iDeCo(イデコ)は、「個人型確定拠出年金」とも呼ばれ、老後に向けた資産形成のために多くの人が活用している年金制度です。

運用益が非課税など様々なメリットがあり、老後資金を貯めるには最適の制度であるといえます。

iDeCoを利用する人の数は年々増えており、2023年8月末時点で約305万人以上の方がiDeCoを利用しています

iDeCoで運用できる商品の種類は多岐に渡るため、自分に合った運用商品を探すのは難しいと感じるかもしれません。

運用する商品の中身によっては、当然将来受け取ける金額が大きく変わってきますので、何を運用するかは非常に大切な問題です。

この記事では、多くの方が利用しているSBI証券と楽天証券を中心に、iDeCoを利用する際のおすすめ金融機関やおすすめ銘柄を紹介します。

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iDeCo(イデコ)で購入できる商品の特徴

iDeCo(イデコ)で購入できる商品の特徴

iDeCo(イデコ)で購入できる商品は、大きく2種類に分けられます。

  • 元本確保型
  • 元本変動型

それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。

安定性のある定期預金(元本確保型)

元本確保型の運用商品は、満期まで保有すれば元本と利息を受け取れる安全性の高い商品です。

具体的には、「定期預金」や「円建て保険」などが当てはまります。

どちらも日本の金利をベースとして利回りが決定されるため、元本確保型の商品では大きなリターンは期待できません。

しかしiDeCoの掛け金は全額所得控除の対象となるため、iDeCoに加入することで所得税や住民税の軽減効果は得られます。

この商品は「資産を増やす」というよりも、「資産を減らしたくない」「節税効果を得たい」という方におすすめです。

将来への備えとして、安定感のある選択肢といえるでしょう。

ハイリスク・ハイリターンの投資信託(元本変動型)

投資はお金を増やす手段として魅力的ですが、種類によってリスクやリターンが異なります。

元本変動型の運用商品は、日々の市場の状況によって資産の価格が変動する商品です。

iDeCoの場合は「投資信託」が元本変動型の商品に分類されます。

この商品の特徴は元本保証がないことです。

相場の動きや銘柄の運用成績によっては、受取金額が投資元本を下回るリスクもある一方、相場次第では投資元本以上のリターンも期待できます。

元本確保型の商品に比べて、ハイリスク・ハイリターンな商品といえるでしょう。

投資信託の種類

投資信託と一口にいってもさまざまな種類があり、投資対象で分類すると4種類に分けられます。

  • 国内株式型…日本国内の企業の株式に投資
  • 国内債券型…日本の公債や国内企業の社債に投資
  • 外国株式型…外国の企業の株式に投資
  • 外国債券型…外国の公債や外国企業の社債に投資

また運用手法によっても分類可能です。

株価指数に連動する「インデックス型」と、市場平均を上回るリターンを狙う「アクティブ型」があり、これらをバランスよく組み込んだ「バランス型」の投資信託もあります。

株式型やアクティブ型の投資信託は比較的値動きが大きいため、リスクを取ってリターンを狙いたい人に適しているでしょう。

一方、債券型やインデックス型の投資信託は比較的値動きが緩やかなため、安定的に運用したい方に向いています。

投資を検討する際は、自分の目標やリスク許容度に合わせて選ぶことが大切です。

iDeCo(イデコ)に投資する銘柄の選び方

iDeCo(イデコ)に投資する銘柄の選び方

iDeCoで投資する銘柄を選ぶ際は、次のポイントに注目しましょう。

運用にかかるコスト(信託報酬)を確認する

iDeCoは、原則60歳になるまでお金を引き出せません。

長期投資となるため、投資する商品のコストについてはしっかりと把握しておきましょう。

特に投資信託の場合は、商品によって信託報酬(運用管理費用)と呼ばれる運用コストが大きく異なります。

指数に連動するインデックス型の投資信託は運用がシンプルなので、信託報酬は低い傾向があります。

一方、アクティブ型の投資信託は指数以上の運用成績を目指すため、ポートフォリオの調整などでコストがかかり、信託報酬が高くなることがあります。

例えば、S&P500指数に連動を目指すインデックス型の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の信託報酬は0.09372%以内となっています。

これに対し、国内外の複数の資産に投資しつつ、指数を上回る成果を目指すアクティブ型の「東京海上セレクション・バランス30」の信託報酬は1.045%です。

信託報酬だけで判断するべきではありませんが、コストは運用の成績に影響を与える要因の一つです。運用前に必ず確認しておきましょう。

運用成績を確認する

iDeCoで商品を選ぶ際は、過去の運用パフォーマンスを確認しておくことも重要です。

特に「トータルリターン」の項目に注目しましょう。

トータルリターンとは、ある一定期間内での値上がり率だけでなく、分配金や信託報酬なども考慮した、商品の総合的なパフォーマンスを示す指標です。

トータルリターンの高い商品ほど、これまでいい成績を出してきた金融商品だといえるため、今後の運用にも期待できるでしょう。

引き出し時にリターンが見込めるか確認する

iDeCoでは長期的な運用が前提となるため、お金を引き出す時にどれくらいリターン(利益)が確保できるかが重要になります。

そのため、投資信託の運用実績を見る際も、6ヶ月や1年といった短期のパフォーマンスだけでなく、3年や5年といった長期のパフォーマンスもしっかり確認することが大切です。

アクティブ型の投資信託を使って積極的な運用をする場合、市場の状況によっては短期的なリターンがマイナスになってしまうことがあります。

短期でのパフォーマンスが芳しくないためよくない銘柄、と決めつけるのではなく、将来を見据えた長い目で運用商品を選ぶことが重要です。

金融機関で商品の取り扱いや手数料を確認する

iDeCoを取り扱っている金融機関は数多くあるものの、各金融機関ごとに商品の種類や運営管理手数料、サポート内容などが異なります。

特に、運用したい商品が決まっている場合や、複数の商品に分散して投資をしたい場合は、各金融機関が提供する商品をよく調べましょう。

また、手数料についても注意が必要です。

iDeCoの運営管理手数料は、加入する金融機関によって異なります。

この手数料は、毎月の掛金から差し引かれるものなので、将来に向けた資産形成を行う上では見逃せないポイントです。

iDeCoでコストを抑えて利益を出したい方におすすめの銘柄5選

iDeCoでコストを抑えて利益を出したい方におすすめの銘柄5選

なるべくコストを抑えてiDeCoを始めたいという方には、以下の銘柄がおすすめです。

SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま・全世界株式)

「SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま・全世界株式)」は、全世界の株式を投資対象としたインデックス型の投資信託です。

FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動する投資成果を目指して運用されており、信託報酬は0.1102%程度と低水準に設定されています。

外国株式を自分で個別に購入するのは大きな労力が必要となりますが、この投資信託を購入すると、手軽に全世界の株式へ分散投資が行えます。

特定の国にリスクを集中させず、全世界の株式に分散投資してリスクを抑えたい方におすすめです。

出典:株式会社SBI証券「SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))」

楽天・全世界株式インデックス・ファンド

「楽天・全世界株式インデックスファンド」は、バンガード・トータル・ワールド・ストックETFを通じて、全世界の株式約8,800銘柄に分散投資ができるインデックスファンドです。

このファンドを通じて日本のみならず先進国・新興国など全世界の株式に資産を分けて投資できるので、リスクを分散しやすい点がメリットといえます。

このファンドの特長は、バンガード社が運用するETFを使用することで、コストが低い点です。

このファンドの信託報酬も0.132%と低い水準に設定されています。

コストを抑えつつも、安定的なリターンを追求したい方におすすめの商品です。

出典:楽天証券株式会社「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)

「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、米国の主要指数であるS&P500に連動した運用成果を目指すインデックス型投資信託です。

2023年7月末までの過去3年間で約25.5%トータルリターンを達成し、ファンドの設立以来、約129.8%のトータルリターンを実現しています。これは、米国の株式市場が成長してきたことを示しています。

S&P500には、アメリカを代表する企業である「アップル」や「マイクロソフト」、「アマゾン」、「アルファベット(グーグル)」など、日本でも馴染みのある銘柄が含まれています。

今後も米国経済の成長に期待する方におすすめの投資信託です。

出典:株式会社SBI証券「三菱UFJ-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」

eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー)

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスをベンチマーク(基準)として、日本を含む全世界の株式への投資を行うインデックス型投資信託です。

2023年7月末時点で約2,837の異なる銘柄に投資しており、先進国や新興国など、広範な銘柄に分散投資できるメリットがあります。

信託報酬も0.1133%以内と低く、長期の積立投資に適した投資信託です。

出典:株式会社SBI証券「三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」

三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド

「三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド」は、日本のTOPIX指数に連動するパフォーマンスを目指して運用を行う「インデックス型投資信託」です。

ファンドが投資する銘柄には、「トヨタ自動車」や「ソニーグループ」、「キーエンス」など、今後も成長が期待される日本の大手企業が含まれています。

通常、これらの大型株の単元株を購入するには、数十万〜数百万円以上の資金が必要になる場合もありますが、このファンドの場合は100円から購入できる点も魅力の一つです。

出典:株式会社SBI証券「三井住友DS-三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド」

iDeCoで積極的に利益を出したい方におすすめの銘柄4選

iDeCoで積極的に利益を出したい方におすすめの銘柄4選

特にリターンを重視して運用したいという方には、以下の銘柄がおすすめです。

ひふみ年金

「ひふみ年金」は、国内外の割安な株式に投資するアクティブファンドです。

このファンドは、2023年7月末時点で、「楽天銀行」や「ソニーグループ」、「東京エレクトロン」などを上位銘柄として保有しています。

市場の状況に応じて株式の組入比率を調整するため、中長期的な資産形成に適した投資信託だといえるでしょう。

アクティブファンドは積極的に運用を行う分、信託報酬が高くなりやすいのが一般的ですが、ひふみ年金の場合は0.836%と低水準に抑えられているのもメリットです。

出典:株式会社SBI証券「レオス-ひふみ年金」

eMAXIS Slim 新興国株式インデックス

「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」は、「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」という新興国の株式指数への連動を目指して運用される投資信託です。

新興国の株式市場は、他の先進国と比べて価格が大きく変動することが多い特徴があります。

そのため、リスクを取って投資し、高いリターンを目指したい方に向いている商品です。

ただし、新興国の市場は政治や経済の動向に影響を受けやすい傾向があります。

この商品を運用する際は、市場の変動に応じて投資の比率を調整することや、別の商品に切り替えることも視野に入れながら運用するとよいでしょう。

出典:株式会社SBI証券「三菱UFJ-eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」

フィディリティ・日本成長株・ファンド

「フィディリティ・日本成長株・ファンド」は、TOPIXをベンチマークとして長期的にこれを上回る運用成果を目指すアクティブ型の投資信託です。

このファンドは、個別の企業分析を通じて、将来成長が期待される日本企業をポートフォリオに含めています。

2023年6月末時点での組入上位銘柄は、「キーエンス」「伊藤忠商事」「東京エレクトロン」などの日本の有名企業となっています。

投資先の企業がわかりやすい方が良い、日本企業に投資したいという方におすすめのファンドです。

出典:楽天証券株式会社「フィディリティ・日本成長株・ファンド」

投資のソムリエ(DC年金)

「投資のソムリエ」は、複数のインデックスファンドを通じて国内外のさまざまな資産に投資を行う投資信託です。

この信託の特徴は、投資環境に応じて、毎日と毎月、資産の分散を見直すことです。

さらに、為替リスクを下げるために為替ヘッジも行っており、基準価額の変動リスクを年率4%程度に抑えることを目的として運用しています。

大きなリターンを期待するというよりは、リスクを少なくすることに重点を置いて運用をしたい方に向いている投資信託です。

出典:楽天証券株式会社「投資のソムリエ<DC年金>」

iDeCoでリスクを負いたくない方におすすめの銘柄3選

iDeCoでリスクを負いたくない方におすすめの銘柄3選

iDeCoで低リスクの運用商品を選びたい方は、以下の銘柄を検討してみましょう。

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)

「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」は、日本と世界のさまざまな資産に均等に投資するインデックス型投資信託です。

具体的には、株式、債券、不動産投資信託(REIT)など、合計で8つの異なる資産に分散投資します。

このファンドは、世界中の多様な資産に投資したい人に適しています。

信託報酬も0.143%以内と低く抑えられているため、コストを最小限に抑えたい方にもおすすめです。

幅広い資産への分散投資を行うため、リスクを抑えやすい商品ではありますが、元本確保型の商品ではないため注意しましょう。

出典:株式会社SBI証券「三菱UFJ-eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」

あおぞらDC定期

「あおぞらDC定期」は、その名の通りお金を定期預金で運用する商品です。

定期預金は元本確保型商品であるため、元本割れのリスクがありません。

市場金利の動向に基づいて毎週適用利率が見直され、2023年10月時点の適用利率は0.01%となっています。

三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行など、メガバンクの定期預金(1年)の金利はいずれも現在0.0020%となっており、普通に定期預金に預ける場合と比べて5倍の金利がつくというメリットがあります。

出典:株式会社SBI証券「あおぞらDC定期(1年)」
出典:株式会社三菱UFJ銀行「円預金金利 」
出典:株式会社みずほ銀行「預金金利・利率」
出典:株式会社三井住友銀行「円預金金利」

みずほDC定期預金

「みずほDC定期預金」も、あおぞらDC定期と同様にお金を定期預金で運用する商品です。

2023年9月の適用金利は0.002%となっており、金利水準はそれほど高くありません。

元本保証があるため、「iDeCoの税金優遇を利用したいけど、元本をリスクにさらすのは避けたい」と考える方に適した商品です。

楽天証券の他、松井証券やりそな銀行でも購入できます。

出典:松井証券株式会社「みずほDC定期預金1年定期」

iDeCoでおすすめの証券会社3選

iDeCoでおすすめの証券会社4選

iDeCoを始めるためには、まず金融機関を選ぶ必要があります。

金融機関を選ぶ際は、以下の3つのポイントに注目して選びましょう。

  • 商品ラインナップが豊富である
  • 運営管理手数料が無料
  • 独自サービスが充実している

SBI証券

SBI証券は、多くの人にに利用される大手のネット証券会社です。

iDeCoにおいても15年以上の運営実績を持ち、2023年5月時点で加入者数No.1という実績を誇っています。

口座開設手数料や運営管理手数料は無料となっており、コストを抑えて運用しやすいのも特徴です。

iDeCoの投資対象となる投資信託は84本と豊富に用意されているため、幅広い選択肢の中から自分に合った商品を選べます。

さらに、SBI証券には「SBI-iDeCoロボ」という自分の投資ニーズに合った商品を選んでくれる診断サービスがあります。

このサービスを活用することで、数ある商品の中からどの商品を選ぶべきか迷ってしまう方でも適切な商品を見つけやすいでしょう。

出典:株式会社SBI証券「SBI証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)が選ばれる3つの理由」

楽天証券

楽天証券のiDeCoでは、32本の厳選された投資信託を取り扱っています。

運営管理手数料は誰でも無料となっており、証券資産と年金資産を一つの楽天IDで管理できるため、幅広い人に利用しやすい証券会社です。

iDeCoに関する概要や商品について詳しく解説するセミナー動画や、iDeCoの基礎を学べるスタートガイドなども無料で閲覧できるため、投資初心者でも安心して利用しやすいのもポイントです。

iDeCoは対象外となりますが、通常の楽天証券口座を使って投資信託や株式に投資すると、楽天ポイントを貯めたり、使ったりすることができます。

楽天経済圏を利用している方にとってはメリットが大きいでしょう。

出典:楽天証券株式会社「個人型確定拠出年金:iDeCo(イデコ)」

マネックス証券

マネックス証券のiDeCoでは、低コスト商品を中心に厳選された27本の運用商品を取り扱っています。

iDeCo専用ロボアドバイザー「iDeCoポートフォリオ診断」を利用すれば、5つの質問に答えるだけで最適な運用プランが提案されるため、投資初心者の方でも簡単に自分に合った銘柄選びが可能です。

iDeCo専門スタッフが月曜日〜土曜日まで対応してくれる問い合わせ専用ダイヤルも用意されており、充実したサポートが特徴的な証券会社です。

疑問点を解消しながら安心してiDeCoを始めたいと考えている方に適しているでしょう。

出典:マネックス証券株式会社「個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)」

まとめ:iDeCoは目標に応じて銘柄を選ぼう

iDeCoは目標に応じて銘柄を選ぼう

iDeCoで運用する商品を選ぶ際は、まずはそれぞれの商品の種類・内容を理解するところから始めましょう。

元本変動型の商品の場合は、投資対象によって価格の変動リスクや期待リターンが異なるため、分類ごとの特徴を把握することが大事です。

投資初心者の方は、なるべく投資対象を分散している投資信託を選ぶか、複数の投資信託を組み合わせて、リスクを集中させないことをおすすめします。

ゆとりある老後を送るためには、公的年金だけでなく自分の力で資産を作る必要があります。

老後に向けた資産形成のために、iDeCoを利用した資産運用を検討してみましょう。

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