【2024】フラッシュクラッシュとは?過去の事例や原因も解説
為替FX取引・株式投資などでは、相場の急変動に注意して取引をする必要があります。
要人発言や経済指標の発表、決算発表など、様々な要因で急騰・急落の可能性が考えられますが、注意したい事象の一つに「フラッシュクラッシュ」が存在します。
この記事では、フラッシュクラッシュの概要や過去の事例、どうすれば回避できるかについて詳しく解説します。
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この記事の目次
フラッシュクラッシュとは
「フラッシュクラッシュ」とは、株式や為替相場で発生する価格急変動の一つです。
相場は常に投資家の売買で価格が成り立ちます。
その際、様々な要因で価格が急変動を起こしますが、通常の急騰・急落のレベルではなく、大規模なチャートのずれが起きる現象をフラッシュクラッシュといいます。
短期間で価格が急落・急騰する現象
フラッシュクラッシュの概念として最も重要なことは、短期間で急変動するという点です。
チャートを一目見て、上昇・下降トレンドが発生している相場はよくありますが、それはフラッシュクラッシュではありません。
フラッシュクラッシュは1分足などの短い期間で表示をさせて、明らかな価格のずれが起きている際の現象を指します。
一瞬にして価格が大きく動くためチャートが追い付かず、値動きが表示されないことも充分にあり得ます。
また、ローソク足とローソク足の間に大きな空間が生まれることも多いです。
強制ロスカットされる可能性に注意
フラッシュクラッシュの現象が発生して、最も懸念すべきことは「強制ロスカット」です。
強制ロスカットとは、証券会社が顧客の損失を最小限に抑えるための損切り制度を指します。
FXの世界では、レバレッジをかけた取引をするという特徴から、相場の急変動時に強制ロスカットがあってもおかしくはありません。
もちろん、思惑方向にフラッシュクラッシュが発生すれば、予期せぬ高利益となるので問題ないです。
ただし、思惑とは反対(損失が出る)方向へ相場が急変動すると、一瞬のうちに大きな損失を出してしまうことになります。
また、短時間で変動するという性質から、自身での損切りが間に合わないケースも多いです。
FXだけでなく株の信用取引でも同様のことが起こり得るため、注意しておくべき事項だといえるでしょう。
過去に発生したフラッシュクラッシュの事例
過去に起きたフラッシュクラッシュの事例を解説していきます。
状況や変動の様子などを把握して、フラッシュクラッシュを避けた低リスクの取引を心がけていきましょう。
2019年1月3日:ドル円急落(FX)
比較的最近の事例として、2019年1月3日(木)に「USD/JPY(米ドル/日本円)」でフラッシュクラッシュが発生しました。
当時のレートは1ドル=108円ほどでしたが、わずか数分の間で一気に103円まで暴落をしたという出来事です。
当時の日本はお正月休みということもあり、ドル円市場で活発な取引が行われていませんでした。
急落の要因は、米アップル社が発表した売り上げ予想の下方修正によるものといわれています。
流動性が低下している中で5円も急落したため、多くの投資家が強制ロスカットにあったとされています。
2017年6月:イーサリアム急落(仮想通貨)
2017年6月には、仮想通貨の「イーサリアム(ETH)」が急落するという出来事がありました。
約99.9%もの急落をして、一時はほぼ無価値状態になったという事件です。
当時、約317ドルだったレートが一瞬にして10セントまで急落したことで大きな話題となりました。
急落したのはわずか1分足らずの短時間でしたが、その後はコンピューターアルゴリズムが買い占めたことで、すぐに300ドルほどまで価格を戻しています。
2010年5月6日:ダウ急落(株式)
2010年5月6日には、米国株式指数の「ダウ」が急落しました。
ダウ工業株が一時1,000ドル(9%)以上の下落を決め、1兆ドルもの市場資産が失われたという事件です。
意図的な相場操作が要因となっており、実行した人はその後逮捕されています。
プログラムによる「アルゴリズム取引(自動売買システム)」の特性を逆手に取った大量の売りを仕掛けることで、歴史的な事件へと繋がったようです。
この時はダウだけでなく、ドル円やポンド円などの為替相場にも大きな下落を及ぼしました。
フラッシュクラッシュが発生する要因
続いて、フラッシュクラッシュが発生する主な要因を紹介していきます。
発生要因を把握して、フラッシュクラッシュに巻き込まれない取引をしていきましょう。
自動売買システムの連鎖的な挙動
フラッシュクラッシュは、自動売買の連鎖的な挙動で起きる可能性があります。
自動売買システムとは、決められた売買ルールをもとに、人の手を介さず自動で注文を出してくれるシステムです。
プログラムが、「〇〇円到達したら買い・売り」「発表された指標が◯◯なら即座に買い・売り」といったように、様々な規則に基づいて決められています。
多くのプログラム、または大量の資金が投入されているプログラムの内容が一致したとき、通常の下落から連鎖的に自動売買システムが作動して急落を起こす可能性があるのです。
また、自動売買だけでなく相場の急変動に驚いた投資家たちが一気に売り注文を出すことで、更なる下落の要因になることもあります。
取引が少ない時間帯での大量取引
フラッシュクラッシュは、取引の少ない時間帯での大量取引によって生まれるケースがあります。
「取引の少ない時間」とは「市場参加者の少ない時間」であり、通常であれば大きな値動きを見せることはほとんどないです。
しかし、市場参加者が少ないにも関わらず、とある機関投資家が大量の注文を市場に出すと短時間で極端な変動を起こすことがあります。
FXでは、ニューヨーク市場の閉場とオセアニア市場が開場するタイミングの、朝5~7時までの間が特に取引量が小さいです。
「魔女が出る時間」とも言われており、通常では少ない値動きにも関わらず、日によっては短時間で大きな価格変動が発生するケースもあります。
ヘッジファンドの人為的なミス
フラッシュクラッシュは、ヘッジファンドの人為的なミスで起きるケースもあります。
ヘッジファンドは、個人投資家に比べて大量の資金を相場に投入しています。
その際に、金額・注文数量の桁をミスするようなことがあれば、瞬時に大量の資金が市場に流れ、フラッシュクラッシュの要因となることがあるのです。
また、ヘッジファンドが多額の資金を投入して、意図的に市場を動かすケースもあります。
多くの投資家が損切りを入れている価格帯を狙う、「ストップ狩り」と呼ばれる手法です。
株・為替のどちらでも、ヘッジファンドのような資金力のある投資家によって相場が急変動することは多いため注意しなくてはいけません。
フラッシュクラッシュを回避するために
フラッシュクラッシュは、瞬時に大きな損失を抱えてしまう現象のため、個人で取引をする人はどうにかして回避していかなければなりません。
ここではフラッシュクラッシュを回避するための方法について紹介します。
流動性の少ない時間帯の取引を避ける
フラッシュクラッシュを避けるには、流動性の少ない時間帯での取引を避けるという方法が適しています。
前述した「魔女の出る時間」のように、市場参加者の少ない時間での取引は、相場の急変動が発生しやすくなるので注意しましょう。
数分の間で決済をする「スキャルピング」や、数時間単位で決済する「デイトレード」などを用いる短期トレーダーは、特に意識しておく必要があります。
株式であればその時の出来高をチェック、為替取引(FX)であれば市場参加者の少ない時間や、売買が落ちつく指標前などの取引を避けた方が良いといえるでしょう。
信用取引・FXの場合は損切り設定をしておく
信用取引やFXのように、自己資金以上の金額でレバレッジ取引をする場合は、損切りの設定をしておくと良いでしょう。
これは、短期・長期どちらの取引スタイルでも重要な回避方法です。
信用取引やFXでは、レバレッジをかけた取引をするので必然的に強制ロスカットのリスクが生じます。
強制ロスカットにあってしまうと、多くの自己資金を減らすことになります。
自身で損失の許容額を設定しておくことで、相場が思惑と反対方向に進んだ際に設定した水準で自動決済が行われます。
資金管理を行って証拠金維持率を上げておくのも大事ですが、ポジションを保有する時間が長くなる場合は損切りのラインを設定しておきましょう。
これはフラッシュクラッシュの回避だけではなく、通常の取引でも重要なポイントです。
要人発言・経済指標の前はポジションを落とす
フラッシュクラッシュほど大きな変動ではないものの、各国の「要人発言・経済指標」の発表後は相場が大きく動くことも多いです。
要人発言とは、首相や大統領、各国の中央銀行総裁などといった、市場動向に大きな影響を与える重要な人物の発言のことをいいます。
積極的な金融政策や事前予想できなかったサプライズな発言があると、相場が大きく反応します。
基本的に要人発言や経済指標は日時が事前にアナウンスされているため、ポジションを保有する時間帯でどのような要人発言・重要視されているイベントがあるのかを把握しておきましょう。
注目度の高いイベントや発言がある場合は、ポジションを落として取引することで急な値動きに翻弄されるリスクを低減できます。
まとめ:フラッシュクラッシュの対策は普段から役立つものばかり
「フラッシュクラッシュ」と呼ばれる現象は、滅多に起きるものではありません。
しかし、誰にも予測できないタイミングで発生するからこそ、厄介な現象ともいえます。
これまでコツコツと利益を積み上げていても、瞬間的な急変動で利益をすべて失うことも充分にあり得ます。
このような事故に巻き込まれないためにも、資金管理や損切り設定、要人発言や経済指標の発表を意識しながら取引することが大事です。
特に信用取引、FXトレードをする方は、強制ロスカットされないよう注意しながら取引をしていきましょう。
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マネカツ編集部
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