ボーナスをもらうと うれしい反面、額面と手取り額の差にびっくりすることはありませんか。「なんだかよく分からないけど、お金をいっぱいとられている」と感じる方も多いのではないでしょうか。

ボーナスからはどのようなものが引かれているのでしょうか。そして 、何故、控除する必要があるのでしょうか。ボーナスから差し引かれる税金や社会保険料の仕組みを解説します。

ボーナスと税金(所得税)の関係性とは?

ボーナス(賞与)の支給を受けた時、額面と手取りには かなり差があると感じませんか?色々なものが差し引かれて手取りは減りますが、最も大きいのが税金(所得税)です。

ボーナス(賞与)は「給与所得」となる

ボーナス(賞与)は給与所得の対象となります。給与所得は年間の給与収入から給与所得控除を差し引いた金額が給与所得となります。給与所得にかかる所得税は所得金額により異なります。

 

日本の税制では給料が多ければ多いほど所得税率が上がっていく仕組みになっていますので、毎年の給与やボーナスが多い方がたくさん税金を支払う仕組みとなっています。

参考:国税庁

ボーナスで引かれる4つの税金・社会保険料

ボーナスで引かれるものにはどのようなものがあるのでしょうか。ボーナスで引かれるのは、4つの税金と社会保険料 があります。それぞれの制度の概要について理解しておきましょう。

①所得税

ボーナスは給与所得にあたりますので、所得税が差し引かれます。ボーナスは税法上、「賞与」にあたります。くわしい計算方法は後ほど解説いたします。

②健康保険料

健康保険料は会社と従業員で折半して支払います。健康保険料は標準賞与額(ボーナスの額面金額の千円未満切り捨て)×保険料率で計算することができます。

③厚生年金保険料

厚生年金保険料も会社と従業員が折半で支払います。厚生年金は標準賞与額(ボーナスの額面金額)×保険料率18.3%で総額を計算できます。会社と折半で支払うこととなりますので、総額の1/2をご自身で負担する必要があります。

④雇用保険料

 雇用保険は育児休業や介護休業、被保険者の生活を守るための保険制度です。保険料率は業種により異なりますが、一般事業の場合、給与・賞与の額面金額の0.9%が雇用保険料の総額となり、うち0.6%は企業負担、0.3%は従業員の負担となります。

参考:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク

住民税の控除はされない

住民税はボーナス支給時に控除されることはありません。何故、所得税は差し引かれるのに住民税は差し引かれることがないのでしょうか。その理由は、所得税と住民税は支払う所得の基準となる年が異なるためです。

 

所得税はその年の所得を基に税額が計算されますので、確定前に概算金額として税金を支払っていることになります。そのため、払いすぎた場合は、年末調整や確定申告をすることで税金を返してもらうことができます。

 

所得税は1年間の総支給額が確定しないまま、源泉徴収という形で税金を徴収していきますので、賞与からも税金を徴収しないと税金計算が複雑になってしまいます。そのため、賞与についても源泉徴収をする方式をとっています。

 

一方、住民税は確定した税金を翌年支払う制度です。そのため、住民税は1年分を12で割って、毎月一定額で徴収するほうが、複雑に計算をする必要がありません。そのためボーナスから住民税が引かれることはありません。

 

ボーナスに所得税がかかる理由

実は、昔はボーナスに所得税はかかっていませんでした。ボーナスに所得税が課されるようになったのは20034月の法改正後からです。改正前は毎月の給料からのみ所得税が引かれており、ボーナスからは所得税は引かれていませんでした。

 

そのため、同じ年収でも毎月の給料として多くもらっている人とボーナスを多くもらっている人が支払う税金に差が出るということになります。

 

具体的に言うと、同じ年収600万円の人が2人いるとします。

Aさん:毎月の給料で年間500万円。ボーナスとして年間100万円

Bさん:毎月の給料で年間400万円。ボーナスとして年間200万円

 

昔の税制度で計算をすると毎月の給料からしか所得税を徴収されず、ボーナスから引かれることは無いため、年間の収入は同じであるにも関わらず、給与としての支給額が多いAさんの方が高額の所得税を支払う必要があります。

 

この制度により、毎月の給料を抑え、ボーナスとして多く支払う企業もあったため、税金逃れを防ぐため、また、不公平感を解消するために税制度の改正が行われ、ボーナスも毎月の給与と同じく、所得税が課税される制度となりました。

 

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ボーナスの平均額はどれくらい?

ボーナスは平均でどれくらい支払われている のでしょうか。また企業はどのようにボーナスを決めているのでしょうか。

ボーナス額の決まり方

ボーナス額の決まり方は企業によってさまざまです。具体的なボーナスの決定方法を見ていきましょう。

①定額方式

役職によって賞与額が決められる方式です。
部長クラスはいくら、係長はいくらという決め方です。中小企業に多い方式です。

 

②給与連動方式

ボーナスは給与の何カ月分と決められている方式です。日本の伝統的な賞与の決定方式です。

③利益配分方式

はじめに総支給額を決めてから金額を分配する方式です。支給額を決定する際はスキルや業績に応じて社員をSDなどのランク分けをして、支給額を決定する方式です。近年は伝統的な給与連動方式から利益配分方式に変更する企業が増えています。

大企業のボーナス

2019年夏の大企業のボーナスの平均(額面金額)は約97万1,777円(前年比▲2.52%)でした。東証一部上場かつ従業員数500名以上の主要21業種・251社の大手企業を対象とした調査結果です。

 

業種別に見ると造船・電気は上昇している一方で、それ以外の業種は前年比減となっていることががわかります。

 

ボーナスは毎月の給与よりも変動しやすく、ボーナスの支給額を見ると日本全体の景気がいいのか、また特定の業種の景気がいいのかを判断する材料ともなります。

参考:日本経済団体連合会

中小企業のボーナス

中小企業は企業によってボーナス支給額が大きく異なります。平均をとると給与の1カ月分程度と言われていますが、会社によってはボーナスが出ない場合や、大きく利益が出た場合には23カ月分が出る場合もあり、中小企業は企業により様々です。

ボーナスにかかる税金・社会保険料の計算方法を知っておこう

ボーナスにはどのような税金や社会保険料がかかるのでしょうか、また、何にいくらかかるのか、計算方法を理解しておきましょう。

社会保険料の計算方法

社会保険料が賞与からも引かれるようになったのは2003年からです。以前は給与からのみ社会保険料が徴収されていましたが、所得税と同じく同じ年収でも給与として支払われるか、賞与として支払われるかによって社会保険料に差が出ることへの不公平感から賞与からも社会保険料を徴収する法律に改正されました。

健康保険料

健康保険料は賞与支給額に保険料率をかけて計算します。大企業の場合は、自社やグループ会社で健康保険協会を運営しており、3%13%の範囲なら自社で保険料率を決めることができます。

 

一方、中小企業が多く加入する協会けんぽの保険料は都道府県により異なり、毎年改定されます。会社と折半で支払われるため、以下の計算式で計算されます。

 

健康保険料 標準賞与支給額(賞与の額面金額から千円未満切り捨て)× 保険料率 × 1/2

参考:都道府県別保険料率

厚生年金保険料

厚生年金保険料は会社と従業員で折半して支払います。厚生年金の保険料は18.3%ですから、厚生年金保険料は以下の計算式で計算できます。

 

厚生年金保険料 = 標準賞与額(賞与の額面金額から1,000円未満は切り捨て)× 18.3% × 1/2

雇用保険の計算方法

雇用保険料は、厚生労働省が管理する保険事業のために支払われるものです。労働者が何らかの事情で失業してしまった際に、再就職までの生活を安定させるように支援する目的で設立された保険事業です。

雇用保険料の従業員の負担額=賞与×0.3%で計算できます。雇用保険の保険料率は賞与の1000分の9で、従業員が1000分の3を負担し、残り(1,000分の6)を会社が負担することになります。

社会 保険料はボーナスから金額がたくさん引かれているので、会社にとられているような感覚になってしまいますが、会社が厚生年金保険料や雇用保険料を一部負担してくれていると考えた方が良いでしょう。

源泉所得税の計算方法

賞与の源泉徴収税額は以下のように計算します。

 

社会保険料控除後の賞与の額×税率(所得額により異なります)

 

毎月支払われる給与の場合は、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」に当てはめて計算します。「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」とは国税庁が公表している計算表で「扶養親族等」の人数を考慮して計算できる表に基づいて、その月の所得税が決定します。

 

賞与では「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用いて計算します。

 

「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」と「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」は国税庁のHPで確認することができます。

参考:国税庁

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ボーナスにかかる税金の計算実例を詳しく解説

ボーナスにかかる社会保険料や税金の仕組みについてご説明してきました。ここからは具体的に計算をしてみましょう。

30歳男性、扶養なしの場合

30歳男性、扶養している人がいない方の賞与が40万円、前月の給与が20万円の場合、どのような計算になるのでしょうか。実際に計算してみましょう。

所得税

所得税は前述の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で計算します。平成30年度分の表を確認すると、月の給与が20万円、扶養親族0人の場合上から3番目の79千円から252千円の範囲に該当します。

 

表の左側を確認すると税率は4.084%。実際は、この表によって算出された税率を賞与額にかけて計算します。

 

342,00040万円 − 57,600円(社会保険料合計額)(千円未満切り捨て)) × 4.084% = 13,967円(賞与から源泉徴収)

 

社会保険料の計算方法はこの後解説します。

 

参考:国税庁

健康保険料

健康保険料は賞与支給額×保険料率×1/2で計算します。

 

東京都で協会けんぽに加入している企業の場合、以下のとおり計算します。

標準賞与額を算出します。

標準賞与額は賞与支給額を千円未満切り捨てた金額となります。今回の例の場合、標準賞与額は40万円となります。

 

東京都の保険料率を調べます。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3130/h30/300209

 

東京都の保険料率は9.90%となっていますので、以下の計算式で計算します。

40万 × 9.90% × 1/2 = 19,800

 

厚生年金

厚生年金保険料は賞与支給額(千円未満切り捨て)×18.3×1/2で計算します。

 

賞与が40万円の場合は以下の通り計算します。

40万 × 18.3% × 1/2 = 36,600

雇用保険料

雇用保険料は賞与支給額×0.3%で計算します。今回の例の場合は以下の通り計算します。

40万 × 0.3% = 1,200

42歳男性、扶養家族3人の場合

次に、42歳男性で扶養家族が3人いる場合の計算をしてみましょう。賞与が752,100円、前月の給与が40万円の場合の計算をしてみます。

 

〈所得税〉

「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で確認すると前月の給与が40万円、扶養家族が3人の場合は398千円~417千円の範囲に該当します。表の左側を確認すると税率は8.168%。実際は、この表によって算出された税率を賞与額にかけて計算します。

 

643,000円(752,100―108,288円(社会保険料合計額)(千円未満切り捨て))× 8.168% = 52,520円(賞与から源泉徴収)

 

社会保険料の計算方法はこの後解説します。

健康保険料

健康保険料の計算方法は基本的に先ほどの例と同じです。

 

標準賞与額を算出します。

標準賞与額は賞与支給額を千円未満切り捨てた金額となります。今回の例の場合、標準賞与額は752,000円となります。

 

東京都の保険料率を調べます。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3130/h30/300209

 

東京都の保険料率は9.90%となっていますので、以下の計算式で計算します。

 

752,000 × 9.90% × 1/2 = 37,224

厚生年金

厚生年金保険料は賞与支給額(千円未満切り捨て)×18.3×1/2で計算します。今回の例の場合は以下の通り計算します。

 

752,000 × 18.3% × 1/2 = 68,808

雇用保険料

雇用保険料は賞与支給額×0.3%で計算します。健康保険料や厚生年金保険とは違い、賞与支給額に保険料率をかけます。千円未満切り捨てなどの端数処理はしませんので注意しましょう。今回の例の場合は以下の通り計算します。

 

752,100 × 0.3% = 2,256

ボーナスの所得税を知るならシミュレーションがおすすめ

ここまで、ボーナスの所得税や社会保険料の計算方法を見てきました。概要を把握することは大切ですが、計算方法を全て暗記することは難しいと思います。また、保険料率等も毎年変わるため、細かい数字を覚えることにはあまり意味がありません。

 

概要や制度の趣旨を把握した上で、実際に計算する場合は便利なシミュレーションツールを利用するほうが良いでしょう。

 

利用する場合には、以下のシミュレーションツールがおすすめです。シミュレーションツールは税制改正を盛り込んでいる上に、必要箇所を入力するだけで、簡単に所得税を計算することができます。

参考:所得税・住民税簡易計算機

最後に

ボーナス(賞与)の税金や社会保険料について解説してきました。ボーナスは額面と手取り額に大きな差があるため、何にいくら支払われているか理解しておいた方が良いでしょう。賞与から差し引かれる金額は大きく分けて社会保険料と所得税です。

 

支給額から差し引かれてしまうため、お金をとられているような感覚になってしまいますが、社会保険料は働けなくなった時や将来の年金の原資となる大切な制度です。

 

また、厚生年金など会社と折半になっており、将来のご自身の年金のために会社が半分も年金原資を支払ってくれている大切な制度だということは認識しておきましょう。

 

監修者:山﨑 貴史(ファイナンシャルプランナー)

 

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