【2022】配偶者控除とは何かを解説!「年収の壁」についてもわかりやすく紹介

所得税や住民税の所得控除として利用できる「配偶者控除」と「配偶者特別控除」。
上手に活用すると世帯収入の負担を軽減できます。しかし、
- 「配偶者控除ってなに?」
- 「どういう条件で受けられる?」
という疑問をお持ちの方も多いことでしょう。
この記事では、配偶者控除の基本的な情報や控除を受けるための条件、手続き方法などを解説していきます。
配偶者の収入によって現れる「年収○○○万円の壁」についても紹介していきます。
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目次
- 1 配偶者控除とは
- 2 配偶者特別控除とは
- 3 配偶者の年収によって現れる「◯◯◯万円の壁」とは?
- 4 配偶者控除、配偶者特別控除の年収別具体例
- 5 配偶者控除、配偶者特別控除の手続き方法
- 6 まとめ:配偶者控除を理解して負担を抑えよう
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配偶者控除とは
「配偶者控除」は、納税者に収入がないまたは低い配偶者がいる場合に、所得税・住民税の所得控除が受けられる仕組みです。
控除を受けられる条件と年収別の控除額について解説していきます。
配偶者控除を受けられる条件
配偶者控除を受けるためには、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以内でかつ、配偶者が以下の条件を満たす必要があります。
- 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)
- 納税者と生計を一にしていること
- 年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与所得のみの場合は103万円以下)
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、又は白色申告者の事業専従者でないこと
上で紹介した「合計所得金額」とはいわゆる「年収」のことではなく、収入から給与所得控除や必要経費を差し引いた金額のことです。
配偶者控除を受けようとするときは、上記の条件に該当するかチェックしておきましょう。
配偶者控除の年収別控除額
配偶者控除は納税者の所得金額によって控除される額が異なります。
以下の表にまとめましたので、確認していきましょう。
納税者本人の合計所得金額 | 控除額 | |
一般の控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者 | |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円 〜 950万円以下 |
26万円 | 32万円 |
950万円 〜 1,000万円以下 |
13万円 | 16万円 |
「老人控除対象配偶者」とは、その歳の12月31日時点の年齢が70歳以上の人のことをいいます。
上記の表のように、納税者の所得金額に応じて控除額が異なることを把握しておきましょう。
配偶者特別控除とは
「配偶者特別控除」とは、配偶者の合計所得金額が48万円を超えてしまって配偶者控除が適用されない場合でも、配偶者の所得金額に応じて一定の控除が受けられる仕組みのことです。
配偶者特別控除を受けられる条件と年収別の控除額を解説していきます。
配偶者特別控除を受けられる条件
配偶者特別控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。
- 配偶者が、次の要件全てに当てはまること。
イ 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
ロ 控除を受ける人と生計を一にしていること。
ハ その年に青色申告者事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は白色申告者事業専従者でないこと。
ニ 年間の合計所得金額が48万円超133万円以下(平成30年分から令和元年分までは38万円を超え123万円以下、平成29年分までは38万円を超え76万円未満)であること。 - 配偶者が、配偶者特別控除を適用していないこと。
- 配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除きます。)
- 配偶者が、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除きます。)。
配偶者特別控除を受けようとするときは、上記の条件に該当するかチェックしておきましょう。
配偶者特別控除の年収別控除額
配偶者特別控除は、控除を受ける納税者と対象の配偶者それぞれの合計所得金額に応じて控除額が異なります。
以下の表にまとめましたので、確認していきましょう。
納税者本人の合計所得金額 | ||||
900万円以下 | 900万円超 950万円以下 |
950万円超 1,000万円以下 |
||
配偶者の 合計所得金額 |
48万円超 95万円以下 |
38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万円超 100万円以下 |
36万円 | 24万円 | 12万円 | |
100万円超 105万円以下 |
31万円 | 21万円 | 11万円 | |
105万円超 110万円以下 |
26万円 | 18万円 | 9万円 | |
110万円超 115万円以下 |
21万円 | 14万円 | 7万円 | |
115万円超 120万円以下 |
16万円 | 11万円 | 6万円 | |
120万円超 125万円以下 |
11万円 | 8万円 | 4万円 | |
125万円超 130万円以下 |
6万円 | 4万円 | 2万円 | |
130万円超 133万円以下 |
3万円 | 2万円 | 1万円 |
配偶者特別控除の額は、上の表のように納税者だけでなく配偶者の合計所得金額によっても異なります。
それぞれについてチェックして、自分が受けられる控除額がいくらなのか事前に把握しておきましょう。
配偶者の年収によって現れる「◯◯◯万円の壁」とは?
よく「年収◯◯◯万円から税金が上がる」などと耳にすることがあると思います。
ただ、実際のところよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
ここではそれぞれの「年収の壁」について解説していきます。
年収100万円の壁:住民税
年収100万円には「住民税の壁」があります。
パートやアルバイトでも年収100万円を超えると、それまでかからなかった住民税の「所得割」が課税されます。
所得割とは、所得に比例して課される住民税額のことです。
ただし、所得割のほかに全員に一定以上の所得がある人に一律同じ金額が課される「均等割」があります。
年収が100万円以下でも、均等割が課される場合がありますので注意が必要です。
年収103万円の壁:所得税、配偶者控除
年収103万円には「所得税の壁」と「配偶者控除の壁」があります。
所得税には、給与所得控除55万円と基礎控除48万円を合わせて103万円の控除があります。
年収103万円以下の場合は、控除後に課税所得が0円になるため、所得税が非課税になります。
103万円を超えてくると、所得税がかかってしまいます。
さきほど紹介した「配偶者控除」の対象となるのも、年収103万円(合計所得48万円)以下の場合です。
ただし年収103万円(合計所得48万円)を超えた場合でも、一定の年収までであれば「配偶者特別控除」を受けることが可能です。

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年収106万円の壁:社会保険(条件付き)
年収106万円には「社会保険の壁」があります。
以下の条件をすべて満たしていると、社会保険に加入する必要が出てきます。
- 月の収入が8.8万円以上
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 雇用期間が1年以上、またはその見込みがある
- 学生ではないこと
- 勤務先の従業員が501人以上(または保険加入について労使の合意がある場合)
月8.8万円以上ということは、年収換算だと105.6万円なので約106万円となります。
健康保険や厚生年金保険に加入することで手取りの収入が減ることになりますが、代わりに充実した社会保障を受けられる点はメリットともいえるでしょう。
年収130万円の壁:社会保険
年収130万円には「社会保険の壁」があります。
上で紹介した社会保険の加入条件を満たしていない場合でも、年収130万円を超えると自分で国民年金・国民健康保険に加入することになります。
この130万円の壁を超えると負担が大きくなるため、少しだけ超えそうな場合は抑える努力をした方がお得であると言えます。
年収150万円の壁:配偶者特別控除(減額)
年収150万円には「配偶者特別控除の壁」があります。
年収103万円(合計所得48万円)を超えると配偶者控除の対象から外れますが、配偶者特別控除の対象へと変わります。
しかし年収150万円(合計所得95万円)を超えると、その先は控除額が減少していきます。
つまり、配偶者の年収が150万円以上になってくると、次第に納税者本人の税負担が大きくなっていくことになります。
年収201万円の壁:配偶者特別控除(対象から除外)
年収201万円も「配偶者特別控除の壁」があります。
配偶者特別控除は、配偶者の年収が201万円までが対象となります。
つまり配偶者の年収が201万円を超えると、納税者本人からの配偶者特別控除が0になるということです。
配偶者控除・配偶者特別控除は、201万円を超えると控除対象から外れるので注意が必要です。
配偶者控除、配偶者特別控除の年収別具体例
次に具体的な年収を事例に挙げ、配偶者控除・配偶者特別控除について紹介していきます。
納税者や配偶者の年収についていくつかのケースを紹介しますので、チェックしてみてください。
納税者本人の年収500万円で配偶者の年収が103万円を超えそうな場合
納税者本人の年収が1,095万円に満たない場合は、配偶者控除38万円を受けることができます。
このケースにおいては配偶者控除を38万円で受けられますが、配偶者の年収が103万円を超えても150万円までは配偶者特別控除として同額の38万円が適用されます。
年収103万円を超えると配偶者本人に所得税がかかってきますが、夫婦の手取り収入は増えるので超えても問題はありません。
納税者本人の年収が1,200万円の場合
納税者本人の年収が1,195万円以上の場合、配偶者控除・配偶者特別控除の控除額が0になります。
したがって納税者が年収1,195万円を超えているのであれば、配偶者は控除のことは気にする必要はありません。
しかし、配偶者の年収が130万円を超えると、社会保険上の扶養からも外れて夫婦の負担が大きくなります。
可能な限り130万円を超えないよう、なるべく抑えた方がお得であると言えるでしょう。
配偶者の年収が201万円を超えそうな場合
配偶者の年収が201万円を超えると配偶者特別控除の対象から外れますが、無理に超えないように抑える必要はないです。
なぜなら、年収201万円前後(合計所得130万円〜133万円)の場合の控除額は、最大でも3万円だからです。
3万円の控除のために配偶者が年収を抑えるよりも、しっかり稼いで夫婦の手取りをアップさせる方が効果的であると考えられます。
配偶者控除、配偶者特別控除の手続き方法
配偶者控除・配偶者特別控除を受けるために必要な手続きを解説します。
年末調整での申告と確定申告では手続き方法が異なりますので、それぞれについて紹介していきます。
年末調整の手続き方法
年末調整で配偶者控除・配偶者特別控除を申請する場合、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の提出が必要です。
書類には以下の項目を記入します。
- 納税者本人の本年中の合計所得金額の見積額
- 配偶者の氏名・マイナンバー・住所・生年月日
- 配偶者の本年中の合計所得金額の見積額
特に、見積額については控除の額に影響するので間違いのないように記入しましょう。
確定申告の手続き方法
確定申告で配偶者控除・配偶者特別控除を申請する場合、確定申告書以外に提出する書類はありません。
確定申告書に配偶者の所得などの情報を記載します。
書類には以下の項目を記入します。
- 納税者本人の合計所得金額
- 配偶者の氏名・マイナンバー・住所・生年月日
- 配偶者の合計所得金額
確定申告書にはA・Bの2種類ありますが、基本的に記載する内容は同じです。
間違いのないように記入しましょう。
まとめ:配偶者控除を理解して負担を抑えよう
収入から引かれる所得税や住民税は、配偶者控除・配偶者特別控除を利用することで抑えることができます。
条件を満たしているかをチェックして、控除を上手に活用しましょう。
また、いくつかある年収の壁についても理解しておくことをおすすめします。
どれくらいの収入で税金がかかるのか、控除の対象から外れるのかなどは知っておいて損はないです。
控除について理解して手取り収入の負担を賢く抑えていきましょう。
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記事筆者
マネカツ編集部 Manekatsu Henshubu
"将来への漠然としたお⾦への不安はあるけど、何から始めていいのかわからない…"
そんな方に向けて「資産運用」や「節税」など、お金に関する情報を発信しています。

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