つみたてNISA(積立NISA)はデメリットしかない?新しいNISA制度やメリットも併せて紹介!
積立NISA(つみたてNISA)は、投資経験の浅い方でも実践しやすい資産形成方法として注目されています。
しかし、実際に始めるとなるとデメリットが気になるという方もいるでしょう。
どのような投資にもデメリットやリスクはつきものですが、これらを正しく理解することで、自分にあった資産形成が可能になります。
この記事では積立NISAのデメリットを中心に、おすすめできない人や注意点を解説します。
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この記事の目次
つみたてNISA(積立NISA)とは?
つみたてNISA(積立NISA)は、2018年に始まった「少額投資非課税制度」のことです。
非課税投資枠や保有期間内で、少額から毎月コツコツ積立投資を行いたい方に向いている制度です。
本来、投資によって得た売却益や分配金などの利益に対しては20.315%の税金が課されますが、積立NISAを活用することで税金がかからなくなるメリットがあります。
現行(2023年まで)の積立NISAの制度では、毎年40万円が投資上限となり、最長20年間が非課税期間として定められています。
金融庁が定めた一定の基準を満たす投資信託・ETFが対象商品となっているため、投資初心者でも資産形成に取り組みやすいという点も魅力の一つです。
積立NISAとは?投資初心者におすすめの理由をわかりやすく解説
つみたてNISA(積立NISA)と一般NISAの違い
積立NISAは、一般NISAと併用できません。
NISA口座の開設は、すべての金融機関を通じて「1人1口座のみ」と決められています。
投資対象や非課税期間などさまざまな違いがあるため、NISA口座の開設を検討する際は、自分に合ったものはどちらかをよく検討するようにしましょう。
NISA口座は1年単位で変更することができますが、その年の非課税投資枠の利用がない場合に限られます。
例えば、積立NISAですでに投資信託を購入している場合は、その年の間は他の金融機関や一般NISAに変更することはできません。
NISAと積立NISAはどっちがいい?違いや選び方を比較
新しいNISAの変更点
2024年以降、現在のNISA制度が大きく見直されることが決定しています。
現行の制度では、NISA制度を利用するためには「一般NISA」「つみたてNISA」のどちらかを選ぶ必要がありました。
一方、新しいNISA制度では「つみたて投資枠」「成長投資枠」の併用が可能となり、投資金額や投資期間なども大きく変わる予定です。
現在の積立NISAと新しいNISAでの積立投資枠の違いを簡単にまとめました。
現行つみたてNISA | 新NISAつみたて投資枠 | |
口座開設期間 | 2023年まで | 恒久化 |
非課税保有期間 | 20年間 | 無期限 |
年間投資上限 | 40万円 | 120万円 |
非課税保有限度額 | 800万円(40万円×20年間) | 成長投資枠と合わせて1,800万円 |
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 (金融庁の基準を満たした投資信託に限定) | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(現行の商品と同様) |
一般NISA(成長投資枠)との併用 | 不可 | 可 |
非課税枠の再利用 | 不可 | 可 |
出典:金融庁「新しいNISA」
新NISAとは?変更点やいつからか、積立NISAと比べて解説
つみたてNISA(積立NISA)のデメリット
一般的に語られる積立NISAのデメリットを確認していきましょう。
元本割れのリスクがある
積立NISAに限らずどのような投資にも共通していることですが、絶対に損をしない投資方法はありません。
相場はさまざまな要因によって変動するため、投資のプロであっても完全に相場を読み切るのは不可能です。
積立NISAで投資を行う場合も、元本割れのリスクがあることを理解しておきましょう。
投資商品が少ない
積立NISAを利用して購入できるのは、金融庁が定めた一部の「投資信託・ETF」のみとなっており、長期の積立・分散投資に適していると判断された商品に限られています。
そのため、販売手数料が無料だったり信託報酬が一定水準以下だったりと、コストを抑えられるという点はメリットといえます。
ただ、金融庁が厳選した銘柄であるため、幅広い商品群から自分で選んで投資したいという人にとってはデメリットとなるでしょう。
また、国内外の個別株式やREITへの投資を考えたい場合は、積立NISAで購入することはできません。
対象商品以外に投資したい場合は、一般NISAやNISA以外の口座で投資する必要があります。
NISAと積立NISAはどっちがいい?違いや選び方を比較
投資できる非課税枠の上限が少ない
積立NISAの非課税投資枠の上限は、年間40万円となっています。
非課税期間は最長20年間なので、毎年40万円の投資をすると20年間で最大800万円が非課税で投資できる上限金額です。
毎年40万円の非課税投資枠は、1年間で使いきれずに余らせたとしても翌年以降に繰り越すことはできません。
毎月決まった金額を積み立てていく場合は、40万円 ÷ 12ヶ月 ≒ 33,333円が毎月の買付金額の上限となります。
2024年から始まる新NISAでは、積立投資枠の上限が年間120万円(毎月10万円)に引き上げられます。
年間40万円の投資枠を物足りなく感じていた方には、大きな変更点となるでしょう。
損益通算や繰越控除ができない
積立NISAは、他の口座との損益通算や繰越控除ができない点に注意が必要です。
そもそも、損益通算や繰越控除とはどういったものなのか確認していきましょう。
損益通算について
通常の株式投資では、投資用口座を複数保有している場合に利益と損失を合算して相殺する「損益通算」が可能です。
株式や投資信託への投資で利益が出た場合は所定の税金がかかりますが、他の口座で損失が出た場合はその分を利益から差し引くことができるという仕組みです。
例えばA証券会社で50万円の利益が出て、B証券会社で30万円の損失が出た場合、プラス分とマイナス分を合算することで、20万円の利益としてみなされます。
この損益通算をうまく利用することで税金を減らすことができますが、NISAや積立NISAではこの制度が使えません。
NISA口座で損失が生じた場合も、特定口座や一般口座との損益通算はできず、他の口座で生じた利益は全額が課税対象となります。
繰越控除について
繰越控除は投資で発生した損失を3年間繰り越し、その間に出た利益と相殺できる制度です。
例えば株式投資で前年に100万円の損失があり翌年に200万円の利益が出た場合、利益と損失を相殺して100万円の利益として税金の計算ができます。
しかし、積立NISAは前述の通り損益通算ができないため、損失の繰越控除もできません。
スポットでの買い増しは原則できない
スポット購入とは、自分が買いたいタイミングで好きな金融商品を購入する投資方法です。
資金に余裕があるタイミングや、相場が大きく下がったタイミングで購入できるというメリットがあります。
積立NISAの場合は、投資信託の購入方法が「積立投資のみ」となっているため、原則としてスポット購入ができません。
積立NISAは、長期・積立・分散投資で資産運用を支援するための非課税制度であり、短期的な集中投資は想定していないためです。
ただし、ボーナス設定ができる証券会社では、特定の月に購入金額を増額できます。
うまく活用すれば、手元資金に余裕があるタイミングで多めに投資を行えるでしょう。
【2024】NISAは一括購入できる?一気に買う方法やSBI証券・楽天証券でのやり方
口座変更時に資産の移し替えができない
積立NISAの口座を別の金融機関に変更する場合、元の口座で積み立てていた資産を新しい口座に移すことはできません。
金融機関を変更しても、変更前のつみたてNISA口座内で保有している金融商品は、そのまま最長20年間非課税の恩恵を受けます。
変更後の口座で一元管理ができない点は、デメリットといえるでしょう。
さらに、現行の「一般NISA」・「積立NISA」口座で保有している資産も、新しいNISAの投資枠に移すことはできません。
現在のNISA口座で保有している資産は、非課税保有期間が終了した時点で、特定口座などの課税口座に移されます。
出典:日本証券業協会「つみたてNISAに関するQ&A」
出典:日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」
つみたてNISA(積立NISA)のメリット
積立NISAのデメリットに触れてきましたが、人気があるだけのメリットも存在します。
最長20年間は運用益が非課税になる
積立NISAの最大のメリットは、投資による利益が最長20年間非課税になることです。毎年40万円までの非課税枠が設けられているため、20年間の総額元本は800万円となります。
通常、投資による利益には20.315%の税金がかかりますが、積立NISA口座内での利益に対しては税金がかかりません。
積立NISAを活用することで長期投資による複利効果が期待でき、これによって得られた利益をすべて非課税で受け取れる点が大きなメリットとなります。
2024年から導入される新しいNISAでは、つみたて投資枠の非課税投資期間が無期限に変更される予定です。
非課税期間が20年から無期限となることで、より長期目線での投資が可能となります。
複利の効果を簡単に解説!単利との違いや投資信託で効果を得る方法
少額から始めることができる
積立NISAは、短期的な一括投資ではなく中長期的に少額で資産運用をしていく考え方が基本です。
年間の投資額上限が40万円と定められており、毎月100円〜数万円程度の少額から投資ができるメリットがあります。
「まとまった資金がなくて投資は難しい」と感じている方でも、積立NISAなら始めやすいかもしれません。
ちなみに、2024年から始まる新しいNISAでは、つみたて投資枠の年間投資上限が40万円から120万円へと3倍に引き上げられる予定です。
まずは少額から投資を始めて、徐々に投資金額を増やしていきたいと考えている方にとっても、より使いやすくなるでしょう。
少額投資は意味ない?初心者におすすめな理由やメリット・デメリットを解説
投資初心者でも商品選びがしやすい
積立NISAの対象商品は、金融庁が厳選した「投資信託」と「ETF」に限られています。
そのため、自分で投資商品を選ぶのが不安な人でも商品選びがしやすい点はメリットです。
金融庁が「長期・積立・分散」投資に適していると判断した銘柄の中から選択できるので、初めて投資を行う人がどのような銘柄を選んだとしても、ある程度リスクを抑えて投資を始められます。
金融商品に投資を行う以上、価格の変動リスクは避けられませんが、金融庁のお墨付き銘柄に投資できるという点は安心感につながるでしょう。
株式投資の始め方を初心者向けに解説!メリットや注意点も紹介
積立投資だから買うタイミングに悩まない
個別株への投資を行う場合、市場の状況や企業の業績情報などをチェックしつつ、売買のタイミングを見定める必要があります。
しかし、積立NISAは毎月一定の金額を積み立てていく制度であるため、売買のタイミングを考慮する必要がありません。
購入タイミングを分散させることで、価格が高いときに少なく、安い時に多く買う「ドル・コスト平均法」の恩恵を受けることができ、平均取得単価を抑えやすくなります。
どのタイミングで始めても価格の分散投資効果を得られるため、なるべく早めに投資を始めることが大切です。
ドルコスト平均法のメリット・デメリット!やり方やシミュレーション
いつでも換金できる
積立NISAは、必要に応じていつでも売却して、現金に変えることができます。
もしも緊急でまとまったお金が必要になっても、積立NISA口座内の資産を売却して対処できるため、万が一の際でも安心に繋がるでしょう。
ただし、積立NISAは長期投資を前提として作られた制度であるため、短期間での解約を前提とした投資はあまりおすすめできません。
なるべく積立NISAを売却しなくても済むように、投資は余裕資金で行うようにしましょう。
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つみたてNISA(積立NISA)に向いている人
将来の支出に備えたい人
積立NISAで投資できる商品には、長期投資に適したものが選ばれています。
そのため、短期的な大きなリターンではなく、将来に向けて資産を増やしていくことが期待できます。
長い目で人生をみたときに「住宅購入」や「教育費」、「老後資金」など、まとまったお金が必要なタイミングはいくつかあるでしょう。
将来のライフイベントに備え、長い期間かけてお金を増やしていきたいという人に積立NISAはおすすめです。
ライフプラン表の作り方のステップは?作成後にやるべきことも併せて解説!
投資にあまり時間を使いたくない人
積立NISAの投資方法は、「長期・積立」が基本となっています。
そのため、最初に積立タイミング・積立金額・投資商品を設定しておけば、あとは基本的にほったらかしで大丈夫です。
値動きをこまめにチェックしたり、投資銘柄を研究する必要がないため、投資にあまり時間を割けないという方にも適しています。
仕事や家事で忙しい方も、無理なく自分のペースで資産形成を進めていけるでしょう。
機械的に投資を続けたい人
一定のタイミングで機械的に金融商品を購入するのが、積立NISAの投資方法です。
相場の値動きに一喜一憂するのではなく、決められたタイミングで淡々と一定金額を投資することで、長期的にみたときに投資効果が得やすくなります。
どうしても相場の変動が気になって冷静な判断ができなくなるような人には、積立NISAの利用がおすすめです。
ドルコスト平均法のメリット・デメリット!やり方やシミュレーション
つみたてNISA(積立NISA)に向いていない人
短期間で大きなリターンを求める人
積立NISAは長期投資を前提とした制度です。
短期間で資産を2倍、3倍に増やしたい方にはおすすめできません。
短期間で資産を増やしたい場合は、値動きの激しいFXや暗号資産(仮想通貨)、個別株投資などを検討する必要があります。
ただし、こうした価格変動の大きい金融商品に投資する場合は、想定と逆の動きをしたときの損失も大きくなる点に注意しましょう。
投資とは?行う目的や種類、リスクについてわかりやすく解説
元本割れリスクを許容できない人
積立NISAは価格変動リスクのある金融商品への投資であるため、元本割れのリスクは避けられません。
どのような投資にも絶対に損をしないものはないため、金融ショックが起こった場合は元本より少なくなってしまうリスクがあります。
コツコツと20年間投資をしたとしても、20年後のタイミングで相場が大暴落する、という可能性もゼロではありません。
積立NISAは中長期的に安定した資産形成を目指すための制度ですが、元本割れリスクをまったく許容できない方にはおすすめできません。
積立NISAは20年後はいくらになる?暴落したらどうするかや利益をシミュレーション
つみたてNISA(積立NISA)の注意点
積立NISAで投資を始める際の注意点を確認しておきましょう。
残った非課税枠は翌年に繰り越せない
積立NISAの非課税枠は年間40万円ですが、40万円分を使用できずに余った枠を翌年に繰り越すことはできません。
また、すでに保有している商品を売却しても、その年の非課税投資枠は復活しません。
たとえば、積立NISAで既に20万円を投資している状態(残りの投資可能金額は20万円)で8万円分の売却を行っても、その年の投資可能金額は+8万円されず20万円のままです。
資金に余裕のある方が年の途中から積立NISAを始めた場合は、「割り増し設定」や「ボーナス払い」などを利用することで、無駄なく非課税枠を使い切れるでしょう。
2024年からの新しいNISAでも、使い残した年間投資枠を翌年へ繰り越すことはできません。
ただし、生涯非課税限度額の1,800万円の枠については再利用が可能となっており、売却分は翌年以降の年間投資枠の範囲で再投資できます。
出典:日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」
途中で引き出すと長期運用の恩恵を受けにくい
積立NISAは資金(現金)が必要になったタイミングでいつでも解約して出金することができます。
とはいえ、あまりにも短期間で解約すると長期投資のメリットが活かせなくなる点に注意しましょう。
長期間運用を続けることで、利益を再投資する「複利効果」や、投資タイミングを分けることによる「リスク分散効果」が期待できます。
しかし、途中で資金を取り崩すと元本が減少してしまうため、長期運用のメリットが薄れてしまいます。
最大20年の非課税期間を設け、将来に向けた長期的な資産形成をサポートするのが積立NISAの特徴です。
長期運用の効果を活かすためにも、緊急事態を除いてなるべく長く運用することを心がけましょう。
新しいNISA制度では、20年間だった非課税期間が無期限に変更されます。
これまでよりもさらに長期目線での運用ができるのもメリットになるでしょう。
長期投資のメリット・デメリット!おすすめの投資方法を解説
つみたてNISA(積立NISA)と一般NISAは併用できない
現行の積立NISAは、一般NISAと併用できません。
NISA口座の開設は、すべての金融機関を通じて「1人1口座のみ」と決められています。
それぞれ投資対象や非課税期間などに違いがあるため、NISA口座を開設する際は、自分に合ったものはどちらかをよく検討するようにしましょう。
また、NISA口座は年ごとに変更できますが、その年の非課税投資枠の利用がない場合に限られます。
たとえば、積立NISAですでに投資信託を購入している場合は、その年は他の金融機関や一般NISAに切り替えることはできません。
なお、2024年からの新しいNISA制度では、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能です。
また、新しいNISA制度が始まっても、既存の積立NISA口座はそのまま運用できます。
まとめ:つみたてNISA(積立NISA)はデメリットもあるがメリットも多い
積立NISAはいくつかのデメリットがありますが、長期的な資産形成を検討する人にとっては、それを上回るメリットがあるといえるでしょう。
豊かな老後に向けて早くからコツコツ資金を増やしたい方は、積立NISAの利用を検討することをおすすめします。
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記事監修者
マネカツ編集部
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