ドルコスト平均法とは?メリット・デメリットや始め方をわかりやすく解説

手軽に実践しやすい投資手法の一つに「ドルコスト平均法」があります。
「ドルコスト平均法」は、長期的に資産形成を行いたい方や、これから投資を始める方におすすめの投資手法です。
投資にはリスクがつきものですが、ドルコスト平均法の考え方を身につけることで、損失リスクをある程度抑えられます。
この記事ではドルコスト平均法の仕組みやメリット・デメリット、始め方や注意すべき点についてわかりやすく解説します。
ドルコスト平均法のシミュレーションもしていますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
- 1 ドルコスト平均法とは
- 2 ドルコスト平均法のメリット
- 3 ドルコスト平均法のデメリット
- 4 ドルコスト平均法のシミュレーション
- 5 ドルコスト平均法が人気な理由
- 6 ドルコスト平均法の始め方
- 7 まとめ:ドルコスト平均法でリスクを軽減した投資を楽しみましょう
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ドルコスト平均法とは
定期的に一定額ずつ購入する投資方法
ドルコスト平均法とは、一定金額で同じ金融商品を定期的に購入する投資方法のことです。
株や投資信託のような価格が日々変動する金融商品に一度にまとめて投資をするのではなく、投資タイミングを分散させつつ継続的に投資を行います。
投資タイミングを分散させることにより、金融商品の価格変動リスクを抑える効果が期待できます。
金融商品の価格の上下に関わらず、継続的に一定金額を投資していくことで、高値で買いすぎたり安値で買い損ねるリスクを避けられます。
初心者から上級者までおすすめ
投資においては「安く買って高く売る」のが基本であり理想ですが、投資のプロでも相場を正確に読むのは難しいです。
ドルコスト平均法は一定の投資額を一定期間ごとに投資するため、「価格が安いときは多く、価格が高いときは少なく買う」という投資法を実践できます。
そのため、相場を読んで安値を見極めたり、高度な投資のテクニックを使ったりする必要がありません。
投資経験の差が勝率に影響しにくいので、初心者から上級者まで幅広い投資家におすすめの投資方法です。
ドルコスト平均法のメリット
平均購入単価を抑えられる
ドルコスト平均法のメリットは、金融商品の平均購入単価を平均化できる点です。
例えば、10万円を株式に投資する場合で考えてみましょう。
10万円分の株式を一括で購入すると、その後株価が下落した場合は下落幅がそのまま損失に直結します。
一方ドルコスト平均法では、同じ銘柄に毎月10,000円ずつ10ヶ月間投資するというように、一定の投資金額を複数回に分けて投資を行います。
投資タイミングを分散することにより、投資する株式の価格が下がったタイミングでは多くの株数を購入でき、価格の上がったタイミングでは少ない株数を購入することになるのです。
株価下落時は安値で投資できるチャンスとなり、価格上昇時にも高値掴みを防げる、というのがドルコスト平均法の大きなメリットです。
投資の手間がかからない
定期的に決まった金額を投資するのは面倒だと感じる方もいるかもしれません。
しかし、多くの証券会社には「定期購入(積立投資)」をしてくれる機能があるため、自動買付が可能で投資の手間はほとんどかかりません。
忙しくて投資に時間が割けない方でも、購入タイミングや投資金額の設定をするだけで自動的に積立投資が可能です。
定期的に投資を行うのは面倒だという方や、日中は仕事で忙しいという方にこそ適している投資方法だといえます。
機械的に積立投資を続けられるため、相場の動きに一喜一憂することも少なくなるでしょう。
投資にまとまったお金が不要
「投資」や「資産運用」には、まとまった資金がある方が行うものというイメージを持っている方もいるでしょう。
ドルコスト平均法では、自分で決めた金額で定期的に投資を行うため、一度にまとまったお金は必要ありません。
働いている女性であれば、毎月のお給料から無理のない範囲で投資額を決めて運用に回せます。
仮に1回あたりの投資金額は少なくても、5年・10年と続けることで投資元本を無理なく増やしていけます。
ドルコスト平均法のデメリット
短期投資には不向き
ドルコスト平均法は、購入タイミングが必ず複数回になるのが特徴です。
仮に投資した商品の価格変動が大きくても、購入タイミングを複数回に分けることで購入単価を平均化することになります。
そのため、投資した銘柄の価格が上昇し続けた場合は、一括投資の方が有利になることもあります。
短期間で資産を一気に増やしたいという方には、ドルコスト平均法は向かないことが多いです。
しかし、長期目線でみると損失リスクを低減する効果が期待できます。
時間を味方につけて、着実にリターンを狙いたい方に適している投資方法といえるでしょう。
手数料が余分にかかることがある
投資する商品にもよりますが、一括投資をする場合と比べて、ドルコスト平均法では購入の度に手数料がかかってしまうというデメリットがあります。
購入する度に手数料が発生するため、なるべく手数料の低い証券会社や手数料がかからない金融商品を選びましょう。
損失を防止できるわけではない
ドルコスト平均法では、購入タイミングを分散させることで高値掴みのリスクや損失リスクを低減できます。
しかし、損失リスクが完全になくなるわけではありません。
相場の下落局面や大きな金融ショックなどがあった場合は、損失が膨らんでいき、場合によっては投資元本を割り込むリスクもあります。
大前提として「今後上昇していく」ことを前提とした投資方法のため、先行きがどうなるかわからない個別株よりも今後の成長に期待できる指数連動型の投資信託と相性がいいです。
ドルコスト平均法のシミュレーション
ドルコスト平均法で投資した場合と、一括投資をした場合を比べてみます。
例として、投資資金12万円で投資信託を購入するケースを考えてみましょう。
12万円を一括投資する場合と、毎月1万円ずつ12ヶ月に分けてドルコスト平均法で投資をする場合でそれぞれシミュレーションしてみます。
一括投資の場合
12万円を一括投資する場合、購入価格や購入口数は以下のようになります。
期間 | 購入価格 | 購入口数 | 投資金額 |
1ヶ月目 | 100円 | 1,200口 | 120,000円 |
最初の投資タイミングですべての資金を購入するため、そのときの投資信託の価格がそのまま購入単価となります。
この場合は、投資信託が100円のときに12万円分の資金を投入しているため、1,200口分の投資信託を購入できる計算です。
ドルコスト平均法の場合
一方、ドルコスト平均法では毎月定額(今回は1万円)を積み立てていく方法なので、投資信託の価格変動に応じて、購入できる口数が以下のように変化します。
期間 | 購入価格 | 購入口数 | 投資金額 |
1ヶ月目 | 100円 | 100口 | 10,000円 |
2ヶ月目 | 200円 | 50口 | 10,000円 |
3ヶ月目 | 50円 | 200口 | 10,000円 |
4ヶ月目 | 100円 | 100円 | 10,000円 |
5ヶ月目 | 150円 | 66口 | 10,000円 |
6ヶ月目 | 80円 | 125口 | 10,000円 |
7ヶ月目 | 100円 | 100口 | 10,000円 |
8ヶ月目 | 60円 | 166口 | 10,000円 |
9ヶ月目 | 120円 | 83口 | 10,000円 |
10ヶ月目 | 70円 | 142口 | 10,000円 |
11ヶ月目 | 140円 | 71口 | 10,000円 |
12ヶ月目 | 100円 | 100口 | 10,000円 |
合計 (平均) |
約92円 (平均購入単価) |
1,303口 | 120,000円 |
毎月の投資金額は一定でも、価格の変動に合わせて購入できる口数が異なります。
価格が下がっている月は購入口数が増え、価格が上がった月は購入口数が減っていることがわかるでしょう。
投資金額の合計12万円をトータルの購入口数1,303口で割ると、平均購入単価は約92円となりました。
ドルコスト平均法で購入タイミングを分散させることで、一括投資よりも安く・多く投資信託を購入できた良い例といえます。
ドルコスト平均法が人気な理由
ドルコスト平均法は、投資初心者から上級者まで幅広い投資家に人気のある投資手法です。
それはなぜなのか、人気の理由を確認しましょう。
高値掴みを回避できる
株や投資信託といった金融商品の相場を読むのは難しく、自分が購入したタイミングが相場の天井だったということもあります。
ドルコスト平均法を利用すると、高値でまとまった金額を投資してしまうリスクを避けられます。
長期的に投資を続けると徐々に買付単価が平均化されていくため、高値掴みのリスクを抑えることが可能です。
感情に左右されずに投資を続けられる
投資において、感情が取引の妨げとなる場合は多々あります。
「もう少し待つと、もっと安い価格で買えるのではないか」、「まだ上がりそうだから今のうちにたくさん投資しておこう」といった人間の心理は、正常な判断を鈍らせる可能性があるのです。
ドルコスト平均法を活用すれば、そんな感情に左右されずに淡々と一定額を投資し続けることができます。
いつからでも投資を始められる
ドルコスト平均法は、長期投資をしながら「高値掴みを避けること」「安いときに多くの口数を購入すること」で利益を狙う投資手法です。
そのため、投資を始めるタイミングを見計らう必要がなく、基本的にいつ投資を始めても問題ありません。
できるだけ価格が安いときに投資をしようとして、いつまでも購入できないことの方が機会損失になってしまいます。
ドルコスト平均法を行う上では、価格が安いときに投資を始めることよりも、長期間継続して投資を行うことの方が重要だと理解しましょう。
ドルコスト平均法の始め方
ドルコスト平均法を利用して投資できる主な商品を紹介します。
それぞれの商品で、どのようにドルコスト平均法を始めればいいか確認しておきましょう。
投資信託
投資信託はドルコスト平均法と相性がよく、iDeCoや積立NISAもドルコスト平均法の考え方で運用されます。
iDeCoや積立NISAの対象となる投資信託は、ノーロード(購入手数料が無料)のものがほとんどです。
そのため、ドルコスト平均法でネックとなる購入時の手数料を気にする必要がほぼありません。
iDeCoと積立NISAのどちらも少額投資に適した制度で、運用して得た利益を非課税で受け取れるというメリットがあります。
運用する金融機関を選び、毎月の投資金額を決めて入金しておくだけで、自動的に積立投資できます。

投資信託のメリット・デメリット!投資初心者にもわかりやすく解説
ETF(上場投資信託)
ETFは上場している投資信託なので、株と投資信託の両方の特徴を持っています。
一般的な投資信託と異なり、自動的に再投資されることがないため複利効果は狙えません。
分配金を再投資したり、他の商品に投資できたりと、比較的売買の自由度が高い点がメリットとなるでしょう。
一般NISAでドルコスト平均法を使ってETFに投資するのもおすすめです。

ETFとは?投資信託との違いや種類をわかりやすく解説
変額保険・外貨建て保険
変額保険や外貨建て保険といった保険商品も、ドルコスト平均法の考え方を利用して運用できます。
変額保険は、運用成果によって保険金額や解約返戻金などが変化する投資型の保険商品です。
生命保険と投資信託の両面を併せ持つ特徴があるため、保険商品の中でもドルコスト平均法を適用しやすい商品といえます。
外貨建て保険をドルコスト平均法の考え方で購入したい場合は、保険料が円ベースになっている商品を選択するのが良いでしょう。
まとめ:ドルコスト平均法でリスクを軽減した投資を楽しみましょう
株式や投資信託などに投資をすると、相場価格の変動に伴い自分の資産も増減します。
投資に時間を割ける人であれば、日々の相場の動きに注目して臨機応変に対応できますが、そうではない人も多いでしょう。
ドルコスト平均法を利用することで購入タイミングを分散させ、自然と損失リスクを抑えることができます。
将来に向けて長期的に資産形成を行いたいという方は、ドルコスト平均法を活用して安定投資を目指していきましょう。
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記事筆者
マネカツ編集部 Manekatsu Henshubu
"将来への漠然としたお⾦への不安はあるけど、何から始めていいのかわからない…"
そんな方に向けて「資産運用」や「節税」など、お金に関する情報を発信しています。

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