私たちは日々さまざまな税金を納めています。

「税金は何に使われているのか?」「税金はなんで納める必要があるのか?」このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

税金を納めているからこそ、納めている税金がどのように使われているのか、その使い道に無駄がないのかを知ることが大事です。

この記事では、税金の使われ方や使われ方に無駄はないのか?という点について解説します。

税金の使い道や納税が必要な理由についても紹介しますので、税金についての理解を深めましょう。

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税金の使い道とは

税金の使われ方とは

私達は日々の暮らしの中で、様々な税金を支払っています。

身近なところでは「消費税」がありますが、消費税以外にも住民税や所得税、酒税やたばこ税など約50種類の税金が存在します。

税金は大きく分けると国に納める「国税」と、都道府県・市区町村に納める「地方税」があります。

国税と地方税には次のような種類があります。

国税地方税
・所得税
・法人税
・相続税
・贈与税
・酒税
・たばこ税
・関税  など
・住民税
・事業税
・自動車税・軽自動車税
・地方消費税
・道府県たばこ税
・ゴルフ場利用税
・固定資産税 など

税金の使い道の割合

税金とは、国や地方自治体が運営するのに必要な経費を賄うために徴収するお金のことです。

道路や公民館といった施設の整備、住民票を始めとする各種証明書の発行やゴミ収集といった公共サービスなど、民間企業だけでは提供が難しいものを、政府が税金をつかって提供しています。

すべての国民が平等に公共施設・設備や公共サービスを利用するためには、国がそれらを管理・維持・提供する必要があります。

そのための費用として、国や地方自治体は徴収した税金を公平に分配して利用しています。

私たちがさまざまな公的サービスを受けられるのは、税金があるからといえるでしょう。

2021年度に使われた税金

2021年度の税金の使われ方

税金の使われ方は国の予算として公表されており、国の予算は税金と公債費(借金)で賄われています。

予算の使い道を知ることは、税金の使われ方を知ることにつながります。

2021年度は106.6兆円の支出が予定されており、使い道の3/4は「社会保障」「国債費」「地方交付税交付金等」が占めています

出典:財務省「日本の財政の状況」

5つの社会保障の財源になる

2021年度の予算案からも分かるように、税金がもっとも多く使われているのが「社会保障」です。

社会保障とは、困ったことが起きた人を社会全体で支えるための制度です。私たちの生活を守るセーフティーネットの役割があります。

病気やケガ、失業などによって急な出費が必要になったり、日常生活を送ることが困難に陥る出来事は誰にでも起こり得ます。

生活が困難になった際、個人の負担だけでは賄いきれない部分を国がサポートしてくれます。

社会保障は主に5つに分類されます。

  1. 年金
  2. 医療
  3. 生活保護
  4. 介護
  5. 子ども・子育て支援

1. 年金

社会保障の中で、最も多くの税金が使われているのが年金です。

年金とは、定年退職を迎えた高齢者や働くのが難しい障害者に対して定期的・継続的に給付されるお金のことです。

公的な年金制度には「国民年金」と「厚生年金」があります。

「国民年金」「厚生年金」ともに、加入期間が一定期間を超えると年金受給資格を得られ、老後の資金として受け取れるようになります。

しかし、自分の支払った年金保険料がそのまま自分の老後の資金として還ってくるものではありません。

自分たちが支払った年金保険料は、その時代の年金受給世代の年金給付に利用され、自分たちが年金受給世代になった時は、その時代の現役世代に支えられる形となります。

少子高齢化の進む日本では、現役世代の保険料だけでは受給世代の年金給付水準を維持することが難しくなってきています。

その年金給付水準を維持するために税金が使われているというわけです。

支払われる年金の一部は税金によって負担され、安心した老後の生活を支えています。

2. 医療

社会保険の一つで、病気やケガなど万が一のときに安心して医療を受けることができるように公的医療保険(国民皆保険)制度があります。

日本では、すべての国民が公的医療保険に加入することになっていることから、国民皆保険制度とも呼ばれています。

公的医療保険は「健康保険」や「共済組合」など運営者によって複数ありますが、どの保険に加入していても日本中で同じ保険が平等に適応されます。

全ての国民が公的医療保険制度に加入することで、医療費を全額負担せずに済んでいます。

ただし、国民が支払っている保険料だけでは医療費を賄いきれないため、一定範囲を国が税金で支払い個人の負担を軽減しています。

軽いケガはもちろん、入院や手術が必要なものでも、自己負担額は原則的にかかった医療費の3割(高齢者は1~2割)で済むのは税金が税金が使われているからです。

3. 生活保護

生活保護制度は、病気や障害があったり、高齢で働けない、生活するだけの蓄えがないなど、貯蓄や収入だけでは生活が困窮してしまう人の生活を守るための制度です。

生活費の補助である生活扶助だけでなく、家賃の支払いのための在宅扶助など8種類の扶助があり、目的に応じて支給されます。

ただし、生活保護の対象となるには条件があり、容易に受給はできません。

厚生労働省の調査によると、2020年11月時点で生活保護を受けている人数は約204万人いて、その半数以上は高齢者という結果が出ています。

生活保護者の困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を守るために税金が使われています。

4. 介護

高齢や障害・ケガなど、何らかの理由で介護が必要になった人を社会全体で支える仕組みが介護保険制度です。

訪問介護サービスや、介護施設を利用する際に費用の補助を受けられる制度のことをいいます。

護保険制度は65歳以上の第1被保険者と、40歳~65歳の第2被保険者が対象となります。

介護保険料の財源の半分は、被保険者から支払われている保険料からまかなわれています。

そして残りの半分が税金によって支払われています。

1~3割の自己負担で介護サービスを利用できるのも、税金が使われているから実現しています。

介護保険制度は2000年にスタートした制度で、介護サービスの拡大や高齢者の増加などに応じて都度制度は改正されています。

今後も所得に応じた保険料の見直しや、支払い対象年齢の引き下げなどが検討されています。

5. 子ども・子育て支援

少子化の進む日本では、その対策として子育てしやすい環境作りが必要とされています。

将来の日本を担う子どもたちの成長を社会全体で支援するためにも税金は使われています。

2015年に学校教育や保育の質の向上、子育ての負担低減を目的として「子ども・子育て支援新制度」が本格的にスタートしました。

この制度では、子育てにかかる経済的な負担を減らし、子育てしやすい環境の整備をするなど、総合的な子育て支援が行われています。

子育て支援としては次のようなことがあります。

  • 待機児童の解消
  • 幼児教育、保育料の無償化
  • 高等教育の無償化(2020年4月から開始)

「すべての子どもたちが、笑顔で成長していくために。すべての家庭が安心して子育てでき、育てる喜びを感じられるために」という考え方に基づいて制度が作られ、税金が使われています。

なぜ納税しなくてはならないのか

なぜ、納税しなくてはならないのか

税金を納めることは、国民の三大義務の一つです。

「教育の義務」「勤労の義務」「納税の義務」として憲法で定められています。

税金は公共サービスの対価

私たちは、日常生活を送るうえでさまざまな公的サービスを利用しています。

社会を守ってくれる警察や消防、安定したインフラ基盤、教育が受けられる学校など、他にも様々あると思います。

これらの公的サービスは、安心して生活していくうえで必要不可欠なものです。

警察や消防・水道や電気などのインフラ設備は特定の誰かだけが利用できるものではなく、誰でも公平に利用できるものです。

そのため、これらの公的サービス提供のための費用を国民から集めた税金で賄っているということです。

私たちは安心して生活してくため、公共サービスの対価である税金を支払う義務があります。税金は「社会の会費」ともいえるでしょう。

税金未納の場合は督促状が届くことも

納税は国民の義務であるため、未納の場合は督促状が届いたり、最悪の場合は財産を差し押さえられる可能性もあります。

税金には種類によって国が定める納付期限が定められています。

定められた期限内に納税しなければ滞納扱いとなり、延滞金の加算や督促などの対応がとられます。

税金の種類や自治体により対応は異なりますが、基本的な税金滞納後の流れは次の通りです。

  1. 督促状による催告
  2. 電話や訪問・文章などによる催告
  3. 財産調査
  4. 財産の差し押さえ

税金を支払うことが難しい場合は、役所に相談することで分納や猶予、減免などの措置を受けられる場合があります。

税金が支払えないからといって放置せず、早い段階で役場に相談しましょう。

税金の使い道に無駄はないのか

税金の使われ方に無駄はないのか

基本的に税金は、そのほとんどが国民のために使われています。

ただ、その使い道は無駄だと捉えられる部分もあり、税金の無駄使いについて報じられることが度々あります。

税金の使い方は「会計検査院」と呼ばれる機関が検査し、検査結果を国会に提出しています。

「会計検査院」は、内閣から独立した地位のある機関のことです。

国の決算を毎年検査することで、大切な税金が無駄に使われていないかをチェックしています。

会計検査院の2018年度の検査報告では約1,002億円、2019年度は約297億円の税金の無駄使いを指摘しています。

会計検査院が指摘した税金の無駄使いには以下のようなものがあります。

子ども・子育て支援交付金の過大交付

子ども・子育て支援の一つである、「放課後児童健全育成事業」では、保護者が働いている児童に対して放課後の居場所を確保し、子供の健全な育成を支援しています。

この活動の支援交付金において3都県で税金の過大交付が指摘されました。

交付金を決めるうえで必要な申告において、支援していない日を含めて計上することや、平均時間の計算ミスを起こしていたことが調査で判明しました。

この件で不当とされた金額は、3件で約2,000万円と報告されています。

出典:会計検査院「子ども・子育て支援交付金(放課後児童健全育成事業に係る分)の交付が過大」

東京2020オリンピック・パラリンピックに関する取り組み項目

東京2020オリンピック・パラリンピックでも、多くの税金が使われました。

そのため、会計検査院では適宜実地検査が行われており、結果の公表や、取り組みの要請が行われています。

2020年9月時点での検査結果として、次のような項目が報告されています。

  • 政府による取り組み公表資料に、準備の進捗に伴って新たに追加された業務が記載されていない

  • 関連予算について支出が予定されている予算が公表されていなかった

  • パラリンピック経費にかかわる契約のなかで、委託費清算の根拠資料を求めないなど適切な会計経理ができていない

  • 大会関連施策で大会開催に向けた進捗にさらなる努力が必要と認められる事業が複数ある(平成30年度までにすでに約1兆6,000億円の支出がある事業の進捗遅れ)

このように、オリンピック・パラリンピックにかかわる税金についても厳しい目でチェックされています。

出典:会計検査院「東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組状況等(要請)」

まとめ:税金の使い道・使われ方を把握しよう

まとめ:税金の使われ方を把握しよう

私たちが納めた税金は、日々の生活を支えるための社会保障をはじめ、さまざまな使われ方をしています。

国民の義務として定められている「納税」ですが、納めた税金の使われ方や税金が無駄に使われていないのかなどを知ることは大事です。

税金の使われ方について理解し、適切に納めて正しい使われ方をしているのかまで意識できるようにするとよいでしょう。

税金の使われ方は国会議員、都や県の議員が選挙に立候補する際の公約に提示されることがほとんどです。

今の使われ方に違和感を感じた際は、積極的に選挙の投票に参加することをおすすめします。

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