日本の住宅は主に集合住宅と戸建て住宅に大別されます。賃貸物件への住み替えを検討するなら、一般的に前者の「集合住宅」を選択するでしょう。ただし、賃貸マンションの中にも更にいくつかの種類が存在します。自分に適した物件の種類は何に当てはまるのか知るには、まずそれぞれの種類の意味について把握するのが先決です。

1:分譲賃貸の意味

一般的な賃貸マンションと混同しやすいのが、「分譲賃貸」です。賃貸検索ポータルサイト等では、賃貸マンションも分譲賃貸マンションも混在して表示されるため、明確な違いを意識して選択する人は少ないでしょう。

しかし分譲賃貸には、分譲賃貸ならではの特色が存在します。

分譲賃貸とは?

分譲賃貸というのは、その名のとおり分譲マンションに「賃貸」として住むことを指します。

居住条件が賃貸であることに変わりはないので、借主側としては一般的な賃貸マンションと待遇に変わりないようにも思えますが、実は分譲賃貸なりのメリット・デメリットというものが存在します。

分譲賃貸のメリット

分譲マンションである以上、購入する層は「一生の買い物」を想定していますね。そのため、「一時的な住処」になりがちな賃貸マンションと比較して、総合的にハイグレードで、高い販売価格に見合ったクオリティーな造りであることがほとんどです。

耐震性や防音性に優れた建物であることや、外観・内装ともにグレードの高い設備が整っていることなどが挙げられます。賃貸マンションにない付加価値を味わえる点で、人気です。

分譲賃貸のデメリット

前述のメリットからも想定できるように、平均して賃料は高めに設定されています。また、オーナーが一時的に不在する期間のみ賃貸に出すようなケースも多いことから、賃貸契約期間はオーナー側の都合によりまちまちです。一般的な賃貸借契約にあたる2年を下回るケースも、往々にして存在します。

契約時の規約も非常に厳重に定められていることが多く、窮屈に感じる方もいるかもしれません。

分譲マンションと賃貸マンションの違い

「分譲賃貸」とは、分譲マンションの専有区分の所有者が、その部屋を賃貸として貸し出すことを指します。ですから所有者はその専有区分の購入者であることに変わりはなく、毎月の家賃を支払うことで一時的に借りている状態を指すわけです。

つまり、賃貸マンションは1棟の管理人または管理会社が貸主となりますが、分譲マンションは居住区分の所有者が貸主になるという違いがあります。なお、後者であっても大抵は管理会社を仲介して賃貸に出すことが多く、所有者と接触する機会は無いことがほとんどです。

分譲賃貸の賃貸

分譲賃貸マンションとして賃貸に出す際には、法的な取り決めが存在しています。多くはこれに基づき世に出回っていますが、中には悪徳業者も存在します。正しい知識を身に付け、怪しい不動産会社を見極める目を養いましょう。

法律による仲介手数料の規定

分譲賃貸においても、一般的な賃貸マンションと仲介手数料に違いはありません。

ですから、仲介手数料は賃料1カ月分の1.08倍が上限となります。これを超過した仲介手数料を要求された場合、それは違法となりますので注意しましょう。(参考:宅建業法46条、建設省告示1552号

2:光ファイバー対応賃貸の意味

賃貸マンションの種類の1つに、「光ファイバー対応賃貸」というものがあります。賃貸検索ポータルサイトの選択肢に、見かけた覚えがある方も多いのではないでしょうか。

光ファイバー対応の賃貸とは?

光ファイバー対応というのは、要は「光回線」がマンションに通っていることを指します。インターネット時代であるからこそ、賃貸マンションに引っ越ししたら新たにインターネットを開通させる人が大半を占めますね。その際、インターネット回線が一切通っていないマンションでは、0から開通させる手間が出てきます。

一方、「光ファイバー対応」マンションであれば共用部まで回線が引かれていることが確約されますから、後は専有部まで回線を引っ張るだけで済むので、インターネット開通の手間は半減します。なお、いずれも専用の業者に手配する必要があります。

光ファイバー対応賃貸は契約が必要

いくら光ファイバー対応だといっても、入居してすぐインターネットが使えるというわけではありません。別途、光回線対応の業者に申し込む必要があります。もし入居後間もなくインターネットを使いたいのであれば、引越し前に光回線を契約し、引越しにあわせて開通工事の手配も済ませておきましょう。

立ち会いが必要になるケースが多く、近々の日程ですと混み合う恐れがあるため、時間に余裕を持って申し込んでおくと安心ですね。

「光ファイバー対応」と「インターネット対応」「インターネット完備」の違い

「光ファイバー対応」と同じように、「インターネット対応」「インターネット完備」という表記もあります。「どれも同じじゃないの?」と思われるかもしれませんが、多くは明確な違いがあり、異なる表記として扱われているケースが多いです。

光ファイバー対応というのは前述のとおりですが、それに対して「インターネット対応」というのは、マンションの共用部までインターネット回線が引かれているという点では変わりないものの、回線の種類が明らかになっていません。

現在のインターネット回線の主流は「光回線」ですが、もしかしたら「ADSL」や「CATV」の可能性もあるということです。

もう1つ、「インターネット完備」ですがこれはすでに専有部までインターネット回線が開通していることを意味します。回線やプロバイダの契約も済まされているため、入居してすぐインターネットを利用することが可能です。

ただし、回線を選べないというのはデメリットになり得ます。回線速度が物足りないケースも存在しますので、インターネット利用料がかからない分、一長一短と言えるでしょう。

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3:敷金償却の賃貸物件の意味

賃貸検索ポータルサイトを眺めていると、まれに「敷金償却」という単語を目にする機会があるかもしれません。あまり例は多くありませんが、確かに存在しますので注意が必要です。

「敷金償却」とは?

「敷金償却」。見慣れない言葉だと思いますが、実は単純なことです。退去費用を敷金で精算したのち、貸主(大家)にそのままそっくり返してしまうことを指します。

一般的には、敷金というのは貸主へ一時的に預けるお金に相当し、退去時にはクリーニング費用等と精算され、残りは借主へ返金されるものです。それが「敷金償却」物件の場合、退去費用に充当されることに変わりはないものの、残金は返還されないことになります。

さらには、退去費用が敷金でまかないきれなかった場合は、追加費用として請求されることもあるのです。

敷金償却の賃貸物件の事例

実際の例に当てはめて解説します。家賃が10万円の賃貸物件があったとしましょう。契約時、敷金(償却)1カ月分として10万円を支払ったと仮定します。

退去時に立ち会いのもと、退去費用が8万円と算出されたとします。敷金として預けてある10万円のうち8万円を退去費用へ充当し、残2万円は貸主がそのまま貰い受けます。

敷金償却の違法性はある?

敷金というのは本来、退去時に返金されるものという認識が根強いため、敷金償却に違法性があるように響いてしまいますね。

しかしながら法的には家賃1~2カ月分程度の、常識の範囲内の敷金であれば違法性は認められず、過去の判例においても「許容範囲であれば有効」との判決が下されています。

4:フリー レント付き賃貸物件の意味 

次に近年ポピュラーになった賃貸物件の種類のひとつ、「フリーレント付き賃貸物件」の解説へと進みます。

フリー レント付き賃貸とは?

フリーレントというのは、レント(賃貸)がフリー(無料)。つまり入居後一定期間が無料で住める権利が付いた物件のことを指します。一般的には1~2カ月程度無料が主流ですが、中には3カ月以上の物件も存在します。

フリー レント付き賃貸が存在する理由

フリーレント中は家賃が発生しないことから、貸主にとっては悪条件にしか思えないこの制度。なぜ存在するのかというと、多くは「好条件とはいえない物件に入居者を募るため」です。

フリーレントが設定されている物件の多くは、そのままでは入居希望者が現れないような悪条件(駅から遠い、築年数が古いなど等)を抱えています。入居してくれる人がおらず、数カ月の家賃収入が見込めないくらいなら、思い切ってフリーレントにすることで賃貸物件を検索する人の目に留め、将来的な家賃収入を見越してプロモーションしているわけです。

フリー レント付き賃貸を借りる時の注意点

一方、借主としてフリーレント付き賃貸物件を前に、気をつけたいポイントがあります。それは中途解約で違約金が発生するリスクがあること。

フリーレント付き賃貸では、賃貸借契約書に所定の契約期間が定められており、その期間に中途解約をすると、違約金が発生する旨が盛り込まれていることがあります。「○カ月無料で貸すから、最低△年は住んでね」という交換条件なわけですね。

5:ペット相談賃貸の意味

最近は、ペットも家族の一員として共生することを推奨する向きが見て取れます。それに呼応して増えてきたのが、「ペット相談賃貸」です。

「ペット可」と「ペット相談」の賃貸物件の違いは?

「ペット可」の賃貸物件は、ペットのための設備が整っているケースが多いです。はじめからペット共生用として設計・建築されていることも多く、ペットと快適に過ごすことができるでしょう。

一方、「ペット相談」というのはペット用の設備はなく、通常のマンションであっても場合によってはペットも認めますよ、ということです。当然ながら、入居者の中にはペットを飼っていない世帯も存在するため、騒音などに気を使う必要が出てきます。

ペット相談の賃貸物件は敷金が若干高い

ペット相談賃貸を借りる際に気をつけたいのが、金銭的な負担が大きくなる点です。家賃は相場よりも2割増が普通ですし、ペットが壁や床を傷つけやすいため、敷金は3カ月分となることも珍しくありません。

それだけでなく、退去時に預けてある敷金を超過したクリーニング費用を請求されることもままあり、追加費用を支払う可能性が出てくることも、念頭に置いておきましょう。

最後に

賃貸物件と一口に言っても、さまざまな種類があることが分かったかと思います。それぞれの意味についても、ある程度把握できたのではないかと思います。
賃貸物件を住み替える際には、ぜひこれらの種類にも目を向け、自分のライフスタイルにぴったりな物件を見つけてください。


監修者:小林 弘司(不動産コンサルタント)