グリーンボンドの市場規模が拡大しています。2018年の世界での発行額は1,685億米ドル(約18兆円)にものぼり、国内での発行額も2018年に約5,300億円と前年比2.4倍に急増しています。

グリーンボンドは、発行する企業だけでなく、投資家にとってもメリットがあるので世界中で注目されています。

この記事では、グリーンボンドの特徴とメリット・デメリットについて詳しく解説します。

 

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グリーンボンドとは

グリーンボンドとは、地球温暖化対策や再生可能エネルギーなど、環境問題を解決するための資金を調達するために発行される債券です。

通常の債券と同じように、市場の水準によってグリーンボンドの条件は決定されます。環境に配慮しているからといって、特別に金利が高くなるわけではありません。米ドル建て債券の場合、同じ年限の米国債グリーンボンドの金利条件決定の最大要因となるのです。

しかし、発行体はグリーンボンドを発行することにより、自らの環境問題への取り組み姿勢や貢献をアピールできます。また投資家は、グリーンボンドに投資することにより、環境問題の解決に貢献する投資を行うことができます

 

グリーンボンドはESG投資の一種

グリーンボンドは、ESG投資の一種です。ESG投資とは、環境や社会問題、企業統治への取り組みを評価して投資先の企業を選ぶ手法です。グリーンボンドは、ESG投資の手法であるサステナビリティテーマ投資型のカテゴリーに属しています。

 

透明性確保への取り組み

グリーンボンドは自己申告制なので、どの債券がグリーンボンドなのか法律で決まっているわけではありません。しかし、グリーンボンドに投資したお金が何に使われているのかわからないと、「グリーンウォッシュ」と投資家から批判される恐れがあります。グリーンウォッシュとは、あたかも環境に配慮しているかのようにみせかけることです。

グリーンボンドの信頼性を保つために、グリーンボンドの透明性と情報開示が課題となっていました。そこで策定されたのが、「グリーンボンド原則(GBP)」です。

GBPは自主的な手続きに係るガイドラインで、グリーンボンドを発行するための手引きを示すことによって、透明性と情報開示を奨励し、グリーンボンド市場の秩序だった発展を促すものです。

 

グリーンボンド原則(GBP)の構成要素

GBPは次の4つの要素で構成されています。

調達資金の使途

グリーンボンドによって調達される資金は、以下のような環境改善効果を明確にもたらすグリーンプロジェクトに充当されるべきで、法的書類に明記されていなければなりません。

 

◯再生可能エネルギー

◯汚染の防止と管理

◯気候変動に関する適用

◯持続可能な水資源管理

 

プロジェクトの評価と選定のプロセス

グリーンボンドにより実現を目指す環境面での目標や基準、およびその判断を行う際のプロセスの概要を、事前に投資家へ説明しなければいけません。

調達資金の管理

グリーンボンドで調達した資金は、グリーンプロジェクトに充当されるよう、適切に追跡管理されるべきです。たとえば、グリーンボンドによる調達資金は別口座を用意し、他の資金と区別して管理するようにします。

レポーティング

発行体は調達資金の使途について最新の情報を提供し、年に一度は更新しなければいけません。

GBPは法的な拘束力がない自主的なガイドラインですが、グリーンボンドに関する市場関係者が集まって作っているので、世界中で広く参照されています。日本でも環境省がグリーンボンドに関するガイドラインを策定していますが、このガイドラインもGBPとの整合性が図られています。

 

グリーンボンドの種類

グリーンボンドには、以下の4つの種類があります。

標準的グリーンボンド

グリーンプロジェクトに必要な資金を調達するために発行する債券。特定の財源によらず、発行体のキャッシュフロー(現金および現金同等物)を原資として償還を行います。

グリーンレベニュー債

グリーンプロジェクトのキャッシュフローや使用料、税金などを原資として償還を行います。発行体への遡及(発行時点までさかのぼって適用すること)はありません。

グリーンプロジェクト債

一つまたは複数のグリーンプロジェクトのキャッシュフローを原資として償還を行います。

グリーン証券化債

グリーンプロジェクトに係る複数の資産(融資債権、リース債権、信託受託権等を含む)を担保として、これらの資産から生まれるキャッシュフローを原資として償還を行う債券。

それでは、グリーンボンドのメリットを発行体と投資家の立場から見てみましょう。

 

グリーンボンドを発行するメリット

投資家層の拡大

グリーンボンドを発行することにより、ESG投資に関心が高い投資家からの需要が期待できます。これまで縁のなかった投資家と新しい関係を築くことができ、資金調達基盤の強化になります。

社会的な支持を得られる

2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)や、同年のCOP21でパリ協定が採択されたことなどを背景に、グリーンプロジェクトへの関心が世界的に高まっています。グリーンボンドを発行する企業は、環境問題に対する積極的な姿勢を示すことで、社会的な支持の獲得が期待できます。

 

グリーンボンドに投資するメリット

社会的な支持が得られる

投資家もグリーンボンドに投資することで、社会的な支持の獲得が期待できます。2006年に国連で公表されたPRI(責任投資原則)は、機関投資家による投資の意思決定プロセスにESG投資を反映させることを目的としています。グリーンボンドはESG投資の一種であり、そのコミットメント(公約)に合致する金融商品です。

リスク分散になる

グリーンボンドは一般の債券や株式との価格連動性が低いオルタナティブ(代替)投資の側面があります。グリーンボンドへの投資により、リスクを低減させることが期待できます

 

グリーンボンドのデメリット

資金使途が限られる

環境面での可能性の向上に貢献すると謳っていながら、実際にはそうした効果のないプロジェクトに投資するような「グリーンウォッシュ」を回避するため、国際資本市場協会(ICMA)や環境省などは、グリーンボンド発行に関するガイドラインを策定しています。

ガイドラインでは、調達資金の使途や投資するプロジェクトの状況などについて、投資家に適切に開示することを求めています。また、グリーンボンドの発行により調達した資金は、グリーンプロジェクト以外に用いることはできません。

グリーンデフォルトの可能性

グリーンボンドの発行により調達された資金が、実際にグリーンプロジェクトで使われ、環境改善効果を上げているかどうかをチェックし、その遵守を確保する枠組みが十分に確立されていません。

グリーンボンドの発行体がグリーン(環境配慮)に関する約束を破る可能性もありますし、そのような事例も報告されています。債券の発行者が元本や利息の支払いをできなくなることを「デフォルト」といいますが、グリーン発行者がグリーンに関する約束を破ることを「グリーンデフォルト」といいます。

グリーンデフォルトが起きても、なんら法的救済も与えられない可能性もあるのです。グリーンボンド市場の透明性や信頼性を高めるために、国際的な共通ルールの策定や規制の導入が考えられていますが、そうした方向には賛否両論があります。

グリーンボンド市場は、これまで市場参加者が主体となって自律的に発展してきたからです。厳しい規制によって、取引コストの増大やプロセスの複雑化、参入障壁といったリスクもでてきてしまいます。市場の信頼性と効率性のバランスをどのように図るのかという課題が残っています。

 

グリーンボンドの市場規模

2008年に世界銀行グループのIBRD(国際復興開発銀行)が初めて「グリーンボンド」を発行。約4.4億米ドルという規模でした。

その後もグリーンボンドの市場規模は拡大しています。2018年の世界での発行額は1,685億米ドル(約18兆円)にものぼり、国内での発行額も2018年に約5,300億円と前年比2.4倍に急増しています。

出典:環境省

出典:環境省

 

GPIFもグリーンボンドに本格投資

公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、早ければ2020年にもグリーンボンドへの投資を本格的に始める方針です。グリーンボンドを対象にする指数を民間の指数算出会社から募り、指数に連動する形で運用します。

159兆円の資産を運用するGPIFがグリーンボンドに本格的に投資していくことで、国内でも市場規模がさらに拡大していくことが期待されます。

 

まとめ

グリーンボンドの発行は世界的に増えています。環境への意識が高まる中、発行体・投資家ともに「環境に配慮している」ということをアピールでき、社会的な支持の獲得が期待できるからです。

2020年にはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がグリーンボンドへの投資を本格的に始めます。国内での市場規模はさらに拡大することが予想されます

ただし、グリーンボンドは法律で定義されているわけではありません。投資するグリーンボンドが、きちんと情報開示しているか確かめ、グリーン(環境に配慮)な事業に投資されているかを見極めるようにしましょう

 

記事 山下 耕太郎

 

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