【FP監修】クレジットカードを滞納した…滞納の日数ごとに対処法をご紹介

クレジットカードを使えば、現金が無くても買い物ができます。公共料金の支払いなどに使用している方もいるでしょう。上手に使えばとても便利なクレジットカードですが、利用額支払いの滞納については注意が必要です。そこで本記事では、支払いを滞納してしまったときの対処法や、影響などについて解説します。
目次
クレジットカードの支払いを滞納するとどうなる?
クレジットカード利用額の支払い日はカード会社ごとに決まっています。もし何らかの理由で支払い日に口座にお金が無かったときには引き落としできず「滞納」になってしまいます。
滞納時の具体的な取り扱いはカード会社ごとに異なるため一概にはいえませんが、一般的にどのような対応がなされるのかをみていきましょう。
3日〜1週間以上の滞納で支払いを督促される
クレジットカードの支払い日を3日~1週間過ぎると、郵送で督促状が届きます。督促状に記載してある「再引き落とし日」までに、引き落とし口座への入金を済ませるようにしましょう。カード会社によっては、カード会社の口座への直接入金や、振込用紙等による支払いを求められることもあります。
支払いを滞納している場合、支払いが完了するまでクレジットカードの使用ができなくなることもあります。また延滞したときには、延滞した日数分の「遅延損害金」が発生することも覚えておかなければなりません。
2週間以上の滞納で信用情報に傷がつき始める
督促状の送付後支払いがなされないときには、電話での催促も行われます。それでも返済をしなかった場合、クレジットカード会社に「延滞」の記録が付き始めます。ただし。延滞の記録が付き始める具体的な日数は、クレジットカード会社により異なるため一概にはいえません。
この時点での延滞記録は、信用情報機関(※)には登録されず、クレジットカード会社内の記録に留まることもあります。
信用情報機関に登録されなければ、他のクレジットカード会社に延滞情報を知られることはありませんが、クレジットカードが利用停止になったり、限度額が引き下げられたりする可能性があるので、注意しましょう。
※信用情報機関:加盟する会員会社から登録される顧客の信用情報を管理・提供することで、消費者と会員会社の健全な信用取引を支える機関です。クレジットカード会社の多くが、CICもしくはJICCといった信用情報機関に加盟しています。
信用情報機関について |日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関
クレジットカードの口座が残高不足の場合の対処法と予防策 |クレジットカードの三井住友VISAカード
61日以上〜90日前後でブラックリストに載る
カードの支払いをせずに3ヶ月以上が経過すると、信用情報機関に傷が付き、ブラックリストに載ってしまいます。ブラックリストに載ると、以後のクレジットカードやローンの申し込みに影響が出ます。
督促を無視し続ければ一括返済や裁判に発展する
複数回に渡る督促状や催促の電話があるにもかかわらず、支払いを行わなかったときには、一括返済を要求されます。利用額だけでなく、遅延損害金もまとめて支払わなければなりません。分割払いやリボ払いを設定していたとしても、全額一括返済を請求される場合があります。
また督促を無視し続けた場合、最終的には裁判に発展する可能性もあります。裁判では財産が差し押さえられることもあるため、弁護士などに相談し速やかに返済の手続きを進めることが重要です。
クレジットカードの支払いを滞納するリスクとデメリット
クレジットカードの支払いを延滞した場合には、どのような影響がでるのでしょうか。延滞によるリスクとデメリットを解説します。
遅延損害金が発生する
遅延損害金は、クレジットカードの支払い日の翌日から発生します。つまり、1日でも支払いが遅れると遅延損害金を支払わなければならなくなるのです。
遅延損害金は多くのクレジットカード会社で14.6%(年率)となっており、当初のクレジットカード支払い日の翌日から支払いが完了する日までを、日割りで計算して請求されます。仮に3万円の支払いを30日間滞納してしまったとすると、遅延損害金は以下の通りです。
「3万円×14.6%÷365日×30=360円」
ショッピング遅延損害金利率およびカード会員規約の改定について | クレジットカードならセディナ[Cedyna]
個人の信用情報に傷がつく
クレジットカードの支払い滞納が続くと、信用情報に傷が付きます。傷が付くことにより、「返済能力が無い、信用ができない人物」という判断がされることがあるため、十分に気を付けなければなりません。信用情報の内容が不安な人は、各信用情報機関に申込をし、照会するとよいでしょう。
クレジットカードをつくれなくなる
クレジットカード会社はカードの新規申し込みや更新時に顧客の信用情報を確認します。そのため信用情報に傷が付いていると、「返済能力が無い人」とみなされ、新たなカードの作成ができなくなると考えた方がよいでしょう。
ローンの審査に通らなくなる
信用情報機関の情報は、クレジットカード会社だけでなく、カードローン会社や銀行などでもチェックされます。そのため信用情報に傷がつくと、カードローンや住宅ローンなど各種ローンの借入ができなくなる可能性があります。
クレジットカードを強制解約される
クレジットカードの滞納が続いた場合、クレジットカードが利用停止となり強制解約されることもあります。解約されなかったとしても、利用限度額が引き下げられるケースもあります。
給料を差し押さえられる
クレジットカード会社から督促状の送付や支払催促があるにも関わらず、支払いを行わなかった場合、裁判となることもあります。裁判により強制執行の判決が出たときには、給料等が差し押さえられることも覚悟しなければなりません。
給与の差し押さえがされると毎月の収入が減ってしまうことはもちろん、クレジットカードの支払いを滞納していることが、勤務先に知られてしまうとことも考えられます。
クレジットカードの支払いを滞納した場合の督促の段階
ここからはクレジットカード会社からの督促について、具体的に解説します。
ハガキ・手紙での督促
クレジットカードの支払いを滞納した場合、まずはハガキや手紙で再引き落とし日の案内が送られます。滞納の理由が、「入金のうっかり忘れ」であるときには、この時点できちんと支払いましょう。
再引き落とし日の案内が郵送されても支払いが行われない時には、ハガキや手紙による督促状が送付されます。
電話での督促
ハガキや手紙による督促状と併せて電話による督促も行われます。クレジットカード会社に登録した電話番号(自宅や携帯)にかかってくることが多いですが、連絡がつかないときには勤務先にも連絡がくることがあるので注意が必要です。
債権回収会社からの督促
クレジットカード会社による督促を受けているにもかかわらず支払いを行わなかったときには、債権回収会社(※)から督促がきます。債権回収会社は、ハガキや手紙、電話により督促を行いますが、場合によっては自宅に訪問することもあります。
※債権回収会社:クレジットカード会社に代わり、債権を回収する会社です。
裁判所からの督促
クレジットカード会社および債権回収会社による再三にわたる督促を無視し、クレジットカードの支払い滞納を続けると、裁判所による督促や訴状が届きます。裁判所の督促を受け取ったときには、ただちに督促の内容を確認し、クレジットカード会社や弁護士に連絡をしましょう。
裁判所からの督促を無視すると、財産を差し押さえられることも覚悟しなければなりません。
クレジットカードの支払いを滞納している場合の解決方法
クレジットカードの支払いを滞納してしまったときには、どのような対処方法を取ればよいのでしょうか。
クレジットカード会社に連絡する
入金忘れなどにより支払いが滞ってしまったときには、気がついた時点で自分からクレジットカード会社に連絡をしましょう。支払う意思があるということを伝え、カード会社の指示に従い速やかに返済してください。
返済方法を検討する
手持ちのお金が無く、支払い日に支払いができないという時には、お金を工面する方法を考えなければならなりません。
アルバイトで返済資金を稼ぐ
クレジットカード利用代金を支払うお金が無いときには、収入を増やす必要があります。例えばアルバイトなどで収入を増やし、返済にあてましょう。給料日や返済金額がはっきりしたときには、クレジットカード会社に返済予定を連絡してください。
親族からお金を借りる
アルバイトなどを増やしても、自分の力だけでは返済できないときには、親族にお金を借りるという方法もあります。その際には借用書を作成し、きちんと返済をしましょう。親族だからといって、お金を借りっぱなしにしてはいけません。
友人からお金を借りる
親族にお金を借りられなかったときには、友人に相談するという方法もあります。ただし、借金を返済できない状態となっていることが知られてしまうため、できれば避けたい方法です。
友人にお金を借りるときにも、借用書を作り、必ず返済していかなければなりません。
カードローンを利用する
親族や友人に頼らずお金を工面したいと考える人は、カードローンなどでお金を借りるという手段もあります。ただしクレジットカードの支払い延滞により信用情報に傷が付いていたときには、借りられない可能性もあります。
カードローンで資金を調達する場合には、クレジットカードの利用代金に加え、カードローンの返済も増えることとなります。どちらもきちんと返済できるよう、返済計画を立てることが重要です。
大手消費者金融でお金を借りる
お金を借りてクレジットカードの返済をするには、カードローンの他に大手消費者金融もあります。ただし、こちらも信用情報の状態によっては審査に通らず借りられないことがあるので注意しましょう。
クレジットカードの滞納分を返せない…最後は弁護士に相談
アルバイトを増やす、もしくは知人にお金を借りる、ローンを組むなどしてもクレジットカードの返済ができないときには、弁護士に相談をするしかありません。
督促を一旦ストップしてもらう
弁護士にクレジットカードの滞納状況を相談すると、現在の収入などを考慮したうえでの返済計画を立ててくれます。その後、債務者の依頼によりカード会社との交渉に入ります。弁護士とクレジットカード会社が交渉をしている間は、返済をストップしてもらうことが可能です。
債務整理の手続きを相談する
自分では返済の計画が立てられないという方は、弁護士に債務整理の手続きを依頼しましょう。債務整理をすることで、以後の返済が速やかにすすみます。
債務整理のメリット
弁護士による債務整理のひとつに「任意整理」があります。これは、弁護士にクレジットカード会社と交渉してもらい、無理のない金額を返済していく方法です。任意整理を行った場合、以後の利息がなくなり返済総額を減らすことができるというメリットがあります。また一括払いではなく、負担のない金額での分割返済が認められるという点もメリットです。
なお、任意整理では、財産の差し押さえはされません。
債務整理のデメリット
任意整理では毎月決まった返済をしていく必要があるため、収入がある人しか適用されません。
収入が無い方は、任意整理ではなく「自己破産」などを検討しなければならないでしょう。自己破産では財産の差し押さえがされる可能性があるほか、自己破産の事実が官報に載ることにより第三者に知られるというデメリットがあります。
クレジットカードの滞納を防ぐためにも計画的な利用を心がけよう
クレジットカードは現金を持たずにみなさんの信用で買い物ができる便利なものです。クレジットカードでの支払いは、クレジットカード会社からの借金ということを忘れずに、きちんと返済しましょう。
返済が遅れると信用情報に傷が付き、各種ローンの借入などができなくなることもあるため、返済は計画的に行わなければなりません。自力での返済が難しくなったときには、弁護士への相談も検討してみてください。
滞納が続くと、最終的には自己破産による財産の差し押さえなどが行われることもあります。そのような状態にならないよう、クレジットカードの計画的な利用と返済を行うことが肝心です。
監修者:大間 武(ファイナンシャルプランナー)