万円=100万円」となり、年収100万円以下が住民税非課税となります。

また、配偶者が1人・子ども2人を扶養している世帯であれば、渋谷区のケースだと前年の所得が「35万円 × 4 + 31万円 = 171万円」以下のときに非課税となります。

この場合、年収で言うと約255万円以下の場合が非課税です。

出典:国税庁「No.1410 給与所得控除」

住民税非課税世帯の優遇措置

住民税非課税世帯の優遇措置

住民税非課税世帯に該当すると、国や自治体が提供するさまざまな公共サービスを少ない負担で受けることができます。

基本的に住民税非課税世帯は収入自体が低いため、生活を維持させるためにも優遇措置の活用が重要です。

各制度の内容への理解を深め、優遇措置を有効活用しましょう。

臨時特別給付金10万円が支給される

政府は、新型コロナウイルスの影響で生活が苦しい方に向けた支援策として、住民税非課税世帯に対する10万円の臨時特別給付金の支給を決定しました。

対象となる世帯は、以下のいずれかに該当する世帯です。

  1. 基準日(令和3年12月10日)において世帯全員の令和3年度分の住民税均等割が非課税の世帯
  2. 新型コロナウイルスの影響で家計が急変し、(1)の世帯と同様の事情にあると認められる世帯

臨時特別給付金は、特に申請をしなくても該当する世帯に確認書が送付されます。

振込先口座番号などを確認して返送すると、指定の銀行口座に現金10万円が振り込まれます。

参考:内閣府「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金について 」

教育費が免除される

本来、認可保育所・認定こども園などを利用する場合、3〜5歳までのクラスが無料で、0〜2歳は保育料がかかります。

しかし、住民税非課税世帯に該当する方は、0〜2歳のクラスも無料で利用可能です。

また、高等教育の修学支援新制度によって、要件を満たした住民税非課税世帯の方は、授業料や入学金の免除・減額を受けられます。

返還義務のない給付型奨学金も拡充されており、大学や専門学校への進学が支援されています。

「子どもに高等教育を受けさせることが金銭的に厳しい」と感じている住民税非課税世帯の方は、制度の利用を検討してみましょう。

出典:内閣府「幼児教育・保育の無償化」
出典:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」

国民健康保険料が軽減される

住民税非課税世帯に該当する方は、国民健康保険の保険料が所得に応じて免除されます。

また、医療機関の窓口での支払い額が一定の上限額を上回った場合に払い戻される「高額療養費制度」も、住民税非課税世帯には通常より低い上限額が設けられているため、医療費の自己負担が大きくなりすぎるのをを防ぐことが可能です。

介護保険料が軽減される

介護保険の第1号被保険者である65歳以上の方で住民税非課税世帯の場合、所得段階に応じて通常よりも介護保険料が軽減されます。

ただし、介護保険料は自治体に住む高齢者の人数や介護サービスの利用額によって、金額が異なります。

具体的な介護保険料については自治体ごとに差があるため、お住まいの地域の介護保険料を確認しておきましょう。

まとめ:住民税非課税世帯に当てはまっていれば制度を有効活用しましょう

住民税非課税世帯に当てはまっていれば制度を有効活用しましょう

住民税非課税世帯とは、住民税が課税されない世帯のことを指します。

一般的には収入が低く生活が苦しい世帯であることが多いため、支援するための優遇措置が用意されています。

ご自身が住民税非課税世帯に該当している場合は、積極的に制度を活用して生活の負担を軽減しましょう。

また、ご自身が住民税非課税世帯かどうかを調べる際は、お住まいの市区町村の役所で確認するのが確実です。

確認の際は、免許証やマイナンバーカード、保険証等の本人確認書類を持っていきましょう。

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