つみたてNISAは、2018年に始まった少額投資非課税制度です。一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益(値上がり益)に税金がかかりません。新規投資額は年間40万円非課税投資枠は20年間で最大800万円です

それでは、20年後の非課税運用期間が終了したらどうしたらいいのでしょうか?つみたてNISAの口座新規開設の70%は20~40代の現役世代です。20年後の非課税期間終了後も運用を続ける必要があります

今回はつみたてNISA20年後の出口戦略について解説していきます。

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非課税投資枠の取り扱い

2019年現在、つみたてNISAで投資信託を購入できるのは2037年までです。ただし、2037年度に購入した投資信託も20年後の2056年まで非課税で保有できます(下図)。

出典:金融庁

それでは、20年間の運用期間が終了したらどうなるのでしょうか。

つみたてNISAの運用期間が終わったらどうする?

つみたてNISAは通常NISAのようにロールオーバーできません。ロールオーバーとは、非課税期間が終了したあと、1度だけ翌年の非課税投資枠を利用できる制度です。しかし、つみたてNISAの場合、投資可能期間は2018年から2037年です

つみたてNISAが始まった2018年から運用を始めても、終了するのは2037年。翌年の2038年からの非課税投資枠はないのです。

つみたてNISAはロールオーバーできないので、20年後にできる選択肢は次の2つです。

1.投資信託をすべて売却する

2.課税口座(特定口座・一般口座)に移して運用を続ける

それぞれ詳しく見ていきましょう。

20年後の運用期間終了時に投資信託を売却する

非課税期間終了時に、投資信託をすべて売却するという方法があります。とくに利益が出ている場合は利益確定したくなるかもしれません。

しかし、つみたてNISAの利用者の7割は40代以下の若い世代です(下図)。人生100年時代といわれる時代、40歳でつみたてNISAを始めても20年後は60歳です。そこで運用を止めるわけにはいきません。

出典:金融庁

課税口座(特定口座・一般口座)に移して運用を続ける

そこで、課税口座(特定口座・一般口座)に移して運用を続けることが必要です。課税口座には手数料なしでそのまま移管できます

ただし、つみたてNISAから課税口座に移管されるときの時価が取得価格になることに注意しましょう。

たとえば、つみたてNISAで年間40万円の上限枠で20年間運用を続けたとします。

積立金額は800万円(40万円×20年)ですが、運用益と合わせて時価が1,000万円になっていたとします。この運用益200万(1,000万円ー800万円)には税金がかかりません。

その場合、課税口座に移されるのは1,000万円の時価になります。その後の課税は、1,000万円に対して利益がでているかどうかで判断されます。

たとえば、運用を続けて時価が1,100万円になった場合に売却すれば、100万円(1,100万円ー1,000万)に通常の税金20.315%がかかります。時価が900万円の時に売却しても税金はかかりません。

ただし、これは一括で売却した場合です。実際には分割して売却することもあるでしょうその場合は、投資信託の平均取得価格に応じて税金が決まります

20年後に元本割れしていた場合は?

それでは、20年後の非課税期間終了時に評価額がマイナスになっていたら、どうすればいいのでしょうか。たとえば、積立金額800万円に対して時価が600万円になっていたとしましょう。

その場合、課税口座の取得価格は600万円の時価になります。その後、積立金額の800万円に戻った時に売却すると、200万円分(800万円ー600万円)に対して20.315%の税金がかかってしまうのです。

20年後の評価額がマイナスになっていると、取得金額に戻っただけでも課税されてしまいます。これは、つみたてNISAの大きなデメリットといえるでしょう

 

20年後の運用益のシミュレーション

このデメリットを解消するためには、つみたてNISAの運用期間を恒常化しないといけませんが、現状の制度では無理です。

相場なので20年後のことは誰にもわかりませんが、過去の実績では先進国や新興国の株式や債券に幅広く分散投資しておけば、収益が安定することが分かっています。

出典:金融庁

左の図は、長期・積立・分散投資の効果を表したものです。国内・先進国・新興国の株式や債券に6分の1ずつ積立投資をした場合、年率4.6%の利益を得られました(1997年~2017年)。この間には、2008年のリーマンショックも含まれています。大きな金融危機があっても、資産を順調に増やせていることがわかります。

また、右の図は1985年以降に国内外の株式や債券に分散投資した結果です。保有期間が5年ではマイナスになることもありますが、保有期間が20年では投資収益率が年率2~8%になりました。

あくまでも過去の結果ですが、つみたてNISAで長期・積立・分散投資を行えば、20年後の非課税期間終了時にはプラスになっている可能性が高いと考えられます

それでは、このシミュレーションによる年率4.6%の運用益で積立金額800万円はいくらになっているのでしょうか。これは、年金終価係数を用いて計算できます

  • 積立金額 年40万円
  • 年利率     4.6%
  • 積立年数   20年

この場合は、1,268万800円となりました。800万円の積立金額に対して、468万800円の利益となります。つみたてNISAでの運用益なので、468万800円に対して税金がかかりません。

通常だと20.315%の950,904円の税金がかかるので、つみたてNISAの非課税枠のメリットが大きいことがわかります。

若い世代はiDeCoの運用を考える

20代や30代前半でつみたてNISAを始める場合、20年後の非課税期間終了後は、もう一つの非課税制度であるiDeCOでの運用も考えてみましょう。

20年間の運用が終了した投資信託の一部を売却し、iDeCoに移し替えて運用します。iDeCoの運用は60歳までです。年齢とともに、年間の上限枠も確認しておきましょう。

自営業者にとっては、とくに掛金が多くなっています。年間816,000円の非課税枠は大きいでしょう。

長寿化が進む日本では資産運用を続けることが必要

つみたてNISAでの運用終了時に60歳を超えていても、資産運用を続ける必要があります。「人生100年時代」といわれますが、60歳を超えても90歳まで生きる人の割合は46.4%、95歳でも25.3%です。

出典:金融庁

何歳まで生きるかわからない「長生きリスク」に備えるためには、資産運用を続け、「資産寿命」も伸ばす必要があるのです。

まとめ

つみたてNISAの非課税期間が終了した場合、「課税口座に移して運用を続ける」ことがベストです。

年金生活に入れば、資産を切り崩しながらの生活になりますが、資産運用を続けている限りどんどんお金が減っていくという不安から解放されるからです。

もちろん、非課税期間内にピークの価格で売却できるのが一番ですが、マーケットの天井を当てるのはほぼ不可能です。つみたてNISAの非課税期間をフルに使いながら、非課税期間終了後は課税口座で運用を続けるようにしましょう。

イラスト:三井みちこ

記事 山下 耕太郎

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