2019年12月12日に、与党は2020年度の税制改正大綱を決定しました。その中で、少額投資非課税制度(NISA)の仕組みが大きく変わりますが、内容は現行のNISAよりも複雑になります。今回は、NISA制度変更の内容や注意点について解説します。

 

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新型NISAとは

NISAとは少額投資非課税制度のことで、2014年に始まった非課税期間5年で毎年の拠出限度額が120万円の「一般NISA」と、2018年から始まった「つみたてNISA」があります。つみたてNISAは、年間の拠出額が40万円ですが、非課税期間が20年と長いことが特徴です。

一般NISAの口座開設数は1,161万8,539口座、つみたてNISAの口座開設数は147万872口座、合計1,308万9,411口座(2019年6月末時点)となっています。

一般NISAで投資できるのは2023年まで、つみたてNISAでは2037年までとなっていましたが、どちらも5年間伸びる見通しになりました。

さらに、一般NISAは2024年から新型NISAに制度変更されます。

現在のNISAは、個別株・株式型投資信託なら、ほぼ全部の銘柄が対象(年間120万円が上限)です。しかし新型NISAは、リスクの低い投資信託などを対象を限定した枠(1階)と、これまで通りの個別株などにも投資できる枠(2階)の2段構えになります。

下図をご覧ください。

年間投資枠は、現在の一般NISAは年間120万円ですが、1階部分が20万円、2階部分が102万円の総額122万円と増額されます。非課税期間は、現在の一般NISAと同じ5年間です。

ただし、新型NISAではレバレッジ型などリスクの高い商品は排除されます。一般NISAでは手数料の高いリスク商品も多く売られ、金融機関の収益目的の販売に使われているという批判が強かったからです。

新型NISAのポイント

それでは、新型NISAのポイントについて詳しく見ていきましょう。

新型NISAの1階部分は、つみたてNISAと同じ

1階部分の対象は「低リスクな商品への積立投資」となっていますが、債券ファンドなどは対象になりません。現在のつみたてNISA対象商品が、新型NISAの1階部分の対象になります。

ただ、つみたてNISAの対象商品は国内外の株価指数などに連動するインデックスファンドが多く、新興国株式に投資するファンドも含みます。これらの投資信託は必ずしも低リスクとはいえません

しかし、つみたてNISAで選ばれている投資信託は、信託報酬などの保有コストが低く頻繁に分配金をださないなど、長期保有に適したファンドが金融庁により厳選されています。それを新型NISAでも活用できるのです。

1階部分は、5年経過後につみたてNISAにロールオーバー(乗り換え)が可能最大25年間の非課税保有ができます。

2階部分のみの利用も可能

新型NISAの2階部分の利用には、原則として1階部分の投資を併用することが必要だとされています。ただ、上限の20万円の投資が必要なわけではありません。毎月数千円という少額でも2階部分を利用する条件を満たします。

また、すでにNISA口座を開いている方や、過去に株式投資の経験がある方は、1階部分を使わずに2階部分だけで個別株の投資が可能です。2階部分で投資信託やETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)に投資する場合に、1階部分の利用が条件になるのです。

個別株の売買のみなら、1階部分の積立投資を使わなくても大丈夫です。ただ、その場合の上限は102万円になっています。基本的には、1階部分の積み立ても併用した形での長期の資産形成を促す考えが背景にあります

資産運用の王道は「長期・積立・分散」投資

資産運用の王道は、「長期・積立・分散」投資です。2018年に始まった「つみたてNISA」を金融庁は押していきたいという意図が伺えます。しかし、現在の一般NISAは60歳代以上の世代が50%を超えるなど、必ずしも長期投資を望んでいる層ばかりではありません

すでに1,000万口座を超える一般口座の利用者の中には、株式の売買のみに利用している方もおり、つみたてNISAと一本化は難しいのです。

過去の税制改正大綱では、「一般NISAは将来つみたてNISAに一本化する」との記載が盛り込まれていました。しかし、今回の大綱では一般NISAに関しては、「個別株への投資を通じた成長資金の供給」という位置づけが明確に記されました。

長期における資産形成という狙いに絞ったつみたてNISAと、一般NISAの役割は異なるとしたわけで、将来の1本化という方向は現段階では消えています。

ただ、1階部分の投資を5年間の税制優遇期間終了後に、つみたてNISAにまるごと移管できるという制度設計になっています。現在、一般NISAで株式のみを売買している方にも、投資信託での長期投資がしやすいようにしているのです。

今後のNISAはどうしたらいいか

一般NISAは新型NISAで投資期間が5年延長されますが、つみたてNISAも2037年までの投資期限が2042年まで5年延長されます。

2023年までに始めれば、20年間は積み立てられるのです。また、未成年を対象にした「ジュニアNISA」もありますが、2023年までの投資期限を延長せずに終了します。口座数が30万前後で頭打ちになっているからです 。

2024年度以降の利用者は、新型NISAかつみたてNISAを選ぶ必要があり、両方を選択することはできません(現行の一般NISAでも同じ)

ある程度まとまった資金がある方は、新型NISAで5年間運用してから、つみたてNISAを始めるのも良いでしょう(1階部分は移行可能)

一方まとまった資金がない方はつみたてNISAでコツコツと長期投資に励むようにしましょう

つみたてNISAの対象は、金融庁が認定する長期投資に適した低コストの投資信託です。約6,100本ある投資信託のうち、対象は約170本と3%にすぎません。そして、ほとんどが低コストのインデックスファンドであり、長期の資産形成に適した金融商品を選んでいるのです。

つみたてNISAは、若年層を中心に浸透しています。2019年6月末まで147万口座に達しましたが、40歳未満の割合が4割を超えています。一般NISAの利用は14%に過ぎないので、これは大きな違いです。

50歳未満で見ると7割弱を占め、はじめて投資をする初心者も多くいます。若年層を中心に年金など将来に対する不安が高まり、資産形成に対するニーズが高まっていることや、金融庁が毎月のように取り組んできた「つみップ(つみたてNISA Meetup)」の効果もあります。

つみップでは、FP(ファイナンシャルプランナー)や金融庁幹部たちが、数十人規模の一般投資家とつみたてNISAの狙いや効果を話し合ってきました。また、金融機関にも「すぐに収益が上がらなくても、長期で投資家を育てる制度」としての意識が広がっています。

今後は、若年層中心につみたてNISAの普及が進むと考えられます。

参考 : 金融庁

まとめ

一般NISAは、2024年から2階建てに移行されます。現在、NISA口座を利用している方や個別株を取引したい方は、新型NISAを利用しても良いでしょう

ただ、これから長期で資産形成を行う方は、つみたてNISAでコツコツ投資を行うようにしましょう。つみたてNISAの期間も5年間延長されたので、2042年末までの買い付けが可能になります。

また、これまで積立投資をしてこなかった方も、お試しとして新型NISAの1階部分(積立枠)を利用してみてもいいかもしれません。

資産運用の王道である「長期・積立・分散」投資で、将来の資産形成を行うようにしましょう

参照:大和総研

記事 山下 耕太郎

 

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