株式投資の取引方法の1つに「信用取引」という投資手法があります。信用取引とは自己資金を使わずに売買を行う取引方法で、デイトレーダーやヘッジファンドなどが積極的に活用している方法です。

高いリターンを得られる取引方法として人気がありますが、もちろんメリットだけではなくデメリットもあります。また、証券会社の口座を開設しただけでは信用取引を始めることができず、信用取引用の口座を新たに開設する必要があります。

この記事では、信用取引の売買方法やメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。

信用取引とは 

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まずは、信用取引の仕組みについて、解説していきます。

お金を借りて自己資金以上の株式を売買すること

信用取引とは、証券会社からお金、もしくは株式を借りて売買を行う方法です。手持ちの資金や株券を証券会社に預け、それを担保として自己資金以上の取引ができます。

証券会社からお金を借りて買い建てた株を「買い建玉(かいたてぎょく)」、株を借りて売り建てた株を「売り建玉(うりたてぎょく)」といいます。信用取引ではこれらの建玉の反対売買(買ったものを売り直す、売ったものを買い直す)をして、期限内に決済をおこないます。

買い建玉の場合、返済売りをおこなって決済します。売却代金から、最初に借りた買い付け代金と手数料、諸費用などのコストを差し引いた差額が、利益または損失になります。

売り建玉の場合、返済買いをおこなって決済します。最初に株を売ったときの代金から、買い戻し分に使う代金や手数料などのコストを差し引いた差額が、利益または損失になります。

信用取引には専用口座が必要 

信用取引は、証券会社の総合口座で取引することができません。信用取引を行うためには、「信用取引口座」という専用の口座を開設する必要があります。

信用取引口座の開設には証券会社の審査があるため、証券会社の総合口座開設が完了している人でもすぐに信用取引を始めることはできません。

「委託保証金」という担保が必要 

信用取引は、資金や株券を借りて売買ができる取引です。そのため、本人の信用を証明するものとして「委託保証金」という担保を証券会社に差し入れる必要があります。

委託保証金を差し入れることで、保証金の最大約3.3倍の金額まで取引ができます(最大取引金額は、各証券会社によって異なります)。委託保証金を売買額の30%で差し入れる場合、委託保証金を投資金額とすると投資金額の約3.3倍の取引が可能だということです。

例えば100万円分の信用取引を行う場合には、約30万円の委託保証金を差し入れる必要があります。これが信用取引の「レバレッジ効果」です。

​​委託保証金は、30万円以上かつ売買額の30%以上が必要だと法令で定められています。証券会社によって異なることもありますので取引前に各社の規約を必ず確認しましょう。

信用取引の売買方法 

信用取引には、2つの取引方法があります。

  • 信用買い|空買い
  • 信用売り|空売り

それぞれの売買方法について、詳しく解説していきます。

信用買い|空買い 

信用買いは買いから入る取引方法で、「空買い」とも呼ばれます。

信用買いの取引手順は次の通りです。

  1. 証券会社から資金を借りて株式を購入する
  2. 期限内に株式を売却し、借りた資金を返済する

信用買いは、株式の現物取引の売買と似たようなイメージです。信用買いを行い、株価が上昇したタイミングで売却することで、売却益を受け取れます。

例えば、株価が700円の株を10,000株(700万円)信用買いし、株価が750円に値上がりしたタイミングで売却を行うと差額の50円 × 10,000株=50万円の利益を受け取れます。

  • 購入時:700円 × 10,000株 = -700万円(借りた資金で購入)
  • 売却時:750円 × 10,000株 = +750万円
  • 返済時:750万円 – 700万円 = 50万円がプラス
    ※ここではわかりやすく説明するため諸経費を省いています

株式購入に必要な資金を借りて取引できるため、自己資金以上の資金を用いて取引を行えます。

信用売り|空売り 

信用売りは、売りから取引を行う取引方法で「空売り(ショート)」とも呼ばれています。

信用売りの取引手順は次の通りです。

  1. 証券会社から対象の株式を借りて売却する
  2. 期限内に売却した株式を買い戻し返却する

信用売りは、借りた株式を売却して得た売却資金と株式を買い戻した際の購入金額の差額が利益になります。したがって、売却後に、株価が下落すると利益が発生する仕組みです。

例えば、株価700円の株式10,000株(700万円分)を空売りして、650円に値下がりしたタイミングで買い戻しを行うと差額の50円 × 10,000株=50万円の利益を受け取れます。

  • 売却時:700円 × 10,000株 = +700万円(借りた10,000株を売却)
  • 購入時:650円 × 10,000株 = -650万円(返却用の10,000株を購入)
  • 返済時:10,000株を返却、差額の50万円が利益となる
    ※ここではわかりやすい説明のため諸経費を省いています

株価の値下がりが利益になるため、株価が下げている相場や暴落の発生時、株価急騰時のリバウンド狙いで空売りを行うことで利益を得やすくなります。空売りには「空売り料」と呼ばれる手数料が発生します。

信用取引のメリット 

信用取引には、次のようなメリットがあります。

  • レバレッジを効かせて自己資金以上の取引ができる
  • 空売りで相場下落時も利益を狙える
  • 同じ保証金で、1日に何度でも取引が可能

それぞれのメリットについて、詳しく確認していきましょう。

レバレッジを効かせて自己資金以上の取引ができる

信用取引では、委託証拠金である「委託保証金」を保険会社に預けることで、自己資金の約3.3倍の資金で取引を行えます。取引を行うことができる資金が多いほど、得られるリターンは高くなります。

例えば100万円の自己資金で年間約10%の利回りで運用した場合、現物取引では年間約10万円の利益です。 信用取引では100万円の自己資金で約330万円程度の取引が行えますので、年間10%の利回りで約33万円の利益となります。取引できる資金が多ければ多いほど、得られる利益が大きくなっていきます。

取引で得た利益も運用に回す(再投資)ことで、より取引できる資金額は大きくなります。複利効果が大きくなるのも信用取引のメリットです。

空売りで相場下落時も利益を狙える

信用取引では、現物取引で行うことができない「空売り」ができます。

「空売り」は、株価が下落すると利益を得ることができるので、株価が下落しやすい相場の時ほど有利になります。

信用取引は、空買いや空売りを駆使することでどちらの相場でも利益を得ることができるため、常に利益を狙うことが可能です。

同じ保証金で、1日に何度でも取引が可能 

信用取引は、取引に制限が設けられていないので、同じ保証金を活用して、同じ銘柄を、同じ日に、何度でも取引できます。

現物取引は、同日中に、同一銘柄の株式を複数回にわたって売買することはできません。この取引方法は、デイトレードやスイングトレードなど、短期間の間に売買を行い利益を獲得する投資方法に向いています。

特にデイトレードは、1日に何度も売買を繰り返して利益を得る投資手法のため、何度も同じ銘柄の取引をすることもあります。短期取引を行う方にとっては、信用取引は非常にメリットが大きい取引方法になります。

信用取引のデメリット・リスク

信用取引には次のようなデメリットやリスクがあります。

  • 手元資金以上の損失が発生する可能性がある
  • 手数料の他に諸費用が発生する可能性がある

狙えるリターンが大きい分、相応のリスクがあります。信用取引をする上では、資金管理や損失管理をしっかりと行いながら取引を行いましょう。

手元資金以上の損失が発生する可能性がある 

信用取引は、レバレッジを効かせた取引ができるため、大きなリターンが得られるのが特徴です。一方で、証拠金以上の損失が発生するというリスクもあります。

例えば、証拠金100万円で330万円分の取引を行うとして、Aという株を330万円分購入したとします。

仮にA株が購入時の半額(50%)まで値下がりした場合、現金100万円で投資していた場合は50万円の損失で済みます。

一方、レバレッジ取引で330万円を投資していた場合、評価額の損失としては165万円、その後330万円を返さないといけないですが、証拠金100万円を足しても65万円が足りないため、追加で65万円の負債を負うことになります。

運用資金 株価50%時
の評価額
証券会社への返金
【現金】
100万円
100万 × 1/2
= 50万円
0円
【信用取引】
330万円
330万 × 1/2
= 165万円
100万円 + 65万円
※100万円は証拠金

※この運用例では諸経費については考慮していません。

レバレッジを効かせて運用すると損失が出た際にはあっという間に大きくなるため、リスクが大きい点には注意が必要です。投資初心者がいきなりレバレッジを効かせて取引を行うのはおすすめできません。

信用取引では手数料の他に諸経費や追納にも注意 

信用取引では、取引手数料以外にも様々な費用が発生します。

金利(貸株料)・その他諸経費

具体的な費用は以下のとおりです。

  • 貸株金利(信用取引に関する金利)
  • 空売り料(空売りの手数料)
  • 逆日歩(空売り時貸し出し株数が不足した場合発生する手数料)

上記の費用は、取引を行う銘柄ごとにそれぞれ異なります。

人気の銘柄は費用が高くつく可能性がありますので、運用する上でコスト高にならないように注意が必要です。

追納(追証)

証拠金が不足した場合に発生する「追証」にも注意が必要です。各証券会社ごとに決められた最低の保証金維持率を証拠金(保証金)が下回ってしまった場合、担保割れとなり不足した証拠金を補填しなければいけません。

もし、追証が発生した場合は証拠金を追加入金しないと、保有建玉(運用中の信用取引)が強制決済されてしまいます。信用取引を行う場合は、証拠金の最低維持率を常に気にしながら取引を行いましょう。

追証の例

【前提条件】
証拠金は100万円、信用取引で300万円分を購入する。証拠金最低維持率は30%の証券会社を使用(今回の例だと証拠金の評価額が300万円 × 30%=約90万円を下回ると追証が発生します)。

【運用例】
1株3,000円の株を10,000株購入します(300万円)。この株が後日2,800円に値下がりしました。信用取引の評価額は280万円で、この時点で20万円の損失となります。

この時点で証拠金の評価額が100万円 – 20万円 = 80万円となり、最低維持率30%の金額90万円を下回りました。今後も運用を続けるためには、追加で10万円以上(証拠金が90万円を超える金額)を追証する必要があります。
※この運用例では諸経費については考慮していません。

信用取引の始めかた

信用取引を始めるには、証券会社の口座を開設した後、信用取引専用の取引口座を開設する必要があります。

ここからは、信用取引の始めかたについて、解説します。

1. 証券口座を開設 

まずは、信用取引をしたい証券会社の総合口座を開設しましょう。証券会社の総合口座がなければ、他の口座を作ることはできません。

それぞれの証券会社ごとに信用取引の手数料や特徴が異なりますので、自分に合った証券会社を選択しましょう。口座開設は、各証券会社のホームページから申し込むことができます。

また、口座開設には本人確認書類とマイナンバーが必要ですので事前に準備しておきましょう。

2. 信用取引口座に申し込み 

証券会社の総合口座を開設したら、信用取引の専用口座を申し込みましょう。

信用取引口座は、総合口座開設と同時に申し込むことができる証券会社もあります。また、信用取引は口座開設基準が定められている場合が多いです。

例えば金融資産が100万円以上、現物取引経験が1年以上など、初心者が開設できないようになっています。口座開設基準を満たしていれば、証券会社のホームページから必要事項を入力し申し込み手続きを行うことで手続きは完了します。

3. 審査 

信用取引はリスクが大きい取引のため、口座開設には審査があります。申し込み時に入力した情報を元に、証券会社が審査を行います。

登録内容によっては証券会社から確認の電話が入る場合や、電話面談を行うケースもあります。

審査は数営業日程度かかるため、すぐに取引を行うことはできません。

4. 口座開設完了 

信用取引口座の審査が完了すると、口座開設完了のメールが届きます。

証券会社によっては郵送で審査結果の連絡がくる場合もあります。

5. 証拠金振込 

信用取引を始めるためには、証拠金を入金する必要があります。

証拠金の入金方法については次の2つの方法があります。

  • 総合口座に入金されている資金から振替
  • 信用取引口座に資金を振込

証券会社によっては、提携している銀行預金口座から自由に入出金を行える場合もありますので活用しましょう。

まとめ:信用取引の仕組みを正しく理解しましょう 

今回は、信用取引の仕組みについて解説しました。信用取引はレバレッジをかけた取引で大きなリターンを狙うことができる取引方法です。

しかし、大きな損失が発生してしまう可能性や、手数料や諸費用が発生するリスクなどもあるため、ハイリスクハイリターンな投資です。

メリットばかりに気を取られないよう、信用取引のデメリットにも理解しながら取引を行うことが大切です。

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