賃貸と持ち家はどっちがお得?生涯コストやメリット・デメリットを比較
住居はライフプランに大きく影響するため、慎重に選ぶ必要があります。
「賃貸にすべきか、持ち家にすべきか」という点で悩んでいる場合は、それぞれの特徴を比較することが大切です。
この記事では、「賃貸と持ち家のどちらがお得なのか」という内容を中心に、それぞれの生涯コストやメリット・デメリットを比較しています。
また、賃貸と持ち家はそれぞれどのような人が向いているのかも紹介していますので参考にしてください。
この記事の目次
賃貸と持ち家はどちらがお得なのか
賃貸と持ち家は、明確にどちらを選べばお得ということはありません。
「住宅に何を求めるか」という点やライフスタイルによって判断軸が変わってくるため、人によって正解が異なります。
例えば、じっくり腰を据えて暮らしたいという方には、持ち家の方が適しています。
一方で、その時々の状況に応じて住居を変えたい方や色々な場所にに住みたい方は、賃貸の方が向いているでしょう。
賃貸と持ち家の特徴をしっかりと比較し、ご自身のライフスタイルや考えに合った方を選択することをおすすめします。
賃貸と持ち家を比較する際のポイント
必要な費用
賃貸と持ち家を比較する際には、トータルでどれくらいの費用がかかるのかを確かめることが大切です。
目先の費用だけでなく、生涯にわたって支払う費用を想定して計算しましょう。
例えば持ち家の場合は、ローンを組んで支払う住宅費以外にも固定資産税や修繕費など、さまざまなお金がかかってきます。
一方で、賃貸の場合は固定資産税などを負担することはありませんが、家賃のほかに火災保険料などがかかります。
賃貸と持ち家のそれぞれでかかる費用を計算し、どちらを選ぶべきか検討しましょう。
住みやすさ
「賃貸と持ち家のどちらが自分にとって住みやすいか」という点も比較しましょう。
住居は長い時間を過ごす場所になるため、住みやすい方を選ぶことが大切です。
例えば、賃貸はあらかじめ決められた間取りの部屋から選ぶ必要があります。
一方、持ち家の場合は自分の好みに合わせてオーダーメイドで間取りを変えられたり、壁紙を選んだりできるなど、ある程度の自由が効くことが多いです。
「自分の理想とする家で暮らしたい」という場合は、持ち家を選ぶ方が良いでしょう。
資産になるか
賃貸と持ち家を比較する際のポイントとして「その住居が資産になるか」という点も挙げられます。
賃貸は固定資産税や修繕費などが発生しない一方で、家賃を支払っている住居が自分の資産になることはありません。
持ち家の場合は、住宅ローンの支払いが完了したらその住居は自分の資産になります。
賃貸と持ち家のどちらを選ぶか検討する際は、支払う費用面だけでなく「最終的に自分の資産にしたいか」という点も考慮しましょう。
賃貸と持ち家の生涯コストをシミュレーション
ここでは、以下の条件で賃貸と持ち家にかかる生涯コストをシミュレーションしています。
- 世帯年収550万円
- 30歳夫婦
- 80歳まで50年間住み続ける
こちらはあくまでも簡易的なシミュレーションです。
住むエリアや間取り、家族構成、予算などの条件によって結果は異なりますので参考程度に確認してください。
賃貸の場合
- 世帯年収550万円の方が賃貸物件を契約する場合の家賃の目安:10万円前後
- 入居時の初期費用(敷金・礼金・仲介手数料)として家賃の3ヶ月分が発生
- 10年ごとに引っ越す
上記で仮定した場合の費用は以下の通りです。
【計算】
10年ごとにかかる入居時の初期費用:30歳から80歳までに5回引っ越すとすると、計算式は「入居時の初期費用(家賃の3ヶ月分)× 5回」です。
- 入居時の初期費用総額:(10万円 × 3ヶ月分)× 5回 = 150万円
80歳まで50年間住み続けるため、家賃の計算式は「家賃 ×1 2ヶ月 × 50年」です。
- 家賃の総額:10万円 × 12ヶ月 × 50年 = 6,000万円
50年間でかかる賃貸のコストは以下となります。
- 50年間でかかる賃貸コスト:150万円 + 6,000万円 = 6,150万円
持ち家の場合
一般的に住宅ローンの借入可能額は年収の7倍ほどと言われているため、世帯年収550万円の方が住宅ローンで借りられる上限額はおよそ3,800万円となります。
少し余裕を持って3,500万円を借り入れ、頭金500万円と合わせて合計4,000万円の住宅を購入すると仮定して計算していきます。
- 入居時の初期費用:購入価格の5%
- 住宅ローンの金利:年1.5%
- 固定資産税:年10万円
- 修繕費:500万円
上記で仮定した場合の費用は以下の計算の通りです。
【計算】
初期費用を購入価格の5%とすると、「4,000万円 × 5% = 200万円」となります。
頭金の500万円と合計して700万円が購入時にかかる費用です。
- 初期費用:200万円 + 頭金500万円 = 700万円
住宅ローンの金利年1.5%で3,500万円を借りて35年間返済する場合、毎月の返済額は107,164円となります。
35年間の総返済額は以下の通りです。
- 住宅ローンの総返済額:(107,164円 × 12ヶ月)× 35年 = 約4,500万円
年10万円の固定資産税が30歳から80歳までの50年間かかるとすると、トータルの固定資産税は「10万円 × 50年間 = 500万円」です。
修繕費は500万円と仮定すると、家を建てた後にかかる諸経費が合計で1,000万円となります。
- 家を建てた後にかかる諸経費:固定資産税500万円 + 修繕費500万円 = 1,000万円
購入時にかかる費用と住宅ローンの返済総額、固定資産税や修繕費などの諸経費を合計すると以下のようになります。
- 50年間でかかる持ち家のコスト:700万円 + 4,500万円 + 1,000万円 = 6,200万円
賃貸のメリット
状況に応じて住まいを自由に変更できる
賃貸のメリットとして、その時の状況に合わせて住まいを自由に変更できる点が挙げられます。
ライフプランや好みに応じて住み替えていける点は、持ち家にはない大きなメリットといえるでしょう。
例えば、築年数が浅い物件を転々としたり、家族が増えたタイミングでより広い物件に引っ越したりできます。
また、勤務地が変更になった場合も引っ越しやすく、収入に変化があっても家賃をコントロールしやすい点も特徴です。
変化するライフステージに合わせ、柔軟に住居を変えられる点が賃貸の大きなメリットです。
メンテナンスは管理会社に任せられる
賃貸の場合は、物件のメンテナンスを管理会社に任せることができます。
メンテナンスに手間や負担がかからない点は、賃貸物件に住むメリットです。
例えば、部屋に備え付けられているエアコンや給湯器などは、持ち家であれば自分で修理や買い替えを行う必要があります。
しかし、賃貸物件の場合は過失がなければ自分が負担する必要はありません。
備え付け設備のメンテナンスを管理会社に任せられ、出費がかからない点が賃貸のメリットです。
固定資産税がかからない
持ち家を購入すると、毎年固定資産税や都市計画税などの税金を払う必要があります。
しかし賃貸であれば税金を負担する必要がないため、経済的な負担が抑えられます。
多くの賃貸物件では2年ごとに更新料が発生し、その金額は家賃の1ヶ月が相場といわれています。
一方で持ち家の場合、毎年固定資産税を納める必要があるため、年間10〜15万円ほどが必要になります。
経済的な負担を抑えて物件に住める点が、賃貸契約のメリットです。
賃貸のデメリット
資産にはならない
賃貸物件は、家賃を支払い続けたところで自分の資産にはなりません。
生涯にわたって賃貸に住み続ける場合は、家賃を払い続ける必要があるのが賃貸のデメリットです。
持ち家の場合は購入した物件が自分の資産となり、住宅ローン完済後は固定資産税や修繕費以外の費用がほとんどかかりません。
一方で賃貸の場合は、自由に物件を選べる代わりに自分の資産にはならず、退職後にも家賃を払い続ける必要があります。
賃貸を選ぶ際には、どれだけ家賃を支払っても自分の資産として残らないことを理解しておきましょう。
勝手にリフォームできない
賃貸は、家主から部屋を借りている状態です。
そのため、自分の思うように部屋をリフォームできない点に注意が必要です。
持ち家の場合、自分の好みに合わせて自由に家をリフォームすることができます。
賃貸の場合は、原状回復できる程度に留める必要があり、自由にリフォームすることはできません。
賃貸物件で部屋をカスタマイズしたい場合は、トラブルを防ぐためにも事前に管理会社に確認することをおすすめします。
老後の不安
生涯にわたって賃貸物件に住み続ける場合、老後の暮らしについても考えておく必要があります。
状況によっては現役時代のように自分が住みたい物件に住めるとは限らないため、注意が必要です。
高齢者になると、賃貸物件への入居を断られてしまうリスクがあります。
退職後は年金収入がメインとなるため、現役世代に比べて家賃の支払い能力が低いと判断されてしまうためです。
老後は、入居できる物件が限られてしまい好きな物件に住めなくなる可能性も留意しておきましょう。
持ち家のメリット
最終的には資産になる
持ち家は、住宅ローンの完済後に自分の資産となります。
自分の資産であれば、将来的に売却して現金化したり、担保に入れてお金を借り入れたりすることが可能です。
また、住宅ローンを支払い終えると、固定資産税や修繕費などの負担を除いて住居費がほとんどかかりません。
老後の資金計画も立てやすく、住居費の負担を抑えて老後生活を送ることができます。
最終的に自分の資産として手元に残る点は、持ち家の大きなメリットです。
住む場所に困らない
一度住宅を購入してしまえば、住む場所に困ることがありません。
老後の住居を心配せずに済む点も、持ち家を選ぶメリットです。
高齢者が賃貸に申し込む場合、入居時の審査に落ちる可能性があり、住む場所が見つからないリスクがあります。
持ち家があれば基本的には同じ家に住み続けられるため安心です。
老後まで安心して住み続けたい場合は、持ち家を選ぶことをおすすめします。
同じ支払いでも賃貸より質が高い場合が多い
同じ金額を支払う場合であっても、持ち家の方が賃貸よりも質が高い物件に住めるケースが多くあります。
例えば、地方都市で月10万円の住居費を負担するケースで比較してみます。
地方都市で家賃10万円の賃貸物件は、1LDK・2LDKの物件がほとんどです。
一方、月10万円のローン返済の場合は4,000万円程度の物件を購入でき、地方なら2階建て3LDK以上の住居が選択肢に入ります。
月々の負担額が同じであっても、賃貸よりも質が高い部屋に住める可能性がある点は持ち家のメリットです。
契約者に万が一があった際の保険がある
物件購入時に住宅ローンを契約する場合、団体信用生命保険(団信)に加入できます。
団信に加入すると、契約者に万が一のことがあった場合に保障を受けられるため安心です。
団信の加入者が死亡または高度障害状態になると、生命保険会社が住宅ローンの残債を支払ってくれます。
万が一のことがあって残された家族の家計が苦しくなっても、住居を守ることができます。
団信への加入で万が一に備えられる点は、持ち家を購入するメリットのひとつです。
住宅ローンに「がん団信」は不要?メリット・デメリットや必要性を解説
持ち家のデメリット
借金を背負うことになる
現金一括で購入するケースを除けば、基本的に住居を購入する際にはローンを組むことになります。
大きな額のローンを組んで借金を背負うことになる点は、持ち家のデメリットです。
住居費として毎月お金を支払うことは賃貸と変わりませんが、住宅ローンは多額の借金をしている状態です。
収入が減ったり、不安定になったりした場合、ローンが返済できなくなるリスクがあります。
持ち家を購入する際には、多額の借金を返済できるかどうかをしっかりと判断しましょう。
トラブルがあった際に動きづらい
持ち家の場合、一度住居を購入してしまうと、簡単には引っ越しにくくなるでしょう。
何かトラブルがあった時に動きづらい点は、持ち家を購入するデメリットとして挙げられます。
例えば、騒音や隣人とのトラブル、周辺に大型施設ができるなど、外部要因によるリスクがあります。
持ち家を購入する時点では問題がなくても、後からトラブルが発生するケースも少なくありません。
持ち家を購入する際は、何かしらのトラブルが起きたときに身動きが取りづらい点に注意が必要です。
修理やメンテナンスは自己負担
持ち家の場合、設備の修理やメンテナンスはすべて自己負担となります。
何かあった際にすべて自分で対応しなければならない点は、賃貸と比べた場合のデメリットと言えるでしょう。
一般的に、住居は5年〜10年ほどの周期でメンテナンスが必要となります。
なかでも外壁や屋根などは比較的劣化しやすく、修理にかかる費用も高額になる部分です。
定期的なメンテナンスで費用がかかってしまう点に注意が必要です。
賃貸と持ち家、それぞれ向いている人
賃貸は住み替えを頻繁にしたい人に向いている
賃貸の最大のメリットは住み替えのしやすさであるため、定期的に新しい部屋に住み替えたい方には賃貸がおすすめです。
賃貸であれば、ライフスタイルの変化に合わせて好きな物件を選ぶことができます。
特に、築年数が浅い物件が好きな方や会社都合で定期的に転勤がある方など、住まいの選択肢を常に持っておきたい方には賃貸が向いています。
さまざまな選択肢から自分のライフスタイル、状況にあった物件を探し出しましょう。
持ち家はライフプランがある程度固まった人におすすめ
持ち家は、最終的に自分の資産になる点や理想とする家に住める点がメリットです。
1つの住まいに腰を据えて生活できるため、ライフプランがある程度固まっている方におすすめです。
所有者に万が一のことがあっても、団信に加入していれば残された家族に住宅ローンの負担をかけることはありません。
生活の基盤がある程度固まった方や、家を持つことが夢だった方は持ち家がいいでしょう。
まとめ:賃貸と持ち家の特長を比較して選ぼう
賃貸と持ち家はそれぞれにメリット・デメリットがあり、「どちらがお得」ということはありません。
ご自身の状況に合わせて適切な住まいを選ぶことが大切です。
本記事でご紹介した賃貸と持ち家それぞれのメリット・デメリットや生涯コストのシミュレーションなどを参考に、ご自身のライフスタイルにあった暮らし方を選びましょう。
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記事監修者
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