株式投資をしていると時折、特に大きなニュースがないのに急激に株価が上昇する銘柄が現れます。

一見すると利益を得るチャンスに感じますが、「仕手株(してかぶ)」と呼ばれる銘柄だった場合、大きな損失を抱える危険性があるため注意が必要です。

仕手株には株価が上がる理由がないため、上昇した株価はいずれ元の水準に戻ります。

その結果、株価が上がった後に購入した投資家が損をする代わりに、意図的に株価を操作した投資家が利益を得ることになります。

突然株価が上がって注目を集めている株を購入する際は、その銘柄が仕手株に該当しないかを見極めることが重要です。

この記事では、仕手株の特徴や仕組み、仕手株を買ってしまった時の対処法や選ばないコツをわかりやすく解説します。

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仕手株(してかぶ)とは

仕手株(してかぶ)とは

意図的に株価が操作されている株のこと

「仕手株(してかぶ)」とは、特定の投資家(または投資家集団)が株価を吊り上げる意図を持って買い注文を集中させる銘柄のことです。

株価を意図的に操作するので、短期間に大きな利益を得ることができます。

このような株式市場へ投機的に参加する投資家集団のことを「仕手筋(してすじ)」、「仕手集団」といいます。

株価を操作する背景には、株価が安い時期に多くの株を買っておき、意図的に株価を吊り上げた後に売却することで利益を得る目的があります。

仕手株は、相場の流れによって動くことが多く、仕手株とそうでない株の区別ははっきりしていません

株価が急騰する銘柄

株価を操作したい仕手筋が好むのは、発行済みの株式数が少なく一株当たりの単価が小さい小型株です。

このような銘柄は時価総額が小さいので、比較的少額の資金でまとまった買いを入れるだけで、株価を意図的に吊り上げることができます。

通常、株価が急騰する際には、新規事業への参入や業績が急激に良くなった、他者との提携や合併のニュースなど、明確な理由が存在します。

しかし、仕手株は株価が急騰する理由がなく、不自然に株価が上昇していきます。

連日ストップ高となり、数日のうちに株価が何倍にも吊り上がっていくケースがあるのも、仕手株の特徴です。

仕手株の例

仕手株の例

上の画像は、実際に仕手株が行われたキムラタン(8107)のチャートです。

赤丸で囲んでいる部分に着目すると、その部分だけ株価と出来高が急激に高くなっていることがわかります。

出来高はその株で成立した売買の数量を指すため、赤丸の個所は急激に人気が高まって価値が上昇したように見えているということです。

通常の株価高騰の背景には何かその銘柄にとって前向きなニュースがあるものですが、キムラタンの株価が急騰した時期は、価値が上がるようなニュースや情報がありませんでした。

このように「意図的に株価が操作されていること」と「株価が急騰していること」の2点が揃うと仕手株となります。

出典:株式会社SBI証券「キムラタン (8107)」

仕手株の仕組み・流れ

仕手株の仕組み・流れ

仕手筋がどういった流れで株価を操作しているかを把握しておくと、価格変動のリスクが大きい仕手株を回避できます。

仕手筋が株価を操作する基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 狙った銘柄(対象)の株を集める
  2. 集めた株に対して一気に買い注文を入れて株価を急騰させる
  3. 株価が上がりきったときに、一気に売りに出す
  4. 株価が元の適正価格に戻る

それぞれの詳細について以下で解説します。

1. 対象の株を集める【玉集め(ぎょくあつめ)】

仕手筋は、まず対象となる株を買い集めることから始めます。

株価が低迷している銘柄の中からターゲットを決め、株価が安いうちに少しずつ買い集めます。

この行為は「玉集め」と呼ばれ、のちに大きな利益を得るための準備をする段階です。

仕手筋は、他の投資家に気付かれないように目立たず、操作する対象の株を買い集めていきます。

のちに株価が急騰したときに一気に売り抜けるため、集めた株数が多いほど得られる利益が大きくなります。

​​資金力があればあるほど有利なので、場合によっては出資者を募っている仕手筋もいます。

2. 一気に買い注文を入れる【玉転がし(ぎょくころがし)】

株を集め終えた仕手筋は、個人投資家が注目しやすいように一気に大口の注文を入れます。

あえて目立つように株価を急騰させ、他の投資家に「何か起きているのかも」と感じさせることが目的です。

個人投資家が株を買い始めると、仕手筋は保有している株を少しずつ売却し、株の需給バランスを安定させる「冷やし玉」という行為をします。

そして、出来高を増やすために買い集めた株(玉)の売買を繰り返し、自作自演で上昇しやすいチャートを形成(転がす)します。

こうした行為は「玉転がし」と呼ばれ、個人投資家の買い注文をより多く集めることが目的です。

株価が上昇しやすいチャートを形成すると、インターネット掲示板やSNSを通じて買いを煽り、個人投資家の買い注文を誘うこともあります。

3. 集めた株を一気に売りに出す【ふるい落とし】

個人投資家からも注目が集まり、買い注文が殺到すると、対象銘柄が値上がり率や出来高のランキングに登場するようになります。

買いが買いを呼び、株価が急騰していく一方で、仕手筋は買い集めた株を売り始めます。

最初は少しずつ売って利益確定をしつつ、場合によっては買い注文も入れながらさらなる上昇を誘導して利益の最大化を目指します。

そして需要が落ち着いたところを見計らって、残りの株を一気に売却するのです。

最終的には買い集めた株をすべて売り、巨額の利益を確定させます。

4. 株価が元の適正価格に戻る

仕手筋による株の一斉売却が終わると、株価は急落を始めます。

今度は売りが売りを呼ぶ展開へと発展し、急騰していた株は元の適正な価格水準に戻ります。

損失を抱えたくない個人投資家の思惑から売りが殺到し、最悪の場合「ストップ安」になることもあるでしょう。

仕手筋が株価を吊り上げている最中に株を買った個人投資家は、高値を掴まされて含み損となってしまいます。

大きく損失を抱えてしまうリスクがあるため、仕手株であると判断できたらなるべく早く損切りして株を手放しましょう。

仕手株になりやすい銘柄

仕手株になりやすい銘柄

仕手株は高値掴みのリスクが高い銘柄であるため、大きな損失が発生してしまう危険性があります。

事前にどういった銘柄が仕手株になりやすいのかを把握しておき、仕手株を回避することが重要です。

仕手株に仕立てられやすい銘柄には主に以下3つの特徴があります。

  • 低位株(株価が安い)
  • 発行株式が少ない・出来高が少ない銘柄
  • 株価が不安定

上記3つのポイントについて、それぞれ解説していきます。

低位株(株価が安い)

「低位株」とは、一株当たりの単価が安い銘柄のことです。株価が安い方が仕手筋が株を買い集めやすく、株価上昇の余地も大きいためと言われています。

株価がいくら以下になれば低位株という明確な基準はなく、株価500円以下という区分もあれば、東証プライム上場銘柄の株価ランキング下位20%という区切りをするケースもあります。

一般的には、株価500円以下の銘柄が「低位株」、株価100円以下の銘柄が「超低位株」と呼ばれることが多いです。

株価が安い銘柄は価格操作のターゲットにされやすいので、急騰ランキング上位にいるなどの状況を目にしたら、警戒して情報収集しましょう。

発行株式が少ない・出来高が少ない銘柄

仕手筋は、ほかの投資家に気付かれないように少しずつ株を買い集めます。

そのため、投資家から注目されていない、出来高(売買)が少ない銘柄は仕手株になりやすい特徴があります。

株価が安く、発行株式数が少ないということは、時価総額が低い銘柄がターゲットになりやすいということです。

つまり、「ソフトバンクグループ(9984)」や「トヨタ自動車(7203)」のような時価総額が高い銘柄が仕手株になるケースはほとんどありません。

株価が不安定

仕手株になりやすい銘柄の特徴として、株価が不安定である点が挙げられます。

適正な株価水準の判断が難しく、株価が急騰していても「何かあるのかもしれない」と思わせることで株価を操作しやすいからです。

例えば、成長途中のベンチャー企業の株(新興株)が対象となるケースが多くあります。

成長途中であれば業績が安定せず、株価も不安定な動きとなるため株価の適正水準の判断が難しいためです。

普段から不安定な値動きをしている銘柄が急騰した場合、個人投資家は「何か表に出ていない情報があるのか」と期待しやすい傾向にあり、仕手筋のターゲットになりやすいことを留意しておきましょう。

仕手株を買ってしまったら

仕手株を買ってしまったら

購入した銘柄が「仕手株かも?」と思えるような証拠を見つけたら、なるべく早く売り抜けるのがいいでしょう。

そもそも仕手株は株価が上昇する理由がないのに価格を吊り上げられた銘柄であるためです。

「いつか上昇するかも」と信じて持ち続けていても、上がる理由のない株価はいずれ急騰前の水準に戻るため、長く持っていればいるほど損失が膨らんでいきます。

仕手株は、長く持っていればいるほど損失が膨らむケースがほとんどで、その間資金も拘束されるため他の銘柄への投資機会の損失につながります。

仕手株が懸念されたら、株価が下がり始めた時点で速やかに損切りして手仕舞いすることをおすすめします。

仕手株銘柄を選ばないコツ

仕手株銘柄を選ばないコツ

仕手株は、株価が急騰することから魅力的に見えるかもしれません。

しかし、ネットやSNSで話題になったり、出来高ランキングに登場し始めた銘柄は、すでに「ふるい落とし」の直前段階であることも多いです。

購入したところが天井だったという危険性もあるため、仕手株銘柄を選ばないコツを押さえておきましょう。

突然ランキングに現れた銘柄には手を出さない

それまで特に目立たなかった銘柄が、突如急騰して株価上昇ランキングなどに現れた場合は仕手株の可能性を疑いましょう。

不自然に値上がりしている銘柄には、基本的には手を出さないほうがいいでしょう。

もし株価が急騰した銘柄を見つけた時は、直近1年〜5年ほどの株価チャートをチェックすることをおすすめします。

これまでにない急騰が起こっている場合は、仕手筋が仕掛けている可能性が考えられます。

また、株価上昇の理由となる前向きなニュースが発表されていないかを調べることも重要です。

投機的に手を出すと大きな損をする可能性があるため、怪しい・危険だと判断したら取引しないようにしましょう。

出来高が多い銘柄を選ぶ

仕手株を回避するためには、なるべく出来高が多い銘柄を選ぶようにしましょう。

出来高が多い銘柄は、それだけ株価を操作されにくい傾向にあるためです。

目安としては、1日の出来高が100万株以上の銘柄がおすすめです。

仕手株を取引してしまうリスクを回避するためにも、取引が活発な銘柄を選ぶように心掛けましょう。

比較的安定している銘柄を選ぶ

仕手株を買ってしまわないためにも、比較的安定している銘柄を選ぶようにしましょう。

株価の値動きが激しい銘柄は仕手筋が仕掛けている可能性があり、いきなり株価が暴落する危険性があります。

安定した銘柄選びのポイントとしては、日経225やJPX日経400などの株価指数に含まれている銘柄を選ぶことです。

株価指数に組み込まれる銘柄は大型株であることが多く、仕手株になり得る要件から外れています。

できるだけ株価指数に採用されているような大型株・安定している銘柄を選ぶように意識しましょう。

まとめ:仕手株に安易に手を出さないよう気をつけましょう

仕手株に安易に手を出さないよう気をつけましょう

仕手株自体は、「株を買い占めて一気に売る」というシンプルな仕組みで行われています。

株価が急騰している株を購入してしまうと、高値掴みとなって大きな損失を抱えるリスクがあるため注意が必要です。

「時価総額が低く、出来高が少ない」など、仕手株を見分けるポイントはいくつかあるため、普段から意識しておけば仕手株を買ってしまうリスクは下げられるでしょう。

万が一仕手株を買ってしまった場合は、損失が膨らんでいく前にすみやかに損切りして売り抜けることがおすすめです。

安易に仕手株に手を出さないためにも、紹介したポイントをもとに投資銘柄を選び、大切な資産を守りましょう。

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