2014年からスタートしたNISA(少額資産投資制度)。認知度も高まり、この制度を利用してお得に投資を開始する人が増えています。

2019年からの1年間では、NISAの新規口座開設が116万件も増えたそうです。また、2020年12月末から2021年3月末のNISA新規口座開設数はすでに56万件に達していて、今後も増えていくことが予想されてます。

注目度の高いNISAですが、「一般NISA」と「積立NISA」の2つがあり、どちらか一方しか利用できません。この記事では一般NISAと積立NISAどっちの口座を解説した方がよいのか、それぞれの特徴について解説します。ご自身にあったNISA口座を作り、お得な投資生活を送りましょう。

NISAとは

NISAとは

NISAは運用益が非課税になる投資の制度で日本に住んでいる20歳以上の人が利用できます。

証券会社、銀行、信用組合などの金融機関を通して口座を開設しますが、開設できる口座は1人1口座のみです。まずはNISAの概要を見てみましょう。

税制優遇された投資の制度

NISAは、税制優遇を受けられる投資の制度です。通常は、投資をすることで得られる売却益や配当金などに対して20.315%の税金(所得税、復興特別所得税、住民税)がかかります。しかし、NISA口座を利用した場合の運用益は非課税となり税金を支払わなくてよくなります。

例えば株式投資で10万円の売却益を得たとしましょう。通常であれば約2万円が税金として源泉徴収され、手元に入ってくるのは8万円です。しかし、NISA口座を利用すれば売却益は非課税として扱われ10万円がそのまま手元に入ってきます。

3種類のNISAがある

NISAには「一般NISA」「積立NISA」「ジュニアNISA」3種類の制度があります。

一般NISA

一般NISAの非課税期間

「一般NISA」では、国内株式や外国株式、ETF、REITなどを購入することができます。

投資金額が年間120万円まで非課税として扱われ、最長5年間は配当金や売却益が非課税になります。

積立NISA

積立NISAの非課税について

「積立NISA」は、長期的な積み立てと分散投資に適した一定の投資信託を購入することができます。

年間40万円まで定期的な積立をして商品を購入することができ、最長20年非課税として扱われます。

ジュニアNISA

「ジュニアNISA」は、未成年者を対象とした非課税制度です。株式や投資信託などを購入することができます。

年間の非課税投資枠は80万円です。口座開設からの5年間は非課税として扱われますが、それ以降に受け取った配当金や売却益には課税されます。また、口座開設者本人が原則18歳になるまでは払出しを行うことができません。新規投資は2023年までで、制度の廃止も決定しています。

※2024年からの新NISA制度で、ジュニアNISAは下記の用に制度改正されます。非常に使いやすい制度になりますので、お子様がいる方はジュニア制度の積極的な利用をおすすめします。

  • お子さんが18歳になるまで非課税運用が可能
  • 2024年以降は18歳よりからいつでも引き出し可能
  • 2023年で新規口座開設が終了なのは変わらず

一般NISAと積立NISAの違いや特徴比較

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一般NISAと積立NISAの違いや特徴を知ることが、自分に合う口座を選ぶひとつの方法になります。

一般NISAと積立NISAの主な違いは次の表のとおりです。

  一般NISA つみたてNISA
非課税となる運用期間 5年 20年
投資可能な金額 年間120万円
(最大600万円)
年間40万円
(最大800万円)
投資対象商品 株式や投資信託、
ETFやREITなど
一定の条件を満たした
投資信託とETF
ロールオーバーの有無 あり なし
投資可能期間 2014年~2023年 2018年~2042年

非課税となる運用期間

一般NISAは非課税となる運用期間が最長5年なので、短期間での売却益を得ることを目的とする人におすすめです。

一方、積立NISAは最長20年の非課税運用期間があり、コツコツと長期間運用をする人に向いています。

投資可能な金額

一般NISAの非課税投資可能額は年間120万円です。それに対し積立NISAは年間40万円までとなります。1年間に投資に使える金額が40万円以下か、40万円を超えるかがどちらの口座を使用するかの一つの基準となります。

まとまった資金(目安として40万円超)で投資をするなら一般NISA、毎月の収入から投資できる金額が3万円程度でコツコツ投資をするなら積立NISAといったように使い分けます。

投資対象商品

一般NISAで購入することができる投資対象商品は、株式投資信託、国内・外国上場株式、国内・海外ETF、国内・海外REIT、上場投資証券、新株予約券付社債です。上場している多数の商品を幅広く選ぶことができます。

それに対し積立NISAの投資対象商品は、株式投資信託とETFのうち金融庁に届出をした一定の商品のみです。積立NISAは国が許可を出した長期間の積立運用に適した分散投資に向く商品のみ購入できます。

積立NISA投資対象商品は約200本(2021年6月時点)と、一般NISAに比べて少なめです。しかし、積立NISAで購入できる株式投資信託は、手数料がかからないノーロード商品や信託報酬(運用手数料)が低い商品しか取り扱っていないなど、初心者にもリスクの少ない商品がピックアップされている安心感があります。

ロールオーバー(非課税期間延長)の有無

NISAのロールオーバー

一般NISAにはロールオーバーがあります。ロールオーバーとは、非課税期間が終了した一般NISA口座から翌年の一般NISA口座の非課税投資枠へ商品を移すことができる制度です。

例えば、一般NISA口座で運用していた100万円が2021年に非課税期間終了となった場合、翌年2022年の一般NISA口座の非課税投資枠に預けることができます。この場合、非課税投資枠120万円のうち100万円を使用したことになるので、2022年に新規に取引できる金額は20万円となります。

一般NISA口座で保有している商品は、最長5年の非課税期間が終了すると課税口座である特定口座や一般口座へ自動的に移管され、それ以降に受け取る配当金や売却益は課税されます。非課税期間中にまだ売却をしたくないときにロールオーバーを利用すれば最長5年、非課税期間が延長されるのです。(合計10年まで延長して運用が可能)

なお、ロールオーバーができるのは一般NISAのみで、積立NISAはロールオーバーできません。

投資可能期間

NISA制度では投資可能な期間が決められています。

一般NISAは2014年1月~2023年12月。最後の年である2023年に購入した商品は、5年後の2027年まで非課税で保有できます。また、2024年以降は新制度のNISAがスタートする予定です。

積立NISAの投資可能期間は2018年1月~2042年12月です。最後の年2042年に購入した商品は最長20年、2061年まで非課税のまま運用を続けることができます。

一般NISAと積立NISAはどっちがお得?

NISAとiDeCoはどっちがおすすめ?

一般NISAと積立NISAの違いが分かったところで、どちらを利用したほうがいいのでしょうか。おすすめとなるポイントを紹介します。

明確にどちらがお得というのはない

一般NISAと積立NISAはどっちがお得かを決めて選ぶものではありません。

資産をどのように運用していきたいか、運用に回せる資金はどれくらいあるのかなど、それぞれの運用に対する考え方により用途が異なってくるからです。

自身がどのように運用したいかにより「一般NISAがおすすめな人」と「積立NISAがおすすめな人」が見えてきます。

一般NISAがおすすめな人

まとまった資金を運用したい人

ある程度まとまった資金を運用に回せる場合は、非課税枠が大きい一般NISAを使ったほうがよいでしょう。

年間非課税枠は120万円なので、積立NISAに年間上限40万円以上投資に資金を回せる方はNISAを始めるとよいでしょう。

株主配当金を受け取りたい人

一般NISAを活用して配当金や株主優待をもらえる銘柄を探して購入するという楽しみ方もあります。

配当金は不労所得そのものなので、お金に働いてもらってお金を増やすという経験をわかりやすく体験できます。

投資で配当金を受け取ってみたい方は、一般NISAで投資を始めるのがおすすめです。

たくさんの銘柄から商品を選びたい人

一般NISAでは、上場している国内外の株式、投資信託、ETF、REITなどさまざまな金融商品から選ぶことができます。

リスクが高くても値上がりを見込んでグロース株に投資をしたり、リスクの低い高配当株で堅実な運用をしたり、複数の商品を組み合わせて分散投資をしたりと自分に合ったスタイルで運用できます。

積立NISAがおすすめな人

投資初心者の人

投資初心者にとって、金融商品を購入するのはハードルが高いものです。どの商品を選んだらよいか、いつ売買したらいいのか、損をしないか…。悩みが尽きず、その一歩が踏み出せずにいる人も多いです。

積立NISAで購入できるのは、国が厳選した投資信託やETFという投資のプロが実質的な運用をしてくれる商品に限られているため、投資経験がない人にも安心です。

長期投資することで損をするリスクが少なくなるため、初心者でも安心して投資を始めることができます。

長期間運用したいと思っている人

教育資金や老後資金など、将来を見据えて長期での運用を考えているなら非課税期間が20年の積立NISAがおすすめです。

最長20年という長い期間運用することで大きな複利効果を期待できます。投資期間が長くなればなるほど勝率があがっていくため、短期ではなく長期的な目線で利益を得たい方は積立NISAがおすすめです。

毎月コツコツ積み立てていきたい人

まとまったお金はないけれど、毎月の収入から少しずつ将来のために積み立てをしていきたいなら積立NISAがおすすめです。金利の低い銀行の預金積立よりも「増える」ことが期待できます。

また、投資のタイミングを何回にも分けることで時間の分散投資をすることになり購入価格を平均化させる効果があります。例えば、毎月2万円ずつ積み立てをする場合、次のように購入できる数量が変化します。

  • 1口1万円のとき⇒2口購入
  • 1口5,000円のとき⇒4口購入
  • 1口2,000円のとき⇒10口購入

長期的に見て価格が上がれば問題ないので、一時的に金融商品の価格が下がったとしても、それは金融商品をたくさん購入できるチャンスとなります。

売買タイミングを見極める必要がないので、金融商品の値上がり・値下がりに振り回されることなく、機械的に投資を続けていくことができます。

一般NISAと積立NISAは併用できない

NISAとidecoどっちがおすすめ?

NISA口座は「一般NISA」「積立NISA」のどちらか一方を選択し、1人1口座のみ開設することができます。

一般NISAと積立NISAはどちらにも異なるメリットがあり魅力的ですが、残念ながら併用することができません。用途に応じて適切に選択をしましょう。

一般NISA ⇔ 積立NISAの変更は可能

一般NISAと積立NISAはどちらか一方しか選択・運用ができません。しかし、1年ごとに口座を変更することは可能です。

  • 一般NISA口座を開設したけれど、子どもの教育資金を貯めるために長期的な運用をしていきたいので、「一般NISAから積立NISA」へ変更する。
     
  • 積立NISAで毎月コツコツ運用してきたが、年間40万円を超える投資をしたり、上場している株式を購入したりといった積極的な資産運用をしてみたくなった。そのため「積立NISAから一般NISA」へ変更する。

このように、運用目的によってNISA口座を変更する選択も可能です。

iDeCoとは併用可能

一般NISA、積立NISA同士の併用はできませんが、それぞれiDeCoとは併用が可能です。

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、自分で掛け金を拠出し、自分で運用する個人型年金制度です。長期の積立に適した商品を購入することができ、売買益や配当金だけでなく掛金も非課税として扱われるというメリットがあります。

iDeCoは目的が老後の資金形成のため、60歳まで資金の払出しができません。しかし、毎年の掛金が所得控除の対象になるため、所得税と住民税が節税できる効果があります。

NISAにもiDeCoにも利用上限額がありますので、これらを併用することで更にお得に資産運用が可能です。

NISAは2024年から新NISAへ

新NISA制度とはなにか?

現行のNISA制度は2023年に終了し、2024年からは新NISAがスタートします。

新NISAは非課税枠が2階建てに分かれ、今の積立NISAと一般NISAが合体したような制度にルール変更されます。形式は変わりますが、非課税で資産運用ができるというメリットは変わらないため、継続して活用していきましょう。

まとめ:NISA制度を理解して資産運用を始めましょう

資産運用

一般NISAと積立NISAの違いや特徴について解説しました。

NISAは運用益が非課税になるとてもお得な制度です。しかし、一般NISAか積立NISAのどちらか一方しか選択することができず、選び方によっては特徴を十分に活用しきれないこともあります。

自分の資産運用目的を整理し、それに適したNISA制度を活用して効率的に資産運用を始めましょう。