株式投資の手法として、配当金の多い銘柄を狙って投資する「高配当株投資」というものがあることをご存じでしょうか。高配当株投資は、配当金が多く得られるというメリットがあります。しかし単純に高配当株に投資するにはリスクが付いてくるのです。

そこで今回の記事では高配当株投資についてメリット・デメリット、そしてリスクの回避法も解説します。さらに今注目されている高配当銘柄について、業績の解説と分析をします。

※今回の記事では執筆時期(2021年2月ごろ)の株価を基準に、配当利回りを算出しております。

 

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目次

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高配当株投資は高い配当利回りが魅力

高配当株投資とは配当利回りの高い銘柄を中心に投資する手法です。では配当金とは何なのか、配当利回りの計算方法とは、そして日本の上場企業における配当利回りの現状はどうなっているのでしょうか。

配当金とは企業の利益を株主に還元する行為

はじめに配当金の出る仕組について解説します。株式会社とは株主がお金を出して企業の所有権を持ち、企業は株主から手に入れたお金を元にビジネスを行うのです。そしてビジネスで出た売上は、仕入先や従業員にお金を支払い、最後に税務署に税金を納めます。こうして最後に残ったお金が利益となるのです。

配当金は企業が残した利益に対して「分け前」として配られます。ただ一般的には利益の全てが配当金になることはありません。なぜなら企業は利益を事業拡大の資金にするからです。したがって多くの上場企業では配当金は利益の一部しか使わないことを基本方針としています。

配当利回りとは株価に対する配当金の比率

高配当株投資では「配当利回り」という言葉がキーワードとして出てきます。配当利回りとは定期預金などで見られる「利率」を株式に当てはめたものです。

計算式は1株あたり配当金(円)÷株価(円)×100=配当利回り(%)です。

ご覧の通り計算式に株価が入っています。そのため株価の変動によって配当利回りが変化するのです。また、配当利回りを計算するときの配当金は、企業が発表する予想配当金を用います。

上場企業の平均配当利回りは1.62%

では株式の配当利回りとはどの程度あるのでしょうか。日本経済新聞社の調べでは2021年2月3日時点で1.62%(東証1部上場銘柄平均)となっています。日本の銀行で普通預金に預けても金利は0.001%なので、株式の配当利回りの高さは魅力的です。

配当利回り5%以上の大手企業がたくさんある

そして今解説した配当利回りは平均値です。そのためより高い配当利回りになっている銘柄がたくさんあります。そして有名な大企業の中でも5%以上の配当利回りになっている企業があるのです。

※記事の後半では配当利回り5%以上の大企業を紹介しております。

高配当株投資のメリットは投資資金の早い回収

つぎに高配当株投資のメリットについて解説します。株式投資といえば、株を安く買って高く売ることで利益を得るイメージがあります。しかし高配当株投資では、配当金でリターンを得ることに重きを置いて投資する手法です。

メリット①:高い配当金が収入源となる

高配当株投資では配当利回りの高さを活かして、収入源にすることができます。もし100万円で配当利回り5%の高配当株投資を行えば、年間5万円の収入を得ることができるのです。当面使い道のない資金をお持ちの方には、ありがたい収入になります。

メリット②:株価の変動を気にしなくてすむ

高配当株投資では配当収入を重視します。したがって株価の変動に対して、神経質にならなくてすむのです。企業が大きく傾くわけではないのに、株価は様々な理由で変動します。しかし高配当株投資ではささいな株価変動に気を取られることが無くなるのです。

メリット③:業績の安定した大企業がある

配当利回りの高い企業は、経営の危ない企業である可能性があります。その一方で高配当株には、成熟した産業の大企業にも見られるのです。このような企業の株価は急成長が期待できないので、低調な株価になることがあります。その結果、配当利回りが高くなりやすいのです。

メリット④:「配当再投資」で複利効果が高くなる

高配当株投資の最大のメリットです。株式投資で資産を作る場合、得られた利益を次の投資資金にする必要があります。このとき高配当株投資を行っていると、再投資に使える資金を多く得ることができるのです。長期間の高配当株投資に成功すれば、資産形成のスピードは一気に早まります。

高配当株投資のデメリットは成長力に欠く企業が多くなる

一方で高配当株投資にもデメリットがあります。本当の成長株であれば配当金を出さず、ビジネスに再投資する方が良く、株価も高くなるという考え方があるのです。したがって高配当株投資は、資産を大きくする次善策といえる要素があります。

デメリット①:増配しない・増配が少ない

高配当株投資の場合、すでに成長スピードが低下している企業が多くなります。また事業の拡大にお金を使わない分、配当金に回している可能性があるのです。そのため今後、増配しないことや、増配するペースが落ちる可能性があります。

デメリット②:株価が上がりにくい

先述の通り、高配当株投資に当てはまる企業は成熟したビジネスです。そのため業績の向上も少なく、株式市場の注目も浴びなくなっています。そのため成長株のような急激な株価上昇は期待できません。

デメリット③:減配するリスク

株式の配当金は企業が独自に業績見通しを立てた上で、発表されます。したがって思わぬ業績悪化や、経営方針の変化があると配当金を減らす可能性があるのです。近年ではリーマン・ショックやコロナ・ショックで、配当金をゼロにせざるを得なくなった企業がありました。

デメリット④:配当金から税金を徴収される

通常配当金には税金が徴収されます。これは資本効率の観点からいえば非効率的です。なぜなら配当金は企業が法人税などを支払った後のお金から得られます。そのため配当金をもらうことは2重に税金を納めることになるからです。もし効率的に企業を成長させたければ、さらなる設備に投資すべきです。設備投資をすれば節税になり、かつ企業が成長できます。

デメリット⑤:少ない資金では複利効果が薄い

高配当株投資では高い配当利回りで得たお金を元手に、株式に追加投資することができます。しかしいくら高配当株でも投資金額が少ないうちは、配当金だけで株式投資するには足りないのです。

例えば100万円で5%の高配当株投資をすると、年間5万円(税引き前)になります。しかし5万円だけで、単元株を買うことができる銘柄は限られているのです。そのため資産の少ない間は、他の収入から投資資金を補充しなければいけません。

※単元株:証券取引所で通常売買できる最低株式単位数、100株単位の株式が多い

高配当株投資のリスクを回避する方法は「企業の分析」と「制度の活用」

このように高配当株投資には様々なデメリット(リスク)があります。これらリスクに対してどのような対策があるのでしょうか。高配当株投資では、投資先が高配当を維持(増配)できるだけの力を持っているかを確認することがおすすめです。

リスク回避法①:景気に左右されやすい企業への投資を避ける

企業の中には、景気変動や円高/円安などで業績が大きく変わることがあります。このような企業の場合、不景気になると配当を減らす可能性があるのです。近年ではコロナ・ショックで業績が悪化し、減配や無配になっている企業があります。

例えば【7201】日産自動車は2011年から2019年まで増配を続け、配当利回りも一時期6%台に達していました。ところが2020年から業績が低迷し減配となったのです。さらに2021年は無配の予想となっています。

リスク回避法②:売上や利益が下降線の企業への投資を避ける

配当金は企業が出す利益の分け前です。そして利益を出すためにはそれに見合った売上が必要になります。したがって売上や利益が下降線の高配当株への投資はリスクが高いと考えるべきです。もし売上や利益が伸びない高配当株へ投資するときは、今の業績が一時的なものだということを十分に調べてから投資されることをおすすめします。

リスク回避法③:過去の配当実績を確認する

過去の配当実績を調べることは、高配当株投資のリスク低減につながります。特に高配当株投資では、配当金を長期間得られるかどうかが成否の分かれ目になるからです。そこで高配当株投資では、少なくとも「リーマン・ショック前後」からの配当実績を調べることをおすすめします。

なぜならリーマン・ショックでは多くの企業で業績が低迷し、配当金を減らされたからです。またリーマン・ショックからすでに10年以上経過しているので、長期的な配当実績も分かるのです。

リスク回避法④:配当性向を確認する

高配当株投資では、「配当性向」をチェックすることをおすすめします。配当性向とは、企業の利益に対する配当金の割合を表す指標です。つまり企業が残した利益のうち、どの程度を配当金に回しているかが分かるのです。一般的に日本企業では配当性向を30%前後にしています。ところが高配当株では配当性向が50%を超えていることがあるのです。

例えば【4502】武田薬品工業では2021年予想配当利回りが4.87%(2021年2月9日終値)となっています。ところが同社の配当性向は利益の6倍以上(配当性向633%)となっているのです。

リスク回避法⑤:配当方針を確認する

上場企業の有価証券報告書やIRサイトにて、配当の方針についての記載があります。高配当株投資では、これら文書を確認することをおすすめします。一般的には経営全体のバランスを考慮して配当金を決定するとしています。

例えば【9502】関西電力では財務体制の健全性を確保しながら、安定的に配当を実施するとしています。そのため福島第一原子力発電所の事故以後、経営環境が悪化したため、配当を出さなかった時期があるのです。

リスク回避法⑥:日本企業に多い「記念配」

日本企業では創業何周年などといった節目に、配当金を増額することがあります。このような配当を「記念配」と呼ぶのです。記念配の場合、一時的に高配当株になることがありますが、翌年以降通常の配当金に戻ることがあります。

例えば【8053】住友商事では、2019年度の年間配当金を80円としました。しかしこれは創立100周年による記念配として、10円加算されたものです。そのため2020年度の年間配当金は70円と予想しています。

リスク回避法⑦:NISAを使って税金対策

せっかくの高配当株でも、所得税や住民税が徴収されます。そのため実質の配当利回りが下がってしまうのです。しかし個人投資家であれば制度を活用することで、税金対策をすることができます。

それはNISA(少額投資非課税制度)を使うことです。NISAを使えば、年間120万円までの投資に対して株式の売却益だけで無く、配当金も非課税になります。またNISAでの投資は、5年間が有効期限とされていますが、継続の手続き(ロールオーバー)をすることで、最大10年間まで非課税の優遇を受けられるのです。

リスク回避法⑧:投資信託で少額積立

それでも個人投資家が100株単位で投資するには、金額的に難しいことがあります。また限られた高配当銘柄だけに投資すると、これまで紹介したリスクの程度が大きくなるのです。

その対策として投資信託で投資をするという手があります。実際高配当株に特化した投資信託が販売されているので、少ない資金からでも高配当株投資を始めることができるのです。

分析のミスや高配当を維持できなくなれば「損切り」も必要

このように高配当株投資には、様々なメリットとデメリットがあります。そして、紹介したリスク回避法を行えば、高配当株投資に満足できる可能性が高まるのです。しかしそれでも減配や無配になるリスクは残ります。そこで高配当を目的に投資するのであれば、減配や無配で「高配当」の前提が崩れた時点で株式を売却し、仕切り直すことも必要です。

高配当株投資ができる銘柄紹介

最後に今日本で高配当株として投資できる企業4社を紹介します。そして各企業の業績と配当履歴、そして配当性向を分析して、今後の展開を解説します。

※ここで表記する配当金は年間合計です。

ソフトバンクは高配当だが配当性向が高い

はじめに紹介する企業は【9434】ソフトバンクです。ソフトバンクはソフトバンクグループで、通信サービスをになう子会社として2018年に株式上場しました。Yahoo!Japanを運営し、LINEやZOZOと提携したZホールディングスは同社の子会社です。2018年の上場当初から高配当株として注目されています。

なお2021年2月3日時点の株価は1,398円、配当利回りは6.15%です。

ソフトバンクの業績は上昇傾向です。国内通信インフラ大手として様々なサービスを展開している成果が出ているようです。今後も技術発展に伴う高い需要が期待されます。

※2019年は上場初年度のため半期分の配当金のみ

一方で配当政策では疑問が残ります。高配当株の特徴である「高い配当性向」がソフトバンクでも見られるのです。80%以上の配当性向なので、少しの業績低迷でも減配する可能性があります。

また同社はソフトバンクグループの子会社です。そのため親会社が配当金を多く取ることで、同社の利益をグループ全体に配分する戦略をとっていると推測できます。

JT(日本たばこ産業)は無理な増配が続いていた

【2914】日本たばこ産業は国内たばこ最大手です。近年は海外展開に積極的で、世界でも上位のシェアを有しています。

なお2月3日時点の株価は2,120円、配当利回りは7.26%です。

海外の事業展開をしているものの、業績は伸びていません。むしろ国内たばこの需要低下の影響が大きくなっているのです。特に利益ではこの5年間で25%以上低下しています。

日本たばこ産業の業績低迷は配当政策にも影響しています。2019年までは増配政策をとっていた一方で、配当性向は上昇し、100%に近づいていたのです。ここまで配当性向が上がると、業績改善をしなければ増配は難しかったでしょう。

そして2021年2月になり、同社は今期の配当金を130円に減配すると発表したのです。しかし発表時点の株価ではまだまだ「高配当」の配当利回りです。また同時に工場の整理などリストラが行われるため、業績の回復が期待されます。

日本郵政も配当性向が徐々に上がっている

日本郵政は郵政民営化に伴い、企業化された会社です。国内最大級の郵送事業、銀行事業、そして保険事業を有しています。そのため国民からの信頼度も高く、大量の資産を有しているのです。

なお2月3日時点の株価は929円、配当利回りは5.38%です。

ところが日本郵政の業績は苦戦を強いられています。売上は徐々に低下しており、利益も2017年には赤字を出しているのです。海外進出も行っていますが、順調とはいえません。

日本郵政の配当政策も苦しくなっています。2018年までは増配できたものの、2019年には減配しているのです。配当性向も50%前後を推移しているため、業績の改善が無い限り増配は厳しいと推測できます。

三菱UFJフィナンシャルグループは利益改善がカギ

三菱UFJフィナンシャルグループ(以下三菱UFJFG)は、三菱UFJ銀行を中核とした各種金融業の総合グループ会社です。ゆうちょ銀行を除く日本の金融機関では最大規模で、海外進出に積極的です。

なお2月3日時点の株価は498円、配当利回りは5.02%です。

三菱UFJFGの業績は堅調に推移しています。幅広い事業展開と海外進出が効果を出していると思われます。一方で、利益は逓減しており事業の拡大に対するリターンが十分ではないようです。また国内では今後も低金利と人口減少が続くと見られているため、銀行業界全体が将来性を低く見積もられています。

配当金は増配傾向をたどっています。これは同社が配当性向40%を目指すとしている効果が出ていると思われます。しかし利益が低迷している分、配当性向が高くなっているのが現状です。事業の拡大に対するリターンが早期に実現すれば、配当の維持だけでなく増配も期待できます。

十分な分析をして高配当株投資を楽しもう

今後、日本の国内経済は人口減少のため成長せず、むしろ縮小すると多くの人は考えています。そして今回紹介した高配当銘柄はいずれも国内を中心に展開する大企業です。そのためこれら企業の株価は低迷し、配当利回りが高くなっていると考えられます。

ただし、今後日本の経済が縮小しても無くなるわけではありません。また今回紹介した企業は国内の大手企業としてその地位を維持しながら、次の一手を打つ余力を持っているのです。

したがって高配当株投資では十分な分析を行うことで、大きなリターンを得られる投資法として始められてみてはいかがでしょうか。

※投資はあくまでも自己責任となります。利益を保証するものではありませんので、ご注意ください。

 

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