リセッション(景気後退)とは、景気が落ち込む局面のことです。

景気が落ち込むと企業業績や雇用、個人消費などが悪化し、株価に悪影響を及ぼします。

近年はロシアのウクライナ侵攻やアメリカの利上げなどによって、世界経済の減速が懸念されていますが、今後リセッションが起こる可能性はあるのでしょうか。

この記事ではリセッションの定義や経済・株価に与える影響などを詳しく解説します。

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リセッションとは

リセッションとは

景気には波があり、「好景気」と「不景気」を交互に繰り返します。

これを「景気循環」と呼び、不景気から好景気へと上昇する局面を「景気拡張期(エクスパンション)」、好景気から不景気へと下落する局面を「景気後退期(リセッション)」といいます。

つまりリセッションとは、景気が循環する中で景気の最も良い時期(景気の山)から景気の最も悪い時期(景気の谷)を目指して徐々に景気が悪化していく局面のことです。

リセッションに対して、景気が上昇している局面において一時的に景気が停滞することを「景気減速」と呼びます。

同じ景気の悪化でも、長期的に景気が上向きか下向きかによって投資判断も変わってくるため、両者は区別して捉えるようにしましょう。

リセッションの定義

リセッションの定義

リセッションの定義は、各国によって異なります。

ヨーロッパでは一般的に、GDP(国内総生産)が2四半期連続でマイナス成長となった場合をリセッションとみなします。

これに対して日本では、DI(ディフュージョン・インデックス)という景気動向指数も判断材料に使うことが多いです。

内閣府が公表するDIは、物価や消費、雇用など景気に関連する複数の指標を用いて算出されます。

景気拡大局面ではDIが50%を上回り、景気後退局面では50%を下回る傾向があります。

そのため、DIが連続で50%を下回る場合は「リセッション入り」の可能性が高まるでしょう。

出典:野村證券株式会社「証券用語解説集 リセッション」

リセッション入りすると株価はどうなる?

リセッション入りすると株価はどうなる?

一般的には下落傾向にある

一般的にリセッション入りすると、株価は下落傾向になります。

株価は経済の状態を反映して動くため、景気が良い局面では企業の業績向上を見越して株価が上がり、景気が悪くなると業績悪化を嫌気して株価が下がりやすくなるためです。

景気後退が長く続けば、それまで安定した配当を実施していた企業も業績悪化に伴い減配を実施する可能性が生じるでしょう。

このように経済がリセッション入りして、先行き不透明な「リスクオフ」の相場になると、株式投資に消極的な投資家が増加します。

そのため、株式や投資信託といったリスク商品から国債や金(ゴールド)などの安全資産へと資金がシフトする傾向にあります。

リセッション後期は買い場であることが多い

リセッション入りすると株価が大きく下落するため、これまで順調に値上がりして手が出せなかった銘柄も買いやすくなります。

リセッションが終われば景気は回復し、株価にもポジティブな影響が出やすいため、見方によっては絶好の買い場と捉えることも可能です。

ただし、「落ちてくるナイフはつかむな」という投資の格言にもある通り、急落し始めの投資は思わぬ損失を受けるリスクもあります。

リセッション時に投資をする際は、株価が底入れしたのを確認してから投資する方が良いでしょう。

リセッションになる原因

リセッションになる原因

経済には周期性(景気循環)がある

冒頭でも触れた通り景気には波があり、良い状態と悪い状態を繰り返しています。

景気の状態は次の4つに分類できます。

  • 好況:景気が良く、右肩上がりに株価が上がる局面
  • 後退:景気が悪化して、株価が下がり始める局面
  • 不況:最も景気が悪い状況で、株価は低迷している局面
  • 回復:景気の底から好景気へと変わるタイミングで、株価が上昇し始める局面

好況期には人々の購買意欲が増してモノがたくさん売れるため、企業業績や従業員の賃金が上昇します。

しかし、企業がモノを売るために生産量を上げ続けると、いずれ生産量が人々の需要を上回るタイミングがやってきます。

ここが景気の山のピーク=好況期の終わりです。

景気後退期に入ると、企業はモノの在庫を抱えないためにモノの価格を下げたり、生産量を抑えたりします。
モノが売れなくなると企業業績は下がり、従業員の賃金も下げざるを得なくなります。

この状態が不況です。

しかし、ある程度モノの価格が落ち込むと消費は再び上向くため、企業業績や従業員の賃金とともに景気が回復していきます。

このように景気は一定のスパンで循環していき、それぞれの局面へ移行するタイミングのことを「景気の調整局面」と呼びます。

金利との関係

金利が低いと個人や企業がお金を借りやすくなり、消費や設備投資に回せるお金が増加します。

するとモノやサービスがよく売れるようになるため、企業業績が上昇します。

雇用の増加や賃金アップに伴い、モノの需要が高まることで発生するのが物価上昇=インフレです。

過度なインフレは家計の圧迫につながるため、中央銀行はインフレ抑制のために徐々に金利を上げていきます。

金利が上がると消費が抑えられやすくなり、企業も投資に消極的になって景気の伸びも抑えられていきます。

インフレが抑えられると今度は経済の悪化が懸念されるようになるため、中央銀行は利下げを行って消費や設備投資を刺激します。

このように景気と金利は密接に関わっているため、各国の中央銀行は金利を調整することで好景気・不景気が行きすぎないように対策を取っています。

リセッションの兆候を知るためには、中央銀行の動向にも注意しましょう。

リセッションの過去事例

リセッションの過去事例

一般的に、リセッションが起きると株価が下落する傾向があります。

日経平均株価およびS&P500指数の値動きを参考に、実際のリセッション事例を確認していきましょう。

  • 日経平均株価:オレンジ
  • S&P500指数:青

コロナショック

コロナショック

新型コロナウイルスの感染拡大の影響が顕著に現れ始めた2020年2月頃は、日米ともに株価を大きく下げています。

日経平均は、東京オリンピックの延期決定など経済情勢の先行き不透明から売りが先行し、一時はコロナショック前から約3割の下落を記録しました。

S&P500指数も同様に急落していますが、日米ともに下落からの回復も早く、夏頃にはほぼ元の水準へと戻っています。

コロナショックによる経済停滞懸念への対応策として世界的に大規模な金融緩和が実施されたため、経済や株価の復調も早かったと捉えられています。

米国では全米経済研究所(NBER)によってリセッションが発表されましたが、リセッションが継続したのは2020年3月〜4月のわずか2カ月間に留まりました。

リーマンショック

リーマンショック

リーマンショックは、米国の投資銀行リーマン・ブラザーズが2008年に破綻したのをきっかけにして起きた世界的経済危機です。

リーマンショックは米国のみならず世界中に影響を与え、日本も金融市場や雇用環境などに大きな打撃を受けました。

株式市場は2007年の年末から日米ともに下落を続け、2009年の3月頃には下落前の半値近くまで落ち込んでいます。

その後の株価チャートを見ると、S&P500の方が株価の回復が早く、2013年には下落前の水準へと戻りました。

一方、日経平均はリーマンショック後しばらく株価の低迷が続き、2012年の後半からようやく上昇し始めたことがわかります。

ITバブル崩壊

ITバブル崩壊

ITバブルは、1990年代に起きたIT関連株の株価高騰のことです。

パソコンやインターネットが一気に職場や家庭に普及したのをきっかけに、マイクロソフトをはじめとするIT企業の関連株が大きく買われて、アメリカの経済全体も大きく成長しました。

同時期に日本でもITバブルが加熱し、光通信やソフトバンク、NTTドコモなどの銘柄が物色されました。

しかし、2000年代に入るとIT関連株の過熱感の高まりからITバブル崩壊へと向かい、株価は一気に下落しています。

2001年にアメリカで起きた同時多発テロも株価下落に拍車をかけ、数年間にわたって日米の株価は低迷しました。

日経平均は2000年3月に2万円を超える高値をつけていますが、このITバブル期の最高値はバブル崩壊以降、2015年まで約15年間更新されませんでした。

リセッション時に投資家が注意したい点

リセッション時に投資家が注意したい点

景気敏感株は下落に注意

景気が後退すると、株式市場は業績悪化を予想して売りが先行する傾向にあります。

特に景気動向によって業績が大きく左右される「景気敏感株」の下落には注意しましょう。

鉄鋼・化学などの素材セクターや機械セクター、銀行・証券といった金融セクターなどが景気敏感株に該当します。

これらの銘柄は好況時にはモノが売れて設備投資や消費が活発になり業績が上がる一方、不況時には一気に需要が低下して業績が悪化します。

景気敏感株はリセッションの兆候を察知して敏感に動くため、売買のタイミングが遅れると大きな損失となる可能性があるでしょう。

ディフェンシブ銘柄に投資をシフトする

景気後退局面は、医薬品やインフラ・通信、生活必需品などのディフェンシブ銘柄が優位になりやすい傾向があります。

これらの銘柄は景気の良い・悪いに関係なく一定の需要があるため、業績が景気の動向に左右されにくいという特徴を持ちます。

特に、すでに成熟している企業であれば安定して配当を出しているケースも多く、不況時にもインカムゲインを期待する投資家からの人気が集まりやすいです。

今後リセッション入りが予想される場合は、景気敏感株からディフェンシブ銘柄へと投資をシフトするのも一つの手です。

ゴールドへの投資を検討する

リセッションが懸念される場合は、安全資産と言われる金(ゴールド)への投資もおすすめです。

実物資産である金は、相場の下落局面に強いため「有事の金」とも言われます。

実際に、2020年2月以降のコロナショックにおいて、株や投資信託の価格が大きく下落を続ける中、NY金先物の価格は一時下落したもののすぐに価格を戻しました。

また、ロシアによるウクライナ侵攻によって世界的に景況感が悪化した際も、金価格は上昇しています。

金は株式や債券といった金融商品と異なる値動きをしやすいため、分散投資の対象として検討してみても良いでしょう。

金へ投資をする場合、金の現物を保有するだけでなく金価格に連動する投資信託やETFに投資する方法などがあります。

不動産投資を検討する

分散投資という観点では、実物のマンションなどに投資する不動産投資という選択肢もあります。

「休むも相場」という格言もあるように、相場の先行きが不透明なときは無理に投資を続けるのではなく、一度手仕舞いした上で投資タイミングを伺うのも良いでしょう。

不動産投資なら空室にならない限りは家賃収入を期待できるため、安定したインカムゲインを見込めます。

自分で実際にマンションの一室などを購入し、他人に貸し出して家賃収入を得るほか、不動産投資型クラウドファンディングなどを利用して少額から投資をすることも可能です。

まとめ:リセッション入り前後の投資は要注意

リセッション入り前後の投資は要注意

リセッション入りすると、米国株や日本株の多くは業績悪化の懸念から売りが先行しやすくなります。

株価の下落によって大きな損失を受けないためには、定期的に株式市場の動向をチェックしつつ、世界経済にも目を向けることが重要です。

場合によっては投資を一旦休むことも選択肢に入れながら、リセッションのサインに注意してうまくリスク管理を行いましょう。

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