複利とは?単利との違いや投資信託で効果を得る方法をわかりやすく解説

資産運用で効率的に資産を増やすには「複利」の仕組みを理解して運用することが大切です。
複利の仕組みを知らずに資産運用すると、10年後、20年後の資産額に大きな違いが生じる可能性があります。
この記事では、投資の中でも重要な要素である「複利」についてわかりやすく解説します。
複利と単利の比較や、投資信託で複利の効果を得るための方法も紹介しているので、資産運用する際の参考にしてください。
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複利とは
複利とは、運用で得た利益を元本に加えた額で再び投資することです。
こうすることで元本と利益の合計額に対して利息がつき、利益がふくらんでいきます。
相対性理論を発表したドイツの物理学者であるアインシュタインは、「複利効果は人類最大の発明」と呼んだそうです。
ここでは複利の仕組みや、単利との違いを解説します。
運用益を元本に加えて再投資すること
定期預金の「利息」や投資信託の「分配金」など、運用で得た利益を元本に加えて再投資することを、複利で運用するといいます。
複利の効果は、時間をかけるほど強くなっていきます。
複利の運用例
例として、100万円を年利3%で運用するケースを見ていきましょう。
1年目の利息は、「100万円 × 3%」で30,000円です。2年目の利息は、1年目の利息を加えて運用するため、「103万円 × 3%」で30,900円となります。
上記の条件で運用を続けていくと、元本の100万円は以下のように増えていきます。
運用年数 | 利息 | 評価金額 |
1年目 | 30,000円 | 103万円 |
2年目 | 30,900円 | 106万900円 |
3年目 | 31,827円 | 109万2,727円 |
5年目 | 33,765円 | 115万9,274円 |
10年目 | 39,143円 | 134万3,916円 |
20年目 | 52,605円 | 180万6,111円 |
1年目は30,000円だった利息が、20年目には約1.75倍の52,605円まで増えています。
2年目以降は元本だけでなく、前年までに発生した利息に対しても利息が発生するためです。
複利で運用することで、2年目以降に受け取ることができるは前年の利息よりも増えていきます。
このように、複利の効果で利息の額が年々増えていく様子を、雪だるまを転がしながら大きくしていく様子に見立てて「複利運用は資産を雪だるま式に増やしていく」といいます。
実際に上記の例では、元本100万円が20年で約180万円まで増えていきました。
積立NISAやiDeCoも複利を活かした投資
資産形成を行う際に利用できる国の制度として、「積立NISA」や「iDeCo」があります。
どちらの制度も運用期間中の利益が非課税になるため、投資を始める際にはおすすめの制度です。
積立NISAやiDeCoは長期投資を前提とした制度なため、分配金を再投資することで複利効果が大きくなっていきます。
加えて毎月元本を増やしていく運用になるため、短期的に元本割れする局面があったとしても、長期で見れば利益を出しやすい投資方法といわれています。

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単利との違い
利息の計算方法には、「複利」と「単利」があります。単利で運用する場合は、利息を再投資せずに毎回受け取ります。
例として100万円を年3%で運用するケースで考えていきます。
1年目の利息は、複利と同様に30,000円です。単利で運用する場合は利息を再投資しないため、2年目以降も元本に対してのみ利息が発生します。
よって、何年運用しても利息は毎年30,000円となります。
複利で運用する場合は、2年目以降「元本 + 利息」の金額に対して利息が発生します。単利と複利では、2年目以降から運用する金額や利息に違いが生じてきます。
複利と単利の運用比較
同じ金額の元本を、同じ利率で、複利と単利で運用した際にどの程度の差が生まれるか、見ていきましょう。
元本100万円を年利3%で単利と複利で運用すると仮定します。
運用年数 | 元利合計(複利) | 元利合計(単利) | 運用益の差 |
1年 | 1,030,000円 | 1,030,000円 | 0円 |
2年 | 1,060,900円 | 1,060,000円 | 900円 |
3年 | 1,092,727円 | 1,090,000円 | 2,727円 |
5年 | 1,159,274円 | 1,150,000円 | 9,274円 |
10年 | 1,343,916円 | 1,300,000円 | 43,916円 |
15年 | 1,557,967円 | 1,450,000円 | 107,967円 |
20年 | 1,806,111円 | 1,600,000円 | 206,111円 |
運用期間が長くなるほど、複利と単利の運用益に差が生じます。
複利で運用する場合は、利息を元本に加えて再投資するため、利息の額が毎年増えていきます。
毎年増えた利息の額が積み重なり、このケースでは20年目の運用益に約20万円の差が生まれました。
利息や分配金は受け取らずに再投資し、複利で運用する方が効率的に資産を増やせることがわかります。
投資信託で複利効果を得る方法
分配金を再投資する
投資信託を保有していると、一定期間ごとに分配金を受け取れます。1年に一度や毎月など、分配金が支払われる周期は投資信託によってさまざまです。
投資信託では分配金を再投資することで、複利効果を得られます。
投資信託を購入する際に「分配金を再投資するか」「分配金を受け取るか」を選択できますので、複利効果を得たい場合は、「分配金を再投資する」を選択しましょう。
一度分配金を受け取ってから、ご自身のタイミングで再投資することも可能です。
しかし、その際には購入時手数料が発生するため、基本的にはおすすめしません。購入時手数料の額だけ運用金額が減るため、複利効果が薄れてしまいます。
長期運用をする
運用期間は長ければ長いほど複利効果は大きくなります。
長期運用する際は、「ドル・コスト平均法」で毎月一定額を投資し続けることで時間を味方につけた資産運用ができます。
ドル・コスト平均法を利用すると、平均購入単価を平準化させることができ、価格変動リスクを抑えることができます。
価格変動リスクを抑えつつ複利効果を活用し、安定した資産形成を目指しましょう。

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毎月分配型は選ばない
通常、投資信託の分配金には約20%の税金がかかります。
例えば分配金が100円の場合、再投資できる金額は税引き後の約80円です。
分配金は投資信託の資産から支払われるため、運用資産から100円を受け取り、80円を戻したようなイメージです。
投資信託の分配金の頻度や金額は運用会社が決めています。そのため、運用会社は利益を分配金として還元せず、そのまま再投資することも可能です。
分配金を出す場合と比較すると、約20%の税金が引かれないため、分配金がない方が複利効果は高いです。
複利の効果を狙いたい場合、分配金を毎月受け取る「毎月分配型の投資信託」を選ばないようにしましょう。
資産が倍になる期間がわかる「72の法則」と「100の法則」
ここで紹介する「72の法則」と「100の法則」を利用すると、資産が倍になるまでの期間や、特定の運用期間で資産を倍にするために必要な年利がわかります。
資産運用する際に利用することで、目標金額に到達するために必要な運用期間や年利を計算できます。
計画的な資産運用をするための参考にしてください。
複利効果を表す「72の法則」
「72の法則」を用いると、複利で運用した際に資産が倍になるまでの年数がわかります。
以下の計算式で求めることができます。
- 72 ÷ 金利 = お金が倍になる年数
年利1%の場合は、72 ÷ 1 = 72、つまり72年で資産が倍になります。
同様に、年利3%と5%で計算すると、以下のようになります。
- 年利3%の場合:72 ÷ 3 = 24年
- 年利5%の場合:72 ÷ 5 = 14.4年
72の法則を応用すると、〇年後に資産を倍にするための年利も求められます。計算式は以下の通りです。
- 72 ÷ 運用期間 = 資産を倍にするための年利
例えば、24年後までに資産を倍にしたい場合は、72 ÷ 24 = 3、つまり年利3%で複利運用すればいいとわかります。
単利効果を表す「100の法則」
「100の法則」を用いると、単利で運用した際に資産が倍になるまでの年数がわかります。
以下の計算式で求めることができます。
- 100 ÷ 年利 = 資産が倍になるまでの年数
単利で年利1%・3%・5%で運用した際に資産が倍になるまでの年数を求めます。
- 年利1%の場合:100 ÷ 1 = 100年
- 年利3%の場合:100 ÷ 3 = 33.3年
- 年利5%の場合:100 ÷ 5 = 20年
複利で運用する場合と比較すると、資産が倍になるまでの時間は長くなっています。
72の法則と同様に「100 ÷ 運用期間」で単利で運用する際に、資産を倍にするための年利も求められます。
まとめ:複利効果を活かして時間を味方につけた資産形成をしよう
複利運用は、支払われる利息を元本に加えるため、毎年元本が増えていきます。
運用期間が長くなれば長くなるほど元本が増えていくため、その分利息も増えていきます。
そのため、複利と単利を比較すると複利で運用する方が資産の増え方は大きくなります。
投資信託で複利効果を得るには、「分配金を再投資すること」「長期運用すること」の2点が重要です。
積立NISAやiDeCoなど、長期運用が前提となっている制度を利用しながら、複利効果を活かした資産形成を始めることがおすすめです。
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記事筆者
マネカツ編集部 Manekatsu Henshubu
"将来への漠然としたお⾦への不安はあるけど、何から始めていいのかわからない…"
そんな方に向けて「資産運用」や「節税」など、お金に関する情報を発信しています。

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