積立NISAを解約する方法!デメリットや手数料など、注意したい点を解説
積立NISAは、年間40万円の非課税投資枠の範囲内であれば最長20年間利益を非課税にできます。
しかし銘柄を保有する期間が長いからこそ、ときには価格が暴落してしまうことも起こり得ます。
なかには「保有している銘柄の価格が下がり続けており、この先どうなるか怖い」「価格が暴落したのですぐにでも手放したい」と感じ、積立NISAを解約(売却)したい方もいるでしょう。
この記事では、積立NISAの解約方法を徹底的に解説します。
長い目線で見れば途中解約はおすすめできませんが、資産が減っていくのがどうしても辛いという方は参考にしてください。
この記事の目次
積立NISAは途中解約ができる
最長20年間の税制優遇を受けられる積立NISAですが、期間中はいつでも解約できます。
積立NISAを解約するには、投資銘柄の売却や積み立て設定の解除、非課税口座の閉鎖といった方法があります。
ここでは、積立NISAを途中解約する際の方法を解説します。
投資銘柄を売却することで解約となる
積立NISAは、現在保有している銘柄を売却することで解約となります。
解約といっても、含み益が発生していれば売却時に利益が確定しますし、積立NISAの口座を閉鎖しない限り、非課税期間中ならいつでも再開できます。
ただし、上記とは反対に含み損が発生していた場合は、解約したタイミングで損失が確定します。
積立NISAで投資信託を運用していた場合、売り注文が受理されるまでに数日程度の時間がかかるため、解約しても即座に現金化はできない点には注意しましょう。
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口座の維持・解約に手数料はかからない
上記とは別に、非課税口座を閉鎖する方法でも積立NISAを解約できます。
積立NISA口座を閉鎖する際は、口座内にあるすべての投資商品を売却するか、課税口座に移行しなければなりません。
さらに証券会社へ非課税口座廃止届出書を提出する必要があり、単に銘柄を売却するだけの方法に比べて手間がかかります。
積立NISA口座を長期間維持していても、手数料は発生しません。
上記のような面倒な手間をかけるぐらいなら、積立NISAを再開するときに備えられるよう、売却のみ行って非課税口座は解約せずに保有しておくのも方法の一つです。
積立NISAを解約する方法
積立NISAを解約する方法は、次の3種類に分けられます。
- 投資信託の積み立て設定を解除
- 積み立てをしている投資信託を売却する
- 積立NISAの証券口座を解約する
それぞれの解約方法を詳しく解説します。
投資信託の積み立て設定を解除
定期的に行っている積み立ての設定そのものを解除すると、それ以降は自動的に買い付けが行われなくなるため、実質的に積立NISAを解約したことになります。
積み立て設定を解除する際は変更受付期日が決まっている証券会社もあるので、事前に調べておきましょう。
たとえば、楽天証券で引落方法を「楽天キャッシュ」か「楽天カードクレジット決済」に設定していた場合、毎月12日が変更受付期日となります。
つまり、2月分から投信積立を取り止めたいなら、1月12日までに積み立て設定を解除しなければなりません。
楽天証券における積み立て設定の解除方法
ここでは、楽天証券を例に出して積み立て設定の解除方法を紹介します。
楽天証券のマイページにログインし、メニュー欄にある「投資信託 > 積立設定」をクリックして設定画面を開きましょう。
運用している投資商品が一覧で表示されているので、解除したい投資商品の「解除」をクリックします。
後は、取引暗証番号を入力し、画面下部にある「解除」をクリックするだけです。
これで設定日以降は、その投資商品が自動的に買い付けられることはありません。
積み立てをしている投資信託を売却する
現在運用している投資信託を売却することでも、積立NISAを解約できます。
投資信託は金額や口数を指定して、一部のみ売却することもできますが、積立NISAを解約する際は、すべての銘柄と保有口数を売却しましょう。
保有している投資信託を売却した後は、利益や損失が確定します。
ただし、銘柄や証券会社によっては、売却後の資金を受け取るのに3~8営業日ほどの日数が必要です。
今後、自動的に買い付けが行われないよう、上記で紹介した積み立て設定の解除手続きも同時に行っておきましょう。
楽天証券における投資信託の売却方法
ここでは、楽天証券をもとに投資信託の売却方法を紹介します。
楽天証券のパソコン用マイメニューにログインし、「マイメニュー > 口座管理 > 保有商品一覧(投資信託)」の順に画面を移動します。
一覧のなかにある売却したい投資信託の「売却」をクリックしましょう。
売却画面に移行するので、「売却口数・金額」の項目から目的の売却方法を選択します。
今回は積立NISAを解約するのが目的となるため、「全部売却」を選択しましょう。
画面下の「確認」をクリックすると、注文内容確認画面に移行します。
その画面で取引暗証番号を入力し、「注文」をクリックすれば、売却手続きはすべて完了です。
積立NISAの証券口座を解約する
保有している銘柄をすべて売却し、積み立て設定を解除するだけでも積立NISAを解約できますが、非課税口座そのものを解約することも可能です。
証券会社で非課税口座を解約するには、次の手順に沿って手続きを進めましょう。
- カスタマーサポートに連絡して「非課税口座廃止届出書」を送付してもらう
- 登録した住所宛に上記の書類が届く
- 書類に必要事項を記入し、証券会社へ返送する
- 1~2週間後に証券会社から「非課税口座廃止通知書」が送られてくる
これで解約手続きはすべて完了です。
廃止した非課税口座を再び開設することもできますが、すでに旧口座で金融商品を買い付けていた場合、再開できるのは翌年からとなります。
積立NISAを解約する場合のデメリット
積立NISAを解約する場合は、次のようなデメリットが発生します。
- 複利効果がなくなる
- 非課税メリットを活かせなくなる
- 時間分散効果が弱くなる
基本的に積立NISAは、銘柄を長期間運用してこそ大きなメリットが生まれます。
解約してしまうと以下のようなデメリットがあるので、解約前にしっかりと理解しておきましょう。
複利効果がなくなる
長期的な運用で積立NISAが優遇されているのは、複利効果の恩恵が大きいためです。
複利とは、投資で得た利益を元本に組み込み再投資することで、利益率を大きく上昇させる方法です。
仮に元本10万円、年間利回り5%で10年間運用したとすると、本来は「元本10万円 + 利息5万円」で15万円にしかなりませんが、複利を活用していれば計16万5,000円近くになります。
積立NISAを解約してしまうと、上記の再投資のサイクルがその時点で止まってしまうため、複利効果を最大化できません。
つまり、積立NISAを長く続けていれば得られるはずだった利益を、みすみす逃してしまうということです。
複利効果の例
- 1ヶ月の積立額:20,000円(年間240,000円の元本)
- 年利率:5%
- 積立期間:20年間
たとえば、上記の条件で積立NISAを行っていたとすると、複利効果によって下表のような収益額となります。
積立年数 | 元本 | 利益額 | 合計金額 |
1年 | 240,000円 | 6,518円 | 246,518円 |
5年 | 1,200,000円 | 162,164円 | 1,362,164円 |
10年 | 2,400,000円 | 700,669円 | 3,100,669円 |
15年 | 3,600,000円 | 1,719,488円 | 5,319,488円 |
20年 | 4,800,000円 | 3,351,326円 | 8,151,326円 |
合計金額に占める利益額の割合は、1年目はわずか2.6%にしかなりませんが、20年目には41.1%と半分近くを占めるようになります。
積立NISAは、寝かせておけばおくほど複利効果が強まり、高い利益率へと変化するのがわかると思います。
もし10年目で一度売ってしまった場合、20年続ければ得られたかもしれない大きな利益を取り逃してしまいます。
仮に11年目からは再び投資を始めても、20年目に大きな複利効果を得ることはできません
この複利効果を最大限活かすためにも、積立NISAを途中解約するのはあまり得策ではありません。
複利の効果を簡単に解説!単利との違いや投資信託で効果を得る方法
非課税メリットを活かせなくなる
積立NISAは、年間40万円の投資枠の範囲内であれば最長20年間の利益を非課税にできます。
しかし、積立NISAを途中で解約すると非課税メリットを活かせなくなります。
1年間の非課税投資枠を使わなかったとしても、その枠は二度と復活しないからです。
たとえば、2022年に保有している銘柄をすべて売却し、その後一度も買い付けを行わなかったとしましょう。
2022年にはまだ40万円の非課税投資枠が残っていますが、翌年になってから前年の非課税投資枠を繰り越して80万円分買いたいと思っても、2023年に買付できるのは40万円までです。
積立NISAの適用期間は2042年までとなっており、2022年から始めた場合は、1年間でも非課税投資枠を使わないと損をすることになります。
非課税メリットを最大限に活かしたい場合は途中で解約せず、20年間ずっと保有し続けたほうがお得だといえるでしょう。
売却するとしても、銘柄のすべてではなく一部のみに留めることをおすすめします。
時間分散効果が弱くなる
金融商品は、短期間で取引を行うほど時間分散効果が弱くなり、リスクが増します。
積立NISAでは、「ドルコスト平均法」と呼ばれる一定金額を定期的に買い付ける投資手法が用いられています。
毎回決まった金額分を購入するため、価格が安いときは購入口数が多くなり、高いときには購入口数が少なくなるので、平均購入価額を安く抑えられるメリットがあります。
たとえば、2008年に起きたリーマンショックでは、数多くの金融商品の価格が暴落しました。
このときに保有していた銘柄を売却していたら大きな損失となっていましたが、2022年時点ではほとんどの銘柄で当時の金額を超えています。
長期保有するのを前提としていた場合、たとえ一時的に暴落が起きたとしても、その後の十数年間という時間を経ると、正常な価格へと回復する可能性が高くなります。
投資の世界では、一時的に大きなリスクを伴うこともありますが、時間が経つに連れて分散効果が機能し、リスクを和らげてくれるのです。
積立NISAを途中で解約すると、時間分散効果を十分に活かせなくなります。
ドルコスト平均法のメリット・デメリット!やり方やシミュレーション
積立NISAの解約を考えてしまうタイミング
積立NISAの解約を考えてしまうタイミング
ここまで積立NISAを途中解約するデメリットをお伝えしましたが、いろいろな事情によって解約したくなるタイミングが出てくるはずです。
ここでは、積立NISAの解約を考えてしまうタイミングと、その対策方法を解説します。
相場下落が続き元本割れした時
1つ目のタイミングは、保有していた銘柄の価格が下落し続けて、とうとう元本割れにまで達してしまった場合です。
元本割れになるとどうしても不安な気持ちになるものですが、積立NISAではチャンスだともいえます。
積立NISAは、前述したようにドルコスト平均法という投資手法を用いています。
価格が下がってしまった場合は、普段よりも購入できる口数が多くなるため、結果的に得をする可能性があります。
たとえば、1ヶ月の買付金額を1万円に設定していた場合、銘柄の価格が5,000円だと2口しか買えません。
しかし、価格が2,000円にまで暴落すると、1ヶ月に5口買える計算となります。
価格が5,000円近辺で推移していた場合、本来は2ヶ月に4口しか購入できませんが、価格が暴落したおかげで計7口を買えるようになりました。
もしこの先価格が順調に回復していくようであれば、多数の口数を保有しているほど高額な利益を獲得できます。
一時的な暴落が起きたからといって慌てずに、長期的な目線を持つことが大切です。
積立が厳しくなった時
資金的な余裕がなくなった場合も、積立NISAを解約するタイミングです。
急遽、手元にお金が必要になったときは、保有していた銘柄を売却することもあるでしょう。
しかし、積立NISAを途中解約すると数多くのデメリットが発生するため、安易に解約せず、この先も続けられる方法を探すことをおすすめします。
積立NISAの積立金額は、証券会社の設定画面から簡単に変更できます。
銘柄を売却せずとも、定期的な自動買い付けを一時的に取り止めることも可能です。
資金に余裕がない方は積立金額を最小限に抑えるか、自動買い付けの設定を解除すると良いでしょう。
このような設定を行うだけなら、現在保有している銘柄を売却せずに済むため、優良な銘柄であれば放置しておくだけで分配金が発生する可能性が高いです。
資金に余裕が生まれたら、再び設定を変更して積立NISAを再開しましょう。
まとめ:積立NISAを解約する前に十分な検討をしよう
積立NISAを解約するには、3通りの方法があります。
基本的には銘柄の一部売却や積み立て設定を解除する方法で乗り切り、積立NISA口座自体は取っておきいつでも再開できる状態にしておくのがいいでしょう。
ただし、積立NISAを途中で解約すると複利効果や非課税メリットを十分に活かせません。
積立NISAは長期投資を前提とした投資方法ですので、解約する際は
- 継続するよりも解約したほうが本当にメリットがあるか
- 一時休止でしのげないか
という点をよく検討しましょう。
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