ユニコーン企業とは?日本のランキングや投資する方法をわかりやすく解説
未上場ながら大きな成長の可能性を秘めた企業を「ユニコーン企業」と呼びます。
株式市場では数年前から話題に上り始めた言葉ですが、日本においては呼び名の元となった伝説上の生き物「ユニコーン」と同じくらい珍しい存在です。
ユニコーン企業の特徴や投資方法は、一般的な上場企業とは異なります。
この記事では、ユニコーン企業の特徴や日本のユニコーン企業一覧、世界のユニコーン企業ランキング上位をわかりやすく解説しています。
ユニコーン企業に投資する方法についても紹介しているので、ユニコーン企業に関心がある方は参考にしてみてください。
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この記事の目次
ユニコーン企業とは
ユニコーン企業について、概要や特徴を確認していきましょう。
企業価値の高い未上場企業とのこと
「ユニコーン企業」とは、設立10年以内で評価額が10億ドルを超えるスタートアップ企業のことを指します。
1ドル = 約115円(2022年1月1日時点)で日本円に換算すると、約1,150億円の評価額になります。
評価額とは、企業の資産を直接評価した金額、または税金を算出する際の根拠となる金額です。
ユニコーン企業は株式市場に上場していないにもかかわらず、高い成長見込みによってベンチャーキャピタルや個人投資家から多額の出資を得ています。
2013年ごろから使われ始めた言葉
「ユニコーン企業」という言葉は、2013年頃からアメリカで使われるようになりました。
ベンチャーキャピタルの一つである、米カウボーイ・ベンチャーズの創業者が使い始めたといわれています。
ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業への投資を積極的に行って、投資先の企業が成長することで利益を狙う投資会社のことです。
2013年当初は、設立10年以下で評価額10億ドルを超えるような企業は非常にまれでした。
ベンチャーキャピタルにとっては、大きなリターンを期待できるほどに成長するベンチャー企業は夢物語のような存在だったため、伝説の動物である「ユニコーン」に例えて「ユニコーン企業」と呼ばれるようになった背景があります。
評価額によって3種類に分けられる
評価額が10億ドル以上のベンチャー企業を「ユニコーン企業」と呼びますが、それよりさらに上の評価額の企業は、別の呼び名を持っています。
100億ドル以上の企業は、10倍という意味の「デカ(Deca)」を頭につけて「デカコーン」、1,000億ドル以上の企業は100倍という意味の「ヘクト(Hect)」をつけて「ヘクトコーン」とそれぞれ呼ばれます。
ユニコーン企業 (Unicorn) | デカコーン企業 (Decacorn) | ヘクトコーン企業 (Hectcorn) | |
評価額 | 10億ドル以上 | 100億ドル以上 | 1,000億ドル以上 |
最近では「SDGs」や「サステナビリティ」など、持続可能な範囲での成長を重視し、利益を最優先するのではなく社会貢献に尽力する「ゼブラ企業」が注目されています。
「社会貢献」と「企業利益」という一見すると相反する目標を両立しようと取り組む企業を、白黒模様のシマウマ(ゼブラ)に例えているのです。
ユニコーン企業ランキング
日本で最初のユニコーン企業は、フリマアプリのメルカリです。
しかし、2018年に東証マザーズへの上場を果たしたことで、ユニコーン企業ではなくなりました。
現在の日本、および世界のユニコーン企業を確認していきましょう。
日本のユニコーン企業一覧
2022年3月現在、日本には5社のユニコーン企業が存在します。
評価額の高い順に紹介します。
企業名 | 評価額 | 事業内容 | 所在地 |
Preferred Networks (プリファードネットワークス) | $2B | 機械学習・AI、ディープラーニングなどの研究と実用化 | 東京都 |
SmartNews (スマートニュース) | $2B | ニュースアプリ「SmartNews」の開発・運営 | 東京都 |
SmartHR (スマートHR) | $1.6B | クラウド人事労務ソフトウェア「SmartHR」などの開発・運営 | 東京都 |
Spiber (スパイバー) | $1.22B | バイオ素材開発・製造 | 山形県 |
Playco (プレイコー) | $1B | モバイルゲーム開発 | 東京都 |
※2022年3月18日時点
国内のユニコーン企業には、テクノロジー関連企業が多いことがわかります。
時代の流れを捉えたテクノロジー企業は今後の成長見込みが高いと判断され、ベンチャーキャピタルや機関投資家からの資金が集まりやすい傾向にあります。
参考:CB Insights「The Complete List Of Unicorn Companies」
世界のユニコーン企業ランキング
米国の調査会社「CB Insights」によると、2022年3月時点で世界のユニコーン企業は1,000社を超えています。
これは10億ドル以上の評価を持つ民間企業が、世界中に1,000社以上存在しているということとイコールです。
世界中のユニコーン企業の中で、評価額の高いユニコーン企業上位5社を確認してみましょう。
企業名 | 評価額 | 業界・事業 | 所在国 |
Bytedance (バイトダンス) | $140B | 動画シェアサービス「TikTok」の運営 | 中国 |
SpaceX (スペースX) | $100.3B | 航空宇宙メーカー、テスラのイーロン・マスクがCEO | アメリカ |
Stripe (ストライプ) | $95B | オンライン決済システムの開発・提供 | アメリカ |
Klarna (クラーナ) | $45.6B | 後払い決済システム(BNPL)の開発・提供 | スウェーデン |
Epic Games (エピック・ゲームズ) | $42B | オンラインゲーム「フォートナイト」やゲーム開発プラットフォーム「Unreal Engine」を提供 | アメリカ |
動画の投稿・視聴が楽しめるSNS「TikTok」や、世界中で大人気のオンラインゲーム「フォートナイト」などは、日本でも若者を中心に人気があるサービスです。
イーロンマスク氏率いるスペースXも注目度が高い企業で、ロシアによるウクライナ侵攻時にはウクライナ副首相の要請を受けて衛生インターネットシステムを提供し、ウクライナに安定した通信環境を提供しました。
時代の流れに沿って事業を展開し成長を続ける企業は、幅広い投資家からの注目を集めるということがわかります。
参考:CB Insights「The Complete List Of Unicorn Companies」
日本にユニコーン企業が少ない理由
起業しやすい環境が整っていない
日本には、2022年3月時点で5社しかユニコーン企業が存在していません。
日本はベンチャーキャピタルが発達しておらず、スタートアップへの投資額も世界的に見て少ないという特徴があります。
そもそも他の先進国に比べて起業を志す人材が少ないということも、ユニコーン企業の少なさの要因になっているでしょう。
既に成長軌道に乗った企業でも、ベンチャーキャピタルからの資金調達ハードルが高く、資金調達を行う方法として株式上場を選ぶことも少なくありません。
東証マザーズは新興企業向けのマーケットとして、他の株式市場よりも上場要件が易しい傾向にあります。
ユニコーン企業として未上場のまま投資家からの出資を集めることを目指すよりも、上場を果たして資金を集める企業が多いのはこのためでしょう。
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今後日本でユニコーン企業は増えるか
経団連は2022年3月11日に、スタートアップ企業の育成に向けた提言を発表しました。
2027年までにユニコーン企業を100社に増やすという目標を掲げ、起業しやすい環境の整備やスタートアップ庁の設立などを計画しています。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの公的マネーによる投資拡大も求めていることから、今後は未上場企業の資金調達方法が増えていくことに期待できるでしょう。
加えて、スタートアップ企業の育成のみならず、教育や人材採用といったテーマにおいても意識を改革する必要があると指摘しています。
スタートアップ企業の資金調達方法が増え、人材の流動性が高まれば、今後日本にもユニコーン企業が増えてくるかもしれません。
出典:日本経済新聞「ユニコーン5年で100社に 経団連、スタートアップ庁提案」
ユニコーン企業に投資する方法
ユニコーン企業のような未上場企業は、ベンチャーキャピタルや海外の機関投資家から資金調達を行うのが一般的です。
個人投資家が上場企業のように証券取引所を通じてユニコーン企業に投資することはできません。
ユニコーン企業が個人投資家向けに株式を発行するケースはほとんどないため、直接投資を行うのはハードルが高いといえるでしょう。
個人投資家が未上場企業への投資を行う場合は、株式投資型クラウドファンディングを利用する方法があります。
国内の代表的な株式型クラウドファンディングを紹介します。
FUNDINNO(ファンディーノ)
FUNDINNOは日本初の株式投資型クラウドファンディングです。
2022年3月時点で累計制約件数は243件、累計成約額は78億強の実績を持ち、国内シェアNo.1のサービスとして知られています。
10万円程度から未上場企業への投資が可能で、仮に投資先の企業がIPOやM&Aなどに至った場合は大きなリターンを期待できます。
FUNDINNOには、「FUNDINNO MARKET」という未上場株式の売買ができる株式コミュニティ制度もあるため、本来売買しにくい未上場株も個人投資家間でやり取りしやすいです。
対象となっているベンチャー企業は2022年3月時点で6社となっていますが、今後さらなる拡大が期待されます。
Unicorn(ユニコーン)
Unicornは、次世代スタートアップ企業の株主になれる株式投資型クラウドファンディングです。
投資家に対して未上場企業に出資しやすいプラットフォームを提供するとともに、スタートアップ企業に対しては成長をサポートするためのノウハウや情報を提供しています。
投資先の企業がスムーズに成長することで、投資家も利益を得られる可能性が高まるというメリットがあります。
加えて、Unicornで取り扱うプロジェクトの中には、株主優待制度が設定されている投資案件も多く存在します。
未上場企業の場合は株主還元よりも自社成長を優先する企業が多いですが、こうした取り組みがあると投資するモチベーションが高まるかもしれません。
CAMPFIRE Angels(キャンプファイヤーエンジェルズ)
CAMPFIRE Angelsは、クラウドファンディングで有名な「CAMPFIREグループ」が運営する株式投資型クラウドファンディングです。
テクノロジー関連のプロジェクトが多いのが特徴で、1口10万円程度から投資を始められます。
上場企業に比べてなかなか情報を集めにくいスタートアップ企業ですが、CAMPFIRE Angelsでは、上場企業並みの情報量が用意されています。
財務状況や事業の成長性をじっくりと判断した上で投資するかどうかを判断できるというメリットがあるでしょう。
まとめ:今後のユニコーン企業の動向に注目
日本ではまだまだユニコーン企業は少なく、スタートアップ企業が成長する環境が整っているとは言い難いのが現状です。
日本でユニコーン企業を育てるには「制度の拡充」や「人材の流動化」など、国や業界をあげての取り組みが必要となるでしょう。
グローバルに活躍する日本発のユニコーン企業が増えれば、日本経済の活性化にもつながります。
今後のユニコーン企業の動向や国の施策に注目しましょう。
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マネカツ編集部
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