【FP監修】年金の定期支給日と支給月はいつ?支給金額や注意点を解説

年金の受給日は決まっていることをご存知でしょうか。実は会社のお給料のように、毎月受け取れるわけではありません。
老後の重要な収入である年金、いつ受け取ることができるか、しっかり知っておきたいですね。今回はまず、年金の支給日と支給月をチェックし、実際に支給される金額や注意点を解説していきます。
目次
年金を受給できる人はどんな人?
老齢年金は、保険料の納付済期間と保険料の免除期間などを合算した期間が、10年間(120月)以上ある場合に、受け取る資格をもらうことができます。この資格を満たせば、原則65歳になると年金を受け取れるのですが、受給が開始される資格を得たからといって、すぐに受け取ることはできません。
年金は決まった支給月・支給日があり、基本的に受給者全員は同じ月・日に受け取ります。そんな支給日を細かく見ていく前に、年金を受け取るための手続きを確認しておきましょう。
年金の手続きは自分でする必要がある
支給開始年齢に達したからといって、自動的に支給が始まるわけではありません。自分で年金を受け取るための手続きをすることで、受給することができるようになります。
年金を受け取るには「年金請求」を行う
いつから手続きできるか心配になるかもしれませんが、その必要はありません。支給開始年齢に達した方には、支給開始年齢に達する3カ月前に、「年金請求書」と年金請求手続きの案内が日本年金機構から届きます。
この年金請求書には、基礎年金番号、氏名(フリガナ付)、生年月日、性別、住所(フリガナ付)そして年金加入記録が記載されています。
この書類が届いたら、まずは記入漏れや間違いがないかを確認しましょう。記載されている名前や住所の漢字表記やフリガナが正しいことが確認できたら、案内にしたがって、書類を年金事務所または年金相談センターに提出すれば大丈夫です。
年金請求の際の提出書類
年金請求をする際には、いくつかの書類を年金事務所に提出しなくてはいけません。すべての方が必要な書類は、以下になります。
・年金請求書
・戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか(受給資格発生日以降に交付されたもので、年金請求書の提出日において6カ月以内に交付されたもの)
・本人名義の受け取り先金融機関の通帳またはキャッシュカード(コピー可)
・印鑑(認印可)
このほかにも、本人の状況によって必要な書類がありますし、住民票や戸籍抄本の提出が不要の場合もありますので、日本年金機構のホームページで確認しておきましょう。
年金は偶数月の15日に支給される
年金の受給日は単純で、偶数月の15日と決まっています。しかし、受給日が休日と重なった場合は直前の平日に支給されるので、注意しておきましょう。
それでは、年金の受給日に関して詳しく見ていきます。
年金の支給月は偶数月
年金請求を行ったら、年金の支払いが開始されます。年金は、年6回に分けて支払われます。支払月は偶数月で、2月、4月、6月、8月、10月、12月になっています。それぞれの支払月に、その前の月までの2カ月分の年金を受け取ることができます。例えば2月に支払われる年金は、12月と1月の2カ月分になります。
年金の支給日は毎月15日
年金の支給日は偶数月の15日と決まっています。また、支給日の15日が土日の場合、前日、または前々日などの直前の平日が受給日になります。
受給日が休日と重なった場合は直前の営業日に
年金の受給日が土日などの休日重なってしまった場合は、直前の営業日平日に年金が支給されます。
例えば、6月15日は偶数月の15日なので、通常であれば年金の受給日ですが、この日が土曜日だった場合は直前の平日である6月14日になります。
2019年の年金支給日一覧表
2019年の年金支給日は以下のようになります。
初回の年金支給はいつの分が対象になる?
それでは次に、初回の年金支給がいつになるかをご説明します。最初に確認したように、年金は自動的に支給されるものではなく、自分で年金を受け取るための手続きをしなくてはなりません。この手続き(年金請求)をしないと、年金の受給は始まらないので、案内が届いたら早めに手続きをしておきましょう。
初回は誕生日の翌月から換算
年金の支給は、支給が生じた日(65歳の誕生日)の月の翌月から支給が開始されます。例えば、65歳の誕生日が5月だとすると、5月の翌月である6月から年金の受給が開始されることになります。ただし、実際に6月、7月分の年金を受け取ることができるのは、対応する偶数月である8月からです。
支給日と支払い対象月は以下の表を見てください。
1日生まれは例外
65歳の誕生日が、支給日の決定に関わることをご説明しましたが、1日生まれの人は注意が必要です。
法律上(年齢計算ニ関スル法律)、年齢計算は誕生日の前日(5月20日の人なら、前日の19日)となるため、受給開始日も前日ということになります。よって、誕生日が5月1日の人は、前月4月30日が誕生日となり、その翌月である5月が受給対象になります。となると、1日生まれの人は、自分の誕生月と受給開始月が重なることになります。
初回の支給日は奇数月の場合もある
初回の支給日は誕生日を基準にして計算するわけですが、年金請求の手続きをし、年金証書が日本年金機構から送付されてきてから、年金を受け取れるまで、約1~2カ月かかります。
そのため、想定していた支払い日より遅れることもあり、その場合、初回支払いが奇数月になることもあります。実際にいつ支給されるかは、日本年金機構に問い合わせることができるので、すっきりさせたい場合は確認してみましょう。
年金の支給額っていくらなの?
年金の受け取り日が分かったところで、実際に受け取ることのできる年金額について、整理しておきましょう。
年金を受け取れる条件
年金を受け取るには、必要な資格期間があります。
① 国民年金の保険料を納めた期間
② 国民年金保険料の免除、学生納付特例等の納付猶予を受けた期間
③ 1961年4月以降の厚生年金保険の被保険者および共済組合の組合員であった期間
④ 第3号被保険者であった期間
⑤国民年金に任意加入できる方が任意加入していなかった期間(合算対象期間)など
上記の資格期間を合計し10年以上であれば、終身にわたって年金を受け取ることができます。
支給される年金額とは
60歳になるまでの40年間、すべての保険料を納めていると、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。2018年度の満額の年金額は年額77万9,300円となり、月額6万4,941円を2カ月分まとめて支給されます。
また、以下のサイトでご自身が将来受け取れる年金の見込み額を試算することができるので、試してみても良いでしょう。
年金受給者が死亡した場合、支給はどうなる?
もしも、年金受給者が亡くなってしまったら、支給されていた年金はどうなるのでしょうか。受給する資格がなくなり、未支給があっても遺族は受け取ることができなくなるのでしょうか。
遺族が年金を受給できる
受給者が亡くなったら、未支給分も受け取れない、なんてことはありません。受給者の年金は、残された家族の生活を支える重要な収入でもあります。受給者が亡くなった場合、受給者の遺族が代わりに未支給分の年金を受け取ることができます。
年金受給者が死亡した後は手続きをしよう
年金を受給していた方が亡くなると、年金を受け取る権利がなくなるので、「年金受給権者死亡届(報告書)」の提出を行わなければいけません。そして、亡くなった時点でまだ受け取っていない年金などの未支給年金を遺族が受け取るために、「未支給【年金・保険給付】請求書 」を提出します。
① 死亡の届出に必要な書類・年金受給権者死亡届(報告書)
・亡くなった方の年金証書
・死亡の事実を明らかにできる書類
(戸籍抄本、市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書)
② 未支給年金請求の必要書類
・未支給【年金・保険給付】請求書
・亡くなった方の年金証書
・亡くなった方と請求する方の身分関係が確認できる書類(戸籍謄本など)
・亡くなった方と請求する方が生計を同じくしていたことがわかる書類(死亡した受給権者の住民票(除票)および請求者の世帯全員の住民票など)
・ 受け取りを希望する金融機関の通帳(コピー可)
・亡くなった方と請求する方が別世帯の場合は「生計同一についての別紙の様式」
また、亡くなった方が受け取っていない年金を受け取ることができる遺族の順位は、①配偶者、②子ども、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、⑦そのほか3親等内の親族、となっています。
書類の提出・相談は「年金事務所」または「年金相談センター」
準備ができた書類は、年金事務所または年金相談センターに提出しましょう。もし書類作成や添付書類について詳しく相談したい場合は、各年金事務所の窓口やねんきんダイヤルに問い合わせてみましょう。
年金支給にあたって注意しておきたいこと
それでは、最後に年金支給にあたって、注意しておきたいことをまとめておきます。
会社員のようにボーナス制度がない
給与を会社から受け取っていたとき、給与とは別に賞与(ボーナス)をもらっていた方もいるのではないでしょうか。
年金は決められた日にお金が振り込まれるので、給与と同じ感覚になってしまうことありますが、給与と違いもらえる金額は一定で、ボーナスのように半年に1回、多めに年金がもらえるなんてことはありません。
ボーナスに依存しない生活を送る
もし、今までの生活で、ボーナス時に一気に買い物をしたり、ローン返済や保険の支払いなどをまとめて支払ったりする予定を組んでいた場合には、お金の支出のタイミングを見直してみましょう。
これからは、一定の金額しか受け取ることができないので、一度に多くのお金を支出するイベントがあると家計が破綻する可能性も出てくるからです。
年金は毎月もらえないのでやりくりを考える
今回のテーマでもある支給日と支給月を見ると、年金は毎月受け取るわけではないことが分かります。受給日には口座に2カ月分の年金が入っているので、そこそこ多めの収入があったと感じてしまいますが、今後60日分のお金であると考えると安心できる額なのでしょうか。
今までの感覚で使ってしまうと、もしかすると1カ月で使い切ってしまうかもしれません。年金受給が始まったら、受給開始日までに、給与をもらっていたときと違う2カ月間のやりくりを先に考えておきましょう。
退職金の使い方を考える
2カ月に1度受け取れる年金だけでは、少々不安な方は、退職金の使い方を考えてみましょう。
退職金は人生において大きな金額をまとめて手にする機会です。なんとなく生活費として取り崩していると、気づいたときには全部なくなっていたということも起こりえることです。そんな状況にならないように、退職金は年金との組み合わせで、今後10年20年と先を見据えて、長持ちさせることが大切です。
例えば、今後支払うことになっているローンをすべて返済しておく、貯めるだけでなく増やすために資産運用を検討する、貯金しておいて夫婦で旅行するといったメインイベントの資金にするなど、ライフスタイルによって求める形は違います。自分のプランに沿った使い道に迷ってしまいそうなら、ファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。
最後に
今後もらうことのできる自分の年金について、受給される月や日について知っていただけましたか。
年金を受け取ることで老後の生活を補助してもらえるわけですが、受け取る前と後でお金の管理について気をつけなければいけないポイントもありました。年金を受け取る年齢が近づいてきたら、次のステップに進むためのマネープランを考えてみるのも良いかもしれません。
監修者:仲井間 美穂(ファイナンシャルプランナー)
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