株式投資をしていると、「ボラティリティ」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
ボラティリティは株や為替の価格の変動幅のことで、ボラティリティが大きい状態ほど短期間の値動きが激しいという特徴があります。

この記事では、ボラティリティという言葉の意味や投資でのボラティリティの活用方法、注意点などを解説します。

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ボラティリティの意味とは

ボラティリティの意味とは

値動きの変動幅のこと

ボラティリティとは、株や為替などの価格変動の大きさを表す言葉です。

値動きが激しく、価格が大きく動いている状態を「ボラティリティが大きい(高い)」と呼び、値動きの幅がそれほど大きくない状態を「ボラティリティが小さい(低い)」と呼びます。

ボラティリティは、日経平均やS&P500など相場全体の値動きの傾向を測る指標として利用されることもあれば、個別株や通貨ペアの比較で利用されることもあります。

例えば、同じ期間でボラティリティの大きさがA銘柄>B銘柄の場合、A銘柄の方がB銘柄よりも値動きが激しい銘柄だといえるでしょう。

チャンスもあるがリスクもある

ボラティリティが大きいということは、短期間に価格が激しく動くということです。

経済ニュースや企業決算、要人発言など、相場に影響を与える情報が発表される前後は、ボラティリティが大きくなりやすいという特徴があります。

良いタイミングで相場に入れれば、短期間で大きな利益を得られますが、高値掴みをしてしまうとすぐに損失が膨らんでしまうリスクも存在します。

ボラティリティが大きい状況での投資は、ハイリスク・ハイリターンになりやすいと理解しておきましょう。

株やFXでのボラティリティの活用方法

株やFXでのボラティリティの活用方法

株式投資やFXをするとき、以下のような場合にボラティリティを活用することができます。

  • デイトレードで活用する
  • 空売り(ショート)でも利益を狙う
  • 静観する

上記の活用方法をそれぞれ解説していきます。

デイトレードやスキャルピングで活用する

ボラティリティの大きな相場では、値動きが激しいという特性を活かして、短期間で大きな利益を狙うデイトレードやスキャルピングといった投資手法で利益を出しやすいでしょう。

  • デイトレード:数分〜半日のスパンで売買する取引手法
  • スキャルピング:数十秒〜数分間のスパンで売買する取引手法

特に、価格が一定の範囲で上下する「レンジ相場」でボラティリティが大きい状態が続いている場合、レンジの底付近で買って上がったら売るだけで簡単に利益を得られます。

ただし、そのような場面でも仮に注文が集まってレンジを抜けた時は一気に価格が変動するため、相場の動きをよく注視しておく必要があります。

デイトレードやスキャルピングのように短期間でトレードする場合は、あらかじめ損切りラインを決めておき、淡々と取引するのが良いでしょう。

空売り(ショート)でも利益を狙う

株やFXでは安値で買って高値で売るだけでなく、最初に売りから入って後で株を買い戻す空売り(ショート)という取引も可能です。

株の空売りの場合は、証券会社から株を借りて高値のうちに売り、株価が下がったところで買い戻して株を返すことで、売値と買値の差が利益として得られます。

相場全体が下落しているときは現物取引で利益を上げにくいですが、空売りを利用すれば株価が下がっても利益を狙えます。

買いと売りの両方をうまく使い分けると、より効率良くリターンを期待できるでしょう。

なお、空売りのためには信用取引口座の開設が必要となりますが、信用取引にはリスクがあるため、一定の投資経験が求められます。

投資初心者の方は、まずは現物取引で株式投資に慣れるところから始めてみましょう。

静観するのも重要

ボラティリティが高い状態は、上記のような手法で利益を狙いやすいですが、値動きの激しさに身動きが取れない方もいると思います。

そんなときは無理に取引しようとせず、相場を静観してボラティリティが小さくなるまで待つのも立派な投資手法です。

特に、中長期投資で株を購入している方は、短期の激しい値動きに惑わされず、長期の目線で相場を見るのが大事です。

自分に合った投資スタイルを見極め、適切なタイミングで投資するようにしましょう。

ボラティリティが大きくなりやすい場面

ボラティリティが大きくなりやすい場面

経済政策や指標の発表、要人発言があった場合

ボラティリティは、相場に影響を与えるような大きな発表があると大きくなりやすい傾向があります。

特に、市場の予想と実際の発表にズレがあった場合は注意が必要です。

株式相場は経済状況を先読みして動くため、市場予想よりも結果が良いケースでは一気に株価が上昇し、予想よりも結果が悪いと一気に株価が下落しやすくなります。

世界各国の政策金利やGDP、消費者物価指数(インフレ率)などの経済と密接に関わる指標が予想から大きくズレていた場合、急激にボラティリティが高まる可能性があるため気をつけましょう。

加えて、中央銀行の長官や政府の高官など、各国の要人が政策について発言した際も、サプライズがあると市場が反応しやすくなります。

企業決算やニュースが発表された場合

企業の決算発表は、投資家が投資判断する上で非常に重要な材料です。

一般的に決算内容が良いと株価が上昇しやすく、悪いと株価が下落しやすいと言われますが、「材料出尽くし」と捉えられる場合はこの逆の動きをすることもあります。

決算の内容次第で、株価が上下ともに大きく動く可能性が高まるため、決算発表前後はボラティリティが上昇しやすいといえるでしょう。

そのため、値動きが読みづらい銘柄を取引している投資家の中には、決算発表前に一度取引を手仕舞いして様子を見るという投資家もいます。

また、新作の発表や企業提携など、決算以外のニュース・情報でも一時的にボラティリティが高まることがあります。

世界情勢に動きがあった場合

世界情勢を大きく揺るがすような出来事も、ボラティリティを高める要因の一つです。

例えば、リーマンショックやコロナショック、最近ではロシアによるウクライナ侵攻、中国のゼロコロナ政策などが挙げられます。

これらは経済の先行き不透明感をあおる出来事であり、2022年は株式・FXともに相場のボラティリティが大きい展開が続いています。

このような状況下では、新しいニュースが飛び込むと良くも悪くも市場が反応しやすいため、常に値動きに注意しておく必要があるでしょう。

リスクヘッジのためには、あらかじめ損切りラインを設定して注文を出しておくのがおすすめです。

ボラティリティを活用する際の注意点

ボラティリティを活用する際の注意点

ボラティリティは、指標として上手に活用することで利益を得るチャンスが生まれる一方で、注意しなければならない点も存在します。

事前に注意点を把握しておくことで、不本意な損失を回避しましょう。

今後のトレンドを示すわけではない

ボラティリティは、現在の値動きの変動率を示しているだけで、今後の値動きの予測を表すものではありません。

「ボラティリティが大きく=値動きが不安定=価格が下落しやすい」と考える人がいますが、これは誤りです。

ボラティリティが大きい銘柄であっても、相場の状況や変動要因によって上下どちらに動くかは異なります。

また、一気に価格が上昇または下落したあとも、その後すぐに元の水準に値を戻す場合もあれば、上昇・下落トレンドが続く場合もあります。

価格が大きく動く際は必ず理由があるため、ボラティリティの大きさだけでその後の値動きを予測するのは難しいでしょう。

まずは値動きの原因を分析し、今後の相場トレンドをしっかりと捉えることが大事です。

出来高(流動性)があるかどうか

市場での取引が多い銘柄ほどボラティリティが小さくなり、取引が少ない銘柄ほどボラティリティが大きくなる傾向があります。

そのため、単純にボラティリティの大きさのみを比較するのではなく、出来高がどれだけあるかにも注目しましょう。

あまりに出来高が少ない銘柄に投資すると、売りたい時に売れないリスクや、想定と異なる価格での取引となってしまう流動性リスクが生じてしまいます。

ボラティリティだけでなく、流動性の観点からも投資銘柄を判断すると良いでしょう。

VIX恐怖指数も合わせて確認する

株式相場のボラティリティの大きさを測る指標に「VIX恐怖指数」というものがあります。

この指数は、市場参加者全体の不安の大きさに応じて大きくなり、平常時ほど小さくなるのが特徴です。

数値が大きいほど相場全体のボラティリティが高まりやすく、どの銘柄も値動きが激しくなる傾向があります。

特定の銘柄のボラティリティが高い場合は、VIX恐怖指数と併せて分析することで、ボラティリティ上昇の要因を掴みやすくなるでしょう。

ボラティリティが大きくなっている要因が銘柄特有の事象によるものなのか、相場全体が大きく変動しているためなのかを把握すると、その後の対応も冷静に判断しやすくなります。

ボラティリティを活用して投資を行う際は、値動きを分析する指標の一つとして、VIX恐怖指数も確認すると良いでしょう。

まとめ:ボラティリティの特徴を理解して投資に活かそう

ボラティリティの特徴を理解して投資に活かそう

ボラティリティは、株や為替の変動の大きさを表す言葉です。

ボラティリティの大きな相場では、短期間で大きな利益を狙いやすいというメリットがある一方、突然想定外の損失が発生するリスクもあります。

特に初心者のうちは、ボラティリティが急激に大きくなった場面では投資を控えるなど、リスク管理のための指標としても活用すると良いでしょう。

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